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逃亡編
第5話救いの代償
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ヘルプは目覚めると、ヒメが今にも泣きそうな目で抱きついて来ていた。
これもこれでありかもと心の中でニヤける。
するとヒメはヘルプが起きている事に気づき、恥ずかしくなり、抱きつくのを慌ててやめる。
それにがっかりするヘルプ。
咳払いをして空気を変え、質問に入る。
「ヘルプ、なにが起きたのか説明してくれる」
「分かったわ。簡単に説明すると、ヒメはとある教師に誘拐されそうになっていたの。そこで私はナイトメアを召喚して教師を眠らせて、警察に捕まる様に仕向け、ヒメをおんぶして家まで運んだの」
なにか足りない説明を聞いて不思議に思いながらヒメはベッドから降りて、バックからスマホを取り、時計を確認する。
「もう5時半になってたんだ」
独り言を言ってタンスから服を取り出し、制服から着替えた。
30分ほど経っただろうか。ポケットになにもないか確認し、ブレザーとリボンをハンガーにかけ、ヘルプと1階に下り、洗濯機にスカート、シャツを入れ、リビングに行く。
そこにいたのは掃除機をかけているファイヤーだった。
「お姫様のお目覚めか」
「ファイヤーいつもお疲れ様、私達と休憩しよ」
「マスターの妹の言葉に甘えよう」
掃除機を片付け、ソファに座る。
「じゃあ3人でアイスでも食べる?」
「うん」
「頂くぜ」
ヒメは冷蔵庫からチョコレート入りのアイスモナカを3つ取り、ソファに持って行く。
「はーい、これはヘルプの分、これはファイヤーの分」
2人に渡すと、袋を開け、ファイヤーはガスマスクを外し、炎を出さない様にガブリといただく。
ヘルプもモナカをパックリと食べる。
2人共無表情で黙々と食べるので、好きな味なのか、それとも嫌な味なのか判別ができないままモナカを食べた。
救いの代償。
それはマスターとその家族を守る、そのためなら他人を殺す事も厭わない。
「さあナイトメア、ヒグラシ家に危害を加える奴らを殺してやるのよ」
「分かりました。今回はあの様な失態はしないよう心掛けます」
「なにを言っているの?あれはあなたのせいじゃない、あれはあいつが悪夢の戦い方を理解していただけよ」
「おー女神よぉー、あなたの言葉はいつも私を癒やしてくれる。では行って参ります」
真っ暗なヒグラシ家の屋根でナイトメアはヘルプを崇めると、姿を消し、ヒグラシ家に害をもたらすであろう人間を殺しに向かう。
「ナイトメア、私は女神なんかじゃない。ヒメが失望する様な事を使い魔にさせている私が女神なんてありえない」
独り言を呟き、自分のやり方を否定しつつ屋根を降り、ヒメの部屋の窓を経由して家の中に入る。
布団にくるまるヒメを見て、(この幸せを失いたくない)と思いながら部屋を出て、暗い廊下
を歩き、階段を下りた。
リビングに入ると、ブレイド、ファイヤーが睨んでくる。
「ヘルプ、さっきまでなにしてた?」
「なにって、ヒメのかわいい寝顔を見てたのよ」
「ウソをつくな。俺達は知ってるんだ。お前が使い魔に人を殺させている事をな」
ファイヤーの言葉に動揺を見せず、ソファに座る。
「なにしれっと座ってる」
「はぁー、あなた達の仲だから言ってあげる、そうよ、私はナイトメアを使ってヒグラシ家に害を与えるであろう人間を殺させているわ」
「白状したな、まあお前の事だからやりかねないとは思っていたが」
「俺は家族になって間もない、だからなんだろうな。ヘルプ、お前の事を別に嫌う、そんな感情が湧いてこない、それどころかその判断は正しいと思っている」
「えっ」
驚きの表情を見せるヘルプを腹を抱えてファイヤーとブレイドは笑う。
「なっ、なによ」
「いやすまない、デビルらしい事をずっとやっていない気がしてな」
「別にいいんじゃないか、マスターのために人間を殺すのはデビルにとって当然の事でおかしくはない。お前は正常だよ」
そう言いながらテレビショッピングを見て「くだらねぇ番組だ」とボヤくファイヤー。
(チャンネルを変えれば良いものを)
呆れた様な表情をするブレイド。
黙々と○イッチで遊ぶスパーク。
このいつもの光景を失いたくない。
この幸せを失いたくない。
失われる事がない様に、ヘルプはできるだけの事をすると決意するのだった。
次の日の午後4時。
セイギは中古ショップで品定めして帰る途中で十字路の横断歩道を渡る。
『セイギ、デビルの気配だ、しかもオオアタリだぞ』
「分かった。いつでも戦える様に準備しておいてくれ」
横断歩道を渡りきり、警戒をしていると、ジャスティスが召喚され、〈ブレイドゴールド〉を豪快にスクリューから取り出し、後ろから放たれた戦車の砲弾を真っ二つに斬り裂いた。
「お前か、戦いを避けている臆病者は」
ジャスティスが言う臆病者。
それは黒き鎧を纏い、触手を全身に絡ませ、左手には佐々木小次郎の愛刀〈物干し竿〉、右手には宮本武蔵の愛刀〈和泉守藤原兼重〉を装備している。
「マスターのやり方なのだから仕方ないだろう」
それを聞いてムカっときたアイシア。
「ウェポン、それ以上言ってみなさい、おやつ抜きにするわよ」
「問題ない、お母さんからもらったお小遣いでお母さんに買って来てもらう。しかもまだストックはあるからな」
「なっ!?」
「俺だって武器だけが能じゃないんだよ、何年生活してると思ってる」
マスターであるアイシアとウェポンの会話を聞いて、イライラしながらセイギは「やっつけろ」とジャスティスに命令し、〈変身の殺人〉を取り出し、トランスフォームを召喚。腰に巻く。
「変身!」
右のサイドスイッチを右手の平で押し、光に包まれた。
その光景を信号機の上に座って見ていたソウルはサモンの魂を憑依させ、バースト、ライダー、ソードを次元の裂け目から召喚する。
「行ってらっしゃい」
その指示にライダーは車を盗み、バーストは破壊光線を放つ体勢に入り、ソードは次元の裂け目から剣を大量に飛び出させた。
『デビル同士の戦闘が発生、直ちにロボットスーツを装着し戦闘準備をする様に』
軍隊の兵士達はロボットスーツを装着し、シンと共に大型車に乗り込み、現場に向かう。
ギンナイは新機体〈ソロモン〉に乗り込み、レンコは〈ジークフリート〉に乗り込む。
充電満タンのスリープと戦う気満々のガルガはバイクに乗り込んだ。
ジャスティス&トランスフォーム、ウェポン、ソウル、軍隊の戦いが今始まる。
これもこれでありかもと心の中でニヤける。
するとヒメはヘルプが起きている事に気づき、恥ずかしくなり、抱きつくのを慌ててやめる。
それにがっかりするヘルプ。
咳払いをして空気を変え、質問に入る。
「ヘルプ、なにが起きたのか説明してくれる」
「分かったわ。簡単に説明すると、ヒメはとある教師に誘拐されそうになっていたの。そこで私はナイトメアを召喚して教師を眠らせて、警察に捕まる様に仕向け、ヒメをおんぶして家まで運んだの」
なにか足りない説明を聞いて不思議に思いながらヒメはベッドから降りて、バックからスマホを取り、時計を確認する。
「もう5時半になってたんだ」
独り言を言ってタンスから服を取り出し、制服から着替えた。
30分ほど経っただろうか。ポケットになにもないか確認し、ブレザーとリボンをハンガーにかけ、ヘルプと1階に下り、洗濯機にスカート、シャツを入れ、リビングに行く。
そこにいたのは掃除機をかけているファイヤーだった。
「お姫様のお目覚めか」
「ファイヤーいつもお疲れ様、私達と休憩しよ」
「マスターの妹の言葉に甘えよう」
掃除機を片付け、ソファに座る。
「じゃあ3人でアイスでも食べる?」
「うん」
「頂くぜ」
ヒメは冷蔵庫からチョコレート入りのアイスモナカを3つ取り、ソファに持って行く。
「はーい、これはヘルプの分、これはファイヤーの分」
2人に渡すと、袋を開け、ファイヤーはガスマスクを外し、炎を出さない様にガブリといただく。
ヘルプもモナカをパックリと食べる。
2人共無表情で黙々と食べるので、好きな味なのか、それとも嫌な味なのか判別ができないままモナカを食べた。
救いの代償。
それはマスターとその家族を守る、そのためなら他人を殺す事も厭わない。
「さあナイトメア、ヒグラシ家に危害を加える奴らを殺してやるのよ」
「分かりました。今回はあの様な失態はしないよう心掛けます」
「なにを言っているの?あれはあなたのせいじゃない、あれはあいつが悪夢の戦い方を理解していただけよ」
「おー女神よぉー、あなたの言葉はいつも私を癒やしてくれる。では行って参ります」
真っ暗なヒグラシ家の屋根でナイトメアはヘルプを崇めると、姿を消し、ヒグラシ家に害をもたらすであろう人間を殺しに向かう。
「ナイトメア、私は女神なんかじゃない。ヒメが失望する様な事を使い魔にさせている私が女神なんてありえない」
独り言を呟き、自分のやり方を否定しつつ屋根を降り、ヒメの部屋の窓を経由して家の中に入る。
布団にくるまるヒメを見て、(この幸せを失いたくない)と思いながら部屋を出て、暗い廊下
を歩き、階段を下りた。
リビングに入ると、ブレイド、ファイヤーが睨んでくる。
「ヘルプ、さっきまでなにしてた?」
「なにって、ヒメのかわいい寝顔を見てたのよ」
「ウソをつくな。俺達は知ってるんだ。お前が使い魔に人を殺させている事をな」
ファイヤーの言葉に動揺を見せず、ソファに座る。
「なにしれっと座ってる」
「はぁー、あなた達の仲だから言ってあげる、そうよ、私はナイトメアを使ってヒグラシ家に害を与えるであろう人間を殺させているわ」
「白状したな、まあお前の事だからやりかねないとは思っていたが」
「俺は家族になって間もない、だからなんだろうな。ヘルプ、お前の事を別に嫌う、そんな感情が湧いてこない、それどころかその判断は正しいと思っている」
「えっ」
驚きの表情を見せるヘルプを腹を抱えてファイヤーとブレイドは笑う。
「なっ、なによ」
「いやすまない、デビルらしい事をずっとやっていない気がしてな」
「別にいいんじゃないか、マスターのために人間を殺すのはデビルにとって当然の事でおかしくはない。お前は正常だよ」
そう言いながらテレビショッピングを見て「くだらねぇ番組だ」とボヤくファイヤー。
(チャンネルを変えれば良いものを)
呆れた様な表情をするブレイド。
黙々と○イッチで遊ぶスパーク。
このいつもの光景を失いたくない。
この幸せを失いたくない。
失われる事がない様に、ヘルプはできるだけの事をすると決意するのだった。
次の日の午後4時。
セイギは中古ショップで品定めして帰る途中で十字路の横断歩道を渡る。
『セイギ、デビルの気配だ、しかもオオアタリだぞ』
「分かった。いつでも戦える様に準備しておいてくれ」
横断歩道を渡りきり、警戒をしていると、ジャスティスが召喚され、〈ブレイドゴールド〉を豪快にスクリューから取り出し、後ろから放たれた戦車の砲弾を真っ二つに斬り裂いた。
「お前か、戦いを避けている臆病者は」
ジャスティスが言う臆病者。
それは黒き鎧を纏い、触手を全身に絡ませ、左手には佐々木小次郎の愛刀〈物干し竿〉、右手には宮本武蔵の愛刀〈和泉守藤原兼重〉を装備している。
「マスターのやり方なのだから仕方ないだろう」
それを聞いてムカっときたアイシア。
「ウェポン、それ以上言ってみなさい、おやつ抜きにするわよ」
「問題ない、お母さんからもらったお小遣いでお母さんに買って来てもらう。しかもまだストックはあるからな」
「なっ!?」
「俺だって武器だけが能じゃないんだよ、何年生活してると思ってる」
マスターであるアイシアとウェポンの会話を聞いて、イライラしながらセイギは「やっつけろ」とジャスティスに命令し、〈変身の殺人〉を取り出し、トランスフォームを召喚。腰に巻く。
「変身!」
右のサイドスイッチを右手の平で押し、光に包まれた。
その光景を信号機の上に座って見ていたソウルはサモンの魂を憑依させ、バースト、ライダー、ソードを次元の裂け目から召喚する。
「行ってらっしゃい」
その指示にライダーは車を盗み、バーストは破壊光線を放つ体勢に入り、ソードは次元の裂け目から剣を大量に飛び出させた。
『デビル同士の戦闘が発生、直ちにロボットスーツを装着し戦闘準備をする様に』
軍隊の兵士達はロボットスーツを装着し、シンと共に大型車に乗り込み、現場に向かう。
ギンナイは新機体〈ソロモン〉に乗り込み、レンコは〈ジークフリート〉に乗り込む。
充電満タンのスリープと戦う気満々のガルガはバイクに乗り込んだ。
ジャスティス&トランスフォーム、ウェポン、ソウル、軍隊の戦いが今始まる。
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