チェンジソルジャーザーガ

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ゼッツ編

第39話 復活する戦士

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ザーガに変身を完了したヒサは取り込んでいた鉄から剣を生成する。
そこにあったのは一方的にアームド・ダークエンジェルに攻撃を食らうゴアドの姿があった。

「ゴアドさん!?」

駆けつけた仲間の声を聞いて、ボロボロの体にムチを打ちゼロ距離から〈カオスバロン〉を敵に連射する。

装甲に傷を入れるも、怯むことなくビームソードを振り下ろされそうになる。
危機的な状況に翼を展開し上空に急上昇する。

「2人共気をつけろ! こいつらの剣は振るえば無数の刃を放ってくるぞ!」

銃を次元の裂け目に収納し、〈カオスグリフォン〉を装備した。

一方で電灯に照らされるZDズーディーの姿を視認した如鬼は急いで兄の元へ向かう。

「現人くん? どうしてここに?」

「夏華ちゃん、僕は軍人として命令には従わないといけない。前のように単独での動きができないんだ」

「あの女性の命令で動いてるってこと? 仕方ないとは思うけど、無理はしないで」

自分だって上に動かされている身、彼女にはどうすることもできない。
その寂しげな表情は、スーしか見ることはなかった。

『お兄さんのことが心配なのは分かるよ。でも今は戦闘に集中しよう。ね?』

AIエーアイであるスーには如鬼の扱い方は分析済み、しかしそれ以上に義理の兄との関係に嫉妬している。

(僕は如鬼と一緒に戦ってきた。戦友なんだ。彼女とは恋愛をするような立場じゃない。なんだろう。如鬼を取られたくない。如鬼といる時間がもっと欲しい)

これはAIエーアイとしての特性なのか。
それとも自分が相棒に恋しているのか。
そんな悩みを抱えながらスーは戦闘に集中するため、気を引き締めた。

『2人共気をつけて。相手は幕昰さんが言っていたパワードスーツを装着している堕天使よ。空中からの攻撃に注意して』

「分かりました。戦闘を開始します」

アドバイスをもらい〈バスター〉の銃口を上空にいるアームド・ダークエンジェルに向け、トリガーを弾く。
攻撃に気づいた敵は高速で銃弾を躱し、ビームソードを振り被りながら低空飛行で向かって来る。

『左から来るよ!』

「分かった!」

振り下ろされる刃をバックステップで避けると、軽いフットワークで右握り拳を腹に叩き込む。
すると右腕のパーツから蒸気が噴き出し、パワーを増幅ぞうふくさせつつ負担を軽減した。

あまりの威力に装甲がへこみ、激痛が走る。

「こ、この程度……」

『今だ! イッケェェェェ!!』

スーの叫びに如鬼は〈バスター〉を相手の頭部に0距離射撃、大きく吹き飛ばした先にザーガが低い体勢で右足に破壊エネルギーをめていた。

「オリヤァァァァァァ!!」

アームド・ダークエンジェルに照準を合わせ、右足を突き上げる必殺技〈地上型クラッシャーシュート〉を繰り出す。
蹴りを食らった敵の体は破壊エネルギーに侵食され、小鹿の様に足を震わせながら立ち上がる。

「堕天使に栄光あれぇぇぇぇ!!」

叫び声を上げながら爆散した堕天使の死、それを見つめながらヒサは深呼吸を行う。
その時だった。
殺気を感じた彼が後ろを振り返る。
そこにいるのは………

「まさか。いや、あれは」

現れたのはかつて戦った超級堕天使、ウォーノウが変身したウェポニック・ ダークエンジェルだった。

「そうか、死の間際まぎわに博士がクローンであるウェポニック・ダークエンジェルを」

「その通り、私は決してオリジナルとは違う。だが意思を引き継ぎ、お前達人間を、争いをやめない者を葬ってくれる!」

戦いを憎むクローンのウォーノウは指先の銃口をザーガに向け、連射を行う。
銃弾を防ぐためザーガは城壁を生成するが、高く飛び越えられてしまう。
後ろを取られ、背中に銃弾を受ける。

「クッ………」

激痛に耐えながら体内にある銃弾を吸収する。
血が傷口から流れる中、剣を生成し敵に向かって足を走らせる。
それに対してウォーノウは両肩のバズーカをヒサに向け、ミサイルを同時発射する。
だが右手が触れた瞬間攻撃は吸収され、続けて剣を振り被られる。
刃が装甲に激突、あまりの硬さに刀身がへし折れた。
 
「なに!?」

「その程度の剣では、私の装甲を傷つけることもできまい!」

動揺するヒサの首をウォーノウは右手で掴み上げ、左手の銃口を突きつける。

「終わりだ。人間の戦士よ」

「終わるのは……お前だ!」

首を絞められ苦しげなヒサは白き戦士〈ザーガ・リミッターホワイト〉に変身、右腕のリミッターを解除し破壊エネルギーを放出する。

「その姿、なるほど。より強者になったと言うことか。ならば!」

ザーガが殴る直前、ウェポニック・ダークエンジェルの装甲が弾け飛ぶ。
体に激突し、吹き飛ばされるヒサは地面叩きつけられる。
再び立ち上がるとそこには二刀を持った堕天使のもう1つ姿があった。

「あの堕天使、姿を切り替えられるの?」

如鬼の質問にスーはスキャナーで分析した結果を確認し『違うよ』と否定する。

『装甲を射出することで、スピード上がったり近距離戦が有利になる代わりに遠距離攻撃ができなくなってる。つまりさっきの姿に変身中は戻れないんだよ』

「なるほど。教えてくれてありがとう」

戦闘を再び開始する2人、ザーガを援護しようとするとさらなるアームド・ダークエンジェルが襲撃してきた。

繰り出されるタックルのスピードはスーのスキャンでは追いつけず、大きく吹き飛ばされる。

『如鬼!?』

突然の出来事に悲鳴を上げる光炎。
この緊急事態に鈴静はZ2ズーツーを装着しようとする。
しかし幕昰がそれを静止させ「気持ちは分かる」と静かに喋り出す。

「だがなぁ、Z2ズーツーの性能じゃあ勝てるわけがない。彼女達を信じよう」

「分かりました……」

Z2ズーツーの装着者として現実を突きつけられた鈴静は理解しつつも、戦う闘志を燃やし続けた。
 
「ウォーノウ様の邪魔はさせん!」

アームド・ダークエンジェルが追撃の攻撃を仕掛けようとしたその時だった。

なんと現人が吹き飛ばされた彼女を受け止め、ゴアドが〈カオスグリフォン〉で光の刃を弾いたのだ。

「堕天使の成り損ないがぁ! 邪魔をするな!」

「悪いが俺は堕天使に成ったつもりはない。まあ、この力のおかげでお前達を倒せるんだ。感謝しなくちゃな!」

槍と光の刃が打つかり合う度、火花が散る。

その光景をアパートの2階から見ていた天使は、無表情のまま自分の使命を全うできないと愚かさを感じるのだった。
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