チェンジソルジャーザーガ

ガトリングレックス

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ゼッツ編

第41話 捨て身の戦士

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〈ダークリングゾーン〉でアームド・ダークエンジェルの戦闘するのを覗いていたゼッツは、左腕に着けている漆黒の腕輪へ目を向ける。

「私も戦いに参加しましょう。このままでは我々堕天使が滅びるのも時間の問題。覚悟して向かいます」

下界に下りる決意をした彼女の前に1人の下級堕天使が急いでやって来ると、膝をつき口を動かす。
 
「ゼッツ様、ご報告があります。先ほどZ3ズースリープラスを開発したとされる女を拘束しました。殺してしまうか、それとも人質にするのか。どうされますか?」

部下の有能さに「良くやりました」と微笑みながら褒めたあと、頭を整理し新たな命令を出す。

「ではその者を人質に取りなさい。ザーガ達をまとめて始末するチャンスですからね」

「分かりました」

命令を聞き、下級堕天使は再び下界に下りて行く。
そして即座にアームド・ダークエンジェルに変身、次元の裂け目を出現させビームソードを取り出す。
光の速さで仲間の元へ向かった。

一方その頃ザーガの研究を行っていたスティーブ・ビバースの娘であるジャーミーは堕天使達に捕らえられ、とあるビルの屋上に鎖に繋がれていた。

「早く私を解放しなさい! じゃなきゃ本当にZ3ズースリー達が駆けつけるよ!」

彼女の忠告を仲間の指示を待つアームド・ダークエンジェルの1人は聞く耳を持たず、敵が来ないか警戒する。
でまかせなのか、それとも本当なのか。
とは言え本当に来たとしてもこちらは偽りの戦士が何人相手になろうが、戦闘力的にこちらの方が上回っている。
だが油断は大敵、ビームソードを構え直し警戒を続ける。
その時だった。
 
視界に入ったのはなんと隣のビルからスナイパーライフルに改造された〈サイクロプスハント〉を構えたZ3ズースリーが引き金を弾いたところだ。

撃ち出された銃弾を視認した堕天使はビームソードを振るい切り裂くと、斬撃を飛ばし両断する。
しかし血液が噴き出すことはなく、ただただ爆散するだけだった。

「なに?」

人間が入っていたとは思えず、すこし驚く。
後ろを振り返り救出されていないか確認すると、彼女の言うとおりZ3ズースリーの2人がサブマシンガンである〈アーチャー〉を構えていた。
しかも捕らえていたはずのジャーミーがどこにもない。

「まさか、あれはおとりだったのか?」
  
トリガーを弾き、撃ち出される銃弾の軍勢。
だがアームド・ダークエンジェルの装甲を貫くことはなく、すべて弾かれる。
ビームソードを構えZ3ズースリー1人の心臓部を貫くが、それでも銃口を頭に突きつけゼロ距離でトリガーが弾かれた。

悲鳴を聞き流し、逃げ出したジャーミーと救出に成功したZ3ズースリーの1人が階段を下りる。

「ありがとう、助けに来てくれて」

彼女の感謝の言葉にZ3ズースリーは無言ながらにサムズアップで返事を返す。

「なんで喋らないの? もしかしてあなた? 光炎が言っていたAIエーアイなの?」

質問に対して首を縦に振る戦士。

(そうか。警察にとって私って………)

AIエーアイに救出を任せるほど自分は必要とされていない。
助からないなら助からないでどっちでもいい。
そう察したジャーミーは光炎との研究の日々を踏みにじられた気がして腹が立ってくる。

(私達がいなければ、ズーシリーズは完成しなかった。もう用済みなのかな。まあ助けを送ってくれただけでもありがたいと思わないとね)

ズーシリーズを量産できたら自分達はいらないのか?
そんな考えが胃をキリキリさせる。
AIエーアイに連れられるまま階段を下りて行くと、2人のZ2ズーツーが待機していた。

「よくやった。これよりビバース博士を連れて帰還する」

「あなた達は、AIエーアイじゃないのね?」

ジャーミーの疑いの目に、装着者は驚く。
事情を説明すると、彼女の不満を理解しながら階段を共に下りる。

「私達も詳しくは知りません。上から言われたのはAIエーアイを任務に参加させることで、人命救助の効率がかなり上がると」

「それはそうかもしれないけど。あっ、ごめんなさい。助けに来てくれたのに文句ばかり言ってしまって」

「これも任務ですから。急ぎましょう。堕天使達が来る前に安全な場所へ」

話し合うジャーミー達は何10階もある階段を下りて行く。
その時だった。
Z3ズースリーAIエーアイが敵の接近をスキャンし、戦闘態勢に入ったのだ。

「新手か。頼むぞ」

自衛官の1人に命令を受け、機械仕掛けの兵士は〈アーチャー・マーク2〉をその場で構える。

「後は彼に任せましょう」

「えっ、えぇ」

指示に従いながら申し訳なさ感じたジャーミー。
AIエーアイとは言え、彼だって自分を助けるために来てくれた。
それなのに機械仕掛けだからと否定しまった。

(ごめんなさい、私を助けてくれたのに)

心の中で謝罪しつつ、自衛官達と共に階段を下りるのだった。


一方その頃ヒサ達はアームド・ダークエンジェルの数の多さに体力の限界を感じていた。

「こいつら、倒しても倒してもうじゃうじゃ出てくるぞ」

「完全に俺達を潰しに来ているね。でもここで倒れたら救える命も救えなくなるよ」

ゴアドとオリジンザーガの会話を聞いて、現人げんじはここで負ければ人間が堕天使に敗北する。
そんなネガティブな考えとAIエーアイの観きれないほどの命令の数に対して、頭がおかしく成りそうだった。

「戦うんだ……僕は……戦うんだ……」 

パニックになる思考、息を荒くしながらアーチャーディーの持ち手を握りしめた。
 
その姿を見た部下達は危険と判断、武装を解除させるため武装車を近づける。
その時だった。
 
放たれた光の刃がなんと車両を両断し、爆散させたのだ。

爆風に巻き込まれ、大きく吹き飛ばされるZDズーディー
AIエーアイが着地のやり方を提示されるが、従うほど余裕はない。
さらに心臓が破裂しそうな衝撃が襲いかかる。
死を覚悟する暇もなく、重力には逆らえず落下して行く。
意識が薄れて行く中、白き竜の翼が彼を包み込んだ。

「まったく。あんたは人を守るために戦っているんだろう? 俺達戦士を実験台にしてる場合じゃないはずだ」

質問に対して現人はなにも言えない。
いや、意識が消えかけて聞こえなかった。
  
うっすらと見えたのは、救ってくれた天使の姿。
AIエーアイの警告メッセージを目にし(任務失敗か)とそう思いながら目を閉じるのだった。
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