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第13話フルメタルリッパー
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3人が乗る車が走行していると、赤信号になったので、AIがブレーキを踏む。
霧が立ち込める中、バイクに乗るヤマトと合流する。
窓を開け、2人はヤマトに顔を見せる。
「キカギさん!」
「昨日ぶりっすね」
「ミガニシ、オンガ、無事で本当に良かった。うん? その子は?」
「それは車を止めてから話すっす」
「分かった。着いて行く」
青信号になるまで待っていると、黒いパーカーを着て、フードで頭を隠し、上にA、下にWと描かれた白い仮面を付け、鉤爪を腕に付けた者と、鎌を持ち、ヤギの頭蓋骨の様なマスクを被り、黒き肌をした3人が歩いて来た。
「お前達は衣替えした我らが始末する」
「俺達のボスを返してもらう、力づくでなぁ!」
3人に襲いかかる切り裂きの殺人鬼達の4人。
しかしランの念動力で浮かされ、電柱に叩きつけられる。
「私はあんたらを倒す事はできない。それなら動きを止めれば良い。時間稼ぎには十分っす」
泣き暴れる少女をミユは宥めるため、持っていたソーダ味のアメをポケットから取り出す。
「はい、これあげるから、静かにしてなさい」
袋を開け、少女に手渡す。
すると視線がアメに集中し、泣き止み、暴れなくなる。
アメを不思議そうに見る少女。
「これ、おいしい?」
「えぇ、美味しいわよ」
少女は口にアメを入れ、舐めてみる。
シュワシュワした甘い味に魅了されている。
幸せそうな表情。
「美味しい?」
「うん、おいしい」
「よかった」
会話を聞いていたランがクスクスと笑う。
「ミガニシ先輩優しいっすね」
「アメは頭に負担をできるだけ減らすために持ってるのよ、ただそれだけの事」
「そんな事言ってるからみんなにツンデレって言われるんすよ」
「うるさいわよ、あんた」
ミユが顔を赤らめていると青信号になりAIがアクセルを踏む。
ヤマトもバイクのアクセルを回し、着いて行く。
それを見た切り裂きの殺人鬼達の集団は焦りを覚えながら、ランの能力範囲を抜けるまで待ち、霧に消える準備をした。
「そこで止まって」
ランの指示でAIは公園の前に車を止め、3人は車から降りる。
全員が降りたのを確認し、車を発進させた。
バイクを止め、ヤマトは敵を警戒しながら降り、ヘルメットを脱いで、イス部分を開けてしまい、警棒をスナップで引き延ばす。
公園に入ると電灯のところにベンチがあったので、そこに少女を座らせる。
「ここで情報を共有しよう。誰から話す?」
「じゃあ私から。切り裂きの殺人鬼は私とオンガが保護したこの子をボスと呼び、慕い、神の様に崇める。まるでカルト集団の様に」
「オンガはなにかあるか」
「実はっすね、あいつらを倒せる人材を見つけたんすよ。黒い化物みたいな2人なんすけど、正義感が強いし、ステータス的にも超強いんす。協力関係にもなりましたし、この事件は終息に向かうと思うっす」
「そうか。黒い2人に敵は任せて俺達はこの子を守る。それで良いな」
「はい」
「分かったっす」
3人の会話が終わるとヤマトのデバイスから着信が入る。
「ごめん、少し待っててくれ」
デバイスの画面を確認すると、電話番号にモザイクがかかっている。
「なんだこれ?」
とりあえず通話ボタンを押す。
「もしもし」
『私メリー、今あなた達がいる公園にいるの~』
「お前は小柄の奴」
『覚えててくれたの? 嬉しいな~』
「なんの用だ」
『ボスを返してよ。ボスは私達の大事な人なんだから』
「大事な人? この子を理由に殺戮を行う奴がよくそんな事を言えるなぁ」
『ひっどーい。私達はボスのために頑張ってるの。あなたに言われる筋合いはないよーだぁ』
「お前達がやっている事は紛れもなく犯罪だ。それを理解していないなら、 お前をここで始末する」
『ウソをつかないでよ。今ここにあの2人はいないじゃない、仲間を倒せるあの2人がね』
「そちらも同じ条件だろう」
『いーもーんだ。ならこいつであなたをけちょんけちょんにしてあげるんだから~』
「なに?」
そこで通話が切れ、ヤマトはデバイスをスリープモードにし、ジャンパーのポケットにしまう。
「敵が来る。気を付けろ」
「「はい!」」
ミユは少女を守るため、死神ネットの準備をし、ヤマトとランは戦闘体勢に入る。
すると、霧の奥から巨大な生物、いや、巨大兵器の様な物がこちらに向かって来た。
全身に刃を取り付けられ、上半身は人型になっており、下半身はパンクしないタイヤが8個搭載されている。
「これが私の兵器、フルメタルリッパーだよ。さあ、3人まとめて八つ裂きにしてあげる」
声の主は切り裂きの殺人鬼達の1人、メリーだ。
「こんなモノ、私の能力で吹き飛ばしてやるっす」
ランは念動力でフルメタルリッパーを浮かせようとする。
「遅い!」
一気に加速するフルメタルリッパー。
両腕の刃を回転させ、ランに襲いかかる。
あまりのスピードに思わず、念動力で回避行動をとる。
メリーはハンドルを巧みに操り、なんとUターンをする。
(なに、Uターンだと!? しかもあの巨体であんなにも早く!?)
ヤマトは動揺しつつ、強化薬が入った器具をポケットから取り出し、首に押し合って、注入する。
「イッツ、デットタイム」
霧が立ち込める中、バイクに乗るヤマトと合流する。
窓を開け、2人はヤマトに顔を見せる。
「キカギさん!」
「昨日ぶりっすね」
「ミガニシ、オンガ、無事で本当に良かった。うん? その子は?」
「それは車を止めてから話すっす」
「分かった。着いて行く」
青信号になるまで待っていると、黒いパーカーを着て、フードで頭を隠し、上にA、下にWと描かれた白い仮面を付け、鉤爪を腕に付けた者と、鎌を持ち、ヤギの頭蓋骨の様なマスクを被り、黒き肌をした3人が歩いて来た。
「お前達は衣替えした我らが始末する」
「俺達のボスを返してもらう、力づくでなぁ!」
3人に襲いかかる切り裂きの殺人鬼達の4人。
しかしランの念動力で浮かされ、電柱に叩きつけられる。
「私はあんたらを倒す事はできない。それなら動きを止めれば良い。時間稼ぎには十分っす」
泣き暴れる少女をミユは宥めるため、持っていたソーダ味のアメをポケットから取り出す。
「はい、これあげるから、静かにしてなさい」
袋を開け、少女に手渡す。
すると視線がアメに集中し、泣き止み、暴れなくなる。
アメを不思議そうに見る少女。
「これ、おいしい?」
「えぇ、美味しいわよ」
少女は口にアメを入れ、舐めてみる。
シュワシュワした甘い味に魅了されている。
幸せそうな表情。
「美味しい?」
「うん、おいしい」
「よかった」
会話を聞いていたランがクスクスと笑う。
「ミガニシ先輩優しいっすね」
「アメは頭に負担をできるだけ減らすために持ってるのよ、ただそれだけの事」
「そんな事言ってるからみんなにツンデレって言われるんすよ」
「うるさいわよ、あんた」
ミユが顔を赤らめていると青信号になりAIがアクセルを踏む。
ヤマトもバイクのアクセルを回し、着いて行く。
それを見た切り裂きの殺人鬼達の集団は焦りを覚えながら、ランの能力範囲を抜けるまで待ち、霧に消える準備をした。
「そこで止まって」
ランの指示でAIは公園の前に車を止め、3人は車から降りる。
全員が降りたのを確認し、車を発進させた。
バイクを止め、ヤマトは敵を警戒しながら降り、ヘルメットを脱いで、イス部分を開けてしまい、警棒をスナップで引き延ばす。
公園に入ると電灯のところにベンチがあったので、そこに少女を座らせる。
「ここで情報を共有しよう。誰から話す?」
「じゃあ私から。切り裂きの殺人鬼は私とオンガが保護したこの子をボスと呼び、慕い、神の様に崇める。まるでカルト集団の様に」
「オンガはなにかあるか」
「実はっすね、あいつらを倒せる人材を見つけたんすよ。黒い化物みたいな2人なんすけど、正義感が強いし、ステータス的にも超強いんす。協力関係にもなりましたし、この事件は終息に向かうと思うっす」
「そうか。黒い2人に敵は任せて俺達はこの子を守る。それで良いな」
「はい」
「分かったっす」
3人の会話が終わるとヤマトのデバイスから着信が入る。
「ごめん、少し待っててくれ」
デバイスの画面を確認すると、電話番号にモザイクがかかっている。
「なんだこれ?」
とりあえず通話ボタンを押す。
「もしもし」
『私メリー、今あなた達がいる公園にいるの~』
「お前は小柄の奴」
『覚えててくれたの? 嬉しいな~』
「なんの用だ」
『ボスを返してよ。ボスは私達の大事な人なんだから』
「大事な人? この子を理由に殺戮を行う奴がよくそんな事を言えるなぁ」
『ひっどーい。私達はボスのために頑張ってるの。あなたに言われる筋合いはないよーだぁ』
「お前達がやっている事は紛れもなく犯罪だ。それを理解していないなら、 お前をここで始末する」
『ウソをつかないでよ。今ここにあの2人はいないじゃない、仲間を倒せるあの2人がね』
「そちらも同じ条件だろう」
『いーもーんだ。ならこいつであなたをけちょんけちょんにしてあげるんだから~』
「なに?」
そこで通話が切れ、ヤマトはデバイスをスリープモードにし、ジャンパーのポケットにしまう。
「敵が来る。気を付けろ」
「「はい!」」
ミユは少女を守るため、死神ネットの準備をし、ヤマトとランは戦闘体勢に入る。
すると、霧の奥から巨大な生物、いや、巨大兵器の様な物がこちらに向かって来た。
全身に刃を取り付けられ、上半身は人型になっており、下半身はパンクしないタイヤが8個搭載されている。
「これが私の兵器、フルメタルリッパーだよ。さあ、3人まとめて八つ裂きにしてあげる」
声の主は切り裂きの殺人鬼達の1人、メリーだ。
「こんなモノ、私の能力で吹き飛ばしてやるっす」
ランは念動力でフルメタルリッパーを浮かせようとする。
「遅い!」
一気に加速するフルメタルリッパー。
両腕の刃を回転させ、ランに襲いかかる。
あまりのスピードに思わず、念動力で回避行動をとる。
メリーはハンドルを巧みに操り、なんとUターンをする。
(なに、Uターンだと!? しかもあの巨体であんなにも早く!?)
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