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第14話後悔と解決
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加速するヤマトは高く飛び上がり、警棒に眷属の力を注ぎ込み、フルメタルリッパーの右腕に叩きつける。
あまりの衝撃にギシギシと部品が悲鳴を上げ、右腕が吹き飛ぶ。
「くー強い。だ~け~ど~」
メリーの言葉に反応するように、フルメタルリッパーの右腕が突然ミユと少女に向かって飛んで行く。
回転する無数の刃。
止めるしかない、そう思ったランは念動力で槍を思わせる右腕を止める。
「よし」
「オンガ! 避けろ!」
「えっ?」
ヤマトの危機迫る声にフルメタルリッパーの方を見ると、左腕の回転する刃が攻撃を仕掛けてきていた。
(間に合えー!)
一気に加速し、ヤマトはランをお姫様抱っこして、攻撃を回避する。
「悪いな。お姫様抱っこは彼氏か旦那にしてもらう方が良かっただろうが・・・・・」
「緊急事態だから許してくれ、ですよね。こんな事でドキドキするような女じゃないっす」
「そんな事を言えるぐらい余裕を持っているなら良いんだ」
「それはどう言う意味っす?」
「元気があって良いって事だよ」
地面に下ろされると、ランは念動力でフルメタルリッパーの右腕の方向を持ち主に向ける。
「まっまさか」
「串刺しになれー!」
右腕は勢いよく飛んで行き、コックピットであろう胴体部分を貫通する。
血が溢れ出し、機能を停止するフルメタルリッパー。
使い物にならなくなった兵器を捨て、メリーは痛みに息を荒げながら、包丁を構える。
「お前、さっき自分のボスとランを利用したよな」
「それが・・・・・どうした・・・・・の~?」
「罪悪感はないのか? もしランの能力が間に合わなかったら、大事なボスは死んでいたんだぞ」
ヤマトの質問に、キャハハハハハと笑いながら、ローブを脱ぎ捨て、仮面を外す。
長い金髪をリボンで結び、可愛らしい顔つき、人形の様な白い肌、青い瞳、ゴスロリの格好をしている。
「あなた達がプロの雇われ屋だって事ぐらい分かってる。これぐらいしないと倒せないでしょ~」
満面の笑みを浮かべるメリーに、ヤマト、ミユ、ランの中で怒りの炎が込み上げて来る。
そこに他の切り裂きの殺人鬼達が合流してしまった。
前にいる者がパーカーを脱ぎ、仮面を外し、正体を現す。
スキンヘッドで、切り傷の痕だらけの体はとても痛々しく、左目は黄色、右目は赤のオッドアイをしている。
「お前も正体ありの奴か」
「その通り。名はフルスロットル。さあ、我のスピードを体感し、そして死ぬがいい」
「俺もスピードには自信があるんだ。勝負しようぜ」
こう言っておけばミユとランが襲われない。
だが甘かった。
「不死身のお前に用はない。殺すのは、2人の小娘だ!」
発言と同時にフルスロットルの姿があまりのスピードに消える。
そう見えたのはヤマト以外の人間だった。
(その程度のスピードで俺が見逃すかよ)
ヤマトは一気に加速すると、ランを狙うフルスロットルを警棒で両断する。
しかし不死身の相手に対して効果はない。
すぐ様復活し、鉤爪で、今度はミユを殺しにかかる。
そこに少女がかばうように、ミユの前に大の字に立つ。
「ボス!? なにをしてるんですか。こいつらは我々の敵なんですよ!?」
「そうですよボス。私達以外の奴らはみんな敵なんですから、殺さないと」
フルスロットルとメリーが焦りながら敬語で喋ると、少女は首を横に振る。
そこにストロンギストとセイギが現れた。
「俺達は知ってしまった。この少女によって被害者が拡大している事を」
セイギの発言に切り裂きの殺人鬼達は動揺する。
「どう言う事だ?」
疑問に思ったヤマトの質問に、セイギは応える。
「切り裂きの殺人鬼達は実際には存在しない。だがあの少女、テルカワキリアには能力がある。それは人格の具現化だ」
「人格の具現化?」
ランがデバイスでテルカワキリアを調べると、情報が出た。
「出たっす。テルカワキリア、親は何者かに斬殺され、現在まで行方不明になっている」
「その何者とはおそらく切り裂きの殺人鬼達の事だろう。だからまともに教育を受けていない。そしてこいつらを倒す方法は2つある。本体を殺すか、俺の能力で悪の人格と能力を破壊するかだ」
自分の拠り所を破壊される。
その衝撃的な言葉にキリアの目から涙が溢れ出し、駄々をこねる。
「そんな事、絶対にさせるか!」
生き残るため、フルスロットルは一気に加速し、ストロンギストに襲いかかる。
鉤爪が左胸に突き刺さり、ニヤリと笑う。
「それで勝ったと思ったか?」
ストロンギストはその一言と同時に、なんとフルスロットルを肉体で取り込んだ。
「これで俺は、瞬間移動と霧を発生させる能力を得た」
キリアにゆっくりと近づいて行き、能力の範囲に入る。
危機を覚えた切り裂きの殺人鬼達はストロンギストに攻撃を仕掛ける。
だがもう遅い。
能力を破壊され、主人格以外の人格を破壊される。
これによって切り裂きの殺人鬼は消滅した。
霧が晴れ、残ったのはキリアの涙を流す姿。
「事件は解決した。でもこれで良かったのか?」
「青年。この世に本当の正義なんてない。俺達は今最善の方法でこの町、この子を救った。誇りに思え。でも忘れるな。君達が悪に染まった時、それは死を意味していると」
セイギはそう言い残し、ストロンギストと共にその場を立ち去った。
その後、ヤマト、ミユ、ランはキリアを警察署に送り届け、祖母と祖父の家に引き取られ、仕事は終了した。
この仕事に胸糞悪い事は常に付き纏う。
それでも仕事は仕事だ。
だから、だからやめる事はできないのだ。
あまりの衝撃にギシギシと部品が悲鳴を上げ、右腕が吹き飛ぶ。
「くー強い。だ~け~ど~」
メリーの言葉に反応するように、フルメタルリッパーの右腕が突然ミユと少女に向かって飛んで行く。
回転する無数の刃。
止めるしかない、そう思ったランは念動力で槍を思わせる右腕を止める。
「よし」
「オンガ! 避けろ!」
「えっ?」
ヤマトの危機迫る声にフルメタルリッパーの方を見ると、左腕の回転する刃が攻撃を仕掛けてきていた。
(間に合えー!)
一気に加速し、ヤマトはランをお姫様抱っこして、攻撃を回避する。
「悪いな。お姫様抱っこは彼氏か旦那にしてもらう方が良かっただろうが・・・・・」
「緊急事態だから許してくれ、ですよね。こんな事でドキドキするような女じゃないっす」
「そんな事を言えるぐらい余裕を持っているなら良いんだ」
「それはどう言う意味っす?」
「元気があって良いって事だよ」
地面に下ろされると、ランは念動力でフルメタルリッパーの右腕の方向を持ち主に向ける。
「まっまさか」
「串刺しになれー!」
右腕は勢いよく飛んで行き、コックピットであろう胴体部分を貫通する。
血が溢れ出し、機能を停止するフルメタルリッパー。
使い物にならなくなった兵器を捨て、メリーは痛みに息を荒げながら、包丁を構える。
「お前、さっき自分のボスとランを利用したよな」
「それが・・・・・どうした・・・・・の~?」
「罪悪感はないのか? もしランの能力が間に合わなかったら、大事なボスは死んでいたんだぞ」
ヤマトの質問に、キャハハハハハと笑いながら、ローブを脱ぎ捨て、仮面を外す。
長い金髪をリボンで結び、可愛らしい顔つき、人形の様な白い肌、青い瞳、ゴスロリの格好をしている。
「あなた達がプロの雇われ屋だって事ぐらい分かってる。これぐらいしないと倒せないでしょ~」
満面の笑みを浮かべるメリーに、ヤマト、ミユ、ランの中で怒りの炎が込み上げて来る。
そこに他の切り裂きの殺人鬼達が合流してしまった。
前にいる者がパーカーを脱ぎ、仮面を外し、正体を現す。
スキンヘッドで、切り傷の痕だらけの体はとても痛々しく、左目は黄色、右目は赤のオッドアイをしている。
「お前も正体ありの奴か」
「その通り。名はフルスロットル。さあ、我のスピードを体感し、そして死ぬがいい」
「俺もスピードには自信があるんだ。勝負しようぜ」
こう言っておけばミユとランが襲われない。
だが甘かった。
「不死身のお前に用はない。殺すのは、2人の小娘だ!」
発言と同時にフルスロットルの姿があまりのスピードに消える。
そう見えたのはヤマト以外の人間だった。
(その程度のスピードで俺が見逃すかよ)
ヤマトは一気に加速すると、ランを狙うフルスロットルを警棒で両断する。
しかし不死身の相手に対して効果はない。
すぐ様復活し、鉤爪で、今度はミユを殺しにかかる。
そこに少女がかばうように、ミユの前に大の字に立つ。
「ボス!? なにをしてるんですか。こいつらは我々の敵なんですよ!?」
「そうですよボス。私達以外の奴らはみんな敵なんですから、殺さないと」
フルスロットルとメリーが焦りながら敬語で喋ると、少女は首を横に振る。
そこにストロンギストとセイギが現れた。
「俺達は知ってしまった。この少女によって被害者が拡大している事を」
セイギの発言に切り裂きの殺人鬼達は動揺する。
「どう言う事だ?」
疑問に思ったヤマトの質問に、セイギは応える。
「切り裂きの殺人鬼達は実際には存在しない。だがあの少女、テルカワキリアには能力がある。それは人格の具現化だ」
「人格の具現化?」
ランがデバイスでテルカワキリアを調べると、情報が出た。
「出たっす。テルカワキリア、親は何者かに斬殺され、現在まで行方不明になっている」
「その何者とはおそらく切り裂きの殺人鬼達の事だろう。だからまともに教育を受けていない。そしてこいつらを倒す方法は2つある。本体を殺すか、俺の能力で悪の人格と能力を破壊するかだ」
自分の拠り所を破壊される。
その衝撃的な言葉にキリアの目から涙が溢れ出し、駄々をこねる。
「そんな事、絶対にさせるか!」
生き残るため、フルスロットルは一気に加速し、ストロンギストに襲いかかる。
鉤爪が左胸に突き刺さり、ニヤリと笑う。
「それで勝ったと思ったか?」
ストロンギストはその一言と同時に、なんとフルスロットルを肉体で取り込んだ。
「これで俺は、瞬間移動と霧を発生させる能力を得た」
キリアにゆっくりと近づいて行き、能力の範囲に入る。
危機を覚えた切り裂きの殺人鬼達はストロンギストに攻撃を仕掛ける。
だがもう遅い。
能力を破壊され、主人格以外の人格を破壊される。
これによって切り裂きの殺人鬼は消滅した。
霧が晴れ、残ったのはキリアの涙を流す姿。
「事件は解決した。でもこれで良かったのか?」
「青年。この世に本当の正義なんてない。俺達は今最善の方法でこの町、この子を救った。誇りに思え。でも忘れるな。君達が悪に染まった時、それは死を意味していると」
セイギはそう言い残し、ストロンギストと共にその場を立ち去った。
その後、ヤマト、ミユ、ランはキリアを警察署に送り届け、祖母と祖父の家に引き取られ、仕事は終了した。
この仕事に胸糞悪い事は常に付き纏う。
それでも仕事は仕事だ。
だから、だからやめる事はできないのだ。
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