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第15話メカニカルデュエリスト
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高校生の彼はメガネ型デバイスでできるデジタルカードゲーム、タッグバレットにハマっている。
タッグバレットとは自分のデッキの中からフォロワーをパートナーにして戦い、ターン制で、相手のライフを0にする事で勝利する、デジタルカードソーシャルゲームである。
新しい要素があり、メガネ型デバイスで初めて配信されたこのゲームは、マンネリ化したデジタルソーシャルカードゲームの英雄となった。
課金はしていないものの、それなりに勝率は高い。
学校から下校途中、友達と別れ、歩いていると、人型ロボットが道を塞いでいた。
「私とタッグバレットで戦え」
ドスが入りノイズがかった男の声のロボット。
彼は興味本意でデバイスを取り出し、戦いを開始した。
『次のニュースです。昨日午後、倒れている男子高校生を発見したと、この町の通学路で通報がありました。病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。遺体には脳にかなりの損傷が見られ、警察は能力者による犯行と見て捜査しています』
施設の自分の部屋で、ブラッドが作った朝ご飯を食べながら、テレビのニュースを観てヤマトは、今回の仕事はこれだと確信する。
今現在、ニュースでも取り上げられていない、つまり圧力によってもみ消された事件はベテランの雇われ屋が担当し、ヤマトの様なまあまあな実績を残す雇われ屋はニュースを観て、自分の仕事を大体予想できる。
朝ご飯を食べ終え、歯磨きを済ませ、ハンガーにかけていたジャンパーを着て、食器が乗ったトレーを持ち、外に出る。
トレーをワゴンカーに入れ、エレベーターで下りた。
自分の愛車である赤いバイクからヘルメットを取り出して着用し、乗り込み、駐車スペースから道路へ走らせた。
仕事場に到着し、駐車スペースにバイクを止め、降りる。
するとスーツを着た黒髮で目の細い男性が車から降りて来る。
「マンダさん、お疲れ様です」
「キカギさん、お疲れ様」
マンダヒカル。
電気を自己発電し、自由に操る事ができる能力を持つ、ヤマトの先輩である。
歳はヤマトの方が上だが、経歴はヒカルの方が上だ。
「今日のニュース観たかキカギさん」
「はい。おそらく誰かがこの仕事をするでしょうね」
エントランスに入ると、ミユとランが仕事を受け取っていた。
「ミガニシ、オンガ。今日も仕事か?」
「はい、今回の仕事は事件に使用されているロボットを破壊する事です」
「ロボット? 能力者じゃないのか?」
「そうっす。そのロボットはタッグバレットと言うゲームをやっている人を殺害して廻っているらしいんっすよ」
「タッグバレット、確かCMをやるぐらい大手のゲーム会社の奴だろう?」
タッグバレットには4種類のカードがある。
正義を貫くヒーロー。
悪で支配するヴィラン。
一般人で結成されたレジスタンス。
兵器として生み出されたメカ。
この4種類を40枚に構築し、バトルする。
勝利をすればするほど、もらえる報酬が多くなっていく仕組みだ。
「情報では中学生から20代後半までの男性がやっている事が多く、狙われている対象です」
「そうか、まあ頑張れよ」
「「はい!」」
ミユとランはヤマトにハキハキとした返事を返し、エントランスを出た。
数時間後、一向にロボットが見つからない。
この学校周辺で起きている事件なのだが、まったくいる気配がしない。
「ここら辺にいるはずなんだけど」
「事件が多発しているのはここなんすけどねぇ」
この町にはロボットが多数配置、移動している。
とっ、ちょうど通りかがったロボットに聞いてみる。
「失礼っすけど、あなたの記録した映像を見せてもらいたいっす」
「お願い、雇われ屋としてその情報は貴重なの」
ロボットは顔認証を行い、雇われ屋だと認識する。
「分かりました。映像をデバイスに送信します」
送信が開始され、ひとまず情報が来るのを待つ。
だが。
「お前達か、私を探しているのは」
目の前に現れたのは、2メートルほどの戦闘用に改造されたであろうロボットだった。
「私とタッグバレットで戦え」
「そんなのしないっす」
ランは念動力でロボットをあっさりとアスファルトの地面に叩きつける。
「さて、壊させていただくっす」
「なんで一撃で決めなかったのよ」
「いやー、なんか物たりなくって」
「これは仕事なのよ、そこんとこ分かってる?」
「分かったっす。じゃあこいつを粉々に・・・」
その続きを言いかけた瞬間、ロボットが立ち上がり、システムを起動する。
「タッグバレット以外での攻撃を受けたので、強制的にタッグバレット、リアリティビジョンモードを実行した」
「それがなに? 死神ネットに接ぞ・・・・・」
「私のタッグパートナーはこのフォロワーだ。出でよ! 兵器集合体オールフュージョン!」
ロボットの横に現れたのは、人型で5メートルほどある兵器の集合体だった。
「なに・・・・・あれ・・・・・」
「所詮はゲームのキャラに過ぎ・・・・・」
「私のターン」
データベース内で4枚手札にカードを引いて加える。
「私はホッパースプリングスを召喚」
ロボットの前に現れたバッタ型メカタイプのフォロワー。
黒い塗装、足にはバネが搭載されており、黄色いレンズがミユとランを映し出した。
タッグバレットとは自分のデッキの中からフォロワーをパートナーにして戦い、ターン制で、相手のライフを0にする事で勝利する、デジタルカードソーシャルゲームである。
新しい要素があり、メガネ型デバイスで初めて配信されたこのゲームは、マンネリ化したデジタルソーシャルカードゲームの英雄となった。
課金はしていないものの、それなりに勝率は高い。
学校から下校途中、友達と別れ、歩いていると、人型ロボットが道を塞いでいた。
「私とタッグバレットで戦え」
ドスが入りノイズがかった男の声のロボット。
彼は興味本意でデバイスを取り出し、戦いを開始した。
『次のニュースです。昨日午後、倒れている男子高校生を発見したと、この町の通学路で通報がありました。病院に搬送されましたが、死亡が確認されました。遺体には脳にかなりの損傷が見られ、警察は能力者による犯行と見て捜査しています』
施設の自分の部屋で、ブラッドが作った朝ご飯を食べながら、テレビのニュースを観てヤマトは、今回の仕事はこれだと確信する。
今現在、ニュースでも取り上げられていない、つまり圧力によってもみ消された事件はベテランの雇われ屋が担当し、ヤマトの様なまあまあな実績を残す雇われ屋はニュースを観て、自分の仕事を大体予想できる。
朝ご飯を食べ終え、歯磨きを済ませ、ハンガーにかけていたジャンパーを着て、食器が乗ったトレーを持ち、外に出る。
トレーをワゴンカーに入れ、エレベーターで下りた。
自分の愛車である赤いバイクからヘルメットを取り出して着用し、乗り込み、駐車スペースから道路へ走らせた。
仕事場に到着し、駐車スペースにバイクを止め、降りる。
するとスーツを着た黒髮で目の細い男性が車から降りて来る。
「マンダさん、お疲れ様です」
「キカギさん、お疲れ様」
マンダヒカル。
電気を自己発電し、自由に操る事ができる能力を持つ、ヤマトの先輩である。
歳はヤマトの方が上だが、経歴はヒカルの方が上だ。
「今日のニュース観たかキカギさん」
「はい。おそらく誰かがこの仕事をするでしょうね」
エントランスに入ると、ミユとランが仕事を受け取っていた。
「ミガニシ、オンガ。今日も仕事か?」
「はい、今回の仕事は事件に使用されているロボットを破壊する事です」
「ロボット? 能力者じゃないのか?」
「そうっす。そのロボットはタッグバレットと言うゲームをやっている人を殺害して廻っているらしいんっすよ」
「タッグバレット、確かCMをやるぐらい大手のゲーム会社の奴だろう?」
タッグバレットには4種類のカードがある。
正義を貫くヒーロー。
悪で支配するヴィラン。
一般人で結成されたレジスタンス。
兵器として生み出されたメカ。
この4種類を40枚に構築し、バトルする。
勝利をすればするほど、もらえる報酬が多くなっていく仕組みだ。
「情報では中学生から20代後半までの男性がやっている事が多く、狙われている対象です」
「そうか、まあ頑張れよ」
「「はい!」」
ミユとランはヤマトにハキハキとした返事を返し、エントランスを出た。
数時間後、一向にロボットが見つからない。
この学校周辺で起きている事件なのだが、まったくいる気配がしない。
「ここら辺にいるはずなんだけど」
「事件が多発しているのはここなんすけどねぇ」
この町にはロボットが多数配置、移動している。
とっ、ちょうど通りかがったロボットに聞いてみる。
「失礼っすけど、あなたの記録した映像を見せてもらいたいっす」
「お願い、雇われ屋としてその情報は貴重なの」
ロボットは顔認証を行い、雇われ屋だと認識する。
「分かりました。映像をデバイスに送信します」
送信が開始され、ひとまず情報が来るのを待つ。
だが。
「お前達か、私を探しているのは」
目の前に現れたのは、2メートルほどの戦闘用に改造されたであろうロボットだった。
「私とタッグバレットで戦え」
「そんなのしないっす」
ランは念動力でロボットをあっさりとアスファルトの地面に叩きつける。
「さて、壊させていただくっす」
「なんで一撃で決めなかったのよ」
「いやー、なんか物たりなくって」
「これは仕事なのよ、そこんとこ分かってる?」
「分かったっす。じゃあこいつを粉々に・・・」
その続きを言いかけた瞬間、ロボットが立ち上がり、システムを起動する。
「タッグバレット以外での攻撃を受けたので、強制的にタッグバレット、リアリティビジョンモードを実行した」
「それがなに? 死神ネットに接ぞ・・・・・」
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ロボットの横に現れたのは、人型で5メートルほどある兵器の集合体だった。
「なに・・・・・あれ・・・・・」
「所詮はゲームのキャラに過ぎ・・・・・」
「私のターン」
データベース内で4枚手札にカードを引いて加える。
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