今時な死神と不死身な嫌われ者

ガトリングレックス

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第16話友は戦闘兵器

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「オールフュージョンのパートナースキル発動。メカタイプのフォロワーをプレイヤーに装備させる」
ロボットの宣言に答え、オールフュージョンはスキルを発動する。
ホッパースプリングスを変形させ、レッグギアになる。
左足に装備し、攻撃体勢に入る。
「バトル」
左足を収縮し、バネの勢いで高く飛び、ランに向けてドロップキックを繰り出す。
「そんな単調な攻撃でー!」
ランは念動力サイコキネシスでロボットを吹き飛ばそうとする。
「ディフェンスアイテム、スキルジャマー発動。相手のスキルをこのターンだけ無効にする」
念動力サイコキネシスを無効化され、ロボットのドロップキックをくらい、学校のフェンスに激突する。
「オンガ!?」
突然の事だった。
理解が追いつかない。
敵の攻撃はあまりにも現実からかけ離れている。
まるでゲームが武器になってしまっているかの様だ。
「アタックアイテム、デメリットドローを発動。山札の上から10枚を除外して、2枚ドローする」
ロボットは手札を確認し、標的をミユに移す。
「次にやられるのはお前だ。ドロー」
「死神ネットに接続」
ミユの左目にドクロマークが浮き出て来る。
「私はツインバズーカヘッドを召喚し、オールフュージョンのパートナースキルでプレイヤーに装備する」
ツインバズーカヘッドは変形し、右腕に装備される。
「殺害するターゲット。戦闘用に改造されたロボット」
「バトル」
2本の砲塔がミユに照準を合わせる。
「殺害方法・・・・・」
その続きをミユが言う事はなかった。

(あれ。私、どうしたんだろう。そうだ。あのロボットを倒さないと)
意識を取り戻し、起き上がると、そこは病院の病室だった。
隣には意識を失ったランがベッドで横になっている。
「私、何時間寝てた?」
窓を確認すると、だいだい色の夕暮れの空が広がっている。
立ち上がろうとするが、なにか道具で拘束されているのか動けない。
そこに30代ほどの女性看護師が慌てたようにこちらの方へ歩み寄って来た。
「ダメですよ。ミガニシさんは大ケガをされてるんですから」
「ケガ?」
「この感じだと覚えてないんですね。あなたは学校の近くの道路で倒れていたんですよ。右腕と両足が複雑骨折していて、今の医学力でも1週間は入院してもらわないと」
看護師の言葉で納得したミユはロボットを取り逃がした事に、悔し涙を流す。
「私だけであいつを倒せないなんて、ランがいないと戦闘中に能力をまともに使えない私には暗殺がお似合いなのね」
鼻を詰まらせ、自分の不甲斐なさに顔を手で覆った。

一方その頃、2人と戦いを繰り広げたロボットは、スーパーの隅でランの攻撃で受けたダメージを修理を行っていた。
バチバチと溶接しながら、次の戦いに備え、デッキを組み直す。
すると、20代後半の男性がその光景を見て、近づいて来る。
「お前、バイロンか?」
ロボットは声と顔を分析し、データベースを検索する。
「ケン、君はケンか?」
「そうだよ。すげー心配したんだからなー」
バイロンと会うのは高校3年生の時以来で、ケンが中学生の頃、いじめにあい、不登校になった自分に父がプレゼントしてくれたお友達ロボットがバイロンだった。
一緒に勉強したり、ゲームをしたり、楽しい生活を送っていたが、突如としてどこかに消えてしまった。
「どうして俺の前から消えたんだ?」
「どうやら私は誘拐され、改造された。殺人マシンにな」
「殺人マシン?」
「そう、私は人を何人も殺めてきたんだ」
バイロンの言葉をウソだと思いたい。
しかしロボットと言う物は正直に言ってしまう傾向がある。
ケンはバイロンの意思ではなくただ利用されているだけだと感じた。
「それってバイロンがやりたい事じゃないんだろ」
「もちろんだ。私は兵器として改造されても、ケンの事は忘れなかった」
「よし、バイロン、俺の家に来いよ。後で素体を新しいのに変えてもらおうな」
「あぁ」
ケンとバイロンがその場を離れようとすると、パトカーが路上に駐車する。
警察官2人は降りて来た矢先、リボルバーの銃口をバイロンに向ける。
「戦闘用ロボットをこれより攻撃する」
その言葉でケンは危機感を覚える。
「逃げるぞ」
「分かった」
左に走り出すケンとバイロンを見て、警察官2人は急いでパトカーに乗り込み、追いかける。
徒歩でパトカーに勝てるわけがなく、すぐに追いつかれる。
するとケンが狭い路地をみつけ、そこに逃げ込む。
通れないと判断した警察官はブレーキを踏み、パトカーを止める。
「どうする? 先回りするか?」
「いや、今回は雇われ屋に任せよう」
「雇われ屋に任せて大丈夫なのかよ」
「上が雇ったのはあのキカギとマンダだ。安心して良いだろ」
警察官はその言葉に安堵すると同時に自分の情けなさにため息を吐いた。

「こっちだ。ここを抜ければもうすぐ家に着くぞ」
「だがケン、あっちには私を狙っている奴らがいる」
「なんだって」
そう言っている間にその奴らが見えて来る。
「キカギさん。どうやら相手は2人いるみたいだ」
「そのようですね。さっさと終わらせましょう」
奴らはバイロンを壊そうとしている。
そう感じたケンの中でいやな予感がした。
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