この度、押しかけ女房に押し切られました。 ~押しかけ女房はレア職でハイスペックな超美人でした~

文月

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194.よく知りもしない知り合いの伝手にも‥縋りたい。

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 知り合いの知り合いは知り合い。

 って言うけど、知り合いの知り合いは‥知り合いじゃない。
 知り合いから紹介されて初めて「知り合いになれるかもしれない」。それも、その知り合いの知り合いが認めたら‥の話だ。
 知り合いの知り合いが認めなかったら、やっぱりただの知り合いの知り合いのままなんだ。

 分かりにくいから、人名を入れてみよう。
 ロナウの知り合いであるコリンは、ロナウの知り合いである青年‥まあ‥コリンの元同級生でもあるんだけど‥カールと知り合い‥ってことになるか否か。
 コリンは、ロナウとは知り合いだけど、カールとは知り合いじゃない。
 普通はね。
 だけど、カールはロナウに何とかして‥コリンとの仲を取り持ってほしい。

 カールは何とかし‥コリンと知り合いになりたい!

「カールって奴が僕に用事がある? でも、僕に直接言わない。言えない‥のかな? 僕が怖いから。ほら、僕ってこんなだから」
 にこっと‥若干胸を張って「僕ってほら、怖いじゃない? 」自慢をするコリン。コリンは、意外とこういうところがある。(ガキなんだよね)
「僕には直接言えないけど‥見てたら、知り合いのロナウが僕と知り合いらしい。じゃあ、知り合いのロナウに頼んで仲介を頼もう‥って感じかな? 。え~しょぼい。僕に直接言えないって点で、もうだめ」
 カラカラと笑う、「だけど、無理はないよね、ほら、僕怖いから」って上機嫌なコリン。
 ‥ホント、ガキなんだから。
「‥そう苛めてやるなよ‥」
 ロナウは苦笑いしてコリンを窘めた。
 コリンは、にやっと笑って、ちらりと視線をあげて、ロナウを見る。
「前みたいに実は前から君の事‥とかだったら‥一発殴って即帰る‥ってパターンしかないけど‥会いに行かなきゃないけない? 」


(コリンside)

 実はそういうことがここ何回か続いている。
 僕に直接言うのは怖いけど、ロナウを挟んでお知り合いになってから‥って思ったんだろう。
 あとは、誓約士と「お知り合いになりたい」って奴。‥これは多かった。
 あまりにそんなのばかり続くから「もういいんじゃない? 」って‥ちょっとうんざりなんだけど、フタバが「人脈を! 」って言うから、会ってやってる。
 そのうえ‥フタバから「悪い印象を与えないこと! 」って釘を刺されてるから、いまのところ、「一発殴って」もいない。大人しく世間話をして別れただけだ。
 ロナウと同席して、ロナウ(と時にはフタバも一緒)主導で話をして、穏やかに微笑むだけ‥っていう退屈な時間を過ごす‥。
 それが「社交」ってもんらしい。
 人脈を広げて、有効な情報を集めたり、交換したり、あとは噂を聞いたり‥広げたり‥社交ってのは、馬鹿にできないもの‥らしい。

 ‥ホント、そういうの必要なの?

 フタバちゃんは、「これで、相手の中でのコリンの印象は勝手に好印象に変わっていくはず。あとは、それを盛り上げていくだけ‥」「何かイベントを‥」「よく考えて企画しないとね‥」‥一人で何かブツブツと‥企んでるみたい。
 ‥なんだろな~。一人で突っ走らないで欲しいな~。過去にこれをやった僕が言うんだ。口先だけの言葉じゃないよ? ‥僕はホントに反省してるんだ。
 
 僕らみたいな社会経験の少ないひよっこは、一人で突っ走ったらだめ。信頼のおける周りのベテランに報告して相談したりしないといけない。自分が怖い目に合うだけならまだいいけど‥周りにも迷惑を掛けるから。

 これ、絶対!
 過去に、アンバーを助けようと一人で突っ走った結果、捕まって、文字通り「怖い目にあって」(※ アンバーに「性的に」「怖い目にあわされた」)、シークさんに対して申し訳が立たなくなったうえに、助けに来てくれたナナフルさんたちの顔ををアンバーの昔の仲間(仲間って言うのかどうか‥)に晒す羽目になった。
 ‥それ以前に皆に心配させたしね。
 あの後、すっごく怒られたけど、‥怒られても仕方が無いことだったし、‥ホントに反省した。
 勝手に来たんだろ! 僕は助けて欲しいなんて言ってないぞ! 僕は自分で何とか出来たのに! って、学生時代の僕だったら思っただろうけど‥(ってか、ちょっとはそう思ったけど‥)ナナフルさんの顔を見てたら‥そんなこと言えなかった。
「心配させて‥ゴメンなさい」「‥助けに来てくれてありがとう」
 って素直に思った。
 ちょっと嬉しかったしね‥。
 あと‥ホントは‥ちょっと怖かった。
 その時気付いたんだ。

 大丈夫だって思ってるのは、自分だけで、周りは大丈夫なんて思ってない。だから、心配させるし、助けに来てくれたり‥と危険な目に合わせたり、それだけじゃなくて、顔を知られる羽目になったりと‥迷惑を掛ける。

 って。
 事前の打ち合わせって大事。
 だから、今回僕は「例の眼鏡」のことをザッカさんたちに相談しに行ったんだ。
 以前だったら考えられないことだよね。
 何を言いてるか‥っていうと、

 僕は成長したんだよ。って話。
 今はフタバちゃんがやる気を出して、色々考えてるだけで周りに迷惑を掛ける‥って感じじゃないから何も言わないけど、何かするようだったら注意しないとね。それは先輩の務めだと思うしね。(僕って大人~)


「‥実は前から君の事‥じゃないかもしれないじゃない? 優秀な魔法使いの君に助けて欲しい‥凄く困ってる奴かもしれないじゃない‥話位は聞いてあげれば? 」
 フタバちゃんに言い含められている(※「信者(無料の労働力)候補かもしれないからね!! 」ってフタバがロナウに言ってる
ことを‥コリンは知らない)のだろう。僕を何とか「カールという奴」に会わせようと‥ロナウが言った。
 全く、ロナウはホント、情けないね! 女の子に優しいのは偉いと思うけど、自分の意思ってのも持たないといけないよ。
 ‥僕を巻き込むとか‥ほんとないわ~。。
 でも、ま‥僕は大人だし優しいから‥
「ふぅん? まあ‥いいけど」
 聞いてあげるんだけどね!

 僕ってホント、イイ奴!


 三人は喫茶店で会うことにした。
 三人って、勿論、コリン、ロナウ、カールだ。「フタバちゃんも同席していい? 」ってロナウがカールに事前に聞いたら、「今回は遠慮してほしい」って言われたらしい。

 待ち合わせの場所に先について、店の前で立っているカールは、デートか? って位気合を入れて来た格好‥ではない様だ。表情も、浮かない顔をしている。
 そわそわウキウキ‥とは程遠い感じ。
 それどころか‥凄く深刻そうだった。
 カールは二人に気付いて、さっきまでの暗い顔を引っ込めて、ふっと微笑んだ。
 お互いの近況‥とか何でもない話をしながら席に着く。席順は、四人掛けの席で、ロナウとコリンが並んで座り、それに向き合う形でカールが座った。
 カールはさっきから、‥そわそわとコーヒーを飲むでもなく‥向かいに座るコリンを何か言いたげな顔して見つめている。

 ‥え。何。悩み相談とか聞かなよ? 高額なツボを買ってくれ‥とかもお断りだよ??

 って身構えたコリンとロナウに‥カールは何かを決心した様な表情を一瞬見せ‥突如、ガバッと頭を下げた。
「何? 」
 目を見開くロナウとコリン。

「あの‥コーナー君。助けて欲しいんだ。君にしかこんなこと‥出来ないって思うんだ! 」

 ‥え‥何。コリンに悩み相談とか‥絶対人選誤ってるよね?? ‥悩みじゃないよね‥。‥魔術の話?
 にしても‥コリンが人助けとか‥すると思うかね?? ‥それ程、切羽詰まってる‥って感じ? 
 え~。面倒事はこれ以上ごめんなんですけど‥。
 面倒だな‥って表情を隠せない、ロナウとコリンだった。
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