リバーシ!

文月

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五章 王家の秘密

4.王家の結婚事情

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(side ラルシュ弟・サラージ)


 そんな話し合いと、俺の暗躍のお陰で、貧乏くじを引かされることになったラルシュ兄は、(さっきも言ったが)二つ上の俺の兄だ。
 因みに、ラルシュ兄は長男・サイダラールとは一つ違いだ。
 次男だけど、長男・サイダラールに何かあった時の保険‥第二王位後継者とかじゃない。

 サイダラール(サイ兄)は、産まれた時から「(次期)国王」だった。

 それは、性質だ。
 ラルシュ兄が産まれつき魔法使いで、俺が産まれつきリバーシであるのと同じだ。
 もし、長男が魔法使いやリバーシで、次にで産まれた子が国王の資格を持っていたら、その子が国王になる。
 それは、性別は関係ない。順番も関係が無い。
 ただ、そういう性質を持っているか否か、なんだ。
 そういう性質‥っていうのは、

 一. いかなる魔法の影響も受けない。(全魔法無力化)
 二. いかなるインフルエンサーの影響も受けない。
 三. 意志が強く、確固たる自信をもっている。

 三については‥俺にはよくわからない。
 王の品格とかそういう話かな。父上は「国政に対するビジョンを持っているってことだ。国王たるものは、それを成し遂げるために意志を曲げたりしないものだ」みたいなこと言ってたな。そりゃそうだろ。
 国王が誰よりも偉くって、国王と次期国王は特別。
 他国でよくある後継者争いとかは、我が国においては無縁なんだ。
 我が国だけでなく、この世界は、皆長命だし、最高の医療魔法師が付いている王家であったら、寿命以外で死ぬことは、まあない。資格がなければ王になれないから、誰かが国王を殺して国王になる‥ってこともない。
 魔力や、スキルの有無が寿命や老いにも影響するから、魔力の調達が容易で、スキルに長けた王家は総じて、皆若いし、寿命も長い。
 魔法使いっていうのは、総じて魔力が低めな傾向にあるんだけど、それは、あれだ‥魔石その他で補充が可能だ。
 王家は、特別なんだ。
 魔力だけで言ったら、王家で、しかもリバーシである俺がこの国で最強って感じだったんだろうが爆弾ゴリラはその俺をも凌ぐ‥ってことなんだろう。(素で、だ)
 きっと長生きするだろうし、長命な王家が監視しとかなきゃ‥ってことだろう。
 王家ならだれでもいいってわけではない。
 もっとも不適合なのが次期国王だ。
 次期国王の嫁には「異世界人」が好まれる傾向にある。
 この世界の人間じゃなく、客観的にこの国を見れる人間っていう条件に合いやすい‥からだろう。
 そりゃ、誰でもいいってわけじゃないけどね。
 次期国王じゃなくて、王の信用がある‥それが俺とラルシュ兄だったってわけ。
 で、俺は嫌だからラルシュ兄で‥。
 ラルシュ兄は損ばっかり‥かもしれないが‥いや、考えてみよう‥きっと、得なこともある。
 ああ‥そうだ。
 リバーシはとんでもない美形が多い。それは、「魔力が余ってしょうがないし、特に反乱の意思なしという態度を分かりやすく示すため」らしい。
 つまり、余った魔力を使って、美貌をアップさせてみました。別に蓄えてませんよ。使ってますよ。って感じなんだろう。とはいえ、魔力が高い者は、容姿も魔力が低い者より良いから、元々も他の平民に比べてよいのだろう。
 だから、多分、爆弾ゴリラも今は知らないが将来はとんでもない美形になるかもしれない。
 将来、国一番の美人の嫁。‥いいじゃないか。
 ‥まあ、俺にとってはどうでもいいが。
 ラルシュ兄にとっても、きっとそれは変わらない‥。
 それに加えて、穏やかで優しいラルシュ兄は、女受けがすこぶるいい。多分、一生女に困ることは無いだろう(※5歳児が言う事か)
 今回、そのラルシュ兄が婚約者を持つという話が出たら、泣く女の人も多いだろうなあ。
 だけど、ラルシュ兄がそういう婚姻話を面倒だと思ってるらしい‥ってことは何となくわかるわけで‥

 ‥案外、婚約者がいるからって煩わしい婚姻話から逃げられていいかも!

 そう思えば、俺がしたこともひどいばっかりじゃないかもね!
 爆弾ゴリラにしたって、俺より優しいラルシュ兄の方がいいだろうしね!
 俺‥咄嗟のこととはいえ、いいことした~!

「ラルシュは、最上位の意識操作(状態異常)をもっておるしな。無意識らしいが。それもきっと役に立つだろう。
 普通じゃったら奴は真面目じゃし優しいから一生使うことはないだろうが、国の為‥といったら仕方なしって思ってくれるだろう」
 ラルシュの最上位の意識操作は、威圧の進化版だ。
 恐怖により、相手の要求に従ってしまう‥だけど、意識操作されている本人は、恐怖を感じていることすら(意識を操作されているため)気付かない‥っていうヤバいスキルなんだ。
 にやにやと「ろくでもない事」を考えている俺を置き去りにして、父上たちの話はまだ続いていて‥
 そして、完全に決定事項になっていた。

「とにかく、ラルシュと東のリバーシを婚約させましょう」
「そして、少しでも不安な点があれば‥監禁ということで」
 
 その後、
「初めから、保険として‥服従の魔道具をつけておきましょうか? 」
 と、大臣が鬼畜発言をし
「そんなことして気付かれたらそれこそ危険だ。それより、魔力を国の為に有効利用する術を考えましょう」
 ファー将軍がもっと鬼畜発言をした。

 ‥こうなってくると、なんか爆弾ゴリラが気の毒になってきた。

 ‥三人だと、ホントろくでもない話しかしないな。この人たち‥。
 俺が居るの覚えてるかな‥。
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