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八章 未来と過去と
1.昔も今も‥。何事も、ケセラセラで受け止めようって思たんです。
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(side ヒジリママ )
この頃難しい顔をして、色々考えている聖が心配だ。
聖‥いや
ヒジリ
って言った方がいいのかな?
自分の子供が遠い存在の人間になっていく気がする。
リバーシの事は‥正直よくわからない。
だから、考え‥悩んでいるヒジリに何の力にもなってやれない。
‥それがもどかしい。
「いくつになっても子供は心配ばっかりかけるわ」
ってご近所の奥さんが言ってたが、‥ホントにそうだ。
リバーシだから、王子様の婚約者だから‥とかじゃなくても、ヒジリが自分たちの子供だから、愛してるし、心配してしまう。
それは、何も特別なことじゃない。
シンプルに考えると、問題は「どうにかして逃げ切れるなら逃げ切りたい」そして、ヒジリにとって最善な選択をしたい。
性別、住む所。あとは‥結婚? 将来の事。
引っ越ししなきゃならないかもしれない。そういう選択肢もある。
あっちで結婚してあっちで過ごす。
その場合結婚相手は王子様だ。ヒジリは嫌がるかもしれないけど、そればっかりはどうにも、ね。
こっちで暮らすなら‥ヒジリは「一生独身でイイや」って言いそう。
それとも、ミチルさんと結婚したりして(でもリバーシ同士って‥問題ないのかしら? )それとも‥この前家に来てくれた吉川さん? 母さんあの子割と気に入ったわ。イケメンかっていったらそうじゃないけど、私たち(ヒジリの両親ね)だって人の事言えたものじゃない。
私たちはホントに平凡なの。ヒジリが特別っていうならあえてそこかしら?
それ以外は普通なの。
人並みに‥いえ、普通の人以上に悩むし、失敗ばっかりしてるし。
それを言うなら私も変わらないかな。
だけど、ヒジリを生んだ「お母さん」だから、そんなこと言っていられないの。悩んで立ち止まってなんていられなかったの。
だから、えい! って引っ越しを決めたわ。
お父さん(ヒジリパパ)と結婚して建てたばっかりの家だったけど、そんなことどうでもいいわ。
ヒジリのこと「この子、化け物なの? 」なんて言うガキどもがいるところに住んでられるかってのよ!
引っ越し先は、私の産まれた家。
年取った母親が、つい先日(当時)亡くなったってのもあった‥かなあ。
(でも、何よりも)周りに住んでいるのが顔馴染みばかりってのが、一番の決め手だった。
「この子の名前はヒジリです。女の子だから、女らしくおしとやかに育てたいです。‥いいわね。アンタたち、ヒジリを虐めたりヒジリにチャンバラごっこを教えてはいけませんよ」
ヒジリママは、まず近所で遊ぶ幼馴染たちの子供たちに言い聞かせた。そんな様子は全然大人らしくも「女らしく」もなくって、幼馴染たちは相変わらずな彼女の様子を幼馴染たちはほほえましいような‥生暖かいめで見守り、彼女たちの息子に、
「そうよ! 妹みたいなものなんだから可愛いがりなさいよ! 」
って言った。
子供たちの中に、女の子はいないようだ。
あの国は、女の子の出生率が男に比べてかなり低めなんだ。(田舎で平民の方がその傾向が高かったから、一時は「栄養や教養が多い方が女子の出生率が高いんじゃないか? 」って結構真面目に論争されたが、‥勿論そんなことはないだろう)まあ‥その傾向にもれず、幼馴染の子供たちは見事に男ばっかりだったんだ。
子供たちはあからさまに(面倒ごとを押し付けられた‥)っていう表情で
「うん」
ってしぶしぶ頷いた。
「おばさん! ヒジリ見せてよ! リバーシなんだろ? 」
その中で、唯一、子供ヒジリに興味を持ったのは、一番年下の少年だった。
今まで自分より年下が居なかったから、「よし! 子分ができた」って思ったのだろう。
「ええ」
にこり、とヒジリママが笑う。
覗き込んだ悪戯坊主が、偶然目をあけたヒジリと目が合った。
瞬間、
ゾクリ
何とも言えない、嫌な感じがした。
その悪戯坊主は、所謂魔力持ちだったから、ヒジリの並みよりずっと高すぎる魔力に、あてられたのだろう。
「ひ! 」
そのまま後ずさった一番年下の少年を見て、ヒジリママは「あら、魔力持ちだったのね」と小声で呟いた。
「どうしたんだよ? 」
他の少年が、魔力持ちの少年を取り囲んで、変な顔をする。
まだヒジリは少年たちの方をぼんやり見ているのだが、怯えているのはさっきの少年だけの様だ。
つまり、魔力持ちは最年少の少年だけってことになる。
魔力の無い者には、ヒジリの「怖さ」は分からない。
だから、ただの赤ん坊にしか見えない。
言っても、無駄だ。
少年は直感的に思った。
だから
「‥なんでも、ない」
少年はごくり、と唾を飲み、ただ首を振った。
「変な奴だな」
他の子供たちは訝しそうに彼の様子を見つめた。
‥こいつ、絶対、魔王だ。‥只ものじゃねえ。絶対子分とかじゃない。寧ろ‥子分にされかねない。こいつには、近づかない方がいい。
少年がそう思ったのはその時だけ、その後ヒジリは学校に行くまでの間、結構普通に、お裁縫の上手な近所の奥様に裁縫を習ったり、料理上手の母親に料理を習ったりして、女らしく‥というか、地味に暮らした。
だから、少年がヒジリと会うことはそうなかった。
ヒジリママはあの時は分からなかったが、後々分かったことがあった。
魔力持ちだからといって、全員ヒジリと「合わない」わけではない。
合う人だっている。
つまり、相性って奴だ。
(魔力の)相性が合わないと、あの少年のようになる。
それに、赤ん坊で魔力の「隠し方」を知らない時に比べて、少し大きく成ったヒジリは魔力をそこそこ操作できるようになった。それは、誰かに教わったわけではなく、自然に覚えたものだった。といっても、特別なことではなく、無邪気だった子供が少し「空気を読めるようになった」位のものだった。
それこそ、ホントに空気を読むみたいにヒジリは魔力を調節する術を覚えた。
それは、気が付かないものにとっては何の変化もないことだったが、気が付くものにとっては大きな変化だった。
その(合わない)誰かに合わせるのではなく、万人にとって不快にならないように、魔力を「外に出さないようにする」。結果、ヒジリが今まで「垂れ流していた魔力」は、そう気にならない位に減少した。
‥気にしないでおこうと思えば、だ。だけど、感受性の強い子供なら、問題なく拾ってしまう。「まあいいか」で誤魔化されてくれない。
分かりやすく言えば「こいつの喋り方ちょっと癖があるな」って思っても、大人ならわざわざ言わない。気にしないふりをする。だけど、ちょっと気にはなってる‥っていう状況かな。
わざわざ波風立てず、平和に暮らす方を普通の人なら選ぶよね。それは優しさっていうより、社会常識で、礼儀だ。
だけど、子供や思慮の足りない人なら言っちゃう。
子供で思慮が足りなければもう最悪。
魔力持ちが多い学校に行けば、そういう「魔力もあって」「自尊心高めで」「思慮が足りない」子供なんて‥それこそいっぱいいる。
魔力の相性が合わないから生理的に‥とか、自分より目立ってるのが気に食わない‥とか、女だから‥だとか。
気になればもう、口に出さなければいられなくなる。
だけど
口に出せば大人に叱られる。
なら、こいつには関わらない方がいい。ってなる。
気が付けばヒジリは孤立しており、ヒジリの傍には‥
ナツミが寄り添うようになっていた。
否、ナツミしかいなくなっていた。
ナツミの趣味は、魔道具作りとアクセサリーの制作。成績は優秀。人当たりも、丁寧でヒジリママにとっても、理想的な女友達。
表立っては、である。
楽しそうにナツミと遊ぶヒジリがまさか、毎日殺されかける程の魔法を親友であるナツミに試されていることはそのときはまだ、ヒジリママは気付いていないのだった。
この頃難しい顔をして、色々考えている聖が心配だ。
聖‥いや
ヒジリ
って言った方がいいのかな?
自分の子供が遠い存在の人間になっていく気がする。
リバーシの事は‥正直よくわからない。
だから、考え‥悩んでいるヒジリに何の力にもなってやれない。
‥それがもどかしい。
「いくつになっても子供は心配ばっかりかけるわ」
ってご近所の奥さんが言ってたが、‥ホントにそうだ。
リバーシだから、王子様の婚約者だから‥とかじゃなくても、ヒジリが自分たちの子供だから、愛してるし、心配してしまう。
それは、何も特別なことじゃない。
シンプルに考えると、問題は「どうにかして逃げ切れるなら逃げ切りたい」そして、ヒジリにとって最善な選択をしたい。
性別、住む所。あとは‥結婚? 将来の事。
引っ越ししなきゃならないかもしれない。そういう選択肢もある。
あっちで結婚してあっちで過ごす。
その場合結婚相手は王子様だ。ヒジリは嫌がるかもしれないけど、そればっかりはどうにも、ね。
こっちで暮らすなら‥ヒジリは「一生独身でイイや」って言いそう。
それとも、ミチルさんと結婚したりして(でもリバーシ同士って‥問題ないのかしら? )それとも‥この前家に来てくれた吉川さん? 母さんあの子割と気に入ったわ。イケメンかっていったらそうじゃないけど、私たち(ヒジリの両親ね)だって人の事言えたものじゃない。
私たちはホントに平凡なの。ヒジリが特別っていうならあえてそこかしら?
それ以外は普通なの。
人並みに‥いえ、普通の人以上に悩むし、失敗ばっかりしてるし。
それを言うなら私も変わらないかな。
だけど、ヒジリを生んだ「お母さん」だから、そんなこと言っていられないの。悩んで立ち止まってなんていられなかったの。
だから、えい! って引っ越しを決めたわ。
お父さん(ヒジリパパ)と結婚して建てたばっかりの家だったけど、そんなことどうでもいいわ。
ヒジリのこと「この子、化け物なの? 」なんて言うガキどもがいるところに住んでられるかってのよ!
引っ越し先は、私の産まれた家。
年取った母親が、つい先日(当時)亡くなったってのもあった‥かなあ。
(でも、何よりも)周りに住んでいるのが顔馴染みばかりってのが、一番の決め手だった。
「この子の名前はヒジリです。女の子だから、女らしくおしとやかに育てたいです。‥いいわね。アンタたち、ヒジリを虐めたりヒジリにチャンバラごっこを教えてはいけませんよ」
ヒジリママは、まず近所で遊ぶ幼馴染たちの子供たちに言い聞かせた。そんな様子は全然大人らしくも「女らしく」もなくって、幼馴染たちは相変わらずな彼女の様子を幼馴染たちはほほえましいような‥生暖かいめで見守り、彼女たちの息子に、
「そうよ! 妹みたいなものなんだから可愛いがりなさいよ! 」
って言った。
子供たちの中に、女の子はいないようだ。
あの国は、女の子の出生率が男に比べてかなり低めなんだ。(田舎で平民の方がその傾向が高かったから、一時は「栄養や教養が多い方が女子の出生率が高いんじゃないか? 」って結構真面目に論争されたが、‥勿論そんなことはないだろう)まあ‥その傾向にもれず、幼馴染の子供たちは見事に男ばっかりだったんだ。
子供たちはあからさまに(面倒ごとを押し付けられた‥)っていう表情で
「うん」
ってしぶしぶ頷いた。
「おばさん! ヒジリ見せてよ! リバーシなんだろ? 」
その中で、唯一、子供ヒジリに興味を持ったのは、一番年下の少年だった。
今まで自分より年下が居なかったから、「よし! 子分ができた」って思ったのだろう。
「ええ」
にこり、とヒジリママが笑う。
覗き込んだ悪戯坊主が、偶然目をあけたヒジリと目が合った。
瞬間、
ゾクリ
何とも言えない、嫌な感じがした。
その悪戯坊主は、所謂魔力持ちだったから、ヒジリの並みよりずっと高すぎる魔力に、あてられたのだろう。
「ひ! 」
そのまま後ずさった一番年下の少年を見て、ヒジリママは「あら、魔力持ちだったのね」と小声で呟いた。
「どうしたんだよ? 」
他の少年が、魔力持ちの少年を取り囲んで、変な顔をする。
まだヒジリは少年たちの方をぼんやり見ているのだが、怯えているのはさっきの少年だけの様だ。
つまり、魔力持ちは最年少の少年だけってことになる。
魔力の無い者には、ヒジリの「怖さ」は分からない。
だから、ただの赤ん坊にしか見えない。
言っても、無駄だ。
少年は直感的に思った。
だから
「‥なんでも、ない」
少年はごくり、と唾を飲み、ただ首を振った。
「変な奴だな」
他の子供たちは訝しそうに彼の様子を見つめた。
‥こいつ、絶対、魔王だ。‥只ものじゃねえ。絶対子分とかじゃない。寧ろ‥子分にされかねない。こいつには、近づかない方がいい。
少年がそう思ったのはその時だけ、その後ヒジリは学校に行くまでの間、結構普通に、お裁縫の上手な近所の奥様に裁縫を習ったり、料理上手の母親に料理を習ったりして、女らしく‥というか、地味に暮らした。
だから、少年がヒジリと会うことはそうなかった。
ヒジリママはあの時は分からなかったが、後々分かったことがあった。
魔力持ちだからといって、全員ヒジリと「合わない」わけではない。
合う人だっている。
つまり、相性って奴だ。
(魔力の)相性が合わないと、あの少年のようになる。
それに、赤ん坊で魔力の「隠し方」を知らない時に比べて、少し大きく成ったヒジリは魔力をそこそこ操作できるようになった。それは、誰かに教わったわけではなく、自然に覚えたものだった。といっても、特別なことではなく、無邪気だった子供が少し「空気を読めるようになった」位のものだった。
それこそ、ホントに空気を読むみたいにヒジリは魔力を調節する術を覚えた。
それは、気が付かないものにとっては何の変化もないことだったが、気が付くものにとっては大きな変化だった。
その(合わない)誰かに合わせるのではなく、万人にとって不快にならないように、魔力を「外に出さないようにする」。結果、ヒジリが今まで「垂れ流していた魔力」は、そう気にならない位に減少した。
‥気にしないでおこうと思えば、だ。だけど、感受性の強い子供なら、問題なく拾ってしまう。「まあいいか」で誤魔化されてくれない。
分かりやすく言えば「こいつの喋り方ちょっと癖があるな」って思っても、大人ならわざわざ言わない。気にしないふりをする。だけど、ちょっと気にはなってる‥っていう状況かな。
わざわざ波風立てず、平和に暮らす方を普通の人なら選ぶよね。それは優しさっていうより、社会常識で、礼儀だ。
だけど、子供や思慮の足りない人なら言っちゃう。
子供で思慮が足りなければもう最悪。
魔力持ちが多い学校に行けば、そういう「魔力もあって」「自尊心高めで」「思慮が足りない」子供なんて‥それこそいっぱいいる。
魔力の相性が合わないから生理的に‥とか、自分より目立ってるのが気に食わない‥とか、女だから‥だとか。
気になればもう、口に出さなければいられなくなる。
だけど
口に出せば大人に叱られる。
なら、こいつには関わらない方がいい。ってなる。
気が付けばヒジリは孤立しており、ヒジリの傍には‥
ナツミが寄り添うようになっていた。
否、ナツミしかいなくなっていた。
ナツミの趣味は、魔道具作りとアクセサリーの制作。成績は優秀。人当たりも、丁寧でヒジリママにとっても、理想的な女友達。
表立っては、である。
楽しそうにナツミと遊ぶヒジリがまさか、毎日殺されかける程の魔法を親友であるナツミに試されていることはそのときはまだ、ヒジリママは気付いていないのだった。
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