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六章 思えば‥フラグだったんだ。
6.相手にならない
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(side ミチル)
「だから、あっちで練習してきます。この身体で、動く感覚を取り戻すっていうか‥」
そう言ったヒジリの伏せがちの目が‥ちょっと泳いでる。
多分、あれだ。「分かってるよ! 甘いって思ってんでしょ!? 分かってるんだけどね~」とか‥そんな感じの事を考えてるんだろう。
結構物事を深く考えずに行動するのがヒジリの悪いところだ。だけど、‥そこも可愛いっていうか‥「俺がフォローしてあげればいっか! 」って思えちゃうから恋は不思議だ。
ま。地球に行くなら俺がフォローするのは当たり前‥って感じだけどね。
さっきのヒジリの言葉で、俺はもうこれだけのことを考えてる。そういうのは‥まだ付き合いが短いサラージには無理だろう。
それに、ぱっと見サラージも単純っぽい。単純っていうか‥女の子に素直になれないタイプなんだろう。それは立場上‥ってのもあるんだけど、まあ、性格だろう。
本音を隠して‥ってのが通常運転。貴族や王族は大変なんだろうね。(日本だったら芸能人とか‥政治家みたいな感じかな? )
それに‥これは大きいと思うんだけど。
何しろヒジリが可愛すぎる!
パッと見た感じの今のヒジリは‥
ちょっと恥ずかしそうに顔を伏せ、耳まで真っ赤になった「ただただ可愛らしい顔」だ。これで「俺は男だ! 」なんて言われてもね‥って感じだ。
サラージは赤面して視線を逸らした。
初心。もしくは、ちょろすぎ。
初恋にしたって‥ちょっとちょろすぎない??
なあんか、(ライバルじゃなかったら)お兄さんが協力してあげるよ! って言っちゃいそう。‥実際はサラージの方が年上だけど。
年上感はゼロ。仕事は出来るらしいけど、恋愛に関してはその「出来る感」はゼロ。
顔は‥綺麗だけど、どっちかというと童顔だし、ラルシュより赤みが強い髪が元気溌剌って感じを強調して、ワンコって感じ。ワンコだけど、実は腹黒。「あざと可愛い腹黒後輩タイプ」
だのに好きな子にはヘタレとか、マンガみたい。
ライバル‥って感じは‥実際しない。
相手にならないね!
「‥な、なんだよ」
じっと見てたら仔犬に威嚇された。ぷぷ。か~わい。
サラージは俺からぷいと顔を背けると、ヒジリを振り向いた。
「あっちに行くって言って‥
あっちでは、魔力を補給することはできないんだから、魔力切れ起こしたらどうするんだ。起こしかけてから、こっちに戻ってて、敵に見つかったら余計に困るぞ。お前は、兄さんを信じてここに居ればいいんだ! 」
やわら、ヒジリの手を握って強い口調で言った。
‥こいつ、まだ「兄の婚約者」って言うか‥。ホント、素直じゃない奴‥。
ってか‥ヒジリの手をドサクサに紛れて握るな。
むっとして‥つい、本気で睨んでしまった。
ヒジリは‥急に手なんか握られて怒るかな? って思ったら、自分の手に添えられたサラージの手から自然な感じで手を抜きながら、
「‥心配をおかけしまして。でも、大丈夫ですよ。ラルシュ様にもサラージ様にもご迷惑はお掛けしません」
穏やかな口調で言って、視線をあげ、サラージを見た。
その時、何か‥ヒジリの手に握られてることに初めて気付いた。
‥もしかして、サラージはそれに気づいてて、それをヒジリから取り上げようと‥した‥とか?
俺がヒジリの手を取り、握ってるものを確かめようとしたとき、ラルシュの手が俺の手を止めた。
「ミチル。ヒジリを頼みますよ」
「‥へ? 」
ラルシュは俺を見て、大きく一度頷く。
ラルシュはヒジリの手の中の物を知ってるってことだ。
サラージもそれを知っている。
知っていて、ヒジリのあっちでの魔力切れを懸念している。
‥だけど、ラルシュは「大丈夫」と判断したのだろう。‥否、止めても無駄だってあきらめているんだろう。
だから、俺に「ヒジリを頼む」って。
俺を信頼してくれているんだろう。
それが素直に嬉しい。
でも、‥ヒジリのことに関しては俺はライバルだぞ? ‥そう(ライバルだって)思ってるのは俺だけで、ラルシュはヒジリのこと好きじゃないってことなのかな? 国の為に‥ってだけの関係って‥。それとも、俺なんか「ライバルにもならない問題外」って感じなのかな??
まあ‥確かに、ラルシュと俺だったら俺は何一つラルシュに勝ってるところなんかないけどさ~。
でも、まあ‥「今は俺しか頼れない」わけで、俺は「ヒジリを任せるに値する信頼ある男」ってわけだ。
信頼には答えないと、だな!
「特訓、付き合うよ。あっちで、俺なら、あっちでもスキルが使える」
にっこりとヒジリに微笑んだ。
ふわっとラルシュの表情が柔らかくなる。そして、ヒジリはっていうと‥
「ミチル先生! 。よろしくお願いします! 」
もう、花が咲くような笑顔を俺に向けてくれた。
先生って‥
‥ったく、もうちょっと男として意識してよねえ‥
最終的には「男友達」なんかで終わる気なんかない。
ましてや、リバーシの先輩でも、先生とかでもない。
だけど、
「ああ、ホントに時間ないから帰ろう」
「ああ! 」
理解のいい俺は、今はヒジリのやりたいようにさせてやろう‥って思うんだ。
一時休戦とかないからな! サラージ! ラルシュ! 俺はあっちで一歩どころか二歩も三歩もリードしてやるぜ!!
さて、今ヒジリは、ヒジリの身体であるが、聖として、社会生活を地球で送っている。
ヒジリは本当はすぐにでも、スキルの特訓に入りたかったようだけど、
「まずは、リハビリだ! 」
って怒った。
まったく、目が離せない。
ヒジリの身体で聖として暮らす弊害と言ったら‥やっぱり性別の違い‥その前に見た目、だろう。
身長はどうやら、そんなに違いが無いようなんだ。ズボンをちょっと裾上げする必要位はあったみたいだけどね。
何よりも‥ヒジリの特徴である「ふわふわのハニーブラウンのロングヘア」だ。
あれをばっさりやられた時には‥流石にへこんだ。
本人はケロッとしてたけど‥俺は‥へこんだ。
あのさらさらで、キラキラで傷み一つない毛をバッサリって‥。
ヒジリは‥男じゃない、絶対男にはあんなこと出来ない!! って思ったよね。
女の子の方が「ここぞ」って時、強いよね。
「勿体ない‥」
って美容師に再三引き留められてたけど、バッサリ切ってもらった。(俺もついて行かせてもらった。美容師ならとめてくれるかも‥って期待したんだけど‥ダメだった)
でもほんとに綺麗だったから、切った毛はかつらにでもしてもらえたらいいなあ、なんてヒジリは笑ってた。
口では「気にしない」って言ってても実は‥気にしてるのかもしれない。
ヒジリは強いね。
それにしても‥髪の毛を切ってしまうと、
確かに、「聖」と「ヒジリ」はよく似ている。
ヒジリの方が体のラインが丸いとか、そりゃあ違いはあるが、少なくとも顔はそっくりだ。(ヒジリは認めていないのだけど)。
「聖はもっと男らしい!」(本人談)
らしい。
「まずは、リハビリがてら、こっちでヒジリのスキルで使えそうなものを考えよう」
「え? だって、‥水のとか‥こっちに来た時に鑑定してもらったけど‥」
「はじめっから、昔みたいな状態に持っていくことは‥むつかしいんじゃない? ‥まずは、今の力がどのくらいか見てみないとね」
「‥‥‥」
‥なんかヒジリの目がまた泳いでるけど‥何かあったのかな??
嫌な予感しかしないんだけど‥。
「だから、あっちで練習してきます。この身体で、動く感覚を取り戻すっていうか‥」
そう言ったヒジリの伏せがちの目が‥ちょっと泳いでる。
多分、あれだ。「分かってるよ! 甘いって思ってんでしょ!? 分かってるんだけどね~」とか‥そんな感じの事を考えてるんだろう。
結構物事を深く考えずに行動するのがヒジリの悪いところだ。だけど、‥そこも可愛いっていうか‥「俺がフォローしてあげればいっか! 」って思えちゃうから恋は不思議だ。
ま。地球に行くなら俺がフォローするのは当たり前‥って感じだけどね。
さっきのヒジリの言葉で、俺はもうこれだけのことを考えてる。そういうのは‥まだ付き合いが短いサラージには無理だろう。
それに、ぱっと見サラージも単純っぽい。単純っていうか‥女の子に素直になれないタイプなんだろう。それは立場上‥ってのもあるんだけど、まあ、性格だろう。
本音を隠して‥ってのが通常運転。貴族や王族は大変なんだろうね。(日本だったら芸能人とか‥政治家みたいな感じかな? )
それに‥これは大きいと思うんだけど。
何しろヒジリが可愛すぎる!
パッと見た感じの今のヒジリは‥
ちょっと恥ずかしそうに顔を伏せ、耳まで真っ赤になった「ただただ可愛らしい顔」だ。これで「俺は男だ! 」なんて言われてもね‥って感じだ。
サラージは赤面して視線を逸らした。
初心。もしくは、ちょろすぎ。
初恋にしたって‥ちょっとちょろすぎない??
なあんか、(ライバルじゃなかったら)お兄さんが協力してあげるよ! って言っちゃいそう。‥実際はサラージの方が年上だけど。
年上感はゼロ。仕事は出来るらしいけど、恋愛に関してはその「出来る感」はゼロ。
顔は‥綺麗だけど、どっちかというと童顔だし、ラルシュより赤みが強い髪が元気溌剌って感じを強調して、ワンコって感じ。ワンコだけど、実は腹黒。「あざと可愛い腹黒後輩タイプ」
だのに好きな子にはヘタレとか、マンガみたい。
ライバル‥って感じは‥実際しない。
相手にならないね!
「‥な、なんだよ」
じっと見てたら仔犬に威嚇された。ぷぷ。か~わい。
サラージは俺からぷいと顔を背けると、ヒジリを振り向いた。
「あっちに行くって言って‥
あっちでは、魔力を補給することはできないんだから、魔力切れ起こしたらどうするんだ。起こしかけてから、こっちに戻ってて、敵に見つかったら余計に困るぞ。お前は、兄さんを信じてここに居ればいいんだ! 」
やわら、ヒジリの手を握って強い口調で言った。
‥こいつ、まだ「兄の婚約者」って言うか‥。ホント、素直じゃない奴‥。
ってか‥ヒジリの手をドサクサに紛れて握るな。
むっとして‥つい、本気で睨んでしまった。
ヒジリは‥急に手なんか握られて怒るかな? って思ったら、自分の手に添えられたサラージの手から自然な感じで手を抜きながら、
「‥心配をおかけしまして。でも、大丈夫ですよ。ラルシュ様にもサラージ様にもご迷惑はお掛けしません」
穏やかな口調で言って、視線をあげ、サラージを見た。
その時、何か‥ヒジリの手に握られてることに初めて気付いた。
‥もしかして、サラージはそれに気づいてて、それをヒジリから取り上げようと‥した‥とか?
俺がヒジリの手を取り、握ってるものを確かめようとしたとき、ラルシュの手が俺の手を止めた。
「ミチル。ヒジリを頼みますよ」
「‥へ? 」
ラルシュは俺を見て、大きく一度頷く。
ラルシュはヒジリの手の中の物を知ってるってことだ。
サラージもそれを知っている。
知っていて、ヒジリのあっちでの魔力切れを懸念している。
‥だけど、ラルシュは「大丈夫」と判断したのだろう。‥否、止めても無駄だってあきらめているんだろう。
だから、俺に「ヒジリを頼む」って。
俺を信頼してくれているんだろう。
それが素直に嬉しい。
でも、‥ヒジリのことに関しては俺はライバルだぞ? ‥そう(ライバルだって)思ってるのは俺だけで、ラルシュはヒジリのこと好きじゃないってことなのかな? 国の為に‥ってだけの関係って‥。それとも、俺なんか「ライバルにもならない問題外」って感じなのかな??
まあ‥確かに、ラルシュと俺だったら俺は何一つラルシュに勝ってるところなんかないけどさ~。
でも、まあ‥「今は俺しか頼れない」わけで、俺は「ヒジリを任せるに値する信頼ある男」ってわけだ。
信頼には答えないと、だな!
「特訓、付き合うよ。あっちで、俺なら、あっちでもスキルが使える」
にっこりとヒジリに微笑んだ。
ふわっとラルシュの表情が柔らかくなる。そして、ヒジリはっていうと‥
「ミチル先生! 。よろしくお願いします! 」
もう、花が咲くような笑顔を俺に向けてくれた。
先生って‥
‥ったく、もうちょっと男として意識してよねえ‥
最終的には「男友達」なんかで終わる気なんかない。
ましてや、リバーシの先輩でも、先生とかでもない。
だけど、
「ああ、ホントに時間ないから帰ろう」
「ああ! 」
理解のいい俺は、今はヒジリのやりたいようにさせてやろう‥って思うんだ。
一時休戦とかないからな! サラージ! ラルシュ! 俺はあっちで一歩どころか二歩も三歩もリードしてやるぜ!!
さて、今ヒジリは、ヒジリの身体であるが、聖として、社会生活を地球で送っている。
ヒジリは本当はすぐにでも、スキルの特訓に入りたかったようだけど、
「まずは、リハビリだ! 」
って怒った。
まったく、目が離せない。
ヒジリの身体で聖として暮らす弊害と言ったら‥やっぱり性別の違い‥その前に見た目、だろう。
身長はどうやら、そんなに違いが無いようなんだ。ズボンをちょっと裾上げする必要位はあったみたいだけどね。
何よりも‥ヒジリの特徴である「ふわふわのハニーブラウンのロングヘア」だ。
あれをばっさりやられた時には‥流石にへこんだ。
本人はケロッとしてたけど‥俺は‥へこんだ。
あのさらさらで、キラキラで傷み一つない毛をバッサリって‥。
ヒジリは‥男じゃない、絶対男にはあんなこと出来ない!! って思ったよね。
女の子の方が「ここぞ」って時、強いよね。
「勿体ない‥」
って美容師に再三引き留められてたけど、バッサリ切ってもらった。(俺もついて行かせてもらった。美容師ならとめてくれるかも‥って期待したんだけど‥ダメだった)
でもほんとに綺麗だったから、切った毛はかつらにでもしてもらえたらいいなあ、なんてヒジリは笑ってた。
口では「気にしない」って言ってても実は‥気にしてるのかもしれない。
ヒジリは強いね。
それにしても‥髪の毛を切ってしまうと、
確かに、「聖」と「ヒジリ」はよく似ている。
ヒジリの方が体のラインが丸いとか、そりゃあ違いはあるが、少なくとも顔はそっくりだ。(ヒジリは認めていないのだけど)。
「聖はもっと男らしい!」(本人談)
らしい。
「まずは、リハビリがてら、こっちでヒジリのスキルで使えそうなものを考えよう」
「え? だって、‥水のとか‥こっちに来た時に鑑定してもらったけど‥」
「はじめっから、昔みたいな状態に持っていくことは‥むつかしいんじゃない? ‥まずは、今の力がどのくらいか見てみないとね」
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