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七章 ヒジリは自立したい。
4.凄く運動神経がないんじゃないとしたら、‥ヤバい人じゃね? って巷の噂になっています。
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(side ヒジリ)
金属によって、その性能が違う。
この前たてた仮説だ。
仮説といっても、これは恐らく間違いでは無いだろうと俺は思っている。
だから、あとはどの材質がどれ程の力を止められるか‥という話だ。
生憎、大学は経済学部で‥実験とかとは無関係に生きて来た。
しかも、‥統計とかそういった方ではない、専攻ゼミは経済学史だ。経済学の歴史‥全くもって理系要素はない。経済理論を学ぼうと経済学部に入ったはずだのに、‥おかしいなあ。
きちんと卒論も書いたし、単位も取ったのでそこら辺は問題はない。サークルの先輩に誘われて‥っていっても、コネがあるわけではない状態で‥この会社に入れたのも結果的には良かった。
脱線したが、‥全く理系っぽいことは分からない。
金属の曲げ強度だとか引っ張りの強度だとか‥そういうのもあるかもしれないが、‥分からないから仕方が無い。しかも、分かったからって言って、その「理想の金属」を手に入れようと思ったらまた一苦労だ。
とにかく、手近にある金属を試しまくるのみ、練習するのみ。だ。それに並行して、理想の金属も探していこうと思う。
まず、試す。
目下の目標は、「ボールに耐えうる金属を探す」だ。
今のところ、サンプルは『アルミ合金のプルタブ』と、鉄、ステンレス、銅。そして(ちょっと高くつくけど)金だとか銀だとか、出来れば‥プラチナとか試してみたい。
‥実験に金とかって‥ちょっと躊躇するけどな‥っ。(調達するのにコストがかかるってことだ)
その次は、指にそれを付けたとして、それは身体のどのくらいまでカバー可能なのか。
例えば、身体全体が守られるのか? これって重要だ。
そんなことを考えながら、今日のお昼休みも
「国見。キャッチボール! 」
いつもの後輩を見つけて、先輩の爽やかスマイル全開で誘ってみた。
先輩の‥がポイントだ。先輩のお願いって、基本断れないでしょ? あと、笑顔。笑顔で頼んでる人間を断るってのも、なかなか勇気いるよね! 流されるよね! 普通は!
って思ったのに
「嫌だっ、ってんだろ! 」
思いっきり嫌な顔全開の、後輩。
ええ! おかしいなあ!
‥そっか、国見に俺は先輩認識されてない‥。というか、国見にとって、お願いをきくって対象は‥きっと男ではない。例え先輩・上司認識されてようと‥「どうでもいいもん」なのだろう。
女の子だったら、別だろう。
女の子相手なら国見だって‥
「仕方ないなあ」
って後輩(女子)に先輩面。
「任せて下さい」
って先輩(女子)に、いい後輩の顔。
‥想像でき過ぎて辛い。
女性に優しく男に冷たい徹底した男、国見。
普段ならどうでもいいが、今回ばかりは憎いぞ!
「そこをなんとか! 」
現在俺は、さっきまでの「先輩の威信」も何処へやら、頼み倒している。
「‥どうしたの、この頃小嶋君は‥」
そんなに親しくない事務員さんには、その様子が珍しかったようだが、
国見やら、中川さんにとってはそんなに珍しいものでもなかったらしい。(ってか、慣れて来た)
「くどい! 」
国見は‥俺以上に通常運転だ。
「流石に私も引きますよ‥」
中川さん、もうちょっと前までは、もう少し俺に対する扱い良かったですよね??
「‥‥‥」
「今日は止めるぜ! 」
で、なんだかんだで
「一回だけ! 」
って拝み倒して、さらに明日の昼ご飯をおごる約束までしてキャッチボールをしている。
国見は何だかんだでいい奴だし、結構『流されるタイプ』だ。そういうところは、(今この場合はありがたいが)先輩としては心配だ。
※もっとも、そんなことをヒジリに気遣われていると知ったら、国見だって「お前には言われたくない」と激怒することだろう。
まあ、それよりは今は、実験だ。
休み時間は有限だ。
いつも通りグローブをはめる。勿論、その下には金属を潜ませている。
今日の金属はちょっと大きめなボルト! (ステンレス製かな? よくわからないな! )指にはめられたのが良かった。
指以外でもいいのかな。ネックレスならもうちょっと素材もありそうなんだけど‥。でも、アクセサリーを付ける習慣が無いから、ちょっと抵抗はある。母さんもしてない。ここで言う婚約指輪みたいなものは、あっちにもあるんだけど‥それすら両親が贈り合ったりしたかどうかわからない。
そもそも、父さんと母さんってそうラブラブカップルじゃない。
「いくぞー! 」
国見が叫ぶ。
叫ぶっていっても、そこそこ距離があるから聞こえるように、ってだけのことで、やる気満々ってわけじゃ勿論ない。嫌そうだし、なにより面倒臭そうな顔をしている。
「こい! 」
俺は、気合を入れて前を向く。
自分で取るんじゃなくって、
金属にまかせる。
で、手をぶらんとさせたままの俺に
バシイ! うぐお!
今日も、ボールは直撃した。
今日は‥鎖骨か‥。
‥国見が確実にキャッチしやすいボールを投げてくれてる証拠だね‥。
因みに、このボルトもどうやらアルミだったみたいです。‥真鍮とかステンレスとかもあるらしいから、探してみようと思います‥。
鎖骨を抑えて座り込む俺に国見が駆け寄る。
その顔には多少の心配と、
「おい! 聖、お前ホントいい加減にしてくれ! 」
過半数の呆れ。ってか、怒りも混じってる。
「もう一回! 」
国見を見上げて、例の青汁のCMみたいなセリフを言ったら
「ホント勘弁してくれ~!! 」
‥ガチで怒られた。
(side 吉川)
‥児嶋くんって‥凄く運動神経がないんじゃないとしたら、‥ヤバい人じゃね?
巷で‥ってか、今ではこの事務所どころか、(同じ会社の)他の事務所の人間も知るところになっている噂になってるようだ。
ホント、止めて欲しい。
吉川はため息をつきながらコーヒーを口にした。
噂を他事務所にまで広げたのは、‥女子事務員だ。
この前、別の事務所の女の子が書類を取りに来てたなあ‥って思ったら、これだ。そこで事務員同士が情報交換をしていた。きっとあのときだろう。
女子のおしゃべりは、怖いね。
そもそも、聖がわるいんだけど。
「児嶋さん、指輪買ったんですか? ‥怪しい~。彼女ですか? 」
事務員の三島さんの声に、つい耳が向いてしまった。
彼女?
‥いや、別に聖にも彼女位できるだろうけど‥、けどな‥。
胸がちくっとする。
聖の事を特別な意味で『好き』だから?
そういう風に考えたくないって思ってたし、実際に普段はこんなこと思わない。
「いや? これ、丈夫そうでしょ? 鉄なんだ」
聖は、ホントに何にも思わなかったんだろう。指輪の素材の話を始めた。
その顔は、得意満面って感じだ。
‥よっぽど鉄が嬉しかったんだな。
付き合いの長さから分かってしまう。
多分、「彼女云々」の話をされた事すら気付いて‥意識してないのだろう。
彼の頭には今「鉄! 」しかないんだ。‥普段、頭が悪いわけでもないのに‥器用じゃないんだろう。一つ、こう! って思ったら、とにかくこう。
「丈夫? ‥鉄? 」
三島さんの顔が、思いっきり「ハテナ」になっている。
実際俺も、意味が分からんのだが。
‥鉄がそんなに嬉しいのか? 今日のラッキーアイテム的なものなのか? そもそもそんなの信じてるのか?? 信じる者は救われる‥的ななんかか? ‥なんか、悩んでるなら相談してほしい‥。
「うん! あ! 国見~! キャッチボール! 」
その(悩んでるかもしれない)聖本人は、元気いっぱいに今日も後輩の国見にキャッチボールの誘いをかけ
「ホント! 聖いい加減にしてくれ! 」
今日も、思いっきり断られている。
‥国見のあの「ガチで嫌」って顔‥!
「俺がやる」
ふう、ため息を一つついて聖からボールを奪う。
とつぜんの俺の登場に、ポカンとした顔を一瞬して
「‥いや、ぶっちゃけもう、だれでもいいや」
ぼそり、と呟き
「じゃあ、吉川、頼む」
笑顔で俺を見る。
その笑顔に‥
え? 俺、何?? 目おかしくなった!?
「ああ‥」
一瞬息を呑んでしまった。
で、ちょっと緊張したキャッチボール。
俺が心なし緩めに投げたボールは、聖のグローブにはじかれて落ち、だのに聖は
「よっしゃあ! 止められた!! 」
とはじけたように笑った。
‥止められた? 受けるじゃなくて? さっき絶対、グローブにはじかれたよね。‥あそこに転がってるってことは、当たって落ちたんだよね?? キャッチボールって受けるもんじゃない??
しかも、見たことない様なテンションで大喜びしてるし。
「‥よっぽど嬉しかったんですね‥」
毎日、『キャッチボール(?)』に付き合ってる中川さんも、驚いているところを見ると、これは「珍しい」ことなんだろう。
国見は呆れてるけど。
「国見! 見たか! 俺の実力! 」
その呆れてる国見に、聖はドヤ顔で何故かグローブを見せた。
「へえへえ」
あの国見の顔‥。
「児嶋先輩‥」
中川さんも呆れてるし。
しかも、なんか聖のドヤ顔‥。
可愛い(←さっきから俺は何なんだ)んだけど‥なんか‥
俺は黙って足元に転がって来たボールを拾って国見に軽く投げた。
国見が黙ってボールを受け取り、俺に頷いて見せる。
「これも受けてみろ!! 」
国見のボールは、結構今まで見たことのない程の速さで‥
聖に向かって行ったのだった。
バキィ! ふごお!
「‥やっぱり、国見のボールは、鉄でも止められないな‥! 」
鎖骨を抑えながら、何故か聖はにやり、と笑い、スポコンマンガみたいなことを言った。
やべえ。ヤバい人かもじゃなくて、ヤバい。可愛いけどヤバい。‥しかも‥
‥また、鉄か!!
金属によって、その性能が違う。
この前たてた仮説だ。
仮説といっても、これは恐らく間違いでは無いだろうと俺は思っている。
だから、あとはどの材質がどれ程の力を止められるか‥という話だ。
生憎、大学は経済学部で‥実験とかとは無関係に生きて来た。
しかも、‥統計とかそういった方ではない、専攻ゼミは経済学史だ。経済学の歴史‥全くもって理系要素はない。経済理論を学ぼうと経済学部に入ったはずだのに、‥おかしいなあ。
きちんと卒論も書いたし、単位も取ったのでそこら辺は問題はない。サークルの先輩に誘われて‥っていっても、コネがあるわけではない状態で‥この会社に入れたのも結果的には良かった。
脱線したが、‥全く理系っぽいことは分からない。
金属の曲げ強度だとか引っ張りの強度だとか‥そういうのもあるかもしれないが、‥分からないから仕方が無い。しかも、分かったからって言って、その「理想の金属」を手に入れようと思ったらまた一苦労だ。
とにかく、手近にある金属を試しまくるのみ、練習するのみ。だ。それに並行して、理想の金属も探していこうと思う。
まず、試す。
目下の目標は、「ボールに耐えうる金属を探す」だ。
今のところ、サンプルは『アルミ合金のプルタブ』と、鉄、ステンレス、銅。そして(ちょっと高くつくけど)金だとか銀だとか、出来れば‥プラチナとか試してみたい。
‥実験に金とかって‥ちょっと躊躇するけどな‥っ。(調達するのにコストがかかるってことだ)
その次は、指にそれを付けたとして、それは身体のどのくらいまでカバー可能なのか。
例えば、身体全体が守られるのか? これって重要だ。
そんなことを考えながら、今日のお昼休みも
「国見。キャッチボール! 」
いつもの後輩を見つけて、先輩の爽やかスマイル全開で誘ってみた。
先輩の‥がポイントだ。先輩のお願いって、基本断れないでしょ? あと、笑顔。笑顔で頼んでる人間を断るってのも、なかなか勇気いるよね! 流されるよね! 普通は!
って思ったのに
「嫌だっ、ってんだろ! 」
思いっきり嫌な顔全開の、後輩。
ええ! おかしいなあ!
‥そっか、国見に俺は先輩認識されてない‥。というか、国見にとって、お願いをきくって対象は‥きっと男ではない。例え先輩・上司認識されてようと‥「どうでもいいもん」なのだろう。
女の子だったら、別だろう。
女の子相手なら国見だって‥
「仕方ないなあ」
って後輩(女子)に先輩面。
「任せて下さい」
って先輩(女子)に、いい後輩の顔。
‥想像でき過ぎて辛い。
女性に優しく男に冷たい徹底した男、国見。
普段ならどうでもいいが、今回ばかりは憎いぞ!
「そこをなんとか! 」
現在俺は、さっきまでの「先輩の威信」も何処へやら、頼み倒している。
「‥どうしたの、この頃小嶋君は‥」
そんなに親しくない事務員さんには、その様子が珍しかったようだが、
国見やら、中川さんにとってはそんなに珍しいものでもなかったらしい。(ってか、慣れて来た)
「くどい! 」
国見は‥俺以上に通常運転だ。
「流石に私も引きますよ‥」
中川さん、もうちょっと前までは、もう少し俺に対する扱い良かったですよね??
「‥‥‥」
「今日は止めるぜ! 」
で、なんだかんだで
「一回だけ! 」
って拝み倒して、さらに明日の昼ご飯をおごる約束までしてキャッチボールをしている。
国見は何だかんだでいい奴だし、結構『流されるタイプ』だ。そういうところは、(今この場合はありがたいが)先輩としては心配だ。
※もっとも、そんなことをヒジリに気遣われていると知ったら、国見だって「お前には言われたくない」と激怒することだろう。
まあ、それよりは今は、実験だ。
休み時間は有限だ。
いつも通りグローブをはめる。勿論、その下には金属を潜ませている。
今日の金属はちょっと大きめなボルト! (ステンレス製かな? よくわからないな! )指にはめられたのが良かった。
指以外でもいいのかな。ネックレスならもうちょっと素材もありそうなんだけど‥。でも、アクセサリーを付ける習慣が無いから、ちょっと抵抗はある。母さんもしてない。ここで言う婚約指輪みたいなものは、あっちにもあるんだけど‥それすら両親が贈り合ったりしたかどうかわからない。
そもそも、父さんと母さんってそうラブラブカップルじゃない。
「いくぞー! 」
国見が叫ぶ。
叫ぶっていっても、そこそこ距離があるから聞こえるように、ってだけのことで、やる気満々ってわけじゃ勿論ない。嫌そうだし、なにより面倒臭そうな顔をしている。
「こい! 」
俺は、気合を入れて前を向く。
自分で取るんじゃなくって、
金属にまかせる。
で、手をぶらんとさせたままの俺に
バシイ! うぐお!
今日も、ボールは直撃した。
今日は‥鎖骨か‥。
‥国見が確実にキャッチしやすいボールを投げてくれてる証拠だね‥。
因みに、このボルトもどうやらアルミだったみたいです。‥真鍮とかステンレスとかもあるらしいから、探してみようと思います‥。
鎖骨を抑えて座り込む俺に国見が駆け寄る。
その顔には多少の心配と、
「おい! 聖、お前ホントいい加減にしてくれ! 」
過半数の呆れ。ってか、怒りも混じってる。
「もう一回! 」
国見を見上げて、例の青汁のCMみたいなセリフを言ったら
「ホント勘弁してくれ~!! 」
‥ガチで怒られた。
(side 吉川)
‥児嶋くんって‥凄く運動神経がないんじゃないとしたら、‥ヤバい人じゃね?
巷で‥ってか、今ではこの事務所どころか、(同じ会社の)他の事務所の人間も知るところになっている噂になってるようだ。
ホント、止めて欲しい。
吉川はため息をつきながらコーヒーを口にした。
噂を他事務所にまで広げたのは、‥女子事務員だ。
この前、別の事務所の女の子が書類を取りに来てたなあ‥って思ったら、これだ。そこで事務員同士が情報交換をしていた。きっとあのときだろう。
女子のおしゃべりは、怖いね。
そもそも、聖がわるいんだけど。
「児嶋さん、指輪買ったんですか? ‥怪しい~。彼女ですか? 」
事務員の三島さんの声に、つい耳が向いてしまった。
彼女?
‥いや、別に聖にも彼女位できるだろうけど‥、けどな‥。
胸がちくっとする。
聖の事を特別な意味で『好き』だから?
そういう風に考えたくないって思ってたし、実際に普段はこんなこと思わない。
「いや? これ、丈夫そうでしょ? 鉄なんだ」
聖は、ホントに何にも思わなかったんだろう。指輪の素材の話を始めた。
その顔は、得意満面って感じだ。
‥よっぽど鉄が嬉しかったんだな。
付き合いの長さから分かってしまう。
多分、「彼女云々」の話をされた事すら気付いて‥意識してないのだろう。
彼の頭には今「鉄! 」しかないんだ。‥普段、頭が悪いわけでもないのに‥器用じゃないんだろう。一つ、こう! って思ったら、とにかくこう。
「丈夫? ‥鉄? 」
三島さんの顔が、思いっきり「ハテナ」になっている。
実際俺も、意味が分からんのだが。
‥鉄がそんなに嬉しいのか? 今日のラッキーアイテム的なものなのか? そもそもそんなの信じてるのか?? 信じる者は救われる‥的ななんかか? ‥なんか、悩んでるなら相談してほしい‥。
「うん! あ! 国見~! キャッチボール! 」
その(悩んでるかもしれない)聖本人は、元気いっぱいに今日も後輩の国見にキャッチボールの誘いをかけ
「ホント! 聖いい加減にしてくれ! 」
今日も、思いっきり断られている。
‥国見のあの「ガチで嫌」って顔‥!
「俺がやる」
ふう、ため息を一つついて聖からボールを奪う。
とつぜんの俺の登場に、ポカンとした顔を一瞬して
「‥いや、ぶっちゃけもう、だれでもいいや」
ぼそり、と呟き
「じゃあ、吉川、頼む」
笑顔で俺を見る。
その笑顔に‥
え? 俺、何?? 目おかしくなった!?
「ああ‥」
一瞬息を呑んでしまった。
で、ちょっと緊張したキャッチボール。
俺が心なし緩めに投げたボールは、聖のグローブにはじかれて落ち、だのに聖は
「よっしゃあ! 止められた!! 」
とはじけたように笑った。
‥止められた? 受けるじゃなくて? さっき絶対、グローブにはじかれたよね。‥あそこに転がってるってことは、当たって落ちたんだよね?? キャッチボールって受けるもんじゃない??
しかも、見たことない様なテンションで大喜びしてるし。
「‥よっぽど嬉しかったんですね‥」
毎日、『キャッチボール(?)』に付き合ってる中川さんも、驚いているところを見ると、これは「珍しい」ことなんだろう。
国見は呆れてるけど。
「国見! 見たか! 俺の実力! 」
その呆れてる国見に、聖はドヤ顔で何故かグローブを見せた。
「へえへえ」
あの国見の顔‥。
「児嶋先輩‥」
中川さんも呆れてるし。
しかも、なんか聖のドヤ顔‥。
可愛い(←さっきから俺は何なんだ)んだけど‥なんか‥
俺は黙って足元に転がって来たボールを拾って国見に軽く投げた。
国見が黙ってボールを受け取り、俺に頷いて見せる。
「これも受けてみろ!! 」
国見のボールは、結構今まで見たことのない程の速さで‥
聖に向かって行ったのだった。
バキィ! ふごお!
「‥やっぱり、国見のボールは、鉄でも止められないな‥! 」
鎖骨を抑えながら、何故か聖はにやり、と笑い、スポコンマンガみたいなことを言った。
やべえ。ヤバい人かもじゃなくて、ヤバい。可愛いけどヤバい。‥しかも‥
‥また、鉄か!!
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