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七章 ヒジリは自立したい。
6.引き続き考えるヒジリ
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(side ヒジリ)
ナツミは、その少ない(俺にとっては、だ)魔力を有効活用する術を知っている。否、有効活用するために日々研究して来た。
俺は、ナツミに流されるばっかりで、その活用方法を考えてこなかった。
実際は‥だ。
実際はいつもナツミに殺されそうになってたよ?
だから、俺も必死で対抗して‥
そう、対抗してただけ。
岩が落ちてきたら避けるよねって感じで避けてただけ。
俺と、ナツミの違い。
俺とナツミは、ウサギと亀だ(と、少なくとも今の今まで思っていた)
ウサギであった俺は、その足の速さを過信して、亀を侮り、努力を怠った。努力の亀はウサギが油断している間も着実に頂上に向けて前進していた‥そして、最終的に勝ったのは亀だった。
‥って考えて、ふと‥己の考え違いに気付いた。
今、たった今だ。
そもそも、ナツミは亀じゃなかった。
ウサギがナツミだったんだ。魔法使いのナツミは、魔法で山の頂上まで一瞬で移動できた。否、持久力(魔力)がないウサギが勝つにはその方法しかなかったのだ。
ナツミの問題は、本当に頂上に行くだけの魔力があるか‥だったんだ。
それは、ある意味‥実力不足より苦しい。
努力で何とか出来るなら、ナツミなら間違いなくする。だけど、そういうことじゃない。
もし、魔力が頂上に着くまでに持たなかって、動けなくなったら‥そして、持久力(魔力)がある亀(ヒジリ)が(その間に)少しづつでも頂上に向かって登っていたら‥
間違いなくウサギ(ナツミ)は負ける。
‥あれ(俺がライバルごっこだと思っていたナツミによる「魔法研究」)は、俺に対する妨害‥だったのかもしれない。
俺を頂上に登らせないための‥だ。
‥もしかしたらそれは考えすぎで、ただ(俺が今まで思っていたように)ナツミが俺を鍛えてくれて、ついでに俺を利用していたってだけなのかもしれない。
ウサギとして、亀を叱咤激励しながら一緒にゴールを目指していたのかもしれない。
今となってはそれは分からないし、‥もうそんなことを言っている場合でもない。
そして、ナツミは知ったんだ。
足りない魔力を亀から奪える‥ってことを。
「魔法使いに出来て、リバーシに出来ないことって何ですか? 」
ナツミ対策として、一番にラルシュに聞いたときにそれを知った。
ミチルが
「魔法だろ」
って呆れた顔して即答した。
でも、それは違うって俺は知ってる。‥魔法が使えない俺たちはそういうもんだって思ってたけど、‥実はリバーシは魔法が使えない方が寧ろ珍しいんだ。
だから、ラルシュも首を振って「そうじゃない」って否定した。
‥だけど、リバーシの使う魔法は実はスキルだっていう風に聞いたよ。
魔法っぽい、チートなスキルだって。
ホントのところ、どうなんだろう。
「‥ないんですか? 」
俺がしつこくラルシュに食い下がると、ラルシュは首をひねって
「ヒジリは、リバーシと魔法使いの違いが知りたい。‥そうじゃない? 」
って聞いた。
「そうかも? 」
‥そうかも。
そもそも、俺は敵(魔法使い)のことどころか、自分(リバーシ)のこともよく知らない。
「まず、魔力が多い「普通の人」が一番バランスの取れている状態。それが、基準」
「魔力が多い普通の人? 」
聞きなれない言葉に、俺もミチルも首をひねる。
普通の人って‥そう魔力が無いって聞いてるけど?
普通の人だけど、‥魔力が多い??
首を傾げ「何がなんだか分からない」って顔をしている俺たちにラルシュが微笑んで丁寧に説明してくれたのは、こういった内容だった。
曰く
「この国には四種類の人間がいる。魔力が少ない普通の人。魔力が少ない魔法使い。魔力が多いリバーシ。魔力が多い普通の人」
らしい。
魔力が少ない普通の人っていうのが、多分一般の‥一番多い国民ってことだよね。
それから魔法使い。魔法使いは魔力が少ない。
そして、俺たちリバーシ。リバーシは魔力が多い。
それから‥魔力が多い普通の人??
「一般じゃない普通の人って? それが「魔力が多い普通の人」? 」
俺は、その違和感をそのまま口にした。
さっき、ラルシュが基本で一番バランスがいい状態って言った。
基本だけど一般的ではないってこと?
「そう。一般的ではない。そして、それはいつの時代もこの国に一人しかいない。だから、特別な存在なんだ」
ラルシュがふふ、と微笑む。
「一人だけ?? 」
俺とミチルがさらに首を傾げる。
この国に一人しかいない特別な存在‥王様みたいな感じ?
「そう、王様だけ」
ラルシュが頷く。
「バランスがとれてるって? なんの? 」
なんのバランス?
ミチルだけは、昔話した「黒と白」の話を思い出した。
‥そういうこと? 黒寄りでも白寄りでもなく、公平な立場ってこと?
‥でも、人間だから「どちらかというとこっち寄り」ってことは‥あるだろう。
立場上、そういうところは見せませんってことかな。
ミチルの考えを読んだのかラルシュは首を振って
「思想の問題じゃなくね」
って言った。
「魔力の貯め方、使い方。そういったもののバランスだ」
魔力の貯め方、使い方?
そもそも‥どうやって魔力って貯めるんだろう。
なんか不自由したことないから考えたことないや。
‥って俺たちが考えたのも、ラルシュには分かってしまったようだ。ちょっと苦笑されてしまった。(そんな状況いつも魔力残量を気にしている魔法使いにはないことだからだろう。まあ確かに嫌味だよね‥)
(っていうか)俺達ってもしかして考えてること、全部顔に出てる? ‥恥ずかしい‥
「まず、魔力を持っている人と居ない人がいる。魔力を全くもっていない人ってのはいないんだけど、ほとんど持ってない人っていうのが多い。
あとは‥魔力はあるんだけど使い方を知らなくて魔法その他を使えない人がいる。あっちの世界(つまり地球)の人の殆どがこのパターンだ。
この世界の人間は量の多少はあるけれど、みんな魔力を持っていて、その「使い方を知っている」そこが地球とこの国の一番大きな違いかな? 」
そこらへんは分かるね? って感じでラルシュが確認を促してくる。
俺たちが頷くと、ラルシュも頷いて話を続けた。(ホントに親切だよね)
「魔力は使えば減る。使わなければ減らない。‥だけど、知らないうちに魔法を使って‥魔力を知らないうちに遣っている人もいる。無意識ってやつだね。チャームや予知なんかが一番多いね」
ああ、なんかこの人やけにモテるよな~って人いるし「なんか、嫌な予感がする」って急にいう人いるよね。そういう人かな。
「そういうのは、こっちより寧ろ地球の方が多いんじゃない? こっちだったら「何か使っているな」って誰かが気付くから」
俺が「オーラが出てる」って気付くような感じで、他の人も「何か」感じるものらしい。(分からない人もいるらしいが)
「自分が使っているって自覚をもって、その使用方法やら使用量を管理することが大事」
「それはそうですよね」
お金だって、自分が持ってる量をちゃんと把握して、支出を考えないといけない。それは常識だ。
「自覚がなくて、自分の魔力の制御に無頓着‥。
使用したら補充する‥そのあたりまえのことを知らない。それが一番危険なんだ。
補充されないまま魔力を使用すると、いずれは魔力切れを起こし、体調不良に似た状態‥魔力切れを起こし、最悪の場合命を縮める原因となったりする。
魔力は、正しく貯め、正しく使わないといけない。それは、リバーシも魔法使いも変わらない」
それは確かにそうだろう。
お金だって魔力だって体力だって、正しく貯めて正しく使わなければいけない。それは常識だ。
「この当たり前を痛感する者は、だけど魔法使いの方が多いね。
‥リバーシは魔法使いたちと魔力の貯め方が違うから」
貯め方が違う?
「貯める速度も違う。例えばそれぞれの魔力量に対して30%位の魔力を使ったとして、魔法使いがそれを回復させるのに丸三日かかるのに対しリバーシだったら、一晩だ。単純に、三倍くらい回復が早い」
ほう。
「リバーシは30%を回復するために、10%を大気中から、そして、10%をそれぞれの属性から‥つまり、水の属性を持っているなら水から‥、あと残りの10%を体内で作り出す。それも、同時に、だ。
魔法使いはそれが出来ない。
魔法使いは、大気中から作り出すか属性の力を借りるか‥一つの事しか出来ない。そして、その速度はリバーシの三分の一だ。体内で作り出すことは出来ない」
元から少ない上に作れないとか‥
ラルシュの事を思い、表情を曇らせた俺たちにラルシュが微笑みかけた。
「だけど、魔法使いの方が、貯められる魔力量が多いんだ。
もともと自分で持っている魔力量も、自然に回復する速度も遅いけど、だ」
貯められる魔力量?
「それは‥持っている量とは違うってこと? 」
ナツミは、その少ない(俺にとっては、だ)魔力を有効活用する術を知っている。否、有効活用するために日々研究して来た。
俺は、ナツミに流されるばっかりで、その活用方法を考えてこなかった。
実際は‥だ。
実際はいつもナツミに殺されそうになってたよ?
だから、俺も必死で対抗して‥
そう、対抗してただけ。
岩が落ちてきたら避けるよねって感じで避けてただけ。
俺と、ナツミの違い。
俺とナツミは、ウサギと亀だ(と、少なくとも今の今まで思っていた)
ウサギであった俺は、その足の速さを過信して、亀を侮り、努力を怠った。努力の亀はウサギが油断している間も着実に頂上に向けて前進していた‥そして、最終的に勝ったのは亀だった。
‥って考えて、ふと‥己の考え違いに気付いた。
今、たった今だ。
そもそも、ナツミは亀じゃなかった。
ウサギがナツミだったんだ。魔法使いのナツミは、魔法で山の頂上まで一瞬で移動できた。否、持久力(魔力)がないウサギが勝つにはその方法しかなかったのだ。
ナツミの問題は、本当に頂上に行くだけの魔力があるか‥だったんだ。
それは、ある意味‥実力不足より苦しい。
努力で何とか出来るなら、ナツミなら間違いなくする。だけど、そういうことじゃない。
もし、魔力が頂上に着くまでに持たなかって、動けなくなったら‥そして、持久力(魔力)がある亀(ヒジリ)が(その間に)少しづつでも頂上に向かって登っていたら‥
間違いなくウサギ(ナツミ)は負ける。
‥あれ(俺がライバルごっこだと思っていたナツミによる「魔法研究」)は、俺に対する妨害‥だったのかもしれない。
俺を頂上に登らせないための‥だ。
‥もしかしたらそれは考えすぎで、ただ(俺が今まで思っていたように)ナツミが俺を鍛えてくれて、ついでに俺を利用していたってだけなのかもしれない。
ウサギとして、亀を叱咤激励しながら一緒にゴールを目指していたのかもしれない。
今となってはそれは分からないし、‥もうそんなことを言っている場合でもない。
そして、ナツミは知ったんだ。
足りない魔力を亀から奪える‥ってことを。
「魔法使いに出来て、リバーシに出来ないことって何ですか? 」
ナツミ対策として、一番にラルシュに聞いたときにそれを知った。
ミチルが
「魔法だろ」
って呆れた顔して即答した。
でも、それは違うって俺は知ってる。‥魔法が使えない俺たちはそういうもんだって思ってたけど、‥実はリバーシは魔法が使えない方が寧ろ珍しいんだ。
だから、ラルシュも首を振って「そうじゃない」って否定した。
‥だけど、リバーシの使う魔法は実はスキルだっていう風に聞いたよ。
魔法っぽい、チートなスキルだって。
ホントのところ、どうなんだろう。
「‥ないんですか? 」
俺がしつこくラルシュに食い下がると、ラルシュは首をひねって
「ヒジリは、リバーシと魔法使いの違いが知りたい。‥そうじゃない? 」
って聞いた。
「そうかも? 」
‥そうかも。
そもそも、俺は敵(魔法使い)のことどころか、自分(リバーシ)のこともよく知らない。
「まず、魔力が多い「普通の人」が一番バランスの取れている状態。それが、基準」
「魔力が多い普通の人? 」
聞きなれない言葉に、俺もミチルも首をひねる。
普通の人って‥そう魔力が無いって聞いてるけど?
普通の人だけど、‥魔力が多い??
首を傾げ「何がなんだか分からない」って顔をしている俺たちにラルシュが微笑んで丁寧に説明してくれたのは、こういった内容だった。
曰く
「この国には四種類の人間がいる。魔力が少ない普通の人。魔力が少ない魔法使い。魔力が多いリバーシ。魔力が多い普通の人」
らしい。
魔力が少ない普通の人っていうのが、多分一般の‥一番多い国民ってことだよね。
それから魔法使い。魔法使いは魔力が少ない。
そして、俺たちリバーシ。リバーシは魔力が多い。
それから‥魔力が多い普通の人??
「一般じゃない普通の人って? それが「魔力が多い普通の人」? 」
俺は、その違和感をそのまま口にした。
さっき、ラルシュが基本で一番バランスがいい状態って言った。
基本だけど一般的ではないってこと?
「そう。一般的ではない。そして、それはいつの時代もこの国に一人しかいない。だから、特別な存在なんだ」
ラルシュがふふ、と微笑む。
「一人だけ?? 」
俺とミチルがさらに首を傾げる。
この国に一人しかいない特別な存在‥王様みたいな感じ?
「そう、王様だけ」
ラルシュが頷く。
「バランスがとれてるって? なんの? 」
なんのバランス?
ミチルだけは、昔話した「黒と白」の話を思い出した。
‥そういうこと? 黒寄りでも白寄りでもなく、公平な立場ってこと?
‥でも、人間だから「どちらかというとこっち寄り」ってことは‥あるだろう。
立場上、そういうところは見せませんってことかな。
ミチルの考えを読んだのかラルシュは首を振って
「思想の問題じゃなくね」
って言った。
「魔力の貯め方、使い方。そういったもののバランスだ」
魔力の貯め方、使い方?
そもそも‥どうやって魔力って貯めるんだろう。
なんか不自由したことないから考えたことないや。
‥って俺たちが考えたのも、ラルシュには分かってしまったようだ。ちょっと苦笑されてしまった。(そんな状況いつも魔力残量を気にしている魔法使いにはないことだからだろう。まあ確かに嫌味だよね‥)
(っていうか)俺達ってもしかして考えてること、全部顔に出てる? ‥恥ずかしい‥
「まず、魔力を持っている人と居ない人がいる。魔力を全くもっていない人ってのはいないんだけど、ほとんど持ってない人っていうのが多い。
あとは‥魔力はあるんだけど使い方を知らなくて魔法その他を使えない人がいる。あっちの世界(つまり地球)の人の殆どがこのパターンだ。
この世界の人間は量の多少はあるけれど、みんな魔力を持っていて、その「使い方を知っている」そこが地球とこの国の一番大きな違いかな? 」
そこらへんは分かるね? って感じでラルシュが確認を促してくる。
俺たちが頷くと、ラルシュも頷いて話を続けた。(ホントに親切だよね)
「魔力は使えば減る。使わなければ減らない。‥だけど、知らないうちに魔法を使って‥魔力を知らないうちに遣っている人もいる。無意識ってやつだね。チャームや予知なんかが一番多いね」
ああ、なんかこの人やけにモテるよな~って人いるし「なんか、嫌な予感がする」って急にいう人いるよね。そういう人かな。
「そういうのは、こっちより寧ろ地球の方が多いんじゃない? こっちだったら「何か使っているな」って誰かが気付くから」
俺が「オーラが出てる」って気付くような感じで、他の人も「何か」感じるものらしい。(分からない人もいるらしいが)
「自分が使っているって自覚をもって、その使用方法やら使用量を管理することが大事」
「それはそうですよね」
お金だって、自分が持ってる量をちゃんと把握して、支出を考えないといけない。それは常識だ。
「自覚がなくて、自分の魔力の制御に無頓着‥。
使用したら補充する‥そのあたりまえのことを知らない。それが一番危険なんだ。
補充されないまま魔力を使用すると、いずれは魔力切れを起こし、体調不良に似た状態‥魔力切れを起こし、最悪の場合命を縮める原因となったりする。
魔力は、正しく貯め、正しく使わないといけない。それは、リバーシも魔法使いも変わらない」
それは確かにそうだろう。
お金だって魔力だって体力だって、正しく貯めて正しく使わなければいけない。それは常識だ。
「この当たり前を痛感する者は、だけど魔法使いの方が多いね。
‥リバーシは魔法使いたちと魔力の貯め方が違うから」
貯め方が違う?
「貯める速度も違う。例えばそれぞれの魔力量に対して30%位の魔力を使ったとして、魔法使いがそれを回復させるのに丸三日かかるのに対しリバーシだったら、一晩だ。単純に、三倍くらい回復が早い」
ほう。
「リバーシは30%を回復するために、10%を大気中から、そして、10%をそれぞれの属性から‥つまり、水の属性を持っているなら水から‥、あと残りの10%を体内で作り出す。それも、同時に、だ。
魔法使いはそれが出来ない。
魔法使いは、大気中から作り出すか属性の力を借りるか‥一つの事しか出来ない。そして、その速度はリバーシの三分の一だ。体内で作り出すことは出来ない」
元から少ない上に作れないとか‥
ラルシュの事を思い、表情を曇らせた俺たちにラルシュが微笑みかけた。
「だけど、魔法使いの方が、貯められる魔力量が多いんだ。
もともと自分で持っている魔力量も、自然に回復する速度も遅いけど、だ」
貯められる魔力量?
「それは‥持っている量とは違うってこと? 」
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