リバーシ!

文月

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十一章 特別な人

12.まさか俺‥

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(side ヒジリ)


 あの後は‥凄かった。
 ラルシュの「王子様MAXの笑顔」でメイドさんたちは、ぽ~ってなって真っ赤になって‥もう、倒れんばかりだった。
 アレだ。
 押しのアイドルが自分の為に投げキッスしてくれた~♡ って位の攻撃力だったわけだ。
 だけど君たちはラルシュに毎日会ってるわけだろ? 見慣れたりしないもんなのか? って思ったが、メイドさんの話から「ラルシュがああいう笑顔(王子様MAXの笑顔)を見せるのは珍しい」らしい。
 成程、何時もの「営業用スマイル」は見慣れてるけど、今みたいな破壊力抜群の「アイドルスマイル」は見慣れてないよ~って奴か。
 笑顔一つでこのカオス。
 しかも、本人はきっと「無意識にやってるわけじゃない」(確信犯)
 
 顔がいい奴にしか出来ないやつだな。けっ!

 (同じく顔が良くても)あれはミチルはやらないな。ミチルは「どこまでも健康的な笑顔」で色気からは程遠いからな。
 いや、相手が俺(自称男)だからかもしれん。俺の知らないところで女の子相手にはしてるのかも。
 いや‥ミチルは俺を女扱いしてるな‥。そうか、「本命の女の子にしか見せない笑顔」かも。日本人はほら、外国人に比べてシャイだから誰に対してでも「タラシなスマイル」向けるって訳でもないし‥。
 ミチルって顔は派手目だし、口調はチャラ目だけど、実はそうチャラくないんだ。
 ミチルがチャラく見えるのは、きっと「フツメン」のやっかみ。でも(毒づきたくなるのも)あの顔なら分からんでもない。
 同じくフツメンとして‥その気持ちは痛い程分かる。

 ‥いや、そんな話してなかった。(悲しくなんかないぞ! )
 今はミチルの話をしているんじゃない。現実逃避するところだった。
 だけど、ラルシュの笑顔の衝撃を散らすのには成功した。

 なんなの、ラルシュ! 地味に生きてるフツメンの男(自称)にそんな衝撃半端ない攻撃(笑顔)向けるとか!
 フツメンのお前にゃ、これは無理だろ~? って嫌がらせじゃないだろうな‥、まあ、違うだろう。落ちつけ俺‥。
 ラルシュの行動の意味と目的‥

 (まず)状況を整理してみよう。

 俺とラルシュはどうやら王が決めた婚約者らしい(事実)
 その理由は「俺が将来暴走すると厄介な危険人物だから」(事実)
 そして、「俺が暴走しないようにラルシュが監視する」為に俺は城にいるのが望ましい → なら、魔力も強くて危険人物を怒らせないような王子と結婚させよう! (婚約の理由)
 
 この「婚約理由」をサラージから聞かされたときは、腹立ったな~。なんなんだ、俺は厄介者か! って思ったけど、現実的だなと案外あっさり納得したり。あと、ラルシュはお気の毒だなって思ったり。

 だけど、俺が「魔力供給源」として魔石商人に狙われ‥攫われそうになって、それをナツミが阻止し、逃亡途中ラルシュに保護され、ナツミはその後何故か行方不明に‥。そのあと、どういう経緯か反政府組織に所属していた。(ここらの経緯を探るのが今後の課題だな)
 そして、俺は現在その反政府組織に狙われている。(ナツミが所属しているってことに関係してるのかな? )

 ナツミに拉致され、再会を果たす! しかし、ナツミは俺に失望した‥と俺を開放。(俺にとってはありがたかったのだが、なぜ解放されたんだろう? )
 その理由を今のところ俺は、
 反政府組織に協力を要請しようと思っていたが、現在の俺の「情けなさ」に心底呆れたから
 だと予想している。
 自分の手にかけるまでもないって思われたんだろう。
 だけど、
 殺害予告された。
 そして、悔しかった半分ビビった半分(俺は大人だから強がったりしない。初めて生命の危機にさらされ普通にビビった)の俺は、特訓を開始することに。そして、こっちで「身体が動くようにリハビリから」みたいな悠長なことはしてられないと地球に。(地球でずっと過ごしていたから地球の方が過ごしやすいんだ)あと‥城をまきこみたくないってのっもあった。
 そんなおれの決意に
 サラージは「面倒なことにしかならないから、お前はここから動くな」とさらっと監禁命令を出して来た(よく覚えてないけど、たぶんそんな感じ)
 ラルシュは‥なんか見逃してくれた感じ。(← 反対しても無駄だってわかってたから)

 それを無視して修行にでた「前向きな」俺! カッコイイ! 男らしい! 
 だが身体を壊し強制帰国(無念! )←今ここ。
 
 だけどそんなこと位でへこたれないカッコイイ俺は、今回の失敗を踏まえて心意気も新たに「再チャレンジ」を地球で果たすのだ!! (今後の予定)
 
「よし! 魔力も回復したし! 再チャレンジだ! 」
 気分があがって、(握りこぶし作って)急にそう宣言した俺は‥
「え!? 何、突然!? ラルシュも急に‥今更ヒジリに婚約者宣言するし、如何しちゃったの二人とも‥」
 ナラフィスさんの戸惑ったような顔で我に返った。

 あ、しまった。また自分の世界に入ってた。

「まず、なんなのラルシュ。なんで急に婚約者宣言。ってか‥確認したの? ヒジリはミチルじゃなくて自分の婚約者だぞって。ヒジリに忘れてない? って確認したの? それとも‥ミチルに対する牽制とか? なら、ミチルがいるところでしろ。‥もしかして僕に対する牽制? ないない。僕はたれ目で背がちっちゃい家庭的な女の子が好みなの! 」
 ナラフィスさんはラルシュに説教を始めた。
 ホント説教が好きな人だ。
 ラルシュは‥にこにこして聞いてないみたいだし。(うざいし聞きたくないの分かるけど)俺の方向いてないでナラフィスさんの方向いた方がいいですよ? 

 ってか‥俺も聞いてねえ‥ナラフィスさんの女の好みとか聞いてねぇ‥。興味もない。なんかフラれたみたいで無性に腹が立つ。これ、マンガとかでよくあるパターンだよね‥。告ってもないのにフラれる。まさか俺がそれを体験することになろうとは‥。
 
 にしても、たれ目で背が小っちゃくて家庭的な女の子‥。ベタだな! 
 ミチルの家に以前乱入してきた女の子‥確かそんな感じだった。(しかも胸が大きめだった)ミチルもそんな子が好きなんだろうか‥。(※ 三章参照)

「なに!? なんなのヒジリ! そこで黙り込まないでよ! 僕が一人で馬鹿みたいじゃないか! 」

 ああ、ナラフィスさんの存在また忘れてた。
 しかも‥なんか、またミチルの事考えてた。
 俺って‥ミチルのこと意識しし過ぎじゃないか?! まさか‥俺‥

 ミチルに対してライバル心バリバリなのか!? 
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