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十二章 ヒジリと地球の仲間たち
4.スキルと魔法とリバーシと
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(side ヒジリ)
‥国の災厄が、怒り過ぎると天災が起きる。
だけど、今「これ」をやったのは‥この現象の原因は‥俺ではないと、母さんは言った。
父さんだ。と。
はじめっから母さんは父さんに「貴方、そんなに怒ったりしたら」って言った。俺が原因だっておもったんだったら「ヒジリ、あんた! 」って言うだろう。
母さんは、俺に対してと父さんに対してでは‥態度が違う。
それこそ、全然違う。母さんは父さんに対して「気安く」声なんかかけない。
でも、それは嫌っているわけでも、遠慮してるわけでもない。つまり、「変なとこ見せたくありません」って感じで「かわい子ぶってる」‥こんな年だってのに、可愛いね。
ああ、ちょっと現実逃避した。
外は、相変わらず雨が降っていた。
だけど、そう大雨ではなかった。
さっき、窓から見えた庭はなんだったんだろ、って位、雨は小ぶりだった。
だけど、傘もささずに外に出たら流石に濡れるよね。
でも、俺たちはそんなこと忘れてしまう位‥呆然と、庭に立ち尽くしていた。
状況を理解するために‥もう一度言う。
確かに、雨は降っている。
だけど、今は小ぶりになっているし、さっきまではそこそこ振ってはいたが、決して庭が池みたいになるわけがない。我が家の庭の水はけが異常に悪いってこともない。
そして、その原因は父さん。
俺は、呆然としゃがみ込む父さんの後ろに立った。
父さんは、俺の気配を感じただろうに、振り向きもしなかった。
「父さんの属性って‥」
「土と、時、だ」
水だったっけ? って聞こうとした俺に、父さんが言葉を被せてきた。
お前が言いたいことなんて、お見通しだし、絶対間違ってるぞ
そう‥言わなかった言葉まで聞こえた気がした。
‥そうそう、父さんのスキルは「ぼこぼこの泥道を平らにするスキル」だって母さんから聞いた(4章9参照)。泥道‥土の属性‥成程。
だけど、父さんはさらに変なことを言った‥
「時‥」
‥時ってなんだ?
その間も俺の目は庭に釘付けだ。
見れば見る程、立派な池だ。
貯水池だね。
‥とにかく、土を活性化させるか‥。
と、訳の分からない独り言が父さんの口から洩れちゃってる。父さんの目はさっきから貯水池に向けられたままだ。
‥いやいやいや。
土をどうする、とかじゃないでしょ。
水でしょ。どう考えても水をどうするかでしょう。
しかも、‥どう考えても、水でしょ? 父さんの属性?
「何? 土って。水じゃないの? だって、どうみたって‥」
俺は父親の背中に呆れ顔を向けていたわけだけど‥それは仕方が無いだろう。
いや、だって、どう見ても水でしょう。
我が家の庭だけだよ?! 池が出来てるの。周りは‥水たまりがせいぜいだ。
ここら周りの水が我が家に集まって来たか?? って位の量だよ?
因みに、この家は周りの家よりちょっと高台(って程でもないけど)になっているから、我が家に周りから水が集まってきて溜まることはない。
やっぱり水はけ?
‥はやりの手抜き工事か?
俺がぴくり、と眉を寄せたのを見逃さなかった父さんは、違う。と首を振る。
「手抜き工事じゃない。今この状況は父さんの仕業で間違いない。だけど、それは雨水‥水が原因ではない」
いや‥だって‥?
「水属性でも、これは確かに可能かもしれない。水属性の方が容易にこの状況になるだろう。だけど、それはその水を留める土があってこそじゃないか? 地面があるから、水が溜まる」
そりゃあ‥まあ。
「逆に、雨さえ降ってれば水を生成しないでも水を集めてきさえすれば池にすることが出来る。
父さんがしたことは、地面を変形させて水を集めたってわけだ。‥時間を巻き戻しして今まで振った雨を全部ここに。
だから、土属性と時属性で間違いはない」
父さんは後ろに立っている俺をやっぱり振り向きもしない。
顔を合わせるのが恥ずかしい‥んだろう。自分がしでかしちゃったから。それに、結構本気で困っている様だ。
‥まあ、庭に急に池が出来たらね‥。
俺呆れ顔で池を見つめた。
どうするんだよ‥。ったく‥。(つ~か、何のために集めたんだ‥)
見ていると父さんはしゃがみ込んで、地面すれすれに手を翳した。
ほわ、っと緑の光が父さんの身体を包む。
「‥母さん、雨はいつ上がる? 」
母さんを振り返りながら聞くと、母さんが慌ててスマホを調べ始めた。
「‥2時間後ってところかしら」
「‥直ぐには止まないか」
「水をどこかに流しましょうか? 」
困り顔の母さんが父さんに提案してちらりと俺を見た。
母さんの属性は水だけど、‥そこまでの力はない。
‥はい。俺がするんですね。
今度は母さんに呆れる番だ。‥まったくこの夫婦は‥。
父さんがこんな衝動的な性格だったってことも驚いたけど、母さんがこんな人使い荒いこともいままで知らなかったよ‥。
「‥蒸発させるとかで良かったらするけど‥」
ふう、とため息を着きながら俺がしゃがむと、母さんが目を輝かせて俺をみた。(まったく現金だよね! )
「(そんなこともできるの!?) 有難う、ヒジリ! でもここで出来るかしら‥」
俺は父さんの横で父さんと同じような色の光を身に纏い‥スキルを発動する準備をする。
「こっちでスキルをつかう練習をこの頃ミチルとしてるんだ。‥大技は使ったことはないけどやってみるよ」
母さんの質問に答えながらも、精神を集中させていく。
「無理しないでね」
「分かってる」
そうして、俺は自分の中の魔力を腕に集めて集めて‥、十分に集まった腕を胸のところでクロス☆ 「水→気化」という固定のプログラムになってるであろうと意識しながら‥ここで、右腕だけをびしっと前に出して、
「水の状態異常! 『蒸発』! 」
と、小声で呟いた。
‥大人になってこれをやる羽目になろうとは‥恥ずかしさで悶絶だね!!
あ~。
この厨二な感じ、たまらなく嫌だ~。
でも、昔っから俺のスタイルこれだった。ちゃんと学校で学んできたわけじゃないから、皆がどうなのかは知らない。インテリ眼鏡も「スタイルなんてどうでもいい、自分がしやすい‥とか、自分がこう! って思う方法でやりゃいいんだよ」なんて言ってたし‥。
結果、子供だったもんだから、「これってカッコよくない?? 」ってこのスタイルになったってわけ。
ちょっとした黒歴史だよね。
‥でも、仕方が無い。今更新たなポーズで練習する方が時間の無駄だ‥。
ミチル‥どうやってたっけ。こんな恥ずかしい奴じゃなかった気が‥。(そりゃな)
「ヒジリ」
今まで、「わ~凄いな(棒)」って感じで見ていた父さんが、
水が蒸発して、さっきまで水があった池跡を眺めてから、俺を振り向いた。
その表情は、俺から見て意外な表情だった。
「流石リバーシだな~凄いな~(棒)」っていう驚いた顔でも、「わ~ちょっと凄すぎてひくわ~」って顔でもなかった。
父さんは落ち着いた口調で
「時、だな。それも」
ぼそっと言ったんだ。
そし、また前を向いて、しゃがんで‥また手を地面にかざす。
「土の状態異常‥活性」
ぼそり、と呟き、スキルを発動させる。
父さんの「ぼこぼこの泥道を平らにするスキル」だろう。‥初めて見た。
なんか、目の奥がちょっとつきりと痛くなった気がした。
「‥あ、‥俺も手伝う‥」
俺も、父さんの真似をして地面に手をかざす。
だけど、やっぱり人のスタイル真似したって出来なかった。
だって俺は、父さんが何をイメージしてどうやろうとしてるかすら分かんないから。
スキルは魔法と違う。プログラムと一緒で「これをこうしたい」って指示を出してやらないといけない。今の場合だったら、この地面に、だ。
形だけ真似しても仕方ないってこと。
だから、俺は、俺が理解できるプログラムを組む。
「土の状態異常! 泥化! (土属性)」「整地からの乾燥!(水属性)」
で、地面を整地した。
因みに、父さんがやってるエリアは、
地面がグネグネ動いて、まるでいきものみたいに波打って、あるべき様に変わった。
「時の早送り。丸2日分、ここにかかる時間を早送りした」
‥凄すぎるんだけど‥
凄過ぎるんだけど!! 父さん。なにそれ、魔王!? 時とか 凄すぎない?! 人間の出来ること超えてない!?
ってか‥さっき、父さん、俺の「蒸発」も‥時の属性だって言った。水ではなく‥?
俺が首を傾げていると、父さんはこともなげに
「さっきの蒸発も、水が蒸発する時まで早送りってやつだ」
って説明してくれた。
そして、手を止めると顔を上げ俺を見て、
ちょっと寂しそうに微笑んだ。
「父さんは、何時間何日先って指定しなきゃ出来ないし、‥早送りも2日が限界だけど‥ヒジリはどれくらい早送り出来るんだろうな」
って呟き、あとは、また下を向き黙々と池跡地を整地していた。
「時を‥」
‥もしかして‥リバーシって‥そういうこと‥か?!
‥国の災厄が、怒り過ぎると天災が起きる。
だけど、今「これ」をやったのは‥この現象の原因は‥俺ではないと、母さんは言った。
父さんだ。と。
はじめっから母さんは父さんに「貴方、そんなに怒ったりしたら」って言った。俺が原因だっておもったんだったら「ヒジリ、あんた! 」って言うだろう。
母さんは、俺に対してと父さんに対してでは‥態度が違う。
それこそ、全然違う。母さんは父さんに対して「気安く」声なんかかけない。
でも、それは嫌っているわけでも、遠慮してるわけでもない。つまり、「変なとこ見せたくありません」って感じで「かわい子ぶってる」‥こんな年だってのに、可愛いね。
ああ、ちょっと現実逃避した。
外は、相変わらず雨が降っていた。
だけど、そう大雨ではなかった。
さっき、窓から見えた庭はなんだったんだろ、って位、雨は小ぶりだった。
だけど、傘もささずに外に出たら流石に濡れるよね。
でも、俺たちはそんなこと忘れてしまう位‥呆然と、庭に立ち尽くしていた。
状況を理解するために‥もう一度言う。
確かに、雨は降っている。
だけど、今は小ぶりになっているし、さっきまではそこそこ振ってはいたが、決して庭が池みたいになるわけがない。我が家の庭の水はけが異常に悪いってこともない。
そして、その原因は父さん。
俺は、呆然としゃがみ込む父さんの後ろに立った。
父さんは、俺の気配を感じただろうに、振り向きもしなかった。
「父さんの属性って‥」
「土と、時、だ」
水だったっけ? って聞こうとした俺に、父さんが言葉を被せてきた。
お前が言いたいことなんて、お見通しだし、絶対間違ってるぞ
そう‥言わなかった言葉まで聞こえた気がした。
‥そうそう、父さんのスキルは「ぼこぼこの泥道を平らにするスキル」だって母さんから聞いた(4章9参照)。泥道‥土の属性‥成程。
だけど、父さんはさらに変なことを言った‥
「時‥」
‥時ってなんだ?
その間も俺の目は庭に釘付けだ。
見れば見る程、立派な池だ。
貯水池だね。
‥とにかく、土を活性化させるか‥。
と、訳の分からない独り言が父さんの口から洩れちゃってる。父さんの目はさっきから貯水池に向けられたままだ。
‥いやいやいや。
土をどうする、とかじゃないでしょ。
水でしょ。どう考えても水をどうするかでしょう。
しかも、‥どう考えても、水でしょ? 父さんの属性?
「何? 土って。水じゃないの? だって、どうみたって‥」
俺は父親の背中に呆れ顔を向けていたわけだけど‥それは仕方が無いだろう。
いや、だって、どう見ても水でしょう。
我が家の庭だけだよ?! 池が出来てるの。周りは‥水たまりがせいぜいだ。
ここら周りの水が我が家に集まって来たか?? って位の量だよ?
因みに、この家は周りの家よりちょっと高台(って程でもないけど)になっているから、我が家に周りから水が集まってきて溜まることはない。
やっぱり水はけ?
‥はやりの手抜き工事か?
俺がぴくり、と眉を寄せたのを見逃さなかった父さんは、違う。と首を振る。
「手抜き工事じゃない。今この状況は父さんの仕業で間違いない。だけど、それは雨水‥水が原因ではない」
いや‥だって‥?
「水属性でも、これは確かに可能かもしれない。水属性の方が容易にこの状況になるだろう。だけど、それはその水を留める土があってこそじゃないか? 地面があるから、水が溜まる」
そりゃあ‥まあ。
「逆に、雨さえ降ってれば水を生成しないでも水を集めてきさえすれば池にすることが出来る。
父さんがしたことは、地面を変形させて水を集めたってわけだ。‥時間を巻き戻しして今まで振った雨を全部ここに。
だから、土属性と時属性で間違いはない」
父さんは後ろに立っている俺をやっぱり振り向きもしない。
顔を合わせるのが恥ずかしい‥んだろう。自分がしでかしちゃったから。それに、結構本気で困っている様だ。
‥まあ、庭に急に池が出来たらね‥。
俺呆れ顔で池を見つめた。
どうするんだよ‥。ったく‥。(つ~か、何のために集めたんだ‥)
見ていると父さんはしゃがみ込んで、地面すれすれに手を翳した。
ほわ、っと緑の光が父さんの身体を包む。
「‥母さん、雨はいつ上がる? 」
母さんを振り返りながら聞くと、母さんが慌ててスマホを調べ始めた。
「‥2時間後ってところかしら」
「‥直ぐには止まないか」
「水をどこかに流しましょうか? 」
困り顔の母さんが父さんに提案してちらりと俺を見た。
母さんの属性は水だけど、‥そこまでの力はない。
‥はい。俺がするんですね。
今度は母さんに呆れる番だ。‥まったくこの夫婦は‥。
父さんがこんな衝動的な性格だったってことも驚いたけど、母さんがこんな人使い荒いこともいままで知らなかったよ‥。
「‥蒸発させるとかで良かったらするけど‥」
ふう、とため息を着きながら俺がしゃがむと、母さんが目を輝かせて俺をみた。(まったく現金だよね! )
「(そんなこともできるの!?) 有難う、ヒジリ! でもここで出来るかしら‥」
俺は父さんの横で父さんと同じような色の光を身に纏い‥スキルを発動する準備をする。
「こっちでスキルをつかう練習をこの頃ミチルとしてるんだ。‥大技は使ったことはないけどやってみるよ」
母さんの質問に答えながらも、精神を集中させていく。
「無理しないでね」
「分かってる」
そうして、俺は自分の中の魔力を腕に集めて集めて‥、十分に集まった腕を胸のところでクロス☆ 「水→気化」という固定のプログラムになってるであろうと意識しながら‥ここで、右腕だけをびしっと前に出して、
「水の状態異常! 『蒸発』! 」
と、小声で呟いた。
‥大人になってこれをやる羽目になろうとは‥恥ずかしさで悶絶だね!!
あ~。
この厨二な感じ、たまらなく嫌だ~。
でも、昔っから俺のスタイルこれだった。ちゃんと学校で学んできたわけじゃないから、皆がどうなのかは知らない。インテリ眼鏡も「スタイルなんてどうでもいい、自分がしやすい‥とか、自分がこう! って思う方法でやりゃいいんだよ」なんて言ってたし‥。
結果、子供だったもんだから、「これってカッコよくない?? 」ってこのスタイルになったってわけ。
ちょっとした黒歴史だよね。
‥でも、仕方が無い。今更新たなポーズで練習する方が時間の無駄だ‥。
ミチル‥どうやってたっけ。こんな恥ずかしい奴じゃなかった気が‥。(そりゃな)
「ヒジリ」
今まで、「わ~凄いな(棒)」って感じで見ていた父さんが、
水が蒸発して、さっきまで水があった池跡を眺めてから、俺を振り向いた。
その表情は、俺から見て意外な表情だった。
「流石リバーシだな~凄いな~(棒)」っていう驚いた顔でも、「わ~ちょっと凄すぎてひくわ~」って顔でもなかった。
父さんは落ち着いた口調で
「時、だな。それも」
ぼそっと言ったんだ。
そし、また前を向いて、しゃがんで‥また手を地面にかざす。
「土の状態異常‥活性」
ぼそり、と呟き、スキルを発動させる。
父さんの「ぼこぼこの泥道を平らにするスキル」だろう。‥初めて見た。
なんか、目の奥がちょっとつきりと痛くなった気がした。
「‥あ、‥俺も手伝う‥」
俺も、父さんの真似をして地面に手をかざす。
だけど、やっぱり人のスタイル真似したって出来なかった。
だって俺は、父さんが何をイメージしてどうやろうとしてるかすら分かんないから。
スキルは魔法と違う。プログラムと一緒で「これをこうしたい」って指示を出してやらないといけない。今の場合だったら、この地面に、だ。
形だけ真似しても仕方ないってこと。
だから、俺は、俺が理解できるプログラムを組む。
「土の状態異常! 泥化! (土属性)」「整地からの乾燥!(水属性)」
で、地面を整地した。
因みに、父さんがやってるエリアは、
地面がグネグネ動いて、まるでいきものみたいに波打って、あるべき様に変わった。
「時の早送り。丸2日分、ここにかかる時間を早送りした」
‥凄すぎるんだけど‥
凄過ぎるんだけど!! 父さん。なにそれ、魔王!? 時とか 凄すぎない?! 人間の出来ること超えてない!?
ってか‥さっき、父さん、俺の「蒸発」も‥時の属性だって言った。水ではなく‥?
俺が首を傾げていると、父さんはこともなげに
「さっきの蒸発も、水が蒸発する時まで早送りってやつだ」
って説明してくれた。
そして、手を止めると顔を上げ俺を見て、
ちょっと寂しそうに微笑んだ。
「父さんは、何時間何日先って指定しなきゃ出来ないし、‥早送りも2日が限界だけど‥ヒジリはどれくらい早送り出来るんだろうな」
って呟き、あとは、また下を向き黙々と池跡地を整地していた。
「時を‥」
‥もしかして‥リバーシって‥そういうこと‥か?!
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