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十二章 ヒジリと地球の仲間たち
5.憶測は心の中だけで留めておく。
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「‥リバーシってもしかして‥」
俺は父さんの背中を見ながら呟いた。
父さんが振り向く。
「何か言った? 」
父さんは、纏っていた緑色の光りを散らして俺を真っすぐ見上げる。
‥力を使っているせいだろうか、父さんの目はいつもより緑っぽく見えた。
緑色の目
目の色は属性の影響を受けやすい。
水の属性なら水色。火の属性なら赤。土なら黄色。氷は濃い青。風は、黄色味の強い黄緑。そして緑は「水と土の混合」って言われてなかったか?
黄緑と緑は珍しい色で、俺は俺と父さんとミチル以外見たことなかった。
風の属性持ちは夜の国でもそういないらしいんだ。‥サラージは風の属性のスキルを得意としてたけど、彼の眼はいろんな属性のせいで「王家にしか持たない色」をしてたから。
‥緑は「時の属性」の色だったんだ。
そして、リバーシは‥「時の属性持ち」の突然変異ってわけだ。
リバーシだけじゃなく、きっと魔法使いもそうだろう。
今まで、リバーシや魔法使いの誕生に何の法則性もないとされてきた。
だから、貴重だし、発見しずらい。
だけどそれは、「解明されていなかったから」に過ぎなかったからなんだ‥。
リバーシと魔法使いの誕生には、ちゃんと法則性があった。
そして、共通点があった。
リバーシと魔法使いは、
驚く程似てるんだ。
その結論が浮かんだ時、‥その結論からさかのぼって考えると驚く程それが良く分かった。
その結論である、リバーシと魔法使いの共通点。
‥共通点は、「時」
否、「時」という属性を持っている者も、あの世界にはすくなからず存在する。だけど、それらの者が総て魔法使いやリバーシにはならない。父さんも然り、だ。
「だけど」時の属性持ち以外は、魔法使いにもリバーシにもならない。
王家が、100%リバーシか魔法使いか、その中間だった理由。
それは、時の属性持ち同士の婚姻を続けているから。
「異世界の乙女」はただの変わり者の不思議ちゃんじゃない。
リバーシ‥つまり「時の属性」の為にこの世界に入り込んでしまった「選ばれた者」だったんだ。
この国の王の婚姻のタイミングに「合わせて」(年齢とか能力、性格とか‥かな? 顔の好みとかも考慮してあったら流石に引くな! )この世界に「送り込まれる」‥条件に合った「異世界の乙女」
そりゃ、一目惚れもするわ。
‥異世界人の方は分かんないけど、多分‥流されるんだろうな~。普段恋愛からほど遠い喪女な不思議ちゃんが「好みのタイプじゃない! 」とかいう意思はあんまりない‥というか、見たことない美形に親切にぐいぐい来られたら流されるのも分からんでもない。恋愛偏差値とかきっと低いだろうし。
自分が世界を救える‥とか、結構「キターーーーーー」って感じになるし。
‥オタクな喪女をディスってるわけではないが、地球にいたらそんな状況、ないよね。
で、なんかロマンスなり、紆余曲折在りで生まれた子供は、絶対「時の属性」持ち。
さっき自分で突然変異って言ったけど、それは「一般人」なら‥って話で‥
王族程、血が濃かったら「確実に」そのいずれかになるんだろう。あ、「中間の人(次期王様)」も含めると三つか。
「時」の属性を持ち、時間に干渉することが出来、魔力量の多い者が、リバーシ。
「時」の属性を持ち、時間という概念がないものが魔法使い。
リバーシは魔法を使えないが、魔法の代わりに「スキル」と「状態異常」を使う。
魔法は、何もないところから「何か」を出現させることが出来る。
スキルは、「在る物」に力を加えて加工する能力。
状態異常は、「在る物」が「変化した物」に「変化させる」能力。いわばスキルの「チートな」ショートカットだ。
例えば、氷。
魔法使いなら、水の属性があれば、何もないところから氷を出現させることが出来る。
スキルは、水を「氷のスキル」で冷やし、氷にする。
状態異常は、水を氷に状態変化させる。
スキルと状態異常の氷を作る過程はちょっと違う。スキルは凍らせる力がいるのに対し、状態異常は、「水が氷になる時間」を早送りして氷にするので、凍らせるスキルは要らない。
気体(蒸気)→液体(水)→氷(固体)
この変化を自由に「時間を早送りする」ことにより出来るのが状態異常だ。
氷のスキル持ちは火のスキルは併せ持ってない場合がほとんどだけど(ホントに稀で、いないといっても過言ではない。王族はホントにレアケース)状態異常はそういう「体の中で相反する力」とか関係ないから、水を自由に変化させられる。
王族は絶対にその事実を公表しないだろう。
‥(リバーシや魔法使いの中には)気付いている者もいるかもしれないが、「触れてはいけない問題」として触れてこなかったんだろう。
だって、‥時に干渉できる力って‥怖いよ。
神の領域っていっても過言じゃない。
神聖で、‥怖い「バケモノ」
王族は、魔法使いやリバーシを一般の人から隔離してきた。
それは「力を城に集中させる為」だけではなく、一般の人に万が一つの被害を出さない為に、城という要塞の中に閉じ込めていたんだ。
自分たちも忌諱される存在「バケモノ」だって自覚しているから。
そして、そんな「バケモノたち」の気持ちがわかるのは、同じ「バケモノ」だけだって分かっているから。
‥いざとなったら「バケモノ」たちと心中して、一般の人たちを巻き込まないように‥。
「俺‥とんでもないことに気付いてしまったかもしれない。‥隠されてきたことっぽいから‥わざわざ言わないけど‥」
俺の呟きを父さんが拾った。
「‥なら、言わない方がいいな」
ぼそりと呟き、困ったように微笑む。
「生命の誕生の神秘をあれこれ解明しようとするのは、‥無粋だ。神への冒涜だ」
ひたり、と父さんが俺の瞳を‥咎めるように見つめる。
まるでそれは「黙ってろ」って口止めしているようだった。
俺が黙って頷くと、父さんが「いい子だ」っていって表情を緩める。
「ヒジリは只のヒジリで父さんと母さんの子供だ。そうだろ? 」
「ああ‥そうだね」
俺も、ぎこちなく‥「無理に」微笑む。
そうだ。
それでいいんだ。
俺は、‥ただのヒジリで、父さんと母さんの子供。
時の「バケモノ」なんかじゃ‥ない。
気が付いたら、泣いてた。
‥なんだよ。魔力量が多いだけの火薬庫どころの話じゃないじゃないか。存在自体がでたらめなリバーシの中でも化け物クラス‥時の破壊者って感じじゃねえか。
‥俺、ガチでマジで半端ない‥。
ガチとかマジで‥とか普段使わない様な言葉を無理に使ってみた。
こんな時吉川だったら
「なんだ、ヒジリ若者ぶってるのか。似合わんからヤメロ。品性を疑われるぞ」
って怒るだろう。
ミチルなら‥ちょっと驚いて、困った様な顔されるかな。
あの二人は、俺が汚い言葉遣いしたり、行儀が悪いことすることに対して、凄く厳しいから。
女だって知ってるミチルならともかく‥吉川は、ちょっと俺のこと子ども扱いしてるのかな。‥ちょっと、癪だな。
なんて、‥無理にどうでもいいこと考えたら‥考えても余計に泣けてきた。
ぼろぼろぼろぼろ涙が止まらない。
なんなら鼻も出て来そうで、吸い込んだら‥しゃくりあげるみたいになった。
降りしきる雨の中、ボロボロ泣きじゃくる大人の女‥。カッコ悪い‥。そう分かってるのに、涙が止まらない。
「ヒジリ。大丈夫だ。何も変わらない。‥何も変わらない」
立ち上がり、俺の後ろに立った父さんが俺の肩に優しく手を添えた。
母さんが、その横に立って、反対側の肩にすがる。
「何の責任を感じることもないわ。ヒジリは‥ただのヒジリ。私たちの大事な‥大切なヒジリよ」
母さんなんて、もう感情を抑えられてもいないじゃないか。ボロボロボロボロ、涙が滝みたいに流れてる。
雨はやっぱり降り続けていた。
憶測だ。全部。
それも、「在り得ないような荒唐無稽な」憶測。
そういう憶測は「そういう考えもあるかもね」って笑って‥忘れてしまうに限る。
俺は、今までもこれからも、ただのヒジリなんだ。
俺は父さんの背中を見ながら呟いた。
父さんが振り向く。
「何か言った? 」
父さんは、纏っていた緑色の光りを散らして俺を真っすぐ見上げる。
‥力を使っているせいだろうか、父さんの目はいつもより緑っぽく見えた。
緑色の目
目の色は属性の影響を受けやすい。
水の属性なら水色。火の属性なら赤。土なら黄色。氷は濃い青。風は、黄色味の強い黄緑。そして緑は「水と土の混合」って言われてなかったか?
黄緑と緑は珍しい色で、俺は俺と父さんとミチル以外見たことなかった。
風の属性持ちは夜の国でもそういないらしいんだ。‥サラージは風の属性のスキルを得意としてたけど、彼の眼はいろんな属性のせいで「王家にしか持たない色」をしてたから。
‥緑は「時の属性」の色だったんだ。
そして、リバーシは‥「時の属性持ち」の突然変異ってわけだ。
リバーシだけじゃなく、きっと魔法使いもそうだろう。
今まで、リバーシや魔法使いの誕生に何の法則性もないとされてきた。
だから、貴重だし、発見しずらい。
だけどそれは、「解明されていなかったから」に過ぎなかったからなんだ‥。
リバーシと魔法使いの誕生には、ちゃんと法則性があった。
そして、共通点があった。
リバーシと魔法使いは、
驚く程似てるんだ。
その結論が浮かんだ時、‥その結論からさかのぼって考えると驚く程それが良く分かった。
その結論である、リバーシと魔法使いの共通点。
‥共通点は、「時」
否、「時」という属性を持っている者も、あの世界にはすくなからず存在する。だけど、それらの者が総て魔法使いやリバーシにはならない。父さんも然り、だ。
「だけど」時の属性持ち以外は、魔法使いにもリバーシにもならない。
王家が、100%リバーシか魔法使いか、その中間だった理由。
それは、時の属性持ち同士の婚姻を続けているから。
「異世界の乙女」はただの変わり者の不思議ちゃんじゃない。
リバーシ‥つまり「時の属性」の為にこの世界に入り込んでしまった「選ばれた者」だったんだ。
この国の王の婚姻のタイミングに「合わせて」(年齢とか能力、性格とか‥かな? 顔の好みとかも考慮してあったら流石に引くな! )この世界に「送り込まれる」‥条件に合った「異世界の乙女」
そりゃ、一目惚れもするわ。
‥異世界人の方は分かんないけど、多分‥流されるんだろうな~。普段恋愛からほど遠い喪女な不思議ちゃんが「好みのタイプじゃない! 」とかいう意思はあんまりない‥というか、見たことない美形に親切にぐいぐい来られたら流されるのも分からんでもない。恋愛偏差値とかきっと低いだろうし。
自分が世界を救える‥とか、結構「キターーーーーー」って感じになるし。
‥オタクな喪女をディスってるわけではないが、地球にいたらそんな状況、ないよね。
で、なんかロマンスなり、紆余曲折在りで生まれた子供は、絶対「時の属性」持ち。
さっき自分で突然変異って言ったけど、それは「一般人」なら‥って話で‥
王族程、血が濃かったら「確実に」そのいずれかになるんだろう。あ、「中間の人(次期王様)」も含めると三つか。
「時」の属性を持ち、時間に干渉することが出来、魔力量の多い者が、リバーシ。
「時」の属性を持ち、時間という概念がないものが魔法使い。
リバーシは魔法を使えないが、魔法の代わりに「スキル」と「状態異常」を使う。
魔法は、何もないところから「何か」を出現させることが出来る。
スキルは、「在る物」に力を加えて加工する能力。
状態異常は、「在る物」が「変化した物」に「変化させる」能力。いわばスキルの「チートな」ショートカットだ。
例えば、氷。
魔法使いなら、水の属性があれば、何もないところから氷を出現させることが出来る。
スキルは、水を「氷のスキル」で冷やし、氷にする。
状態異常は、水を氷に状態変化させる。
スキルと状態異常の氷を作る過程はちょっと違う。スキルは凍らせる力がいるのに対し、状態異常は、「水が氷になる時間」を早送りして氷にするので、凍らせるスキルは要らない。
気体(蒸気)→液体(水)→氷(固体)
この変化を自由に「時間を早送りする」ことにより出来るのが状態異常だ。
氷のスキル持ちは火のスキルは併せ持ってない場合がほとんどだけど(ホントに稀で、いないといっても過言ではない。王族はホントにレアケース)状態異常はそういう「体の中で相反する力」とか関係ないから、水を自由に変化させられる。
王族は絶対にその事実を公表しないだろう。
‥(リバーシや魔法使いの中には)気付いている者もいるかもしれないが、「触れてはいけない問題」として触れてこなかったんだろう。
だって、‥時に干渉できる力って‥怖いよ。
神の領域っていっても過言じゃない。
神聖で、‥怖い「バケモノ」
王族は、魔法使いやリバーシを一般の人から隔離してきた。
それは「力を城に集中させる為」だけではなく、一般の人に万が一つの被害を出さない為に、城という要塞の中に閉じ込めていたんだ。
自分たちも忌諱される存在「バケモノ」だって自覚しているから。
そして、そんな「バケモノたち」の気持ちがわかるのは、同じ「バケモノ」だけだって分かっているから。
‥いざとなったら「バケモノ」たちと心中して、一般の人たちを巻き込まないように‥。
「俺‥とんでもないことに気付いてしまったかもしれない。‥隠されてきたことっぽいから‥わざわざ言わないけど‥」
俺の呟きを父さんが拾った。
「‥なら、言わない方がいいな」
ぼそりと呟き、困ったように微笑む。
「生命の誕生の神秘をあれこれ解明しようとするのは、‥無粋だ。神への冒涜だ」
ひたり、と父さんが俺の瞳を‥咎めるように見つめる。
まるでそれは「黙ってろ」って口止めしているようだった。
俺が黙って頷くと、父さんが「いい子だ」っていって表情を緩める。
「ヒジリは只のヒジリで父さんと母さんの子供だ。そうだろ? 」
「ああ‥そうだね」
俺も、ぎこちなく‥「無理に」微笑む。
そうだ。
それでいいんだ。
俺は、‥ただのヒジリで、父さんと母さんの子供。
時の「バケモノ」なんかじゃ‥ない。
気が付いたら、泣いてた。
‥なんだよ。魔力量が多いだけの火薬庫どころの話じゃないじゃないか。存在自体がでたらめなリバーシの中でも化け物クラス‥時の破壊者って感じじゃねえか。
‥俺、ガチでマジで半端ない‥。
ガチとかマジで‥とか普段使わない様な言葉を無理に使ってみた。
こんな時吉川だったら
「なんだ、ヒジリ若者ぶってるのか。似合わんからヤメロ。品性を疑われるぞ」
って怒るだろう。
ミチルなら‥ちょっと驚いて、困った様な顔されるかな。
あの二人は、俺が汚い言葉遣いしたり、行儀が悪いことすることに対して、凄く厳しいから。
女だって知ってるミチルならともかく‥吉川は、ちょっと俺のこと子ども扱いしてるのかな。‥ちょっと、癪だな。
なんて、‥無理にどうでもいいこと考えたら‥考えても余計に泣けてきた。
ぼろぼろぼろぼろ涙が止まらない。
なんなら鼻も出て来そうで、吸い込んだら‥しゃくりあげるみたいになった。
降りしきる雨の中、ボロボロ泣きじゃくる大人の女‥。カッコ悪い‥。そう分かってるのに、涙が止まらない。
「ヒジリ。大丈夫だ。何も変わらない。‥何も変わらない」
立ち上がり、俺の後ろに立った父さんが俺の肩に優しく手を添えた。
母さんが、その横に立って、反対側の肩にすがる。
「何の責任を感じることもないわ。ヒジリは‥ただのヒジリ。私たちの大事な‥大切なヒジリよ」
母さんなんて、もう感情を抑えられてもいないじゃないか。ボロボロボロボロ、涙が滝みたいに流れてる。
雨はやっぱり降り続けていた。
憶測だ。全部。
それも、「在り得ないような荒唐無稽な」憶測。
そういう憶測は「そういう考えもあるかもね」って笑って‥忘れてしまうに限る。
俺は、今までもこれからも、ただのヒジリなんだ。
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