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十六章 ミチル争奪戦!
14.熱
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(side ヒジリ)
これが眠るってことだろう。
なんて‥心地いいんだろうか。
普通だったら、リバーシの俺は、身体は眠っていても意識はずっと起きている。
今は‥
違う。
今だって、色々考えている。‥きっと、これは意識が起きている状態なんだろう。
完全に意識を手放すってことはきっとないんだろう。
だけど‥
俺の意識は身体から離れようとしない。
普段「起きてるとき」と同じように意識が身体と一体になっている。
だけど、俺の意識は起きてるときと同じようには、俺の身体を動かしてくれない。
いつもは「普通に」聞こえる周りの音が聞こえない。
何も見えない。
でも、‥不思議とそれが不安ではないんだ。
背中から感じる暖かさが何とも言えない安心感を俺に与えてくれる。
逆に言えば、
背中からの暖かさしか感じられない。
それって‥普通に考えて妙だして‥怖いことなのかもしれない。
だけど、まあいいか‥って思う。
もし、このまま死んじゃうんだとしても‥こんなに穏やかな気持ちのまま死ねるんだったら‥「まあいいかな‥」って思う。
‥それくらいのね、
極上の癒し。
喉が渇いた時に、必要的に飲む水ではなく、ミチルが入れてくれる心のこもったハーブティーみたいな‥「こころを癒す」飲み物。
そんな心地よさ。
俺の生活で
「嗜好品(癒し)」の価値が「生活必需品」のそれに勝る日が来るなんてな。
‥随分「ゆとり」が出来て来たもんだ。
高校時代の運動部の先輩は、女の子を見かける度「若い頃は鍛錬が一番大事だ。恋愛など浮ついたことに現を抜かしていたら、一番心を鍛えなければいけない時期に「腑抜け」になる」ってしまうから駄目だ」って言ってた。
それこそ、洗脳みたいに。
だからってわけじゃないんだ。
俺が恋愛に関心が無かったのは‥誰かに言われたから‥とか、面倒だからじゃなくて(まして、先輩が怖かったわけじゃなくて)‥今思えば、「今見えてる性別(男である聖)」と「本来の性別(女であるヒジリ)」が別だったから、‥本能的に「俺が女の子を好きってのは‥違うんじゃないかな」って思ってたからなんだろう。
可愛いなとは思うけど、それ以上は本能が止めてた‥っていうか?
そのことは‥今までに何度も思って来た。
だから
本来の性別(ヒジリ) = 今の自分(ヒジリ)になった今
例えば、ミチルや吉川‥ラルシュのことを好きでも「構わない」んだって。
吉川は
俺のこと‥男には見えないって言ってた。‥男じゃなかったわけだけど‥ホントに男だったらどうするつもりだったんだろ。
いや‥
吉川の中では、俺はやっぱり今でも男(聖)なんだ。
俺のこと聖だって思ってる限り、吉川にとって俺はずっと男(聖)なんだ。
でも、
男だからダメってわけでは無いよな。男と男の恋愛だってある。
そういう性別の話ではなく、
男だろうと、女だろうと好きって‥最高じゃないか。「女だから俺のこと好きなんじゃない。俺だから(男だろうと女だろうと)好き」って事だろ? 最高じゃないか。ミチルは俺のこと初めから女だって知ってたから、俺のこと初めからヒジリ(女)だって分かってた。もし、聖としてミチルに会ってたら、ミチルは俺のこと好きになってなかっただろう。
男だろうが女だろうが俺には違いないのに。
‥いや違うか。
吉川は俺のこと「男に見えたことない」って言ってた。‥やっぱり、男にしか見えてなかったら、俺のことそもそも好きにもなってなかっただろう。
‥いやでも、男だって事は分かってた‥みたいなこと言ってたな。「男なんだろうけど、俺には男に見えなかった」‥やっぱ、男なんだけど、女のことを好きみたいに俺のこと好きって言ったってことなのかな‥??
‥どうなんだろ。
その場合、「俺実は女だったみたい‥! 」って言ったら「え?! 」ってなるのかな。「気持ちが追い付かない‥ちょっと考えさせてくれ」になるのかな??!
複雑‥。
面倒くさい。
面倒くさいんだよ! 愛だとか、そういうのは!
でも‥やっぱ‥
いいんだよな~。
「好き! 明日も頑張る! 」「絶対綺麗になって振り向かせて見せる! 」
って前向きになれるし、生活の原動力になるし、
何より
‥一緒に居たら嬉しいし、気持ちがフワフワ~って気持ち良くなるし、あったかい気持ちになれる。
「今まで男として暮らして来たのに、女として男の事恋愛対象としてみれるわけない」
って思ってた俺が‥
‥今では、うん‥
なんか‥
「男だろうが女だろうが好きって気持ちに違いはないだろ」
って思っちゃってる。
それも、ミチルに対してだけじゃなくって、‥吉川やラルシュにも。
貴方だけ!!
って、燃える恋心ってのは分かんないけど、なんか‥さ、いいかな~って。
‥俺って、軽い女なのか??
それにしても‥ふわふわいい気持ちだな。
この気持ちは‥あれだ。
ミチルのハーブティーと、ハーブティーの湯気越しのミチルのお日様みたいな笑顔。ちょっと「ヤンデレ」入ってる感は否めない‥ちょっとヤバめな「甘~い」口説き文句の数々(あんな男前にずっと言われたら‥悪い気はしないって言うか‥正直その気になっちゃうよね)
吉川と向かい合って食べる焼き鳥の暖かさ。その時の、吉川のいつもよりちょっと砕けた口調と、いつもと‥会社とは違う「くだらない話題」。ああいう「俺だけ特別」感出されちゃったら「なんか可愛い」って思っちゃうよね‥。母性本能??
俺にだけ‥ふいに見せるラルシュの少年みたいな笑顔(いつもは綺麗な「王子のお手本」みたいな笑顔だのにさ)‥これも、吉川同様。特別感と「キュン」かなあ~。
「好き」じゃなくても、一緒に居てくれるだけでいい。
そういう関係。
って、やっぱないわ。
好きだから一緒に居たいんじゃないか。
心地いいから、利用価値があるから、一緒にいるんじゃない。
一対一の人間。
一緒に居たら、喧嘩をすることだって、泣かされたりすることだって、「嬉しい」「楽しい」同様ある。
「助けて! 」
も、
「助けたい‥」
も、
ある。
信頼関係の構築もしてないのに、一方的に「君には僕を助けられる力がある。だから、助けて」ってのは、ちょっと違うんじゃない? ‥って話。
逆だってそう。
俺とラルシュ。
ラルシュは俺のことが好き。昔はどうだったか分からないけど、少なくとも今はそう‥な気がする(気のせいだったらどうしよう‥死ねる‥)。俺はラルシュの「特別な相手」で、俺はラルシュを助けてあげられる。俺も、ラルシュを助けたいって思う。
だけど、
俺にとって、「特別な相手 = 結婚相手」なんだ。契約相手‥って感覚はない。一番好きで、人生も含めて「助け合える」人間ってラルシュの事思えなかったら‥なんか「不誠実」って感じがするんだ。
王族の結婚はそうじゃないって分かるよ? でもね、少なくとも、メレディア王と桔梗さんの場合は‥そうじゃなかったんじゃないかな‥って思うんだ。あのあとどういう流れで結婚したかは分かんないけど、俺が見たときの二人は‥お互いが大事で大好きって感じがした。
ラルシュにもそんな結婚してほしい。
俺以外と結婚しても、俺はビジネスパートナーとしてラルシュと契約するよ、って言う事は可能だけど、なんか嫌だよ。夫が自分以外の女と手を繋いで、心を通じ合わせてるのって。その結果(魔力が譲渡され)愛の証しとばかりに魔法が産まれ、ラルシュがそのことに顔を綻ばせる。自分には夫にそんな顔をさせられる能力はない。そう気付く妻。‥最悪だよ。憎くて仕方ないよ。‥俺ならね。
王族に嫁ごうっていう女性ならそういう感情は持たないのかな?
‥俺はそういう感情持たないようにすること‥出来ないな‥。
俺以外ラルシュに「そんな顔」させられない。
そう思ったときの、絶望感。
それって、責任重大だ。‥正直荷が重いよ。
俺がもし、ラルシュと結婚しなかったら‥否、契約しなかったら‥
そう考えたら‥罪悪感が凄い。
契約は義務だから仕方が無い。でも‥
‥オレハギムトカ「ヒトダスケ」デソウイウコトシタクナイ。
‥それは、違うんじゃないか? って思う。
そんな「迷い」
それと、
優越感。
俺は、俺だけは‥
‥ラルシュノヤクニタツニンゲンダ。
俺って、ホント‥面倒くさい女だ。
俺はやっぱり、恋愛なんて面倒くさくて
‥向いてない。
そう考えた瞬間、今まであったかいばかりだった背中にジワリと‥嫌な汗をかいたような気がした。
これが眠るってことだろう。
なんて‥心地いいんだろうか。
普通だったら、リバーシの俺は、身体は眠っていても意識はずっと起きている。
今は‥
違う。
今だって、色々考えている。‥きっと、これは意識が起きている状態なんだろう。
完全に意識を手放すってことはきっとないんだろう。
だけど‥
俺の意識は身体から離れようとしない。
普段「起きてるとき」と同じように意識が身体と一体になっている。
だけど、俺の意識は起きてるときと同じようには、俺の身体を動かしてくれない。
いつもは「普通に」聞こえる周りの音が聞こえない。
何も見えない。
でも、‥不思議とそれが不安ではないんだ。
背中から感じる暖かさが何とも言えない安心感を俺に与えてくれる。
逆に言えば、
背中からの暖かさしか感じられない。
それって‥普通に考えて妙だして‥怖いことなのかもしれない。
だけど、まあいいか‥って思う。
もし、このまま死んじゃうんだとしても‥こんなに穏やかな気持ちのまま死ねるんだったら‥「まあいいかな‥」って思う。
‥それくらいのね、
極上の癒し。
喉が渇いた時に、必要的に飲む水ではなく、ミチルが入れてくれる心のこもったハーブティーみたいな‥「こころを癒す」飲み物。
そんな心地よさ。
俺の生活で
「嗜好品(癒し)」の価値が「生活必需品」のそれに勝る日が来るなんてな。
‥随分「ゆとり」が出来て来たもんだ。
高校時代の運動部の先輩は、女の子を見かける度「若い頃は鍛錬が一番大事だ。恋愛など浮ついたことに現を抜かしていたら、一番心を鍛えなければいけない時期に「腑抜け」になる」ってしまうから駄目だ」って言ってた。
それこそ、洗脳みたいに。
だからってわけじゃないんだ。
俺が恋愛に関心が無かったのは‥誰かに言われたから‥とか、面倒だからじゃなくて(まして、先輩が怖かったわけじゃなくて)‥今思えば、「今見えてる性別(男である聖)」と「本来の性別(女であるヒジリ)」が別だったから、‥本能的に「俺が女の子を好きってのは‥違うんじゃないかな」って思ってたからなんだろう。
可愛いなとは思うけど、それ以上は本能が止めてた‥っていうか?
そのことは‥今までに何度も思って来た。
だから
本来の性別(ヒジリ) = 今の自分(ヒジリ)になった今
例えば、ミチルや吉川‥ラルシュのことを好きでも「構わない」んだって。
吉川は
俺のこと‥男には見えないって言ってた。‥男じゃなかったわけだけど‥ホントに男だったらどうするつもりだったんだろ。
いや‥
吉川の中では、俺はやっぱり今でも男(聖)なんだ。
俺のこと聖だって思ってる限り、吉川にとって俺はずっと男(聖)なんだ。
でも、
男だからダメってわけでは無いよな。男と男の恋愛だってある。
そういう性別の話ではなく、
男だろうと、女だろうと好きって‥最高じゃないか。「女だから俺のこと好きなんじゃない。俺だから(男だろうと女だろうと)好き」って事だろ? 最高じゃないか。ミチルは俺のこと初めから女だって知ってたから、俺のこと初めからヒジリ(女)だって分かってた。もし、聖としてミチルに会ってたら、ミチルは俺のこと好きになってなかっただろう。
男だろうが女だろうが俺には違いないのに。
‥いや違うか。
吉川は俺のこと「男に見えたことない」って言ってた。‥やっぱり、男にしか見えてなかったら、俺のことそもそも好きにもなってなかっただろう。
‥いやでも、男だって事は分かってた‥みたいなこと言ってたな。「男なんだろうけど、俺には男に見えなかった」‥やっぱ、男なんだけど、女のことを好きみたいに俺のこと好きって言ったってことなのかな‥??
‥どうなんだろ。
その場合、「俺実は女だったみたい‥! 」って言ったら「え?! 」ってなるのかな。「気持ちが追い付かない‥ちょっと考えさせてくれ」になるのかな??!
複雑‥。
面倒くさい。
面倒くさいんだよ! 愛だとか、そういうのは!
でも‥やっぱ‥
いいんだよな~。
「好き! 明日も頑張る! 」「絶対綺麗になって振り向かせて見せる! 」
って前向きになれるし、生活の原動力になるし、
何より
‥一緒に居たら嬉しいし、気持ちがフワフワ~って気持ち良くなるし、あったかい気持ちになれる。
「今まで男として暮らして来たのに、女として男の事恋愛対象としてみれるわけない」
って思ってた俺が‥
‥今では、うん‥
なんか‥
「男だろうが女だろうが好きって気持ちに違いはないだろ」
って思っちゃってる。
それも、ミチルに対してだけじゃなくって、‥吉川やラルシュにも。
貴方だけ!!
って、燃える恋心ってのは分かんないけど、なんか‥さ、いいかな~って。
‥俺って、軽い女なのか??
それにしても‥ふわふわいい気持ちだな。
この気持ちは‥あれだ。
ミチルのハーブティーと、ハーブティーの湯気越しのミチルのお日様みたいな笑顔。ちょっと「ヤンデレ」入ってる感は否めない‥ちょっとヤバめな「甘~い」口説き文句の数々(あんな男前にずっと言われたら‥悪い気はしないって言うか‥正直その気になっちゃうよね)
吉川と向かい合って食べる焼き鳥の暖かさ。その時の、吉川のいつもよりちょっと砕けた口調と、いつもと‥会社とは違う「くだらない話題」。ああいう「俺だけ特別」感出されちゃったら「なんか可愛い」って思っちゃうよね‥。母性本能??
俺にだけ‥ふいに見せるラルシュの少年みたいな笑顔(いつもは綺麗な「王子のお手本」みたいな笑顔だのにさ)‥これも、吉川同様。特別感と「キュン」かなあ~。
「好き」じゃなくても、一緒に居てくれるだけでいい。
そういう関係。
って、やっぱないわ。
好きだから一緒に居たいんじゃないか。
心地いいから、利用価値があるから、一緒にいるんじゃない。
一対一の人間。
一緒に居たら、喧嘩をすることだって、泣かされたりすることだって、「嬉しい」「楽しい」同様ある。
「助けて! 」
も、
「助けたい‥」
も、
ある。
信頼関係の構築もしてないのに、一方的に「君には僕を助けられる力がある。だから、助けて」ってのは、ちょっと違うんじゃない? ‥って話。
逆だってそう。
俺とラルシュ。
ラルシュは俺のことが好き。昔はどうだったか分からないけど、少なくとも今はそう‥な気がする(気のせいだったらどうしよう‥死ねる‥)。俺はラルシュの「特別な相手」で、俺はラルシュを助けてあげられる。俺も、ラルシュを助けたいって思う。
だけど、
俺にとって、「特別な相手 = 結婚相手」なんだ。契約相手‥って感覚はない。一番好きで、人生も含めて「助け合える」人間ってラルシュの事思えなかったら‥なんか「不誠実」って感じがするんだ。
王族の結婚はそうじゃないって分かるよ? でもね、少なくとも、メレディア王と桔梗さんの場合は‥そうじゃなかったんじゃないかな‥って思うんだ。あのあとどういう流れで結婚したかは分かんないけど、俺が見たときの二人は‥お互いが大事で大好きって感じがした。
ラルシュにもそんな結婚してほしい。
俺以外と結婚しても、俺はビジネスパートナーとしてラルシュと契約するよ、って言う事は可能だけど、なんか嫌だよ。夫が自分以外の女と手を繋いで、心を通じ合わせてるのって。その結果(魔力が譲渡され)愛の証しとばかりに魔法が産まれ、ラルシュがそのことに顔を綻ばせる。自分には夫にそんな顔をさせられる能力はない。そう気付く妻。‥最悪だよ。憎くて仕方ないよ。‥俺ならね。
王族に嫁ごうっていう女性ならそういう感情は持たないのかな?
‥俺はそういう感情持たないようにすること‥出来ないな‥。
俺以外ラルシュに「そんな顔」させられない。
そう思ったときの、絶望感。
それって、責任重大だ。‥正直荷が重いよ。
俺がもし、ラルシュと結婚しなかったら‥否、契約しなかったら‥
そう考えたら‥罪悪感が凄い。
契約は義務だから仕方が無い。でも‥
‥オレハギムトカ「ヒトダスケ」デソウイウコトシタクナイ。
‥それは、違うんじゃないか? って思う。
そんな「迷い」
それと、
優越感。
俺は、俺だけは‥
‥ラルシュノヤクニタツニンゲンダ。
俺って、ホント‥面倒くさい女だ。
俺はやっぱり、恋愛なんて面倒くさくて
‥向いてない。
そう考えた瞬間、今まであったかいばかりだった背中にジワリと‥嫌な汗をかいたような気がした。
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