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十二章 ヒジリと地球の仲間たち
7.リバーシあるある
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(side ヒジリ)
至言だよね。
八方美人は誰もの友達じゃなくって、誰の友達でもない。
八方美人って部分は、そのまま「リバーシは」に変えられるね。
皆に寄り添う「皆様のリバーシです」じゃなくって、誰に対しても平等に振る舞う = 誰に対しても特別興味があるわけじゃないよ。皆に無関心だよ~
ってこと。
でも、それって、平和だよ。表面だけでも。
考えてみて。
三人兄弟がいるお母さんに、三人兄弟はきっと「平等に接してほしい」って思うだろう。
そんなのは不可能だって分かっていても、「せめて表面だけでも」平等にって思うだろう。
そういうこと。
皆に平等って「感情が絡んだら」絶対に出来ないもんなんだ。
時間ってその最たるものじゃない?
皆に平等に同じ様に流れていくよね。
リバーシは「時の属性」の力が強ければ強い程、誰に対しても無関心になるんじゃないかな。
‥そんな風に思った。
にしても‥そんな「心に残る名言」言われたなら、「お前凄いな! 」ってなって、大親友とかになって‥そこまでじゃなくても、名前くらい覚えててもおかしくないのに、なんで名前すら覚えてない。俺、おかしくないか?
‥まあ、あのときは「あれがぴったりくる」時じゃなかったんだろうな。だけど、なんか心にちょっと残ったって感じか。‥そういうことって、割とあるかも。
あいつが俺の人生にとって重要なんじゃなくて、「あの言葉」が俺の人生にとって重要だった‥ってわけだ。
「ふ~ん。時の属性のレベルと人に対する感心の度合い‥ヒジリはそんなこと考えてたんだ~」
今日も研究大好きなナラフィスさんは、俺の想像にしか過ぎない仮説すら熱心に聞いて、時々メモを取った。
「時の属性レベルが高ければ高い程、人に対する関心度が低い。反比例するってわけか~。成程~。面白いグラフだね‥」
そして、今は腕を組んでちょっと考え込むような顔をしている。
といって、深刻な顔じゃない。考えてはいるが、口元にはちょっと笑みを浮かべている。これはあれだ「面白そうな顔」。
‥ナラフィスさんの深刻な顔なんて見たことない。いつも、面白そうって顔してる。
説教している時でさえ、なんかちょっと面白そうって顔してる。
‥元々そういう顔なのかもしれない。
「家庭教師って言ったてねえ。ヒジリは、僕に教わることなんてないと思うよ。初等部時代基礎を学んでこなかったっていっても、独学で学べてるって感じだよね。先生が「頭じゃなく体で学べ」タイプだったんじゃない? まあ、ヒジリが「こう」って思って来たことが間違ってる‥って場合もあるだろうから、そういうところを確認していくって感じでイイんじゃない? 」
そう、今俺はナラフィスさんに家庭教師をお願いしているんだ。
「リバーシの事知るにはリバーシに聞いた方がいいですね」
俺がリバーシについて知りたいってお願いしたら、ラルシュがナラフィスさんに家庭教師をお願いしてくれたんだ。
こんな有名な学者さんを独り占めしていいんだろうかって、若干気が引けたが
‥俺はこれ以上他の人と接触しない方がいい。関わる人は最小限度にした方がいい。被害は最小限に‥って納得することにした。
ナラフィスさんは何でも知ってるし親切だ。これ以上に頼もしい人もいないから感謝している。
「う~ん。まあ、僕も人間に対しては‥そう特別な興味は持ってないね~。でも、ほら、ミチル君なんかは君に対して執着心凄いよね」
異世界渡りが出来るってことは、ナラフィスさんは時の属性のレベルがかなり高い。「だから」人に対する関心度は低い。
これはさっきの法則と合致する。
だけど、同じく異世界渡りが出来る程時の属性レベルが高いミチルは? ミチルは人に対する関心度が?
この法則はなりたたないんじゃないか、ってナラフィスさんは言っているわけだ。
だけど俺は首を振った。
「ミチルは、多分、リバーシ特有の孤独を埋めるために俺のこと好きだって思おうとしてるんじゃないかな‥って思うんです。リバーシは‥まあ、確かに孤独ですよね」
これは、別問題だって俺は思うんだ。
ミチルもきっと人に対する関心度は低くって、俺に対する執着っぽい感情は、孤独を埋める行為。
リバーシは孤独、これは「リバーシあるある」だと思ってたけど‥
ナラフィスさんは、孤独とか感じてなさそう。
夜寝れなくても、時間たっぷりビバ! 研究し放題ビバ! って思ってそう。
って思ったのに、
「まあ‥否定できないね。リバーシにはリバーシにしかわかんない孤独があるよね」
ナラフィスに共感されて、驚いた。
うんうん、って頷かれて‥
「え! 」
思わず大声出しちゃった。
「喋ってる途中で相手が寝落ちしちゃうときの孤独感とか、ないよね」
‥そんなもんに孤独感は感じない。
「しかも、結構前から寝てたって気付いた時、めちゃ凹むよね。なに、僕独り言言ってたの?? ってなるよね」
‥ならんわ!!
「はあ‥ソウデスヨネ」
まあ、適当に同意して、作り笑いしておこう。
俺がにへらって適当にわらうと、ナラフィスさんが苦笑した。
「‥ヒジリ、作り笑い覚えたね。だけど、そんないかにもな笑い方じゃ相手に気持ちを悟られるヨ。そうじゃなく、作り笑いは、こう」
っていって、本気の「作り笑い」。
‥ナラフィスさんの作り笑い初めて見た~。
(地球人の)営業用スマイルみたい!
それなら俺も出来るぞ、って真似したけど、ナラフィスさんには不評だった。
「ま、そんなの上手くなんなくていいよ。別にね。皆の友達じゃないって、悪くないと思うよ。俺は、リバーシって怖い‥って恐れられるのも、変人だって思われて遠巻きにされるのもどうでもいいんだよ。
好きな研究が出来ればそれで。
時々、奇跡的に気が合うやつがいて、そいつと喋ったり。
でもね、そいつと100%意見が合わなくってもそれでいいんだ。
時々合うこともある。それくらいで。
そういうのって、「リバーシだから」じゃなくって、誰でもそうじゃない? 100%意見が合う、好みも合う奴なんていないよ。
みんなそれは知ってるんだ。
別に誰かに合わせなくてもいいし、誰かの顔色を伺わなくてもいい。
だけどね。誰かを傷つけることはダメだ。
嫌がってることなら、それに気がついたら止めなきゃいけない。
何が嫌かなんて、そいつにしか分かんないことだから‥もしかしたら、最初は知らずに傷つけることもあるかもしれない。そしたら、謝って、もうそんなことしないって誓う。
単純でいいんだよ。単純で。
リバーシが少数派であるこの国は、リバーシには住みにくい世界かもしれないけど、リバーシなりに生きていけばいいんだよ」
それは、悟ってるっていうより、
‥諦めてる、って顔で、俺は辛くなった。
ナラフィスさんはどれだけの物を今まであきらめて来たんだろうか‥。俺も、これからいっぱいの物をあきらめていかないといけないんだろうか‥。
俺は‥ナツミだけは‥
諦めたくない。
「俺は‥ナツミと100%は意見が合わないかもしれないけど、‥それでもナツミと友達でいたいんだ」
俯いてぼそり、と呟くと、頭の上でナラフィスさんが小さく笑った気配がした。
「‥相手は嫌がってるなら、それは無理だと思うけど、そう望むくらいならいいと思うよ。無理に諦めることはない。いいじゃない。ロミオとジュリエット。なんだっけ、シェークスピア? 僕が地球にいた時読んだよ。‥感情移入は出来なかったけど、「これが(地球の)一般的な恋愛か~」って理解してたら、地球での(仮の)同級生に「そうでもないと思うぜ」って笑われた。「人それぞれだろうけど、俺は共感できないな」って奴は言ってた」
しぶ~。地球人の恋愛事情を調査するのに選んだのが、シェークスピア。しぶ~。
アレだよね。家同士が敵同士の二人の許されない恋の末、二人は結果的に死を選ぶ‥って奴。
重いわ~。
俺は顔を上げてナラフィスさんを見る。
「俺も共感できないです。俺は、人の為に死にません」
ナラフィスさんの顔を見ながら宣言すると、ナラフィスさんは「はは」って今日初めて面白そうに笑った。
「別にジュリエットはロミオの為に死んだわけじゃないぞ。自分が死にたくて死んだんだ。「自己犠牲」じゃない。それ(自己犠牲の傾向)もリバーシあるあるだよね。「自分は丈夫だし、魔力は余ってるし、大丈夫」ってやつ。
あれは‥痛々しいから止めた方がいい」
最後は、「俺に向けて」説教するみたいに言った。
う‥
「別にそんなつもりは」
‥まあ、あるかも。
「リバーシは確かに、時の属性持ちの突然変異種だ。魔力オバケだから、皆より優秀に「しやすい」。
「なんでもそこそこできる」ってあれね、生まれつき優秀じゃなくて、「そこそこ上手になりたい」って望めば出来るようになった、っていう後からのものなの。だけど、そういうのがズルだって心の奥で思ってるから、「一番にはならない」
これ。
リバーシは、「自分はズルだから」「一番になりたくない(なる資格ない)」「みんなと一緒だと落ち着く」「目立ちたくない」「皆を喜ばせたい」。
全部、劣等感から来てるんだ。
「自分はズルするダメな奴だから」「自分が犠牲になって、皆が助かるならばそれで」
‥ヒジリ、この考え方に、心当たりがないとは言わせないよ? 」
ナラフィスさんは、‥なんでこう「なんでも知ってる」んだろう。
ホントに‥
落ち込む俺に、ナラフィスさんはふ、っと「今までとは違う」「まるで兄のような」優しい表情を向けた。
「‥ヒジリ。大丈夫。僕もラルシュも、ミチルもついてる。勿論、サラージも」
うっすい胸に抱きしめられながら、まるで泣く子をあやす母親みたいな優しい声で言う。
そして、俺の耳元で、俺にだけ聞こえるような小声で、
「あと、時の属性とリバーシ誕生の関係は国家秘密らしいから、誰にも言わないようにね。‥消されちゃうよ」
って言ったんだ。
こっわ!
至言だよね。
八方美人は誰もの友達じゃなくって、誰の友達でもない。
八方美人って部分は、そのまま「リバーシは」に変えられるね。
皆に寄り添う「皆様のリバーシです」じゃなくって、誰に対しても平等に振る舞う = 誰に対しても特別興味があるわけじゃないよ。皆に無関心だよ~
ってこと。
でも、それって、平和だよ。表面だけでも。
考えてみて。
三人兄弟がいるお母さんに、三人兄弟はきっと「平等に接してほしい」って思うだろう。
そんなのは不可能だって分かっていても、「せめて表面だけでも」平等にって思うだろう。
そういうこと。
皆に平等って「感情が絡んだら」絶対に出来ないもんなんだ。
時間ってその最たるものじゃない?
皆に平等に同じ様に流れていくよね。
リバーシは「時の属性」の力が強ければ強い程、誰に対しても無関心になるんじゃないかな。
‥そんな風に思った。
にしても‥そんな「心に残る名言」言われたなら、「お前凄いな! 」ってなって、大親友とかになって‥そこまでじゃなくても、名前くらい覚えててもおかしくないのに、なんで名前すら覚えてない。俺、おかしくないか?
‥まあ、あのときは「あれがぴったりくる」時じゃなかったんだろうな。だけど、なんか心にちょっと残ったって感じか。‥そういうことって、割とあるかも。
あいつが俺の人生にとって重要なんじゃなくて、「あの言葉」が俺の人生にとって重要だった‥ってわけだ。
「ふ~ん。時の属性のレベルと人に対する感心の度合い‥ヒジリはそんなこと考えてたんだ~」
今日も研究大好きなナラフィスさんは、俺の想像にしか過ぎない仮説すら熱心に聞いて、時々メモを取った。
「時の属性レベルが高ければ高い程、人に対する関心度が低い。反比例するってわけか~。成程~。面白いグラフだね‥」
そして、今は腕を組んでちょっと考え込むような顔をしている。
といって、深刻な顔じゃない。考えてはいるが、口元にはちょっと笑みを浮かべている。これはあれだ「面白そうな顔」。
‥ナラフィスさんの深刻な顔なんて見たことない。いつも、面白そうって顔してる。
説教している時でさえ、なんかちょっと面白そうって顔してる。
‥元々そういう顔なのかもしれない。
「家庭教師って言ったてねえ。ヒジリは、僕に教わることなんてないと思うよ。初等部時代基礎を学んでこなかったっていっても、独学で学べてるって感じだよね。先生が「頭じゃなく体で学べ」タイプだったんじゃない? まあ、ヒジリが「こう」って思って来たことが間違ってる‥って場合もあるだろうから、そういうところを確認していくって感じでイイんじゃない? 」
そう、今俺はナラフィスさんに家庭教師をお願いしているんだ。
「リバーシの事知るにはリバーシに聞いた方がいいですね」
俺がリバーシについて知りたいってお願いしたら、ラルシュがナラフィスさんに家庭教師をお願いしてくれたんだ。
こんな有名な学者さんを独り占めしていいんだろうかって、若干気が引けたが
‥俺はこれ以上他の人と接触しない方がいい。関わる人は最小限度にした方がいい。被害は最小限に‥って納得することにした。
ナラフィスさんは何でも知ってるし親切だ。これ以上に頼もしい人もいないから感謝している。
「う~ん。まあ、僕も人間に対しては‥そう特別な興味は持ってないね~。でも、ほら、ミチル君なんかは君に対して執着心凄いよね」
異世界渡りが出来るってことは、ナラフィスさんは時の属性のレベルがかなり高い。「だから」人に対する関心度は低い。
これはさっきの法則と合致する。
だけど、同じく異世界渡りが出来る程時の属性レベルが高いミチルは? ミチルは人に対する関心度が?
この法則はなりたたないんじゃないか、ってナラフィスさんは言っているわけだ。
だけど俺は首を振った。
「ミチルは、多分、リバーシ特有の孤独を埋めるために俺のこと好きだって思おうとしてるんじゃないかな‥って思うんです。リバーシは‥まあ、確かに孤独ですよね」
これは、別問題だって俺は思うんだ。
ミチルもきっと人に対する関心度は低くって、俺に対する執着っぽい感情は、孤独を埋める行為。
リバーシは孤独、これは「リバーシあるある」だと思ってたけど‥
ナラフィスさんは、孤独とか感じてなさそう。
夜寝れなくても、時間たっぷりビバ! 研究し放題ビバ! って思ってそう。
って思ったのに、
「まあ‥否定できないね。リバーシにはリバーシにしかわかんない孤独があるよね」
ナラフィスに共感されて、驚いた。
うんうん、って頷かれて‥
「え! 」
思わず大声出しちゃった。
「喋ってる途中で相手が寝落ちしちゃうときの孤独感とか、ないよね」
‥そんなもんに孤独感は感じない。
「しかも、結構前から寝てたって気付いた時、めちゃ凹むよね。なに、僕独り言言ってたの?? ってなるよね」
‥ならんわ!!
「はあ‥ソウデスヨネ」
まあ、適当に同意して、作り笑いしておこう。
俺がにへらって適当にわらうと、ナラフィスさんが苦笑した。
「‥ヒジリ、作り笑い覚えたね。だけど、そんないかにもな笑い方じゃ相手に気持ちを悟られるヨ。そうじゃなく、作り笑いは、こう」
っていって、本気の「作り笑い」。
‥ナラフィスさんの作り笑い初めて見た~。
(地球人の)営業用スマイルみたい!
それなら俺も出来るぞ、って真似したけど、ナラフィスさんには不評だった。
「ま、そんなの上手くなんなくていいよ。別にね。皆の友達じゃないって、悪くないと思うよ。俺は、リバーシって怖い‥って恐れられるのも、変人だって思われて遠巻きにされるのもどうでもいいんだよ。
好きな研究が出来ればそれで。
時々、奇跡的に気が合うやつがいて、そいつと喋ったり。
でもね、そいつと100%意見が合わなくってもそれでいいんだ。
時々合うこともある。それくらいで。
そういうのって、「リバーシだから」じゃなくって、誰でもそうじゃない? 100%意見が合う、好みも合う奴なんていないよ。
みんなそれは知ってるんだ。
別に誰かに合わせなくてもいいし、誰かの顔色を伺わなくてもいい。
だけどね。誰かを傷つけることはダメだ。
嫌がってることなら、それに気がついたら止めなきゃいけない。
何が嫌かなんて、そいつにしか分かんないことだから‥もしかしたら、最初は知らずに傷つけることもあるかもしれない。そしたら、謝って、もうそんなことしないって誓う。
単純でいいんだよ。単純で。
リバーシが少数派であるこの国は、リバーシには住みにくい世界かもしれないけど、リバーシなりに生きていけばいいんだよ」
それは、悟ってるっていうより、
‥諦めてる、って顔で、俺は辛くなった。
ナラフィスさんはどれだけの物を今まであきらめて来たんだろうか‥。俺も、これからいっぱいの物をあきらめていかないといけないんだろうか‥。
俺は‥ナツミだけは‥
諦めたくない。
「俺は‥ナツミと100%は意見が合わないかもしれないけど、‥それでもナツミと友達でいたいんだ」
俯いてぼそり、と呟くと、頭の上でナラフィスさんが小さく笑った気配がした。
「‥相手は嫌がってるなら、それは無理だと思うけど、そう望むくらいならいいと思うよ。無理に諦めることはない。いいじゃない。ロミオとジュリエット。なんだっけ、シェークスピア? 僕が地球にいた時読んだよ。‥感情移入は出来なかったけど、「これが(地球の)一般的な恋愛か~」って理解してたら、地球での(仮の)同級生に「そうでもないと思うぜ」って笑われた。「人それぞれだろうけど、俺は共感できないな」って奴は言ってた」
しぶ~。地球人の恋愛事情を調査するのに選んだのが、シェークスピア。しぶ~。
アレだよね。家同士が敵同士の二人の許されない恋の末、二人は結果的に死を選ぶ‥って奴。
重いわ~。
俺は顔を上げてナラフィスさんを見る。
「俺も共感できないです。俺は、人の為に死にません」
ナラフィスさんの顔を見ながら宣言すると、ナラフィスさんは「はは」って今日初めて面白そうに笑った。
「別にジュリエットはロミオの為に死んだわけじゃないぞ。自分が死にたくて死んだんだ。「自己犠牲」じゃない。それ(自己犠牲の傾向)もリバーシあるあるだよね。「自分は丈夫だし、魔力は余ってるし、大丈夫」ってやつ。
あれは‥痛々しいから止めた方がいい」
最後は、「俺に向けて」説教するみたいに言った。
う‥
「別にそんなつもりは」
‥まあ、あるかも。
「リバーシは確かに、時の属性持ちの突然変異種だ。魔力オバケだから、皆より優秀に「しやすい」。
「なんでもそこそこできる」ってあれね、生まれつき優秀じゃなくて、「そこそこ上手になりたい」って望めば出来るようになった、っていう後からのものなの。だけど、そういうのがズルだって心の奥で思ってるから、「一番にはならない」
これ。
リバーシは、「自分はズルだから」「一番になりたくない(なる資格ない)」「みんなと一緒だと落ち着く」「目立ちたくない」「皆を喜ばせたい」。
全部、劣等感から来てるんだ。
「自分はズルするダメな奴だから」「自分が犠牲になって、皆が助かるならばそれで」
‥ヒジリ、この考え方に、心当たりがないとは言わせないよ? 」
ナラフィスさんは、‥なんでこう「なんでも知ってる」んだろう。
ホントに‥
落ち込む俺に、ナラフィスさんはふ、っと「今までとは違う」「まるで兄のような」優しい表情を向けた。
「‥ヒジリ。大丈夫。僕もラルシュも、ミチルもついてる。勿論、サラージも」
うっすい胸に抱きしめられながら、まるで泣く子をあやす母親みたいな優しい声で言う。
そして、俺の耳元で、俺にだけ聞こえるような小声で、
「あと、時の属性とリバーシ誕生の関係は国家秘密らしいから、誰にも言わないようにね。‥消されちゃうよ」
って言ったんだ。
こっわ!
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