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十三章 乙女ゲームじゃなくって‥
1.友の好きな人
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(side サラージ)
「ふふ、ナラフィスの思い人は相変わらず面白いですね」
ラル兄が口元をおさえて上品に微笑む。
「笑いごとか」
俺は長めのため息をつき、「ナラフィスとマリアンの会話の報告」をした部下を下がらせた。
‥乙女ゲームねえ‥。
地球の女子の娯楽の一つらしい。
「テレビゲーム」で男女の恋愛をシュミレーションして遊ぶもの‥らしい。それを題材にした小説もあるらしい。
女の子が主人公で、彼女が成長しながら伴侶なり恋人を見つける‥っていうのは、普通の恋愛小説と変わらない。
主人公の女の子は、ヒロインと呼ばれ、下級貴族だったり、貴族の落胤だったり‥生まれながら身分的に恵まれない「平民が読んで共感が持ちやすい設定」が多いらしい。
ただ、そんな経済状況なのに
髪はキラキラとしてて(誰が手入れをするのだ? メイドの技術が下級貴族のメイドにしておくのは勿体無い程優れているのか? また、(それ程髪をつやつやキラキラする程の)手入れにかかる費用はどこからきた? )
上級の貴族を惹きつけるほどの魅力に溢れていて(上級の貴族の目に留まるってことは、所作に問題ないってことか? 上級の貴族ってのは高飛車で「そんな所作をしてい‥育ちが知れるね」とか言うやつばかりしかしらない。←偏見)そんな、下級貴族に「メロメロ」になるとか‥想像できない。
そういう価値観すらも変える「恋の力」って奴らしい。
ヒロインってのは、
(平凡っていいながらも)顔が可愛くて、大概、珍しい魔法が使えたりするらしい。
そして、天然で優しくって、ミラクル「鈍感」。
なんだ? それで貴族社会でやっていけるのか?
そていて何よりも面妖なのが‥
ヒロインは複数の男性と親しくなる‥って状況だ。
その複数の男性ってのは、攻略対象って呼ばれてて、イケメンでハイスペックだったり、「可愛い系」(← 男に可愛い系とかあるのか? 男は可愛くないぞ‥)だったり、「ツンデレ(好きな子だけに優しいってタイプらしい)」俺様系だったり、「好きな子にだけはすなおになれちゃう」病んでる繊細系美形(←もっとも近づきたくないタイプ)だったり‥するらしい。
いや、‥そんなめんどくさい奴ばっかり集まるとか‥その女なにか問題があるのか? いい人って付け込まれやすいから、気が付いたら変なのばっかり集まっちゃったって感じなのか??
だけど、そんな変人どもは揃いも揃って美形で周りの女子にも人気がある‥らしい。
‥わけねぇじゃん‥。
複数の男性とか‥問題外だし。
「‥貞操概念どうなってるんだ」
「高位貴族(男)なら、既に決められた婚約者もいるんじゃないのか? 」
「たとえ婚約者がいない男だとしても、自分と親しい女性が他の男性とも親しいっていうのはどうだ。外聞が悪いだろう」
とか‥ツッコミどころ満載なゲームのことだ。
「‥あれに傾倒する女とか、‥俺はちょっとついてけないかな~って思うけどねえ‥。ま、ナラフィスの女の趣味にどうこういう気はない。俺たちの「個人情報」を漏らしてるとか、国家機密をばらしてる‥とか言うなら即処罰の対象だけど、そうじゃないなら別に‥どうでも」
ってか‥ヒロイン・ヒジリか~。
「ヒジリなら、「恋愛関係関係なく」「みんな仲良く」もあり得そうだな。だって、あいつ俺たちの事異性だとすら思ってないしな」
ぶは、ってつい吹き出してしまった。
あれは
恋愛ゲームじゃないけどな。
友情育成ゲーム?
「ヒジリが男に口説かれてるのって想像つかないし、ヒジリが口説かれて頬を染めてる状況ってのも想像つかないし、まして、ヒジリが男に言い寄ってる場面‥想像できないわ~」
ひひ、って悪い笑いが出る。
「案外想像できますけどね? 」
ラル兄が首を傾げる。
まさか~
って笑ってやろうと思ったけど、にこにこといつも通り朗らかに笑ってるラル兄の様子が「いつもより」マジだったから‥
これは触れない方がいい奴かな、って思ったり。
もしかして‥嫉妬してる‥のかな? ヒジリに言い寄る男たちを「想像しただけ」で?
ちょっと狭量すぎない?
そんな懸念を一瞬で払うように、ラル兄は今度こそ鮮やかに‥いつも通りの穏やかな微笑を顔に張り付けた。
‥いつもながら、鮮やかだよな~。こういう「変わり身」。
そして、ふふっと
「ナラフィスはミチルのことをそう知らないから、ミチルを攻略対象にいれていないのが一番の間違いではありますよね。
ヒロイン・ヒジリ争奪戦の今のところの一番有力候補は、ミチルですよね」
いつもより楽しそうな表情を浮かべて、言った。
笑いごとか。
自分の婚約者が他の男に狙われてるとか‥俺だったら絶対笑ってられないね!!
俺は、ラル兄に呆れたような視線を向けた。
それが、昼間の事。
なんで俺が
‥
なんで俺がヒジリを口説く男(ミチル)のことでヤキモキするんだ‥。
俺は気分が悪くなるのを自分でセーブできなかった。
誰かの言葉ごときに、自分の気持ちが揺れて、不機嫌になる。
誰かの影響を受ける。
そんなことは‥大人になってからは珍しいことで‥
ましてや、嫉妬なんて‥俺が‥?!
ラル兄の婚約者に近づく男に嫉妬して、彼女に誰も話しかけられたくない、彼女の瞳に自分以外うつしたくないって思うなんて‥。
気が付けば
俺はヒジリの腕をつかんでいた。
早朝5時前「そろそろ帰るか」って当たり前の様に頷きあって「帰り支度をする」ヒジリとミチル。その、親し気な様子に‥耐えられなかった。
だけど、何とかそのときは耐えたんだ。
でも、いつまでも耐えられるわけじゃなかった。
今日もヒジリはいつも通りだった。
別に変わったことも言ってないし、俺も、ラル兄も、‥ミチルもいってない。
ヒジリがここにきて、4時間。‥あと1時間で、ヒジリはあっちに「帰る」んだろう。
いつものことで、分かっているのに、俺は‥
「なんで帰る? ヒジリの故郷はこっちだろ? 」
気が付いたら、ヒジリを引き留めていた。
ヒジリが振り向いて、驚いたような表情を俺に向ける。
俺は何を‥
驚いたのは俺も一緒だ。自分で言った言葉に自分が一番驚いていた。
「地球で‥一緒に暮らしたいほどの好きなやつがいるのか? 」
驚いたのに、‥止まらない。
言葉が止まらなかったんだ。
ヒジリが「何言ってんだボケが」って冷たい顔で見て来るのを分かっていたのに‥。
否、分かっていたから、かもしれない。
寧ろ、そんな顔をヒジリがしてくれるだろう‥って期待していた。
そしたら俺も「そうだな! 何でもねーよ! さっさと帰れよ! 」って言ってやれたのに‥。
なのに、ヒジリは
「‥ミチルとも吉川ともそんな関係じゃない」
ちょっと赤面して
顔を俺からそらせたんだ。
ショックだった。
思ってた以上にショックだった。
どうしちまった? ヒジリ。お前、そんなキャラじゃなかっただろ?!
それ以上に‥
どうしちまった、俺!?
ってか、
‥誰だ? ヨシカワ。
「ふふ、ナラフィスの思い人は相変わらず面白いですね」
ラル兄が口元をおさえて上品に微笑む。
「笑いごとか」
俺は長めのため息をつき、「ナラフィスとマリアンの会話の報告」をした部下を下がらせた。
‥乙女ゲームねえ‥。
地球の女子の娯楽の一つらしい。
「テレビゲーム」で男女の恋愛をシュミレーションして遊ぶもの‥らしい。それを題材にした小説もあるらしい。
女の子が主人公で、彼女が成長しながら伴侶なり恋人を見つける‥っていうのは、普通の恋愛小説と変わらない。
主人公の女の子は、ヒロインと呼ばれ、下級貴族だったり、貴族の落胤だったり‥生まれながら身分的に恵まれない「平民が読んで共感が持ちやすい設定」が多いらしい。
ただ、そんな経済状況なのに
髪はキラキラとしてて(誰が手入れをするのだ? メイドの技術が下級貴族のメイドにしておくのは勿体無い程優れているのか? また、(それ程髪をつやつやキラキラする程の)手入れにかかる費用はどこからきた? )
上級の貴族を惹きつけるほどの魅力に溢れていて(上級の貴族の目に留まるってことは、所作に問題ないってことか? 上級の貴族ってのは高飛車で「そんな所作をしてい‥育ちが知れるね」とか言うやつばかりしかしらない。←偏見)そんな、下級貴族に「メロメロ」になるとか‥想像できない。
そういう価値観すらも変える「恋の力」って奴らしい。
ヒロインってのは、
(平凡っていいながらも)顔が可愛くて、大概、珍しい魔法が使えたりするらしい。
そして、天然で優しくって、ミラクル「鈍感」。
なんだ? それで貴族社会でやっていけるのか?
そていて何よりも面妖なのが‥
ヒロインは複数の男性と親しくなる‥って状況だ。
その複数の男性ってのは、攻略対象って呼ばれてて、イケメンでハイスペックだったり、「可愛い系」(← 男に可愛い系とかあるのか? 男は可愛くないぞ‥)だったり、「ツンデレ(好きな子だけに優しいってタイプらしい)」俺様系だったり、「好きな子にだけはすなおになれちゃう」病んでる繊細系美形(←もっとも近づきたくないタイプ)だったり‥するらしい。
いや、‥そんなめんどくさい奴ばっかり集まるとか‥その女なにか問題があるのか? いい人って付け込まれやすいから、気が付いたら変なのばっかり集まっちゃったって感じなのか??
だけど、そんな変人どもは揃いも揃って美形で周りの女子にも人気がある‥らしい。
‥わけねぇじゃん‥。
複数の男性とか‥問題外だし。
「‥貞操概念どうなってるんだ」
「高位貴族(男)なら、既に決められた婚約者もいるんじゃないのか? 」
「たとえ婚約者がいない男だとしても、自分と親しい女性が他の男性とも親しいっていうのはどうだ。外聞が悪いだろう」
とか‥ツッコミどころ満載なゲームのことだ。
「‥あれに傾倒する女とか、‥俺はちょっとついてけないかな~って思うけどねえ‥。ま、ナラフィスの女の趣味にどうこういう気はない。俺たちの「個人情報」を漏らしてるとか、国家機密をばらしてる‥とか言うなら即処罰の対象だけど、そうじゃないなら別に‥どうでも」
ってか‥ヒロイン・ヒジリか~。
「ヒジリなら、「恋愛関係関係なく」「みんな仲良く」もあり得そうだな。だって、あいつ俺たちの事異性だとすら思ってないしな」
ぶは、ってつい吹き出してしまった。
あれは
恋愛ゲームじゃないけどな。
友情育成ゲーム?
「ヒジリが男に口説かれてるのって想像つかないし、ヒジリが口説かれて頬を染めてる状況ってのも想像つかないし、まして、ヒジリが男に言い寄ってる場面‥想像できないわ~」
ひひ、って悪い笑いが出る。
「案外想像できますけどね? 」
ラル兄が首を傾げる。
まさか~
って笑ってやろうと思ったけど、にこにこといつも通り朗らかに笑ってるラル兄の様子が「いつもより」マジだったから‥
これは触れない方がいい奴かな、って思ったり。
もしかして‥嫉妬してる‥のかな? ヒジリに言い寄る男たちを「想像しただけ」で?
ちょっと狭量すぎない?
そんな懸念を一瞬で払うように、ラル兄は今度こそ鮮やかに‥いつも通りの穏やかな微笑を顔に張り付けた。
‥いつもながら、鮮やかだよな~。こういう「変わり身」。
そして、ふふっと
「ナラフィスはミチルのことをそう知らないから、ミチルを攻略対象にいれていないのが一番の間違いではありますよね。
ヒロイン・ヒジリ争奪戦の今のところの一番有力候補は、ミチルですよね」
いつもより楽しそうな表情を浮かべて、言った。
笑いごとか。
自分の婚約者が他の男に狙われてるとか‥俺だったら絶対笑ってられないね!!
俺は、ラル兄に呆れたような視線を向けた。
それが、昼間の事。
なんで俺が
‥
なんで俺がヒジリを口説く男(ミチル)のことでヤキモキするんだ‥。
俺は気分が悪くなるのを自分でセーブできなかった。
誰かの言葉ごときに、自分の気持ちが揺れて、不機嫌になる。
誰かの影響を受ける。
そんなことは‥大人になってからは珍しいことで‥
ましてや、嫉妬なんて‥俺が‥?!
ラル兄の婚約者に近づく男に嫉妬して、彼女に誰も話しかけられたくない、彼女の瞳に自分以外うつしたくないって思うなんて‥。
気が付けば
俺はヒジリの腕をつかんでいた。
早朝5時前「そろそろ帰るか」って当たり前の様に頷きあって「帰り支度をする」ヒジリとミチル。その、親し気な様子に‥耐えられなかった。
だけど、何とかそのときは耐えたんだ。
でも、いつまでも耐えられるわけじゃなかった。
今日もヒジリはいつも通りだった。
別に変わったことも言ってないし、俺も、ラル兄も、‥ミチルもいってない。
ヒジリがここにきて、4時間。‥あと1時間で、ヒジリはあっちに「帰る」んだろう。
いつものことで、分かっているのに、俺は‥
「なんで帰る? ヒジリの故郷はこっちだろ? 」
気が付いたら、ヒジリを引き留めていた。
ヒジリが振り向いて、驚いたような表情を俺に向ける。
俺は何を‥
驚いたのは俺も一緒だ。自分で言った言葉に自分が一番驚いていた。
「地球で‥一緒に暮らしたいほどの好きなやつがいるのか? 」
驚いたのに、‥止まらない。
言葉が止まらなかったんだ。
ヒジリが「何言ってんだボケが」って冷たい顔で見て来るのを分かっていたのに‥。
否、分かっていたから、かもしれない。
寧ろ、そんな顔をヒジリがしてくれるだろう‥って期待していた。
そしたら俺も「そうだな! 何でもねーよ! さっさと帰れよ! 」って言ってやれたのに‥。
なのに、ヒジリは
「‥ミチルとも吉川ともそんな関係じゃない」
ちょっと赤面して
顔を俺からそらせたんだ。
ショックだった。
思ってた以上にショックだった。
どうしちまった? ヒジリ。お前、そんなキャラじゃなかっただろ?!
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どうしちまった、俺!?
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