172 / 248
十五章 メレディアと桔梗とヒジリとミチル
17.カモがネギしょって。
しおりを挟む
(side ミチル)
ヒジリに庇われる俺‥情けない。
普通だったら俺とヒジリの関係は、
可憐で華奢な麗しの姫君・ヒジリを守る騎士・ミチル
のはずだ。
普段から俺はそのつもりでヒジリの傍にいた。(ヒジリに気が付かれないように、だ)
だけど、今は‥ダメだ。
相手が悪すぎる。
絶対会いたくなかった恐ろしい相手が「ヒジリクラスのリバーシ」連れて、ヒジリを眠らせた元凶と共に現れた。
‥もう、恐怖でしかない。
相手は
ナツミ‥我流で攻撃魔法を極めた戦闘型魔法使い
カタル‥魔法使い
ネル ‥ヒジリクラスのリバーシ
一方こっちは
ヒジリ‥国家の災厄級のリバーシ
ミチル‥カタルの特別な相手。カタルに魔力を供給する危険な存在。
ダメだ‥
絶望でしかない。
これで、ナツミがネルの特別な相手‥魔力供給源だとしたら‥最悪だな。(そのまさかだ! )
‥逃げるしかないが、こんなところ‥逃げようが無い。
「カモがネギしょって来た。って状態なんでしょうかね。この状態は」
‥カタルが笑ってるよ‥。
あの例のヤバい笑顔浮かべて‥。瞳孔開ききってるんですけど‥。
顔がいい分怖さが半端ないんですけど‥!
「‥昨今はカモなんかそう食べないんだよ! 水の龍! 」
ヒジリが叫ぶ。湖の水が起き上がり‥まるで龍のようにカタルに迫る。それを、ナツミがあっさりと攻撃用のロットで(ほんとにあっさりと! )払い、水は元の水の形に戻り『ボシャリッ』と低い音を立てて、落ちた。
ヒジリはそれに気を取られる様子もなく(というより、見てさえいなかった)俺の腕をつかむと白い花の咲く太い樹の後ろまで凄いスピードで走る。
‥いけない‥怖くて‥足がすくんでいた!
俺はそれに必死についていくのが精一杯だった。
情けない‥。
俺の後ろでは、さっき崩れ落ちた水の龍の欠片が再び起き上がり無数の小さな蛇に変わって再度カタルたちに襲い掛かっている。
さっきよりは手間がかかったようだが、やっぱりそれもナツミによって叩き落され、今度は風魔法で辺りに散らばり‥湖の中に戻っていった。
「ホントにヒジリは‥」
ってナツミが呆れ顔で見てる。
息一つ上がっていない。
そりゃそうだ。ナツミがさっきしたことといったら、杖をふるって水の塊を叩き落しただけだ。
「ふ‥っ! 」
ヒジリが笑った。
こっちは‥完全に息が上がっている。
ナツミの冷静な態度に対して、ヒジリはやけっぱち
‥って感じでは‥ない。
興奮して頬を上気させて、瞳孔が開ききっているが‥これはただのやけっぱちじゃない。目がらんらんと輝いている。
秘策があるのか? 何かを‥狙ってる?
ヒジリは俺に小声で「ここから動かないで」って言うと、つかつかと‥大きな白い花の咲く樹の方に歩いて行き‥
「早送り! 」
樹の幹に手を触れながら大声で叫んだ。
樹は
どーんという爆音を立てて
二つに割けた。
その瞬間に、ヒジリが飛ぶように‥樹から離れた。
次の瞬間、樹がパチパチと燃え始める。
雷が落ちたんだ、ってわかった。
そして、燃えた樹は炎をあげながら‥追ってきたカタルたちの方にメリメリと‥倒れた。
「ヒジリ!? 」
俺は思わずしゃがみ込んで耳を覆った。
それ程大きな音がしたんだ。
しかも目の前の樹が‥だ。
爆音と、焦げ臭いにおいと、炎‥正直腰が抜けた。
ヒジリは!?
ってヒジリの元に走り寄ろうとしてるのに‥足が上手く動かない‥。
俺は‥俺って奴はホントに‥っ!
ヒジリが俺に駆け寄ってきて、そのまま無言で俺に覆いかぶさるように抱き着くと、
「現在へ! 」
再び大声で叫んだ。
カタルたちの叫び声が遠くなっていき‥目の前の湖が遠く‥薄れていく瞬間、桔梗を抱きしめていたメレディア王がヒジリを見たような‥そんな気がした。(メレディア王と桔梗はただの過去の映像かのように、俺たちが大騒ぎしている間も「俺たちのことなんて気付かないかのように」話し、‥抱き合っていたというのに、だ)
「ヒジリ! ミチル! 」
再び「元の湖」に戻ってくると、そこは、「あの湖」に連れていかれた(? )時より多くの人間がいた。
皆俺たちを探していたんだろう。
ヒジリ付きのメイドさんなんて泣き出していた。
ナラフィスは‥俺たちを見て‥感極まったって感じで思わず涙を流していた。
案外、いい奴なのかもしれない。
って思った。
で、いろいろあって‥
今俺は、ナラフィスとラルシュにぎゅうぎゅう抱き着かれている。
「もう離さないからな! 」
って‥それはちょっと怖い。
ラルシュにも心配かけたと思うと‥申し訳ない気分になる。
ヒジリはさっき血相を変えた侍女さんたちに抱えられるように馬車に消えていった(っていうか‥連れ去られた)馬車から「御髪が! 」とか「火傷をなさっておられます! 」っていうような‥物騒なWordが時折聞こえてきて‥正直落ち着かない。
「全身調べて薬を塗りますから、お召し物を全てお脱ぎください! 」
は‥正直気になる。(見に行きたい‥! 男だもん! )
「‥綺麗な肌に傷が‥」
「それにしても、美しい肌ですわ‥こんなに綺麗な肌に‥傷なんて‥」
‥もう妄想でおかしくなりそうだから‥やめてくれ。
ヒジリの髪は焦げて、更に、火傷を負っている様だ。
‥あの雷、やっぱり「本物」だったんだ。
あのラルシュ似の男と黒髪のねーちゃんはホログラムみたいな感じの「映像」で、あの場所もこことは違う「パラレルワールド」的な場所で、‥でもきっとカタルたちは「本物」そして、あの雷も本物。
まるでわけがわからない。
ヒジリは水と土の属性で雷の属性は無かったはずだ。だから、雷の攻撃魔法が使えるわけがない。だけど、あの雷はヒジリが叫んだあとにあの樹に落ちた。
分からないことだらけだ。
「‥それで、何があったんですか? 」
ラルシュとナラフィスが俺の両脇にしがみつきながら聞いてきた。
俺は、
自分でもよく分かっていないが
さっきあったことをその通り話す。
ラルシュ似の男と黒髪のアジア系美人が焦れ焦恋愛劇場劇場を繰り広げていたこと。
二人には自分たちが見えていなかったようだってこと。
カタルとネルとナツミがその場に現れたこと。
カタルが自分を覚えていたこと。
ヒジリがカタルたちに「目くらまし」の為に「氷の龍」という攻撃魔法を仕掛け、敵がそれを打ち落としている間に大きな白い花の咲く樹に走り寄り、樹に雷を落として、縦半分に割れた樹の半分が炎をあげてカタルたちに襲い掛かり、その隙に逃げて来た。
って話。
「その時‥ヒジリはなにか言わなかった? 」
冷静な顔をしたナラフィスが俺を見る。
ひや‥と背中が冷たくなった。
それ程‥その顔には迫力があった。
「‥確か「早送り」と‥」
そう‥
早送り。
そうだ。
ヒジリは一言も「雷! 」なんて言っていない。
早送り? ‥早送りって何だ? DVDとかの‥あれか?
なんであそこで「早送り」? 聞き間違えたのかな‥
それとも、とっさにヒジリが「言い間違えた」?
焦って‥
でも、それなら「停止! 」で止めた方が‥
それに、ヒジリはあの時、気が動転していた様子はなかった。
あれは、言い間違えなんかじゃない。
言い間違えじゃないとしたら‥。
ヒジリは‥何を早送りしたかったんだ?
ヒジリに庇われる俺‥情けない。
普通だったら俺とヒジリの関係は、
可憐で華奢な麗しの姫君・ヒジリを守る騎士・ミチル
のはずだ。
普段から俺はそのつもりでヒジリの傍にいた。(ヒジリに気が付かれないように、だ)
だけど、今は‥ダメだ。
相手が悪すぎる。
絶対会いたくなかった恐ろしい相手が「ヒジリクラスのリバーシ」連れて、ヒジリを眠らせた元凶と共に現れた。
‥もう、恐怖でしかない。
相手は
ナツミ‥我流で攻撃魔法を極めた戦闘型魔法使い
カタル‥魔法使い
ネル ‥ヒジリクラスのリバーシ
一方こっちは
ヒジリ‥国家の災厄級のリバーシ
ミチル‥カタルの特別な相手。カタルに魔力を供給する危険な存在。
ダメだ‥
絶望でしかない。
これで、ナツミがネルの特別な相手‥魔力供給源だとしたら‥最悪だな。(そのまさかだ! )
‥逃げるしかないが、こんなところ‥逃げようが無い。
「カモがネギしょって来た。って状態なんでしょうかね。この状態は」
‥カタルが笑ってるよ‥。
あの例のヤバい笑顔浮かべて‥。瞳孔開ききってるんですけど‥。
顔がいい分怖さが半端ないんですけど‥!
「‥昨今はカモなんかそう食べないんだよ! 水の龍! 」
ヒジリが叫ぶ。湖の水が起き上がり‥まるで龍のようにカタルに迫る。それを、ナツミがあっさりと攻撃用のロットで(ほんとにあっさりと! )払い、水は元の水の形に戻り『ボシャリッ』と低い音を立てて、落ちた。
ヒジリはそれに気を取られる様子もなく(というより、見てさえいなかった)俺の腕をつかむと白い花の咲く太い樹の後ろまで凄いスピードで走る。
‥いけない‥怖くて‥足がすくんでいた!
俺はそれに必死についていくのが精一杯だった。
情けない‥。
俺の後ろでは、さっき崩れ落ちた水の龍の欠片が再び起き上がり無数の小さな蛇に変わって再度カタルたちに襲い掛かっている。
さっきよりは手間がかかったようだが、やっぱりそれもナツミによって叩き落され、今度は風魔法で辺りに散らばり‥湖の中に戻っていった。
「ホントにヒジリは‥」
ってナツミが呆れ顔で見てる。
息一つ上がっていない。
そりゃそうだ。ナツミがさっきしたことといったら、杖をふるって水の塊を叩き落しただけだ。
「ふ‥っ! 」
ヒジリが笑った。
こっちは‥完全に息が上がっている。
ナツミの冷静な態度に対して、ヒジリはやけっぱち
‥って感じでは‥ない。
興奮して頬を上気させて、瞳孔が開ききっているが‥これはただのやけっぱちじゃない。目がらんらんと輝いている。
秘策があるのか? 何かを‥狙ってる?
ヒジリは俺に小声で「ここから動かないで」って言うと、つかつかと‥大きな白い花の咲く樹の方に歩いて行き‥
「早送り! 」
樹の幹に手を触れながら大声で叫んだ。
樹は
どーんという爆音を立てて
二つに割けた。
その瞬間に、ヒジリが飛ぶように‥樹から離れた。
次の瞬間、樹がパチパチと燃え始める。
雷が落ちたんだ、ってわかった。
そして、燃えた樹は炎をあげながら‥追ってきたカタルたちの方にメリメリと‥倒れた。
「ヒジリ!? 」
俺は思わずしゃがみ込んで耳を覆った。
それ程大きな音がしたんだ。
しかも目の前の樹が‥だ。
爆音と、焦げ臭いにおいと、炎‥正直腰が抜けた。
ヒジリは!?
ってヒジリの元に走り寄ろうとしてるのに‥足が上手く動かない‥。
俺は‥俺って奴はホントに‥っ!
ヒジリが俺に駆け寄ってきて、そのまま無言で俺に覆いかぶさるように抱き着くと、
「現在へ! 」
再び大声で叫んだ。
カタルたちの叫び声が遠くなっていき‥目の前の湖が遠く‥薄れていく瞬間、桔梗を抱きしめていたメレディア王がヒジリを見たような‥そんな気がした。(メレディア王と桔梗はただの過去の映像かのように、俺たちが大騒ぎしている間も「俺たちのことなんて気付かないかのように」話し、‥抱き合っていたというのに、だ)
「ヒジリ! ミチル! 」
再び「元の湖」に戻ってくると、そこは、「あの湖」に連れていかれた(? )時より多くの人間がいた。
皆俺たちを探していたんだろう。
ヒジリ付きのメイドさんなんて泣き出していた。
ナラフィスは‥俺たちを見て‥感極まったって感じで思わず涙を流していた。
案外、いい奴なのかもしれない。
って思った。
で、いろいろあって‥
今俺は、ナラフィスとラルシュにぎゅうぎゅう抱き着かれている。
「もう離さないからな! 」
って‥それはちょっと怖い。
ラルシュにも心配かけたと思うと‥申し訳ない気分になる。
ヒジリはさっき血相を変えた侍女さんたちに抱えられるように馬車に消えていった(っていうか‥連れ去られた)馬車から「御髪が! 」とか「火傷をなさっておられます! 」っていうような‥物騒なWordが時折聞こえてきて‥正直落ち着かない。
「全身調べて薬を塗りますから、お召し物を全てお脱ぎください! 」
は‥正直気になる。(見に行きたい‥! 男だもん! )
「‥綺麗な肌に傷が‥」
「それにしても、美しい肌ですわ‥こんなに綺麗な肌に‥傷なんて‥」
‥もう妄想でおかしくなりそうだから‥やめてくれ。
ヒジリの髪は焦げて、更に、火傷を負っている様だ。
‥あの雷、やっぱり「本物」だったんだ。
あのラルシュ似の男と黒髪のねーちゃんはホログラムみたいな感じの「映像」で、あの場所もこことは違う「パラレルワールド」的な場所で、‥でもきっとカタルたちは「本物」そして、あの雷も本物。
まるでわけがわからない。
ヒジリは水と土の属性で雷の属性は無かったはずだ。だから、雷の攻撃魔法が使えるわけがない。だけど、あの雷はヒジリが叫んだあとにあの樹に落ちた。
分からないことだらけだ。
「‥それで、何があったんですか? 」
ラルシュとナラフィスが俺の両脇にしがみつきながら聞いてきた。
俺は、
自分でもよく分かっていないが
さっきあったことをその通り話す。
ラルシュ似の男と黒髪のアジア系美人が焦れ焦恋愛劇場劇場を繰り広げていたこと。
二人には自分たちが見えていなかったようだってこと。
カタルとネルとナツミがその場に現れたこと。
カタルが自分を覚えていたこと。
ヒジリがカタルたちに「目くらまし」の為に「氷の龍」という攻撃魔法を仕掛け、敵がそれを打ち落としている間に大きな白い花の咲く樹に走り寄り、樹に雷を落として、縦半分に割れた樹の半分が炎をあげてカタルたちに襲い掛かり、その隙に逃げて来た。
って話。
「その時‥ヒジリはなにか言わなかった? 」
冷静な顔をしたナラフィスが俺を見る。
ひや‥と背中が冷たくなった。
それ程‥その顔には迫力があった。
「‥確か「早送り」と‥」
そう‥
早送り。
そうだ。
ヒジリは一言も「雷! 」なんて言っていない。
早送り? ‥早送りって何だ? DVDとかの‥あれか?
なんであそこで「早送り」? 聞き間違えたのかな‥
それとも、とっさにヒジリが「言い間違えた」?
焦って‥
でも、それなら「停止! 」で止めた方が‥
それに、ヒジリはあの時、気が動転していた様子はなかった。
あれは、言い間違えなんかじゃない。
言い間違えじゃないとしたら‥。
ヒジリは‥何を早送りしたかったんだ?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる