リバーシ!

文月

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十七章 お試し「乙女ゲーム」

2.俺の中の「女の子」

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(side ヒジリ)


 うわぁあ~! 
 可愛い! 
 可愛いが過ぎる‥っ!
 ホント‥
 
 ‥可愛い! 

 ホントに可愛いものを前にすると、今までの(国語の)勉強とか全部無になる。語彙力なんて、塵芥(知ってる? これ、ちりあくたって読むの! 習っても使うことないよね! )よく美辞麗句を並べる‥とか言うけど、あれってホントに感情がこもらないから出来ることだよね! ホントに感情がこもって感動したりしたら‥「絵にもかけない美しさ」あれ! 絵にすら‥言葉どころじゃなくって、絵にすら描けないってなるよね! (いや、そもそも絵なんか描けないけど‥。きっと今だったら「写真でも表し切れない」とかいうんだろうか?? )

「ヒジリ様? 」
 うわぁ~! 可愛いのが首を傾げた! もう可愛いが‥苦しい‥。
 最後に俺が見た風景は「ヒジリ様!? 」って可愛いのが駆け寄ってくるのと‥ナラフィス先生が俺を支えようとして‥失敗して俺を落としたところ。(ナラフィス先生力ないから。それと、俺が結構重いから。身長もあるんだよ?! 重いだけじゃないよ?! あとさ! やっぱり‥筋肉あるしね?! ←‥ナラフィスの体力がないだけで、ヒジリは普通に軽い。あと、きっとマリアンちゃんだったら例え下敷きになったとしても落とさなかっただろう)
 痛い‥痛いけど‥マリアンちゃんの膝枕‥柔らかい‥。気持ちいい‥。
 マリアンちゃん優しい。落ちた俺を気遣って、「大丈夫ですか? 」って膝枕してくれるとか‥! 女神か‥!
 おい、ナラフィス先生そこで「‥僕ですらまだしてもらったことないのに‥っ! 」って俺を恨みがましい目で見ないの! 

「おい! ヒジリ、にやにやするな! もう起きれるんだったら、マリアンちゃんの膝から降りろ! マリアンちゃんの膝が痛くなるだろ!! 女の子には優しくって教わらなかったのか!? 」

 (恨みがましい視線だけじゃなくて)悪口も出ちゃってるよ!! 大人気ないよ!

 ‥ナラフィス先生‥いつも俺の扱いはいい方ではないけど‥そこまで酷くはないですよね‥。
 ‥ってか、それ以上に‥ナラフィス先生「女の子に対する扱い方」って知ってたんだ‥ってことに驚いたよ。
 普段は俺を女扱い(多分)してるくせに‥ホントは男だと思ってたんだ‥。いや、「(僕にとって)マリアンちゃん以外女じゃない」ってことですかね? なんかいいですね。(にんまり)

「‥気持ち悪いな‥ほんっと‥降りたら? お願い、降りて‥」
 うわ~、ヤバいものを見る視線になったよ。
 ホント嫌そう‥。

 ‥はいはい。


 なぜ、こんなことになってるのかというと‥。
 あの‥俺の問題発言に激怒したナラフィス先生が「ヒジリ! お前は、ちょっとこの会議から離れろ! ‥なんか、ここに居たらお前‥‥‥
 人として、何かを見誤ったまま暮らしていきそうな気がする‥」
 って言ったんだ。
 ‥どういう意味だ?

 で、直ぐに俺の家族に連絡して、俺は会社に一週間の休暇の連絡を入れさせられて‥家で寝てた俺の本体を連れて‥ここにこさされた、ってわけ。

 ここってどこだって?
 
 城内に建てらえたナラフィス先生の新居ですよ! っていっても、まだ内装はすんでない。新婚夫婦が住むためにってラルシュとサラージ様が用意したんだって。
 城内に。
 急遽。(きっと我が儘言って、大工さんに急いで作らせたんだろう。‥聞いてみたら、これは魔法で作られてる、とのことだった。魔法って凄いね)
 今までナラフィス先生ってどこに住んでたんだろう? ってちょっと疑問に思ったから聞いてみたら「研究室に住んでた」って言われた。
 納得。
 だけど、
「まさか、マリアンちゃんもあそこに住ませるわけにはいかないからね~。(他の研究員も近くに住んでるし)城の近くの中古物件を探してたらラルシュ兄弟が用意してくれるって言ってさ‥。(というか、「絶対用意する、それ以外は許さない」と言われた。‥好意だと信じたい。まさか、死ぬまでこき使うために、城の外に出さないんじゃ‥と思ったが今は口にしないでおく。‥婚約者出来たのに、密かに消されたくない)」

 仲いいもんね! 親友の為に家とか! 流石プレゼントするものがでっかいね!
 俺は、ラルシュたちの友情にじ~んと来たね!

 研究室と小さなキッチンのついたダイニング(マリアンちゃんが料理を作るってわけではないらし。食事は、喫茶室から毎日メイドさんが届けることになってるらしい。マリアンちゃんは貴族だからね~。でも、お菓子作りが趣味なのとお茶を淹れるのに必要だからキッチンはつけてもらった‥とのことだった)リビング的な部屋、夫婦の寝室、子供部屋? 客間‥位のこの国にしてはこじんまりした家だった。
 メイドはマリアンちゃんの身の回りの世話をする人が一人とお掃除、お洗濯をするメイドさんが一人。
 高位貴族(サラージ様のこの間の話によると、ナラフィス先生は王子の従兄弟)のお家にしては小さすぎるかな? って感じだけど、ナラフィス先生がそういう「ザ、お屋敷! 」のが嫌いらしいから仕方が無いらしい。
「お前たちとは城で毎日会ってるだろ。‥新居に遊びに来るなよ」
 ってサラージ様たちに言ってたから‥「遊びに来られないように」小さくしたのかも? 

 まあ、白くってお洒落で可愛い家だよ。
 フワフワ可愛いマリアンちゃんにピッタリなんだ! もう、可愛いの国のお姫様みたいに可愛いの! 
 髪の毛はフワフワさらさら~だし、水色の目も大きくって、キラキラしてるし、色白で肌が綺麗でつるつるしてて‥身体も華奢で細いのに‥おっぱいは大きいの! 
 可愛い感じなんだけど、ロリっぽくはないの。
 人形みたいに綺麗で可愛いのに、出るとこ出てるから、なんかそこがエッチな感じ! もう見てるだけでふわふわ~ってなっちゃうよ! う~ん! 柔らかそうなお胸とかお膝にすりすりしたくなる!
 ナラフィス先生ってば、エッチ~! (←何が)

「‥デレデレするなよ‥ヒジリ‥ホント、頼むから僕のマリアンちゃんをそんな目で見つめないで‥。マリアンちゃんが真っ赤になってるじゃないか‥」
 呆れ顔で俺をマリアンちゃんの膝から引っぺがして‥
 ヒジリはこんなだけど、顔だけはいいから‥
 ってぼそり、と呟いた。俺に言ったわけでは無い、独り言で、だ。聞こえてるぞ。
 ‥どんなだ。俺をナラフィス先生は「どんなだ」と思ってるんだ?

「ほん‥とに、綺麗‥」
 マリアンちゃんがぽ~とした顔で俺を見ている。
 そうか、ナラフィス先生、俺にぽ~となるマリアンちゃんを見て面白くなかったんだな! 仕方ないよ、俺はリバーシとしての魔力全部集めたくらい綺麗だから‥。
 ほんっと、無駄な魔力の使い方だよね!
 外身はこれでも、中身は「アレ」だもんな。ホント、残念だよね! 

「ヒジリは、今まで男として暮らして来たから、男を恋愛感情として見れない感じなんだ。せっかく周りがキラキラした美形ばっかりだってのに、勿体ない‥と思ってさ~。
 だから‥ここでちょっと気分を変えた方がいいんじゃないかな‥と思ったわけだ。
 これから先のことを考える際に、ヒジリがどうなりたいかっていう‥ヒジリの意思が重要になって来るわけだしさ。‥今のままだったら、選択の基準が「国益」とかそういうふうになっちゃうだろ? 
 そう言う事じゃなく‥
 ヒジリがどうしたいか。
 誰との未来を過ごしたいか。‥誰が好きなのか。
 俺はね、ヒジリは女として暮らす道を模索しているように見えるんだ。
 やっぱりそれは自分がホントの性別が女だったって‥頭で理解してるから‥だと思うんだ」
 ふ~ん。‥ナラフィス先生色々考えるタイプなのね。
 でも、まあ‥そう‥かも。
 この頃‥ラルシュとかサラージとか神級の美形見慣れてきて、全然ドキドキとかしてないかも。
 俺とラルシュの恋愛を望んでるナラフィス先生にはそれが不満だ、と。そういうこと‥かな? 

 ナラフィス先生は、俺の表情を確かめて軽く頷くと(概ね理解できてるって思ったんだろう)
「だから、少女時代を過ごしたここで暮らしてみたら、何か当時の感覚っての? そういうのを思い出すかもしれないかなって。
 今は忘れてたとしても、ここで暮らしていればその感覚を思い出すやもしれん。
 どうせなら、女の子の中の女の子、可愛い僕のマリアンちゃんと暮らしてみたら、「女らしさ」もいいかも~って思う‥かなあって思って。あれだ、触発されるって奴だ」
 ‥マリアンちゃん自慢したかったってことだね。つまり。
 お前もマリアンちゃん見習って女らしくなってみろ、ってことか!? いつの時代の人やねん! 
 ‥多分それは‥考え過ぎだ。(マリアンちゃん自慢はホントだろうけど)
 「女として」ここで住むのに、マリアンちゃんと一緒に住む方がいいように思った‥単純にそれだけだろう。女同士だからってのもあるだろうし、何よりも、自分の事をあまり知らないマリアンちゃんになら、何をしても「らしくない」って思われないから。「らしくない」って思われるって心配をしなくていいから。
 ナラフィス先生は俺のこと、普通に女として扱ってくれてるんだ。(口ではああいう言い方してるけど)

「‥ありがと。ナラフィス先生。
 ‥マリアンちゃん、‥よろしくお願いします」

 マリアンちゃんが真っ赤な顔で俺を見つめたまま‥頷いた。
 可愛い‥

 俺は、マリアンちゃんとの「新鮮な生活」の中で、俺の中の「女の子」と向き合っていこう‥って思ったんだ。
 照れたり、「俺は男だから」に逃げたりせずに‥だ。
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