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22.柊の兄ちゃんの生家は‥どうも普通じゃない家の様です。(side 梛木)
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「八卦?! 」
俺は、柊の兄ちゃんから八卦の言葉が出たことに驚いて目を見開いた。思わず叫んじゃったら、柊の兄ちゃんもちょっと驚いた顔を一瞬した。(‥様な気がした、相変わらず無表情だけど)
‥まあ、急に叫んだら驚くよね。気をつけよう。
柊の兄ちゃんは微かに頷いて、
「この頃梛木、易の本を読んでるよね。だから、こっちの方がいいかなって思ったけど、梛木はそんな子供向けのものよりこっちの方がいいかなって‥」
って柊の兄ちゃんは言った。
こっちって、例の木箱のことだ。木箱の中でも最上級って感じの‥例のアレ。汚したらショックで寝込む‥っ! って感じのアレ。きっとアレ、桐箱って奴だ。‥よくわかんないけど。‥軽いからそうじゃないかな~って。
「ああ‥易」
俺は内心で「そりゃああの豪華なカルタの方がいいよ」とか思ってるのがバレないように、何気ない風を装って言った。
しかし‥
易の本、こっそり読んでるつもりだったけど、気が付かれてたんだ。
って思ったけど、別に‥考えればこっそり読む必要もないし、隠す必要もないなって思った。
俺が
「気を遣ってくれてありがとう。俺、あのカルタ気に入った。
‥ところで、その‥『魂の門』のカードはあるの? それも見たいなあ」
って言ったら、柊の兄ちゃんは首を振って
「あれはない。分家で持ってる家はないんだ。本家にしか置いてないんじゃないかな? 」
って言った。
「そっか」
そっか‥ないのか。
「で‥それはどういうゲームなの? 」
俺が聞くと、柊の兄ちゃんは頷いて説明を始めた。
(以下、柊の兄ちゃんの説明通り)
『魂の門』は、簡単なカードゲームの様なものだ。
絵札には、八卦に基づいて分類された神の絵が描かれている。そして、名前と卦が書かれ、番号がふられている。
なんてことはない。1~10までの「何となく」な数字だ。
乾10 イザナミノミコト
‥みたいな(あくまでも例えば。柊の兄ちゃんはそんなに詳しく覚えてないらしい)、何となく納得するような、まあ、何となくの数字がふってある。(作った人の主観だろうか)
遊び方は‥まあ、トランプのようなもんだと思えばいい。違うのは、その絵柄が全部違うのと、1~10までしかないことと‥あと、八卦だからそれぞれ8種類あること。
「成程」
俺は頷いて続きを促した。柊の兄ちゃんも頷いて続きを話し始める。
(以下、柊の兄ちゃんの説明通り)
『八卦合わせ』ルール
手札は一切配られず、自分以外のものが自分の持ち札を触ることはない。
先ず、一つに積まれた「やま」の中から、自分で適当な八枚を選ぶ、プレーヤーが総て八枚の札を選び終えたら、「やま」の周りにやまから適当に八枚の札を並べる(場の札と呼ばれる)。その後、プレーヤーは自分の持ち札を見て、その後は順番に八卦の卦が総て揃うまで持ち札と、場の札を交換する。
揃ったところで、ストップを掛け、カードを見せる。
卦が揃っていることは前提だ。
その上で、卦の横に書かれた番号を合計し、その合計点数が多い者が勝者となる。
つまり、最高得点は80点というわけだ。
ほぼ、トランプゲーム「51」と同じルールなのだ。
「成程。確かに簡単だね」
ただ、ヤマに80枚のカードが積まれている‥どれくらいの厚みのあるカードか知らんが、ちょっとした威圧感を感じる光景だよな。‥しかも、きっとカードには例の美麗な神様の絵が描いてあるんだよね。
‥なんかの儀式みたい‥。
俺は苦笑いした。
それを幼い子供たちが集まってやってるのか~。
‥大人しくやるのか? 今どきの子供がそんなもので遊ぶのか??
どういう状況なんだろ。
大人は大人で集まって酒飲んで、子供は子供で遊ぶって一般家庭でよくある「正月の集まり」だったら、そのうちカードはめっちゃめちゃにほっぽり出されるのがオチだけど、聞けばめっちゃ高そげな感じ? 値段的なものだけじゃなくて、一族的に大事にされてるカードっぽい。‥だから、そんな扱いされて許されるわけないわな。
大人のうちの誰かが一人、子守がてらそれとな~く監視してるって感じかな?
そんな風に思ってたら柊の兄ちゃんが
「これは八卦に親しみながら、神の名前を覚えてもらうという意図なんだけど‥ホントの目的は、子供たちの‥能力を調べること。だから、本家はこれを正月に行うんだ。
子どもの親もそれに何となく‥気付いているから、真剣になって我が子の様子を見守ってるってわけだ」
おう‥まさかの「子供は遊びだと思ってるけど、周りの大人は真剣」っていうパターン。
面接試験やなんかの「グループディスカッション」みたいな感じかな? デスカッションしてる様子で積極性とか協調性も見てます~と同じで、ゲームをしてる姿勢やなんかを見てる‥的な? 真面目にできない奴とか見込みないよ~って感じなのかな? 見込みって‥ほらあれだ。なんか‥「あの子は偉いね、これからはあの子をあの子供たちのリーダーにするように」みたいなことが決まる‥みたいな感じかな?
「能力って? これからの本家の将来を担う、後継者としての資質‥的な能力? 」
俺が聞いてみると、柊の兄ちゃんは首を振って
「いいや? そのままの意味の能力。
さっき言ったでしょ? 札に1~10までの番号が振ってあるって。その番号が大きいものを引き当てた子供がより能力が高いんだよ」
って言った。
俺はぽかーん、だ。
‥なにそれ、適当過ぎん??
「え? そんなの偶然じゃん。運の問題でしょ? 」
俺はきっと呆れた顔をしていただろう。
何言ってんだ? そんなのに大人まで一喜一憂とか‥大丈夫? って感じだ。
だけど柊の兄ちゃんは、
「あ~。多分、あのカード自体が特別なカードなんじゃない? だから「引き当てた」だよ。
運も実力の内、じゃないけど、そういう「めぐり合わせ」的なものがあるんじゃない? 」
って、ホントに何でもない様な口調で言った。
‥そういうもんなのかなあ。
それも、易ってのに関係ある‥みたいな感じ?
俺は何となくわかったって感じで頷いた。(実際は、まだ「なんだかなあ」って思ってるけど、それ以上柊の兄ちゃんに言っても仕方がないことじゃん? )
俺が苦笑いして
「柊の兄ちゃんってそういうの信じない人だと思ってた」
って言ったら、柊の兄ちゃんは
「‥信じないとかじゃないんだよ。あ、そうだよねって納得する。‥そんな感じ」
って、苦笑いして言った。
見ないと分からない。「見たら」納得する‥そういうことあるかもねえ。
ちょっと興味を持った。
俺が
「見てて分かる? 」
って柊の兄ちゃんの顔をじっと見たら、
「うん」
って柊の兄ちゃんが頷いた。
「楠程「これは違う」って風の奴は居なかったけど、ぼや~っと「こいつは‥なんか違うな」って奴はいた。そしたら、案の定「そう」なんだ」
案の定「そう」
‥つまり、予想通りってわけか。
昔から兄ちゃんには何かが分かったってわけだな。
「‥成る程ねえ」
俺は聞かせるでもなく呟いて頷いて、柊の兄ちゃんに
「そういう子は、どういう結果が出るの? ‥能力が高いってどういう状態なの? 全部揃うってこと? 全部揃うのは全員か‥。それこそ、80点に近い点数がでるってこと? 」
って聞いてみた。
柊の兄ちゃんが首を振る。
「そうでもない。ってか、そういうもんじゃないと思う。
だって、その子は‥」
「あ、待った。同じ卦ばかり揃うってこと? その‥「なんか違うな」って子は」
俺は、柊の兄ちゃんの言葉にかぶせるように言った。
柊の兄ちゃんが二っと笑って頷く。
「そういうのをさ、本家の偉いさんたちは全部見てるの。一番初めに「引き当てた」カード、「これを残そう」って考える子供の決断とか、次に引き当てたカードとか、最終的な結果とか‥それら全部を鏡で見てるんだ」
「鏡? 」
俺が反芻する。
心臓がドクンと大きく打って‥苦しくなった。
何か怖い‥そんな感じがした。
だって、鏡って‥何となくホラーなWordだよね。(いや、何となく、ね? だって合わせ鏡とか怖いじゃない)
ごくりと唾をのみ込み、
「監視カメラとかじゃなくて、鏡? 」
俺が確認したら柊の兄ちゃんは頷いて、「鏡」って繰り返すと、またニッと笑った。
「それが俺たちの一族の中で一番大事なものなんだ」
俺は、柊の兄ちゃんから八卦の言葉が出たことに驚いて目を見開いた。思わず叫んじゃったら、柊の兄ちゃんもちょっと驚いた顔を一瞬した。(‥様な気がした、相変わらず無表情だけど)
‥まあ、急に叫んだら驚くよね。気をつけよう。
柊の兄ちゃんは微かに頷いて、
「この頃梛木、易の本を読んでるよね。だから、こっちの方がいいかなって思ったけど、梛木はそんな子供向けのものよりこっちの方がいいかなって‥」
って柊の兄ちゃんは言った。
こっちって、例の木箱のことだ。木箱の中でも最上級って感じの‥例のアレ。汚したらショックで寝込む‥っ! って感じのアレ。きっとアレ、桐箱って奴だ。‥よくわかんないけど。‥軽いからそうじゃないかな~って。
「ああ‥易」
俺は内心で「そりゃああの豪華なカルタの方がいいよ」とか思ってるのがバレないように、何気ない風を装って言った。
しかし‥
易の本、こっそり読んでるつもりだったけど、気が付かれてたんだ。
って思ったけど、別に‥考えればこっそり読む必要もないし、隠す必要もないなって思った。
俺が
「気を遣ってくれてありがとう。俺、あのカルタ気に入った。
‥ところで、その‥『魂の門』のカードはあるの? それも見たいなあ」
って言ったら、柊の兄ちゃんは首を振って
「あれはない。分家で持ってる家はないんだ。本家にしか置いてないんじゃないかな? 」
って言った。
「そっか」
そっか‥ないのか。
「で‥それはどういうゲームなの? 」
俺が聞くと、柊の兄ちゃんは頷いて説明を始めた。
(以下、柊の兄ちゃんの説明通り)
『魂の門』は、簡単なカードゲームの様なものだ。
絵札には、八卦に基づいて分類された神の絵が描かれている。そして、名前と卦が書かれ、番号がふられている。
なんてことはない。1~10までの「何となく」な数字だ。
乾10 イザナミノミコト
‥みたいな(あくまでも例えば。柊の兄ちゃんはそんなに詳しく覚えてないらしい)、何となく納得するような、まあ、何となくの数字がふってある。(作った人の主観だろうか)
遊び方は‥まあ、トランプのようなもんだと思えばいい。違うのは、その絵柄が全部違うのと、1~10までしかないことと‥あと、八卦だからそれぞれ8種類あること。
「成程」
俺は頷いて続きを促した。柊の兄ちゃんも頷いて続きを話し始める。
(以下、柊の兄ちゃんの説明通り)
『八卦合わせ』ルール
手札は一切配られず、自分以外のものが自分の持ち札を触ることはない。
先ず、一つに積まれた「やま」の中から、自分で適当な八枚を選ぶ、プレーヤーが総て八枚の札を選び終えたら、「やま」の周りにやまから適当に八枚の札を並べる(場の札と呼ばれる)。その後、プレーヤーは自分の持ち札を見て、その後は順番に八卦の卦が総て揃うまで持ち札と、場の札を交換する。
揃ったところで、ストップを掛け、カードを見せる。
卦が揃っていることは前提だ。
その上で、卦の横に書かれた番号を合計し、その合計点数が多い者が勝者となる。
つまり、最高得点は80点というわけだ。
ほぼ、トランプゲーム「51」と同じルールなのだ。
「成程。確かに簡単だね」
ただ、ヤマに80枚のカードが積まれている‥どれくらいの厚みのあるカードか知らんが、ちょっとした威圧感を感じる光景だよな。‥しかも、きっとカードには例の美麗な神様の絵が描いてあるんだよね。
‥なんかの儀式みたい‥。
俺は苦笑いした。
それを幼い子供たちが集まってやってるのか~。
‥大人しくやるのか? 今どきの子供がそんなもので遊ぶのか??
どういう状況なんだろ。
大人は大人で集まって酒飲んで、子供は子供で遊ぶって一般家庭でよくある「正月の集まり」だったら、そのうちカードはめっちゃめちゃにほっぽり出されるのがオチだけど、聞けばめっちゃ高そげな感じ? 値段的なものだけじゃなくて、一族的に大事にされてるカードっぽい。‥だから、そんな扱いされて許されるわけないわな。
大人のうちの誰かが一人、子守がてらそれとな~く監視してるって感じかな?
そんな風に思ってたら柊の兄ちゃんが
「これは八卦に親しみながら、神の名前を覚えてもらうという意図なんだけど‥ホントの目的は、子供たちの‥能力を調べること。だから、本家はこれを正月に行うんだ。
子どもの親もそれに何となく‥気付いているから、真剣になって我が子の様子を見守ってるってわけだ」
おう‥まさかの「子供は遊びだと思ってるけど、周りの大人は真剣」っていうパターン。
面接試験やなんかの「グループディスカッション」みたいな感じかな? デスカッションしてる様子で積極性とか協調性も見てます~と同じで、ゲームをしてる姿勢やなんかを見てる‥的な? 真面目にできない奴とか見込みないよ~って感じなのかな? 見込みって‥ほらあれだ。なんか‥「あの子は偉いね、これからはあの子をあの子供たちのリーダーにするように」みたいなことが決まる‥みたいな感じかな?
「能力って? これからの本家の将来を担う、後継者としての資質‥的な能力? 」
俺が聞いてみると、柊の兄ちゃんは首を振って
「いいや? そのままの意味の能力。
さっき言ったでしょ? 札に1~10までの番号が振ってあるって。その番号が大きいものを引き当てた子供がより能力が高いんだよ」
って言った。
俺はぽかーん、だ。
‥なにそれ、適当過ぎん??
「え? そんなの偶然じゃん。運の問題でしょ? 」
俺はきっと呆れた顔をしていただろう。
何言ってんだ? そんなのに大人まで一喜一憂とか‥大丈夫? って感じだ。
だけど柊の兄ちゃんは、
「あ~。多分、あのカード自体が特別なカードなんじゃない? だから「引き当てた」だよ。
運も実力の内、じゃないけど、そういう「めぐり合わせ」的なものがあるんじゃない? 」
って、ホントに何でもない様な口調で言った。
‥そういうもんなのかなあ。
それも、易ってのに関係ある‥みたいな感じ?
俺は何となくわかったって感じで頷いた。(実際は、まだ「なんだかなあ」って思ってるけど、それ以上柊の兄ちゃんに言っても仕方がないことじゃん? )
俺が苦笑いして
「柊の兄ちゃんってそういうの信じない人だと思ってた」
って言ったら、柊の兄ちゃんは
「‥信じないとかじゃないんだよ。あ、そうだよねって納得する。‥そんな感じ」
って、苦笑いして言った。
見ないと分からない。「見たら」納得する‥そういうことあるかもねえ。
ちょっと興味を持った。
俺が
「見てて分かる? 」
って柊の兄ちゃんの顔をじっと見たら、
「うん」
って柊の兄ちゃんが頷いた。
「楠程「これは違う」って風の奴は居なかったけど、ぼや~っと「こいつは‥なんか違うな」って奴はいた。そしたら、案の定「そう」なんだ」
案の定「そう」
‥つまり、予想通りってわけか。
昔から兄ちゃんには何かが分かったってわけだな。
「‥成る程ねえ」
俺は聞かせるでもなく呟いて頷いて、柊の兄ちゃんに
「そういう子は、どういう結果が出るの? ‥能力が高いってどういう状態なの? 全部揃うってこと? 全部揃うのは全員か‥。それこそ、80点に近い点数がでるってこと? 」
って聞いてみた。
柊の兄ちゃんが首を振る。
「そうでもない。ってか、そういうもんじゃないと思う。
だって、その子は‥」
「あ、待った。同じ卦ばかり揃うってこと? その‥「なんか違うな」って子は」
俺は、柊の兄ちゃんの言葉にかぶせるように言った。
柊の兄ちゃんが二っと笑って頷く。
「そういうのをさ、本家の偉いさんたちは全部見てるの。一番初めに「引き当てた」カード、「これを残そう」って考える子供の決断とか、次に引き当てたカードとか、最終的な結果とか‥それら全部を鏡で見てるんだ」
「鏡? 」
俺が反芻する。
心臓がドクンと大きく打って‥苦しくなった。
何か怖い‥そんな感じがした。
だって、鏡って‥何となくホラーなWordだよね。(いや、何となく、ね? だって合わせ鏡とか怖いじゃない)
ごくりと唾をのみ込み、
「監視カメラとかじゃなくて、鏡? 」
俺が確認したら柊の兄ちゃんは頷いて、「鏡」って繰り返すと、またニッと笑った。
「それが俺たちの一族の中で一番大事なものなんだ」
応援ありがとうございます!
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