今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

文月

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今世は『私の理想』の容姿らしいけど‥到底認められないんです! 

ハヅキ順調に成長する。但しまだ無自覚。

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 生まれてくる顔は、選べない。
 私の場合「神様(担当者さんとか)」が選んでくれなかったってことなんだけど‥、それでいいと思う。
 依怙贔屓とかよくないよね。(ってか、依怙贔屓とか担当さんしてくれないよ。あの人普通に冷たいから‥とハヅキは思っている。実は結構担当さんもハヅキびいきだし、神様なんて凄いハヅキに甘々なんだけど、そんなことをハヅキは知らない。アレだ。親の心子知らずって奴だ)
 ‥てか、そんなこと今更言っても無駄だよ。
 そんな無駄なことに時間割くとか、ホント無駄。
 運命に裏切られた‥とかってさ、運命に期待してるから裏切られるわけじゃない? 最初っから期待しない方がいいんだよ。
 不幸な境遇(ってか、顔限定!! )のことを悲しむんじゃなくて、持ってる幸運を最大限に利用して楽しまなきゃ!
 持ってる幸運
 貴族であること(つまりお金がある)
 実はあたしは服飾系の技術が沢山ある。
 この顔を化粧する腕がある。(そりゃあもう、この顔歴が長すぎるから、この顔を化粧する術は誰よりもある)
 ブス扱いに慣れている(慣れているだけで、悲しくないわけでは勿論ない。出来れば、そっとしておいて欲しい)
 光魔法が使える!!
 ‥ポジティブに考えたら‥あたしってかなり恵まれてない?
 顔がこれってだけだ。
 ‥顔がこれって言うのは、‥別にそれ程不幸でもない気がする。
 顔がこれでもお金もあるし、後は手に職持ってたら‥馬鹿にする奴とか「へ~ん、アンタらあたしより持ってるもん少ないだろ? 負け犬の遠吠えですか~?? 」って言ってやればいい。言わないけど‥こころの中では‥そんな感じで。

 でもさ、お金あるって言っても、あるのは親の金だからね? それで威張られてもって感じだよね。ダサいよ、ダサすぎる。
 手に職。
 あたしの場合、自分の手に職スキルを利用すると‥
 1.ブティック経営する
 2.髪結い(メークアップアーティスト的な感じ)になる。
 3.治療師になる。
 の三択だ。じゃあどれを選ぶか。どれでいいけど‥「将来こうなりたい」って考えて、それに一番直結してそうなものを選ばねばならん。
 金持ちの知り合いをいっぱい作りたいとかなら1かな。2なら、女の子の喜ぶ顔を見れてやりがいもありそう。でも‥あたしが真に求めてるのは? この二つか? いや、違う。あたしの真の目標は‥「イケメンを助けて、恩を売って、結婚したい」だ。
 世俗的って? 放っておいて欲しい。
 あたし好みのイケメンとは? 出来れば騎士様で‥顔は(出来れば)卵型で、鼻筋が通ってる方がいい。薄い唇と、あと、意志の強そうな眉と輝く瞳、実は一重で切れ長の目が好き‥だけどそこは‥アレだ。そこまで贅沢は言わん。寧ろ優先度高いのは、痩せ型で背が高い細マッチョだ。
 そういう人たち、ブティックそんなに用事なさそうじゃない? それこそ「婚約者に強請られて‥」とかいう用事じゃなきゃブティック来ないっしょ(偏見)髪結いも然り。じゃあ‥治療師一択じゃない? 
 怪我はするっしょ。
 だって、騎士様なんだもの。 
 違う道もあるかもしれんが‥あたしはその道を選びたい。‥一番確実な気、するんよ。
 では、この道を選ぶべく、計画を立てようと思う。
 まず学校に行く前に教会で治療のボランティアをする。そこで「つかえるね、君。どう職員にならん? 」って風に‥そのまま就職する。
 完璧やね。
 だが‥
 今現在、学校に行く前に教会で治療のボランティアをするという地点から躓いてる。
「お嬢様が教会に? ‥それ以前にお一人で街に!? 」
 この許可がそもそも下りなかった。ええ!? そこからか!? 結構序盤から躓いてないか!? 
 もう、けんもほろろだ。
 端っから話も聞いてもらえない。  
「誘拐されるでしょう! (※ 年とかではなく、ハヅキが半端ない美人だからなんだが、それがハヅキには理解できない。だけど、周りの者にとっては「それはあたりまえのこと」でわざわざ言うまでもないことなんだ)」
 って子供扱いされる。
 そりゃあ今のあたしは子供だが、あたしはこの家の誰より人生経験が豊富だ。「お菓子あげるよ」とか言われてもついてかないぞ!?  
 あたしが「そそのかされてもついて行きません」「怪しい人見たら逃げます」って反論すると、
「‥いえ、誘拐犯は無言で攫って行くもんですよ」
 って呆れ顔をされた。
 ‥そうね。そりゃそうだよね。
 でも‥あたしんちよりもっと裕福な家も多いですから‥何もあたしなんか(※ 中堅の金持ち。そして、不美人だから親からそう愛されているように見えない。‥自分で言ってて情けなくなってきた)を狙わんでも‥
 あたしがメイドさんに言うと、メイドさんは大きくため息をついて、
「誘拐犯はこちらの懐具合なんて知りませんよ。貴族=お金を持ってるって思うもんです」
 ‥この人、仮にも担当するお嬢様に容赦ねえな‥。
 でも、なるほどね~。
 そりゃそうか。見た目じゃ分からんわな。貴族=金持ちって思うわな。平民の子供より貴族の子供攫うわな。
 ってことは‥
「平民の格好すればいいんだね? 」
 なら、もう、完璧平民だ。地味顔だから。
「‥‥‥」
 うわ~凄い「呆れた。何だこのガキ」って顔になってる~。(※ ハヅキの思い込み。メイドさんからすれば「お嬢様の顔の価値がそんなもんぐらいで下がるわけないでしょう!? って呆れてるんだ)
「でもね。私は(※ 人前ではまさかあたしとは言えない。貴族だから)将来世の為人の為になるような人間になりたいの。どうやら私は魔力を持ってるようだから‥それをつかって、治療とかしたいの。  
 治療っていえば‥教会じゃない?
 そりゃね。
 私はまだ子供だけど‥労働力はいないよりはいた方がいい。質より量だと思うの。
 私でもちょっとは役に立つと思うの」
 って一生懸命メイドの目を見上げながら言ったら、
 ‥天使様か‥っ! (メイド、心の声: 上目遣いの美少女の威力半端ない!! )
 とか‥何かもごもご小声で呟いて真っ赤になってメイドが俯いた。
 ‥どうやら私の熱意が伝わって感動してくれたようだ。きっと今頃こころの中で「感動したわ。何とかしてあげたい。でも‥そんなこと言われても‥下っ端のメイドの私にはどうすることも出来ないわ‥。どうしよう‥」って悩んでいるに違いない。
 そうね、下っ端のメイドじゃどうしょうもないわね。
 どうしようもないことを頼んでしまって悪かったわ。‥この子、結構いい子なのね。出来るだけ迷惑かけないように暮らしましょう。幸いあたしは一人で何でもできるから、出来るだけ手を煩わさないようにしましょう。‥そうね、このことも‥執事に頼んでみましょう。これ以上この子を困らせるのはかわいそうだからね。
「分かったわ。もういい。ごめんなさいね」
 にっこり微笑んで言ったら、が~んって顔された。「そ‥そんな‥お嬢様‥無力な私を見捨てないで‥」って呟いてる。‥あ、そっか。メイドさんだもんね? あたしに「もういい、クビ」って言われたら仕事なくなるもんね? ‥いや、そんな気は無いですよ。クビにはしません。幸い「そういう意味じゃないわ。これからもよろしくね? 」って誠心誠意言ったら信じてもらえた。‥人間、顔云々より、人間性だと思う。誠意を伝えれば顔がどうであれ、人は信用してくれる。今までは、勝手に自分から「どうせ、あたしの顔のせいで話半分にしか聞いてくれないだろ」って決めつけてた‥やもしれん。そういうの、今世は反省しよう。

 愛想よく。そして‥礼儀正しく、誠心誠意。これ、大事。

 (それはさておき)あたしは教会の件をお父様の執事に頼むことにした。私にはまだ執事はいないからね。
 老齢の執事(ロマンスグレーのイケオジ)は、表情も変えずに
「まだお嬢様は学校に行かれておりませんので魔法の使い方が分かっておられないでしょう? ですから、教会に行かれてもお手伝いすることはないかと」
 と言った。
 マジか。
 ‥そうか。そうだよね‥
 実はあたしは前世魔法学校を卒業したから魔法の使い方は分かるんだけど‥皆は当たり前にそんなこと知らないよね。そうだよね。
 でも‥だからといって引けない。今の内から教会には「居場所」を作っておきたいんよ‥っ! たたき上げの治療師になりたいんよ。学校に行って魔法(聖魔法)学んで、貴族で、治癒魔法の使える「お飾り聖女」じゃ、嫌なんよ。私の望むマッチョは多分‥貴族様より平民(たたき上げ)の方が多いんよ‥!
「‥分かった。でも、見てみたいから‥行ってもいい? 絶対教会の皆さんの邪魔はしないから」
 って言ったら
「旦那様に許可を頂いて来ます」
 って言って‥その後お父様から許可が下り、護衛付きでやっと行けることになった。
 ‥3人もいる? 護衛。
 なんで一人はあたしを抱っこしている? 
 細身の綺麗系じゃなくて、ゴリマッチョ系の「いかにも強そうな騎士」だ。名前はランスさん。平民騎士で、凄い強いらしい。成程、皆が彼を避けるように通ってるよ!! 見た目も如何にも強そうだし、怖そうに見えるもんね! でも、安定感ある~♡ 
 しかし、一応‥
「歩けますよ‥」
 って言ったら、
「誘拐されたらいけませんから(騎士、心の声:地面に置いた瞬間outだ! 絶対誘拐される! 顔を見られてもいけない。顔を隠せ! ゴツイ俺に視線が行くようにして‥絶対お嬢様を見られるな! そして‥俺は絶対離さんぞ! 例え切りかかられてもお嬢様を離しはしないぞ! ‥ってか‥この役目、役得過ぎる‥♡♡)」
 って言われた。
 めちゃ冷静に(騎士の心の中は全然冷静じゃないんだけど、見掛けは冷静)
 教会までの道、危ない道はないと思いますよ? 馬車で教会の近くまで行くんですよね? 
 子供だからって‥過保護過ぎん? 
 でも、全然嫌じゃないからいいことにしよう。
 マッチョ‥好き♡ でも、贅沢言ったらゴリマッチョより細マッチョ派。‥でも、ゴリマッチョも悪くないかも‥あたしは筋肉大好き♡なんか?? 
 黙ってるあたしのことを「怯えている」って勘違いしたのか、中背の優しい顔した丸顔騎士さん・フランドルさん。こっちは貴族の人らしい。(貴族だからか、メイドさんに人気で「絶対結婚したい! 」って皆言ってる。逆にランスさんは平民だからか人気なし。将来の安定度で見たら強さ<資産 なのかしらん。‥とハヅキが思ってるだけで、普通にランスの顔よりフランドルの顔の方が人気なだけ)がロイヤルな笑顔を浮かべて、「彼が怖いんですか? 僕が変わりましょうか? 」って聞いて来た。
 NO!
 優しさより、マッチョです。
 あたしは思いっきり首を振って、ゴリマッチョさんに抱き着いて
「ランスさんがいい」
 て言った。
 フランドルさん「が~ん」、ランスさん「ニヤリ」だ。
 あたしはお金持ちだから、強さ>資産だよ!
 いや~、お金持ちってホント、イイですね~。
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