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「ミーナ様。アークランド王国より、特使が到着されました」
セバスチャンの報告を受け、私とアレクセイ閣下は応接室へと向かった。
そこに待っていたのは、アークランド王国の宰相、ガランド侯爵だった。
かつて王宮にいた頃は、恰幅の良い傲慢な古狸という印象だったが、今は見る影もなくやつれ、頬がこけている。
「……お久しぶりです、ガランド宰相」
私が声をかけると、彼はビクッと肩を震わせ、深々と頭を下げた。
「お、お久しぶりでございます……ミーナ殿。いや、ドラグノフ公爵夫人(予定)」
彼の声は枯れていた。
私の「請求書攻撃」と「黒歴史暴露」によって、胃に穴が空くほどのストレスを受けたのだろう。
「単刀直入に申し上げます。……支払いに参りました」
ガランド宰相は、震える手で重そうな革袋と、数枚の証書をテーブルに置いた。
「これが今回の騒動における賠償金、および慰謝料の全額です。現金が足りなかったので、王室所有の美術品と一部の鉱山権利書で代用させていただきたく……」
「……ほう」
私が中身を確認する前に、アレクセイ閣下が片眉を上げた。
「国が傾くほどの額だったはずだが。よく用意したな」
「は、はい……。国王陛下が『これ以上、息子の恥を晒されてはたまらん』と、王冠以外の全てを売却する覚悟で……」
悲壮感がすごい。
だが、ビジネスに温情は不要だ。
私は即座に計算機を取り出し、証書の価値を現在レートで換算した。
「……計算完了。ふむ、美術品の鑑定額が少し甘い気もしますが、早期解決ボーナスとして受領しましょう」
「あ、ありがとうございます……!」
宰相が崩れ落ちるように安堵の息を吐く。
「では、クラーク殿下とリリィ嬢の身柄を……。彼らはご無事なのですか? まさか、地下牢で拷問を受けているのでは……?」
「拷問? 失礼な。我が領では、捕虜に対しても『労働基準法(ミーナ・ルール)』に基づいた待遇を保証しています」
私は立ち上がった。
「彼らは今、もっとも充実した時間を過ごしていますよ。案内しましょう」
* * *
私たちは馬車に乗り、裏山の鉱山へと向かった。
道中、宰相はずっとハンカチで冷や汗を拭っていた。
「あぁ、可哀想な殿下……。きっと冷たい石の上で、鎖に繋がれて泣いているに違いない……」
到着した採掘場。
そこには、活気ある作業員たちの掛け声が響いていた。
「よし、着きましたよ」
私が指差した先。
トロッコのレールが敷かれた広場で、一際大きな声を上げている男女がいた。
「うおおおお! 見ろリリィ! また大物が採れたぞ!」
「すごぉい! 先輩、その上腕二頭筋のキレ、最高ですぅ!」
「……は?」
宰相が眼鏡をずり落とした。
そこにいたのは、袖をまくり上げ、逞しい筋肉を露出させたクラーク殿下と、作業服の裾を結んで軽快に動き回るリリィ様だった。
二人の顔は炭と泥で真っ黒だが、その瞳はダイヤモンドよりも輝いている。
かつての「虚弱な王子」と「お花畑令嬢」の姿はどこにもない。
そこには、歴戦の鉱夫(マイスター)の如きオーラを纏った「労働者」がいた。
「で、殿下……?」
宰相が恐る恐る声をかける。
「ん? 誰だ?」
クラーク殿下がツルハシを肩に担いで振り返った。
「おお! ガランドか! どうした、そんな貧相な顔をして。ちゃんと飯を食っているのか?」
「へ、陛下のご命令で、お迎えに上がりました……! さあ、国へ帰りましょう! 悪夢のような人質生活もこれで終わりです!」
宰相が涙ながらに手を差し伸べる。
感動の帰国シーンになるはずだった。
しかし。
「帰る?」
クラーク殿下は怪訝そうな顔をした。
そして、隣のリリィ様と顔を見合わせ、二人同時に首を横に振った。
「断る」
「やだもーん」
「……は?」
時が止まった。
「何を仰るのですか! あなたは王太子ですよ!? 次期国王ですよ!?」
「ガランドよ。俺はここで、真実(リアル)を見つけたんだ」
殿下は熱く語り始めた。
「王宮での俺は、ただのお飾りだった。書類にサインをするだけの機械だ。だが、ここでは違う! 俺がツルハシを振るえば岩が砕け、成果(魔石)が出る! 自分の力で世界を変えている実感があるんだ!」
「私もですぅ! ドレス着てお茶飲むより、トロッコ押してる方がご飯が美味しいって気づいちゃいましたぁ!」
リリィ様が力こぶを作ってみせる。
確かに、以前より二の腕が引き締まっている。
「そ、そんな馬鹿な……! 洗脳だ! これは魔女ミーナによる洗脳に違いない!」
宰相が私を睨みつける。
「いえ、適性配置(マッチング)です」
私は冷静に返した。
「彼らはデスクワークには不向きでしたが、単純かつ肉体を酷使する労働においては天才的な才能(タレント)を持っていました。今は我が鉱山のトップランカーです。彼らが抜けると、今月の採掘目標の達成が危ぶまれますね」
「ミーナの言う通りだ! 俺たちはまだ、あの奥にある『伝説の虹色魔石』を掘り当てていない! あれを見るまでは帰れん!」
「帰りたくなぁい! 今日の夕飯はハンバーグなんだからぁ!」
駄々をこねる王族たち。
宰相は白目を剥いて倒れかけたが、アレクセイ閣下が背中を支えた。
「……諦めろ、宰相殿。一度『労働の沼』にハマった人間は、そう簡単には戻らんよ」
「そ、そんなぁ……」
宰相は泣き崩れた。
賠償金を払ったのに、人質が帰宅拒否。
どんな報告書を書けばいいのか、同情を禁じ得ない。
「……仕方ありませんね」
私はため息をつき、宰相の前に立った。
「ガランド様。追加の契約(オプション)を提案します」
「け、契約……?」
「はい。彼らを『海外技術研修生』として、あと半年間ここでお預かりします。その間、彼らが掘り出した魔石の売上は、賠償金の残債と相殺する形にします」
「……は?」
「つまり、彼らが働けば働くほど、貴国の借金が減るシステムです。ウィンウィンですね?」
「そ、そんなことが……」
「殿下、リリィ様。どうですか? 『国の借金を返すために働く』という大義名分があれば、堂々とここで掘り続けられますよ?」
私が提案すると、二人の目がカッと見開かれた。
「おお! それだ! 俺は国のために掘るんだ!」
「私、救国のヒロインになっちゃう!?」
単純だ。
本当に扱いやすい人材である。
「……分かりました」
宰相は力なく頷いた。
もはや彼に選択権はない。
「ただし……半年後には必ず、必ず返してくださいよ……? 王位継承問題がありますから……」
「善処します。まあ、半年後には彼らも飽きているか、あるいは筋肉ダルマになっていて王衣が入らなくなっているかのどちらかでしょうが」
「ううっ……」
こうして、宰相はトボトボと帰っていった。
残されたのは、歓声を上げて再び穴の中へ消えていく元王太子たちの姿だけ。
「……ミーナ」
アレクセイ閣下が、遠い目をして呟いた。
「君は、本当に……」
「何ですか?」
「いや。国を傾けかけた無能な王族を、生産的な労働力に変え、さらに借金返済までさせるとは。……君こそが真の『王』の器なんじゃないか?」
「とんでもない。私はただの『事務屋』ですよ」
私は肩をすくめた。
王になどなったら、公務が増えてコタツに入る時間が減ってしまう。
そんな非効率な人生は御免だ。
「さあ、閣下。彼らが稼いでくれる分、私たちの仕事が減りました。今日は早めに上がって、新しい入浴剤(発泡タイプ)の実験をしませんか?」
「……一緒に入るのか?」
「データ収集のためです」
「……喜んで」
私たちは平和になった鉱山を後にした。
背後から聞こえる「掘れぇぇぇ!」「マッスルゥゥ!」という掛け声は、この領地の新たな名物(BGM)として定着しつつあった。
しかし、私の平穏を脅かす「最後の刺客」が、まだ残っていることを、この時の私は忘れていた。
そう、リリィ様の実家――借金まみれの男爵家である。
彼らが娘の「活躍」を聞きつけて、黙っているはずがなかったのだ。
セバスチャンの報告を受け、私とアレクセイ閣下は応接室へと向かった。
そこに待っていたのは、アークランド王国の宰相、ガランド侯爵だった。
かつて王宮にいた頃は、恰幅の良い傲慢な古狸という印象だったが、今は見る影もなくやつれ、頬がこけている。
「……お久しぶりです、ガランド宰相」
私が声をかけると、彼はビクッと肩を震わせ、深々と頭を下げた。
「お、お久しぶりでございます……ミーナ殿。いや、ドラグノフ公爵夫人(予定)」
彼の声は枯れていた。
私の「請求書攻撃」と「黒歴史暴露」によって、胃に穴が空くほどのストレスを受けたのだろう。
「単刀直入に申し上げます。……支払いに参りました」
ガランド宰相は、震える手で重そうな革袋と、数枚の証書をテーブルに置いた。
「これが今回の騒動における賠償金、および慰謝料の全額です。現金が足りなかったので、王室所有の美術品と一部の鉱山権利書で代用させていただきたく……」
「……ほう」
私が中身を確認する前に、アレクセイ閣下が片眉を上げた。
「国が傾くほどの額だったはずだが。よく用意したな」
「は、はい……。国王陛下が『これ以上、息子の恥を晒されてはたまらん』と、王冠以外の全てを売却する覚悟で……」
悲壮感がすごい。
だが、ビジネスに温情は不要だ。
私は即座に計算機を取り出し、証書の価値を現在レートで換算した。
「……計算完了。ふむ、美術品の鑑定額が少し甘い気もしますが、早期解決ボーナスとして受領しましょう」
「あ、ありがとうございます……!」
宰相が崩れ落ちるように安堵の息を吐く。
「では、クラーク殿下とリリィ嬢の身柄を……。彼らはご無事なのですか? まさか、地下牢で拷問を受けているのでは……?」
「拷問? 失礼な。我が領では、捕虜に対しても『労働基準法(ミーナ・ルール)』に基づいた待遇を保証しています」
私は立ち上がった。
「彼らは今、もっとも充実した時間を過ごしていますよ。案内しましょう」
* * *
私たちは馬車に乗り、裏山の鉱山へと向かった。
道中、宰相はずっとハンカチで冷や汗を拭っていた。
「あぁ、可哀想な殿下……。きっと冷たい石の上で、鎖に繋がれて泣いているに違いない……」
到着した採掘場。
そこには、活気ある作業員たちの掛け声が響いていた。
「よし、着きましたよ」
私が指差した先。
トロッコのレールが敷かれた広場で、一際大きな声を上げている男女がいた。
「うおおおお! 見ろリリィ! また大物が採れたぞ!」
「すごぉい! 先輩、その上腕二頭筋のキレ、最高ですぅ!」
「……は?」
宰相が眼鏡をずり落とした。
そこにいたのは、袖をまくり上げ、逞しい筋肉を露出させたクラーク殿下と、作業服の裾を結んで軽快に動き回るリリィ様だった。
二人の顔は炭と泥で真っ黒だが、その瞳はダイヤモンドよりも輝いている。
かつての「虚弱な王子」と「お花畑令嬢」の姿はどこにもない。
そこには、歴戦の鉱夫(マイスター)の如きオーラを纏った「労働者」がいた。
「で、殿下……?」
宰相が恐る恐る声をかける。
「ん? 誰だ?」
クラーク殿下がツルハシを肩に担いで振り返った。
「おお! ガランドか! どうした、そんな貧相な顔をして。ちゃんと飯を食っているのか?」
「へ、陛下のご命令で、お迎えに上がりました……! さあ、国へ帰りましょう! 悪夢のような人質生活もこれで終わりです!」
宰相が涙ながらに手を差し伸べる。
感動の帰国シーンになるはずだった。
しかし。
「帰る?」
クラーク殿下は怪訝そうな顔をした。
そして、隣のリリィ様と顔を見合わせ、二人同時に首を横に振った。
「断る」
「やだもーん」
「……は?」
時が止まった。
「何を仰るのですか! あなたは王太子ですよ!? 次期国王ですよ!?」
「ガランドよ。俺はここで、真実(リアル)を見つけたんだ」
殿下は熱く語り始めた。
「王宮での俺は、ただのお飾りだった。書類にサインをするだけの機械だ。だが、ここでは違う! 俺がツルハシを振るえば岩が砕け、成果(魔石)が出る! 自分の力で世界を変えている実感があるんだ!」
「私もですぅ! ドレス着てお茶飲むより、トロッコ押してる方がご飯が美味しいって気づいちゃいましたぁ!」
リリィ様が力こぶを作ってみせる。
確かに、以前より二の腕が引き締まっている。
「そ、そんな馬鹿な……! 洗脳だ! これは魔女ミーナによる洗脳に違いない!」
宰相が私を睨みつける。
「いえ、適性配置(マッチング)です」
私は冷静に返した。
「彼らはデスクワークには不向きでしたが、単純かつ肉体を酷使する労働においては天才的な才能(タレント)を持っていました。今は我が鉱山のトップランカーです。彼らが抜けると、今月の採掘目標の達成が危ぶまれますね」
「ミーナの言う通りだ! 俺たちはまだ、あの奥にある『伝説の虹色魔石』を掘り当てていない! あれを見るまでは帰れん!」
「帰りたくなぁい! 今日の夕飯はハンバーグなんだからぁ!」
駄々をこねる王族たち。
宰相は白目を剥いて倒れかけたが、アレクセイ閣下が背中を支えた。
「……諦めろ、宰相殿。一度『労働の沼』にハマった人間は、そう簡単には戻らんよ」
「そ、そんなぁ……」
宰相は泣き崩れた。
賠償金を払ったのに、人質が帰宅拒否。
どんな報告書を書けばいいのか、同情を禁じ得ない。
「……仕方ありませんね」
私はため息をつき、宰相の前に立った。
「ガランド様。追加の契約(オプション)を提案します」
「け、契約……?」
「はい。彼らを『海外技術研修生』として、あと半年間ここでお預かりします。その間、彼らが掘り出した魔石の売上は、賠償金の残債と相殺する形にします」
「……は?」
「つまり、彼らが働けば働くほど、貴国の借金が減るシステムです。ウィンウィンですね?」
「そ、そんなことが……」
「殿下、リリィ様。どうですか? 『国の借金を返すために働く』という大義名分があれば、堂々とここで掘り続けられますよ?」
私が提案すると、二人の目がカッと見開かれた。
「おお! それだ! 俺は国のために掘るんだ!」
「私、救国のヒロインになっちゃう!?」
単純だ。
本当に扱いやすい人材である。
「……分かりました」
宰相は力なく頷いた。
もはや彼に選択権はない。
「ただし……半年後には必ず、必ず返してくださいよ……? 王位継承問題がありますから……」
「善処します。まあ、半年後には彼らも飽きているか、あるいは筋肉ダルマになっていて王衣が入らなくなっているかのどちらかでしょうが」
「ううっ……」
こうして、宰相はトボトボと帰っていった。
残されたのは、歓声を上げて再び穴の中へ消えていく元王太子たちの姿だけ。
「……ミーナ」
アレクセイ閣下が、遠い目をして呟いた。
「君は、本当に……」
「何ですか?」
「いや。国を傾けかけた無能な王族を、生産的な労働力に変え、さらに借金返済までさせるとは。……君こそが真の『王』の器なんじゃないか?」
「とんでもない。私はただの『事務屋』ですよ」
私は肩をすくめた。
王になどなったら、公務が増えてコタツに入る時間が減ってしまう。
そんな非効率な人生は御免だ。
「さあ、閣下。彼らが稼いでくれる分、私たちの仕事が減りました。今日は早めに上がって、新しい入浴剤(発泡タイプ)の実験をしませんか?」
「……一緒に入るのか?」
「データ収集のためです」
「……喜んで」
私たちは平和になった鉱山を後にした。
背後から聞こえる「掘れぇぇぇ!」「マッスルゥゥ!」という掛け声は、この領地の新たな名物(BGM)として定着しつつあった。
しかし、私の平穏を脅かす「最後の刺客」が、まだ残っていることを、この時の私は忘れていた。
そう、リリィ様の実家――借金まみれの男爵家である。
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