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翌日。
私は朝から、裏庭の畑に立っていた。
身にまとうのは、昨日箪笥の奥から引っ張り出した愛用のちゃんちゃんこと、動きやすいモンペ。
足元は泥だらけの長靴。
そして手には、昨日アレクセイ様から頂いたカタログで即座に発注し(父が)、今朝一番で届いた最新鋭の魔法付与鍬(マジック・ホー)が握られている。
「ふっ……!」
風を切る音と共に、私は鍬を振り下ろした。
ザクッ!
心地よい感触と共に、硬い土がバターのように切り裂かれる。
(すごい! これなら岩盤でも掘れそう!)
私は感動に打ち震えた。
さすがは『氷の閣下』からの贈り物だ。
切れ味といい、グリップのフィット感といい、農具というよりは武器に近い完成度である。
「はぁ、はぁ……楽しい……」
額の汗を拭い、私は恍惚の溜息をついた。
これだ。私が求めていたのはこの充実感だ。
王都でのドロドロした足の引っ張り合いとは無縁の、土との対話。
私は再び鍬を振り上げた。
全身全霊を込めて、大地に突き立てようとした――その時だ。
「……いい太刀筋だ」
背後から、地底の底から響くような低音が聞こえた。
「ぎゃっ!?」
私は変な悲鳴を上げ、勢い余って鍬を放り投げそうになった。
慌てて振り返ると、そこには黒い影が立っていた。
漆黒の軍服。
銀色の髪。
そして、私を見下ろす絶対零度のアイスブルーの瞳。
アレクセイ・フォン・ヴォルグ辺境伯。
昨日帰ったはずの彼が、なぜか私の背後に(気配もなく)立っていた。
「あ、あ、あれ……アレクセイ様!?」
私は鍬を構えたまま(防御姿勢)、後ずさった。
心臓が早鐘を打つ。
なぜここに?
しかも、今の私は完全なる農民スタイルだ。
公爵令嬢としてあるまじき、ちゃんちゃんこにモンペ姿。
(終わった……! こんな姿を見られたら、幻滅されるどころか『貴族の面汚しめ』と斬り捨てられる!)
私はガタガタと震えた。
しかし、アレクセイ様は私の奇抜なファッションには一切触れず、地面に突き刺さった鍬を見つめている。
「……無駄のない構えだ。相当、訓練を積んでいると見える」
「え?」
「その鍬。使いこなすには筋力がいるはずだが……君は軽々と振るっていた。……美しい」
(う、美しい?)
私は耳を疑った。
この格好で? 鍬を振り回している姿が?
もしかして、この方は「農耕民族フェチ」なのだろうか。
「あ、ありがとうございます……?」
とりあえず礼を言ってみる。
アレクセイ様は「うむ」と短く頷き、一歩近づいてきた。
圧がすごい。
身長差のせいで、黒い壁が迫ってくるようだ。
「……それで、答えは」
「答え……ですか?」
「昨日の提案だ。……私の領地へ来る件、決心はついたか」
ああ、そのことか。
私は視線を彷徨わせた。
行きたい気持ちはある。
あのカタログの農具が使い放題の土地。魅力的すぎる。
しかし、怖いものは怖い。
この人の城に行ったら、最後。
二度とシャバには戻れない気がするのだ。
地下牢で一生、キノコ栽培とかさせられるかもしれない。
「そ、その……まだ、心の整理が……」
私がモゴモゴと言い訳をすると、アレクセイ様の眉がピクリと動いた。
不機嫌になった!?
私はヒッと息を呑む。
「……そうか。迷っているのか」
アレクセイ様が顎に手を当て、深刻そうに考え込む。
その沈黙が怖い。
何かとんでもない拷問のプランでも練っているのだろうか。
やがて、彼は何かを決意したように顔を上げた。
その瞳には、今まで以上に強い光――殺気にも似た決意――が宿っていた。
「カトレア嬢。単刀直入に言おう」
「は、はいっ!」
「君はこのままここにいてはいけない。王家の目は節穴ではない。いずれ、君の居場所を嗅ぎつけ、干渉してくるだろう」
それは私も懸念していたことだ。
ジェラルド殿下やミナ様が、逆恨みで嫌がらせをしてくる可能性は高い。
「……そこでだ」
アレクセイ様が、グイッと顔を近づけてくる。
鼻先が触れそうな距離。
整いすぎた顔が目の前にあり、私は呼吸を忘れた。
「私が、責任を取る」
「……へ?」
「今回の件、全ての責任は……私にあると言っても過言ではない」
(え、どういうこと? アレクセイ様は関係ないんじゃ?)
私の困惑をよそに、彼は言葉を続ける。
どうやら彼なりの理屈があるようだが、極度の口下手のせいで言葉が大幅に省略されている。
「私がもっと早く動いていれば……君をあのような目に遭わせずに済んだ。……だから、責任を取らせてくれ」
彼が言いたいのは、こうだ。
『昔から君を好ましく思っていたのに、遠くから見ているだけで助けられなかった。その不甲斐なさを反省している。だからこれからは、私が責任を持って君を守りたい』。
しかし、私の耳にはこう届いた。
『貴様が婚約破棄されたのは、我が領地の近くに住む貴様の存在が目障りだったからだ。王家に泥を塗った責任は重い。……けじめ(責任)をつけさせてもらう』。
私の脳内で、ヤクザ映画のワンシーンが再生される。
『責任を取る』=『指を詰める』あるいは『腹を切る』。
私の実家の家風(極道系)も相まって、その連想は強固なものとなった。
(せ、責任を取るって……まさか、切腹!?)
血の気が引いた。
私は自分の腹部をさすった。
まだ温かい。
この柔らかいお腹に、冷たい刃物が突き立てられるのか。
「あ、あの……責任というのは……その、物理的な……?」
「ああ。形として示さなければ意味がない」
(ひいいいいっ! 形として! やっぱり首か指か内臓か!?)
「い、命だけは! 命だけはお助けください!」
私は鍬を投げ捨て、その場に土下座した。
プライドも何もない。
農民スタイルでの土下座は、妙に様になっていたと思う。
アレクセイ様が目を見開く。
「な……何を言っている。誰が命を奪うなどと」
「え? 殺すんじゃないんですか?」
「……違う」
彼は心外だと言わんばかりに顔をしかめた。
そして、しゃがみ込んで私の目線を合わせる。
「私が言っているのは……君を、私の城で『飼う』ということだ」
「か、飼う!?」
今度はペット扱い!?
人間としての尊厳は!?
「……言葉を間違えた。……養う、だ。一生、不自由はさせない。衣食住、そして……君の望む農地も全て用意する」
(あ、なんだ。養ってくれるのか)
私はホッと胸を撫で下ろした。
殺されるよりはマシだ。
しかし、『飼う』という言葉のチョイスが引っかかる。
やはり監禁エンドなのでは?
「……その代わり、君には私の側(そば)にいてもらう。……拒否権はないと思え」
ドキン。
心臓が跳ねた。
拒否権はない。
その強引な響きに、恐怖と同時に、なぜか少しだけときめいてしまった自分がいる。
(いけない、吊り橋効果だわ。この強面イケメンに脅されて、脳がバグってるんだわ)
私は混乱する頭で、必死に思考を巡らせた。
実家にいれば、いずれ王家の追手が来るかもしれない。
一方、アレクセイ様の領地に行けば、監禁されるかもしれないが、最新農具と広大な土地が手に入る。
そして何より、この『氷の閣下』は、スイーツを持ってきてくれたり、農具をくれたりと、行動自体は甘やかしてくれている。
(……賭けてみる価値は、あるかもしれない)
私は土下座を解き、正座の姿勢になった。
泥だらけの手を膝に置き、彼をまっすぐに見つめる。
「……わかりました。その『責任』、受け入れます」
「本当か」
「はい。ただし、条件があります」
「なんだ。言ってみろ」
私は指を三本立てた。
「一つ、おやつは一日二回。二つ、農作業の時間を確保すること。三つ……命の保証をすること」
アレクセイ様は私の条件を聞くと、ふっ、と短く笑った。
それは初めて見る、微かな微笑みだった。
氷が溶けるような、不器用だが優しい笑み。
「……安い御用だ。約束しよう」
彼は私の手を取り、泥だらけの手の甲に、恭しく口づけを落とした。
「契約成立だ。……ようこそ、私の領地へ。カトレア」
その唇の熱さに、私は顔が沸騰するのを感じた。
泥だらけの、ちゃんちゃんこ姿の女に、跪いて口づけをする辺境伯。
絵面としては完全にシュールだが、私の心臓はこれまでにないほど激しく脈打っていた。
「……あ、あう……」
「では、すぐに出発する。準備を」
「えっ、今すぐ!?」
「善は急げだ。公爵には私から話しておく」
アレクセイ様は立ち上がり、私を軽々とお姫様抱っこした。
「ちょ、待っ……私、まだ泥だらけで……!」
「構わん。……良い土の匂いだ」
(変態だ! この人、間違いなく変態だ!)
私は赤面しながら、彼の胸の中で暴れたが、鋼のような腕はびくともしなかった。
こうして私は、半ば拉致されるような形で、実家を後にすることになったのである。
誤解は解けたのか、深まったのか。
それは誰にも分からない。
ただ一つ確かなのは、私の『勘違い辺境スローライフ(監禁付き)』が、ここに正式決定したということだった。
私は朝から、裏庭の畑に立っていた。
身にまとうのは、昨日箪笥の奥から引っ張り出した愛用のちゃんちゃんこと、動きやすいモンペ。
足元は泥だらけの長靴。
そして手には、昨日アレクセイ様から頂いたカタログで即座に発注し(父が)、今朝一番で届いた最新鋭の魔法付与鍬(マジック・ホー)が握られている。
「ふっ……!」
風を切る音と共に、私は鍬を振り下ろした。
ザクッ!
心地よい感触と共に、硬い土がバターのように切り裂かれる。
(すごい! これなら岩盤でも掘れそう!)
私は感動に打ち震えた。
さすがは『氷の閣下』からの贈り物だ。
切れ味といい、グリップのフィット感といい、農具というよりは武器に近い完成度である。
「はぁ、はぁ……楽しい……」
額の汗を拭い、私は恍惚の溜息をついた。
これだ。私が求めていたのはこの充実感だ。
王都でのドロドロした足の引っ張り合いとは無縁の、土との対話。
私は再び鍬を振り上げた。
全身全霊を込めて、大地に突き立てようとした――その時だ。
「……いい太刀筋だ」
背後から、地底の底から響くような低音が聞こえた。
「ぎゃっ!?」
私は変な悲鳴を上げ、勢い余って鍬を放り投げそうになった。
慌てて振り返ると、そこには黒い影が立っていた。
漆黒の軍服。
銀色の髪。
そして、私を見下ろす絶対零度のアイスブルーの瞳。
アレクセイ・フォン・ヴォルグ辺境伯。
昨日帰ったはずの彼が、なぜか私の背後に(気配もなく)立っていた。
「あ、あ、あれ……アレクセイ様!?」
私は鍬を構えたまま(防御姿勢)、後ずさった。
心臓が早鐘を打つ。
なぜここに?
しかも、今の私は完全なる農民スタイルだ。
公爵令嬢としてあるまじき、ちゃんちゃんこにモンペ姿。
(終わった……! こんな姿を見られたら、幻滅されるどころか『貴族の面汚しめ』と斬り捨てられる!)
私はガタガタと震えた。
しかし、アレクセイ様は私の奇抜なファッションには一切触れず、地面に突き刺さった鍬を見つめている。
「……無駄のない構えだ。相当、訓練を積んでいると見える」
「え?」
「その鍬。使いこなすには筋力がいるはずだが……君は軽々と振るっていた。……美しい」
(う、美しい?)
私は耳を疑った。
この格好で? 鍬を振り回している姿が?
もしかして、この方は「農耕民族フェチ」なのだろうか。
「あ、ありがとうございます……?」
とりあえず礼を言ってみる。
アレクセイ様は「うむ」と短く頷き、一歩近づいてきた。
圧がすごい。
身長差のせいで、黒い壁が迫ってくるようだ。
「……それで、答えは」
「答え……ですか?」
「昨日の提案だ。……私の領地へ来る件、決心はついたか」
ああ、そのことか。
私は視線を彷徨わせた。
行きたい気持ちはある。
あのカタログの農具が使い放題の土地。魅力的すぎる。
しかし、怖いものは怖い。
この人の城に行ったら、最後。
二度とシャバには戻れない気がするのだ。
地下牢で一生、キノコ栽培とかさせられるかもしれない。
「そ、その……まだ、心の整理が……」
私がモゴモゴと言い訳をすると、アレクセイ様の眉がピクリと動いた。
不機嫌になった!?
私はヒッと息を呑む。
「……そうか。迷っているのか」
アレクセイ様が顎に手を当て、深刻そうに考え込む。
その沈黙が怖い。
何かとんでもない拷問のプランでも練っているのだろうか。
やがて、彼は何かを決意したように顔を上げた。
その瞳には、今まで以上に強い光――殺気にも似た決意――が宿っていた。
「カトレア嬢。単刀直入に言おう」
「は、はいっ!」
「君はこのままここにいてはいけない。王家の目は節穴ではない。いずれ、君の居場所を嗅ぎつけ、干渉してくるだろう」
それは私も懸念していたことだ。
ジェラルド殿下やミナ様が、逆恨みで嫌がらせをしてくる可能性は高い。
「……そこでだ」
アレクセイ様が、グイッと顔を近づけてくる。
鼻先が触れそうな距離。
整いすぎた顔が目の前にあり、私は呼吸を忘れた。
「私が、責任を取る」
「……へ?」
「今回の件、全ての責任は……私にあると言っても過言ではない」
(え、どういうこと? アレクセイ様は関係ないんじゃ?)
私の困惑をよそに、彼は言葉を続ける。
どうやら彼なりの理屈があるようだが、極度の口下手のせいで言葉が大幅に省略されている。
「私がもっと早く動いていれば……君をあのような目に遭わせずに済んだ。……だから、責任を取らせてくれ」
彼が言いたいのは、こうだ。
『昔から君を好ましく思っていたのに、遠くから見ているだけで助けられなかった。その不甲斐なさを反省している。だからこれからは、私が責任を持って君を守りたい』。
しかし、私の耳にはこう届いた。
『貴様が婚約破棄されたのは、我が領地の近くに住む貴様の存在が目障りだったからだ。王家に泥を塗った責任は重い。……けじめ(責任)をつけさせてもらう』。
私の脳内で、ヤクザ映画のワンシーンが再生される。
『責任を取る』=『指を詰める』あるいは『腹を切る』。
私の実家の家風(極道系)も相まって、その連想は強固なものとなった。
(せ、責任を取るって……まさか、切腹!?)
血の気が引いた。
私は自分の腹部をさすった。
まだ温かい。
この柔らかいお腹に、冷たい刃物が突き立てられるのか。
「あ、あの……責任というのは……その、物理的な……?」
「ああ。形として示さなければ意味がない」
(ひいいいいっ! 形として! やっぱり首か指か内臓か!?)
「い、命だけは! 命だけはお助けください!」
私は鍬を投げ捨て、その場に土下座した。
プライドも何もない。
農民スタイルでの土下座は、妙に様になっていたと思う。
アレクセイ様が目を見開く。
「な……何を言っている。誰が命を奪うなどと」
「え? 殺すんじゃないんですか?」
「……違う」
彼は心外だと言わんばかりに顔をしかめた。
そして、しゃがみ込んで私の目線を合わせる。
「私が言っているのは……君を、私の城で『飼う』ということだ」
「か、飼う!?」
今度はペット扱い!?
人間としての尊厳は!?
「……言葉を間違えた。……養う、だ。一生、不自由はさせない。衣食住、そして……君の望む農地も全て用意する」
(あ、なんだ。養ってくれるのか)
私はホッと胸を撫で下ろした。
殺されるよりはマシだ。
しかし、『飼う』という言葉のチョイスが引っかかる。
やはり監禁エンドなのでは?
「……その代わり、君には私の側(そば)にいてもらう。……拒否権はないと思え」
ドキン。
心臓が跳ねた。
拒否権はない。
その強引な響きに、恐怖と同時に、なぜか少しだけときめいてしまった自分がいる。
(いけない、吊り橋効果だわ。この強面イケメンに脅されて、脳がバグってるんだわ)
私は混乱する頭で、必死に思考を巡らせた。
実家にいれば、いずれ王家の追手が来るかもしれない。
一方、アレクセイ様の領地に行けば、監禁されるかもしれないが、最新農具と広大な土地が手に入る。
そして何より、この『氷の閣下』は、スイーツを持ってきてくれたり、農具をくれたりと、行動自体は甘やかしてくれている。
(……賭けてみる価値は、あるかもしれない)
私は土下座を解き、正座の姿勢になった。
泥だらけの手を膝に置き、彼をまっすぐに見つめる。
「……わかりました。その『責任』、受け入れます」
「本当か」
「はい。ただし、条件があります」
「なんだ。言ってみろ」
私は指を三本立てた。
「一つ、おやつは一日二回。二つ、農作業の時間を確保すること。三つ……命の保証をすること」
アレクセイ様は私の条件を聞くと、ふっ、と短く笑った。
それは初めて見る、微かな微笑みだった。
氷が溶けるような、不器用だが優しい笑み。
「……安い御用だ。約束しよう」
彼は私の手を取り、泥だらけの手の甲に、恭しく口づけを落とした。
「契約成立だ。……ようこそ、私の領地へ。カトレア」
その唇の熱さに、私は顔が沸騰するのを感じた。
泥だらけの、ちゃんちゃんこ姿の女に、跪いて口づけをする辺境伯。
絵面としては完全にシュールだが、私の心臓はこれまでにないほど激しく脈打っていた。
「……あ、あう……」
「では、すぐに出発する。準備を」
「えっ、今すぐ!?」
「善は急げだ。公爵には私から話しておく」
アレクセイ様は立ち上がり、私を軽々とお姫様抱っこした。
「ちょ、待っ……私、まだ泥だらけで……!」
「構わん。……良い土の匂いだ」
(変態だ! この人、間違いなく変態だ!)
私は赤面しながら、彼の胸の中で暴れたが、鋼のような腕はびくともしなかった。
こうして私は、半ば拉致されるような形で、実家を後にすることになったのである。
誤解は解けたのか、深まったのか。
それは誰にも分からない。
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