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盛大な披露宴が終わり、夜も更けた頃。
城内の喧騒は遠のき、静寂が廊下を支配していた。
コツ、コツ、コツ。
石造りの廊下を歩く二つの足音。
私と、アレクセイ様だ。
私たちは無言だった。
先ほどまで「ドラゴン入刀!」とか「肉のおかわり!」とか叫んでいたテンションはどこへやら。
今、私たちの間に流れているのは、触れれば切れそうなほどの緊張感だ。
なぜなら。
これから向かう先は、夫婦の寝室。
そして今夜は、いわゆる『初夜』だからだ。
(ど、どうしよう……!)
私は内心、パニック状態だった。
結婚式は楽しかった。
ご飯も美味しかった。
でも、その後のことは完全に思考の外にあった。
公爵令嬢として、一応の知識はある。
あるけれど、実戦経験はゼロだ。
しかも相手は、あの『氷の閣下』であり、筋肉の塊のようなアレクセイ様だ。
(こ、壊されるんじゃ……?)
物理的な懸念が頭をよぎる。
彼の腕力は熊を素手で殴り殺せるレベルだ。
愛の力加減を間違えられたら、私の背骨などポッキーのように折れてしまうかもしれない。
「……着いたぞ」
アレクセイ様が足を止めた。
目の前には、重厚なオーク材の扉。
この奥が、私たちの戦場(寝室)だ。
「あ、はい……」
ガチャリ。
扉が開く。
中は間接照明だけの、ムーディーな空間になっていた。
天蓋付きの巨大なベッド。
サイドテーブルには薔薇の花と、冷えたワイン。
そしてなぜか、精力増強剤として有名な『マムシ酒』の瓶(誰が置いたの!?)。
「……入ろうか」
アレクセイ様に促され、私は部屋へと足を踏み入れた。
扉が閉まる音。
密室。
逃げ場はない。
「……まずは、ドレスを脱がなくてはな」
「ひぃっ!」
彼の言葉に、私は過剰反応して飛び上がった。
いきなり!? 心の準備が!
「落ち着け。……その格好では苦しいだろうと言っただけだ」
アレクセイ様が苦笑し、私の背後に回る。
彼の手が背中のファスナーに触れる。
ジジジ……ッ。
ゆっくりとファスナーが下ろされる感触。
背中に彼の指が触れ、熱い。
心臓が口から飛び出しそうだ。
「……ふぅ。これで楽になったか?」
ドレスが床に落ち、私は薄いシュミーズ姿になった。
恥ずかしい。
二の腕の筋肉とか、食べ過ぎて少し出たお腹とか、見られていないだろうか。
「……ああ、美しい」
アレクセイ様が、うっとりとした声で呟く。
「白く、柔らかく……まるで雪見大福のようだ」
(褒め言葉のチョイス!)
「さあ、ベッドへ」
彼に手を取られ、私はベッドの縁に座らされた。
スプリングが沈み込む。
ふかふかだ。
一度寝転がれば、二度と起き上がれない魔の沼地。
アレクセイ様も上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。
露わになる鎖骨。
厚い胸板。
割れた腹筋。
(直視できない……!)
私は顔を覆った。
刺激が強すぎる。
彫刻のような肉体美が、すぐ目の前に迫ってくるのだ。
「……カトレア」
ベッドが軋む。
彼が隣に座ったのだ。
肩が触れ合う。
「怖がっているのか?」
「……は、はい。少し」
「無理もない。……私のような強面が相手ではな」
彼は自嘲気味に笑い、私の髪を掬い上げた。
「だが、約束しよう。……痛くはしない。君が嫌がることは何もしない」
甘い声。
優しい手つき。
私の緊張が少しだけ解ける。
この人は優しい。
大丈夫。身を委ねればいいんだわ。
そう思った、その時だった。
グゥゥゥゥゥ……。
「!?」
私の腹の虫が、盛大に鳴いた。
披露宴であれだけ食べたのに。
緊張が解けた瞬間に、消化機能がフル稼働し始めたらしい。
「……」
「……」
沈黙。
ロマンチックな空気が、音を立てて崩壊する。
「あ、あの……これは……」
私が言い訳しようとすると、アレクセイ様が真顔で頷いた。
「なるほど。……腹が減っては戦ができぬ、か」
「戦!?」
「これから始まるのは、愛の営みという名の戦いだ。……スタミナは重要だな」
彼はサイドテーブルにあったマムシ酒の瓶を手に取った。
違う、そうじゃない。
「あの、お酒はいりません! ただの消化音です!」
「そうか。……では、始めようか」
「へ?」
ドンッ!
アレクセイ様が、私をベッドに押し倒した。
いわゆる『床ドン』だ。
私の上に覆いかぶさる彼の体。
重い。熱い。近い。
「アレクセイ様……っ!」
「カトレア。……愛している」
彼の顔が近づいてくる。
キスが降ってくる。
額に、頬に、首筋に。
くすぐったいような、溶けそうな感覚。
私は彼の背中に手を回した。
硬い筋肉の感触。
(あ、これ……本当に……するんだ)
覚悟を決めた。
妻としての務め。
そして愛する人との結合。
「……食べるぞ」
彼が耳元で低く囁いた。
「えっ」
「君の全てを……頭の先から爪先まで、味わい尽くしてやる」
その瞬間。
私の脳内で、野生の防衛本能(食われる=捕食される)が誤作動を起こした。
『食べる』→『捕食』→『熊』→『戦え』。
「ハッ!」
私は反射的に動いてしまった。
お母様直伝の護身術。
『押し倒された時は、テコの原理でひっくり返せ』。
「せいやぁっ!!」
私は腰を捻り、アレクセイ様の腕を掴んで、ブリッジの要領で跳ね上げた。
ドスンッ!!
天地が逆転した。
気がつくと、私がアレクセイ様の上に馬乗りになり、彼の両腕をベッドに縫い止めていた。
いわゆるマウントポジションだ。
「……」
「……」
アレクセイ様が、ポカンとして私を見上げている。
私も、自分が何をしたのか理解して青ざめた。
「あ……」
やってしまった。
初夜に旦那様を投げ飛ばして、マウントを取ってしまった。
これは『情熱的』の範疇を超えている。
ただのプロレスだ。
「も、申し訳ありません! 体が勝手に!」
慌てて退こうとしたが、アレクセイ様の手が私の腰を掴んで止めた。
「……待て」
「はい! 煮るなり焼くなりしてください!」
「……悪くない」
「へ?」
アレクセイ様の顔を見ると、なぜか頬を染め、うっとりとしていた。
「まさか……君の方から襲ってくるとは」
「違います! 防衛本能です!」
「その力強さ。……その野生味。やはり君は最高だ」
彼は私の手を取り、その掌に頬を擦り寄せた。
「君になら……組み敷かれるのも悪くない」
(変な扉を開かないでください!)
「だが、主導権は渡さん」
次の瞬間、視界が回転した。
アレクセイ様が恐ろしい体幹の強さで起き上がり、再び私を下に組み敷いたのだ。
ただし、今度は優しく、抱きしめるように。
「……もう、暴れるなよ?」
「……はい。お手柔らかにお願いします」
「善処する」
彼は優しく笑い、私の唇を塞いだ。
そこからは――。
正直、あまり覚えていない。
ただ、熱くて、甘くて、少しだけ痛くて、でもそれ以上に幸せで。
何度も名前を呼ばれ、何度も愛を囁かれたことだけは覚えている。
そして翌朝。
「……うう」
私は全身の筋肉痛(変な体勢で力んだせい)で目を覚ました。
隣を見ると、アレクセイ様がまだ眠っている。
その寝顔は、いつもの強面が嘘のように無防備で、子供のようだった。
「……ふふ」
私は彼の頬をつんと突いた。
「おはよう、私の旦那様」
彼がうっすらと目を開け、私を見て微笑んだ。
「……おはよう、私の奥様。……昨夜は凄かったな」
「きゃっ! 言わないでください!」
「君の『バックドロップ』……一生忘れない」
「してません! 柔道の技はかけてません!」
朝からそんなコントのようなやり取りをして、私たちは笑い合った。
窓の外からは、小鳥のさえずりと、使用人たちの野太いラジオ体操の掛け声が聞こえてくる。
私の新婚生活は、波乱と筋肉痛と共に幕を開けた。
でも、きっと大丈夫。
この人の隣にいれば、どんな困難も(物理で)乗り越えていける。
「さて、カトレア。……朝飯にするか」
「はい! お腹ペコペコです!」
「くくっ……やはり君は色気より食い気だな」
アレクセイ様が私を抱き上げ、食堂へと向かう。
廊下には、今日も美味しそうな匂いが漂っていた。
これが、私の物語。
悪役令嬢と呼ばれた私が、辺境で最強の騎士に溺愛され、幸せ太りしていく物語だ。
婚約破棄、ありがとうございました。
おかげで私、今とっても幸せです!
城内の喧騒は遠のき、静寂が廊下を支配していた。
コツ、コツ、コツ。
石造りの廊下を歩く二つの足音。
私と、アレクセイ様だ。
私たちは無言だった。
先ほどまで「ドラゴン入刀!」とか「肉のおかわり!」とか叫んでいたテンションはどこへやら。
今、私たちの間に流れているのは、触れれば切れそうなほどの緊張感だ。
なぜなら。
これから向かう先は、夫婦の寝室。
そして今夜は、いわゆる『初夜』だからだ。
(ど、どうしよう……!)
私は内心、パニック状態だった。
結婚式は楽しかった。
ご飯も美味しかった。
でも、その後のことは完全に思考の外にあった。
公爵令嬢として、一応の知識はある。
あるけれど、実戦経験はゼロだ。
しかも相手は、あの『氷の閣下』であり、筋肉の塊のようなアレクセイ様だ。
(こ、壊されるんじゃ……?)
物理的な懸念が頭をよぎる。
彼の腕力は熊を素手で殴り殺せるレベルだ。
愛の力加減を間違えられたら、私の背骨などポッキーのように折れてしまうかもしれない。
「……着いたぞ」
アレクセイ様が足を止めた。
目の前には、重厚なオーク材の扉。
この奥が、私たちの戦場(寝室)だ。
「あ、はい……」
ガチャリ。
扉が開く。
中は間接照明だけの、ムーディーな空間になっていた。
天蓋付きの巨大なベッド。
サイドテーブルには薔薇の花と、冷えたワイン。
そしてなぜか、精力増強剤として有名な『マムシ酒』の瓶(誰が置いたの!?)。
「……入ろうか」
アレクセイ様に促され、私は部屋へと足を踏み入れた。
扉が閉まる音。
密室。
逃げ場はない。
「……まずは、ドレスを脱がなくてはな」
「ひぃっ!」
彼の言葉に、私は過剰反応して飛び上がった。
いきなり!? 心の準備が!
「落ち着け。……その格好では苦しいだろうと言っただけだ」
アレクセイ様が苦笑し、私の背後に回る。
彼の手が背中のファスナーに触れる。
ジジジ……ッ。
ゆっくりとファスナーが下ろされる感触。
背中に彼の指が触れ、熱い。
心臓が口から飛び出しそうだ。
「……ふぅ。これで楽になったか?」
ドレスが床に落ち、私は薄いシュミーズ姿になった。
恥ずかしい。
二の腕の筋肉とか、食べ過ぎて少し出たお腹とか、見られていないだろうか。
「……ああ、美しい」
アレクセイ様が、うっとりとした声で呟く。
「白く、柔らかく……まるで雪見大福のようだ」
(褒め言葉のチョイス!)
「さあ、ベッドへ」
彼に手を取られ、私はベッドの縁に座らされた。
スプリングが沈み込む。
ふかふかだ。
一度寝転がれば、二度と起き上がれない魔の沼地。
アレクセイ様も上着を脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。
露わになる鎖骨。
厚い胸板。
割れた腹筋。
(直視できない……!)
私は顔を覆った。
刺激が強すぎる。
彫刻のような肉体美が、すぐ目の前に迫ってくるのだ。
「……カトレア」
ベッドが軋む。
彼が隣に座ったのだ。
肩が触れ合う。
「怖がっているのか?」
「……は、はい。少し」
「無理もない。……私のような強面が相手ではな」
彼は自嘲気味に笑い、私の髪を掬い上げた。
「だが、約束しよう。……痛くはしない。君が嫌がることは何もしない」
甘い声。
優しい手つき。
私の緊張が少しだけ解ける。
この人は優しい。
大丈夫。身を委ねればいいんだわ。
そう思った、その時だった。
グゥゥゥゥゥ……。
「!?」
私の腹の虫が、盛大に鳴いた。
披露宴であれだけ食べたのに。
緊張が解けた瞬間に、消化機能がフル稼働し始めたらしい。
「……」
「……」
沈黙。
ロマンチックな空気が、音を立てて崩壊する。
「あ、あの……これは……」
私が言い訳しようとすると、アレクセイ様が真顔で頷いた。
「なるほど。……腹が減っては戦ができぬ、か」
「戦!?」
「これから始まるのは、愛の営みという名の戦いだ。……スタミナは重要だな」
彼はサイドテーブルにあったマムシ酒の瓶を手に取った。
違う、そうじゃない。
「あの、お酒はいりません! ただの消化音です!」
「そうか。……では、始めようか」
「へ?」
ドンッ!
アレクセイ様が、私をベッドに押し倒した。
いわゆる『床ドン』だ。
私の上に覆いかぶさる彼の体。
重い。熱い。近い。
「アレクセイ様……っ!」
「カトレア。……愛している」
彼の顔が近づいてくる。
キスが降ってくる。
額に、頬に、首筋に。
くすぐったいような、溶けそうな感覚。
私は彼の背中に手を回した。
硬い筋肉の感触。
(あ、これ……本当に……するんだ)
覚悟を決めた。
妻としての務め。
そして愛する人との結合。
「……食べるぞ」
彼が耳元で低く囁いた。
「えっ」
「君の全てを……頭の先から爪先まで、味わい尽くしてやる」
その瞬間。
私の脳内で、野生の防衛本能(食われる=捕食される)が誤作動を起こした。
『食べる』→『捕食』→『熊』→『戦え』。
「ハッ!」
私は反射的に動いてしまった。
お母様直伝の護身術。
『押し倒された時は、テコの原理でひっくり返せ』。
「せいやぁっ!!」
私は腰を捻り、アレクセイ様の腕を掴んで、ブリッジの要領で跳ね上げた。
ドスンッ!!
天地が逆転した。
気がつくと、私がアレクセイ様の上に馬乗りになり、彼の両腕をベッドに縫い止めていた。
いわゆるマウントポジションだ。
「……」
「……」
アレクセイ様が、ポカンとして私を見上げている。
私も、自分が何をしたのか理解して青ざめた。
「あ……」
やってしまった。
初夜に旦那様を投げ飛ばして、マウントを取ってしまった。
これは『情熱的』の範疇を超えている。
ただのプロレスだ。
「も、申し訳ありません! 体が勝手に!」
慌てて退こうとしたが、アレクセイ様の手が私の腰を掴んで止めた。
「……待て」
「はい! 煮るなり焼くなりしてください!」
「……悪くない」
「へ?」
アレクセイ様の顔を見ると、なぜか頬を染め、うっとりとしていた。
「まさか……君の方から襲ってくるとは」
「違います! 防衛本能です!」
「その力強さ。……その野生味。やはり君は最高だ」
彼は私の手を取り、その掌に頬を擦り寄せた。
「君になら……組み敷かれるのも悪くない」
(変な扉を開かないでください!)
「だが、主導権は渡さん」
次の瞬間、視界が回転した。
アレクセイ様が恐ろしい体幹の強さで起き上がり、再び私を下に組み敷いたのだ。
ただし、今度は優しく、抱きしめるように。
「……もう、暴れるなよ?」
「……はい。お手柔らかにお願いします」
「善処する」
彼は優しく笑い、私の唇を塞いだ。
そこからは――。
正直、あまり覚えていない。
ただ、熱くて、甘くて、少しだけ痛くて、でもそれ以上に幸せで。
何度も名前を呼ばれ、何度も愛を囁かれたことだけは覚えている。
そして翌朝。
「……うう」
私は全身の筋肉痛(変な体勢で力んだせい)で目を覚ました。
隣を見ると、アレクセイ様がまだ眠っている。
その寝顔は、いつもの強面が嘘のように無防備で、子供のようだった。
「……ふふ」
私は彼の頬をつんと突いた。
「おはよう、私の旦那様」
彼がうっすらと目を開け、私を見て微笑んだ。
「……おはよう、私の奥様。……昨夜は凄かったな」
「きゃっ! 言わないでください!」
「君の『バックドロップ』……一生忘れない」
「してません! 柔道の技はかけてません!」
朝からそんなコントのようなやり取りをして、私たちは笑い合った。
窓の外からは、小鳥のさえずりと、使用人たちの野太いラジオ体操の掛け声が聞こえてくる。
私の新婚生活は、波乱と筋肉痛と共に幕を開けた。
でも、きっと大丈夫。
この人の隣にいれば、どんな困難も(物理で)乗り越えていける。
「さて、カトレア。……朝飯にするか」
「はい! お腹ペコペコです!」
「くくっ……やはり君は色気より食い気だな」
アレクセイ様が私を抱き上げ、食堂へと向かう。
廊下には、今日も美味しそうな匂いが漂っていた。
これが、私の物語。
悪役令嬢と呼ばれた私が、辺境で最強の騎士に溺愛され、幸せ太りしていく物語だ。
婚約破棄、ありがとうございました。
おかげで私、今とっても幸せです!
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