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夜更けの公爵邸。
静寂に包まれた廊下を、私は書類束と筆記用具を抱えて歩いていた。
目的地は、三階にある主人の執務室。
カシウス閣下からの呼び出しである。
「『指導はスパルタだ』と警告したはずですが……本当に覚悟はできているのかしら」
私は少しの不安と、それ以上の使命感を感じていた。
昼間の惨状を見る限り、彼のデスクワーク能力は未知数(おそらくマイナス)だ。
コン、コン。
重厚な扉をノックする。
「入れ。鍵は開いている」
中から、少し低めの、甘さを孕んだ声がした。
私は扉を開け、足を踏み入れた。
「失礼いたします。業務のお手伝いに参りまし――」
言葉が途切れた。
なぜなら、執務室の照明が極端に落とされ、部屋全体がムーディーな薄暗さに包まれていたからだ。
暖炉には火が灯り、パチパチと爆ぜる音が心地よく響いている。
そして、部屋の中央にある革張りのソファには、シャツのボタンを三つほど開けたカシウスが、ワイングラス片手に優雅に座っていた。
「待っていたぞ、メリアドール」
カシウスがグラスを揺らし、妖艶な笑みを向ける。
その姿は、絵画のように美しい。
……美しいが。
「……閣下。停電ですか?」
私は眉をひそめて尋ねた。
「あ?」
「照明(ルクス)が足りません。これでは書類の文字が読めず、視力低下のリスクがあります。眼精疲労は作業効率を三〇パーセント低下させますよ」
私は部屋の隅にある魔導ランプのスイッチを、バチンッ!と最大出力で入れた。
カッ!!
部屋中が真昼のように明るくなり、カシウスが「眩しっ!?」と目を覆う。
「おい! 雰囲気(ムード)ってものを考えろ!」
「雰囲気で仕事はできません。さあ、書類はどこですか?」
私はカシウスの抗議を無視し、彼のデスクへと向かった。
そこには、予想通り『未決裁』の山脈がそびえ立っていた。
「……なるほど。これは重症ですね」
私は山の一番上にある書類を手に取った。
『ドラゴン素材の卸売契約書』。
「閣下。この契約書、サインしていませんね?」
「ああ、文字が多すぎて読む気が失せた」
「……」
私はため息を堪え、赤ペンを取り出した。
「読み聞かせが必要ですか? それとも私が要約(サマリー)を作りましょうか?」
「お前が読んで聞かせろ。その良い声でな」
カシウスはソファから立ち上がり、私の背後に忍び寄った。
背中から包み込むような体勢で、私の手元の書類を覗き込んでくる。
近い。
体温が伝わる距離だ。
彼の吐息が耳にかかり、首筋がゾワリとする。
「……閣下。近すぎます。ペンが動かせません」
「いいじゃないか。俺とお前の仲だ」
「まだ『仮』です。離れてください」
「嫌だね」
カシウスは子供のように駄々をこね、私の腰に手を回して、自分の膝の上に強引に座らせた。
「ちょっ……!?」
「ここなら照明も明るいし、書類も見える。文句ないだろ?」
いわゆる『膝抱っこ』の体勢である。
彼の太ももの筋肉が硬く、背中には彼の広い胸板がある。
完全に逃げ場がない。
「……非効率です。私の重心が安定せず、筆記速度が低下します」
「俺が支えてやるから安心しろ。……ほら、いい匂いがするな」
カシウスが私の首筋に顔を埋め、深呼吸をする。
「シャンプー変えたか? 甘い匂いだ」
「公爵邸の備品です。貴方も同じ匂いがするはずですが」
「つれないなぁ。そこは『貴方のために変えました』とか嘘でも言えないのか?」
「虚偽報告は私のポリシーに反します」
私は動揺を必死に抑え、意識を目の前の書類だけに集中させた。
心拍数が上がっているのは、怒りのせいだ。そうに違いない。
「……では、業務を開始します。動かないでください」
私は彼の膝の上という不安定な地盤の上で、猛然とペンを走らせ始めた。
「まず第一項。卸値の設定が市場価格より二割安いです。相手方の商会に買い叩かれています」
「ふーん」
カシウスは私の髪を一房手に取り、指で弄んでいる。聞いていない。
「第二項。納期の遅延損害金に関する条項が抜けています。これでは素材が腐っても文句が言えません」
「へぇー」
今度は私の耳たぶを甘噛みしてきた。
「ッ……! 閣下! 真面目に聞いていますか!?」
私は振り返り、至近距離で彼を睨みつけた。
鼻先が触れそうな距離。
カシウスの赤い瞳が、熱っぽく私を捕らえる。
「聞いてるさ。お前の声は子守唄より心地いい」
「子守唄ではありません、業務改善命令です!」
「なぁ、メリアドール」
カシウスの手が、私の頬を包み込んだ。
親指が唇をなぞる。
「書類なんて後でいい。……今は、俺を見ろ」
甘い空気が流れる。
昼間の『狂犬』とは違う、大人の男の色香。
これに落ちない令嬢はいないだろう。
だが、私はメリアドール。
私の視線は、彼の手の甲にある『小さな傷』と、その奥に見えるデスク上の『インク壺』の配置に向けられていた。
「……閣下」
「なんだ? キスして欲しいか?」
「インク壺の蓋が開いています」
「あ?」
「貴方の袖が当たって、倒れる確率が九〇パーセントです。倒れた場合、重要書類が汚損し、復旧に三日のロスが発生します」
私は彼の腕を素早く掴み、インク壺から遠ざけた。
「……」
カシウスが固まった。
そして、ガックリと私の肩に額を押し付けた。
「……お前、本当にムードブレイカーだな」
「危機管理(リスクマネジメント)と言ってください」
「はぁ……。もういい、わかったよ」
カシウスは諦めたように顔を上げ、私の腰に回していた手を解いた。
かと思いきや、今度は私の持っていたペンを奪い取った。
「貸せ。俺がサインすりゃいいんだろ」
「えっ? ですが、条項の修正が……」
「お前がチェックしたんだろ? なら信用する」
カシウスは書類にサラサラとサインをし、次の書類を手に取った。
「次! どこがダメなんだ? 言え!」
「は、はい。こちらの予算案ですが、使途不明金が……」
「却下だ! 書き直させろ!」
「こちらの騎士団編成案は?」
「承認! ただし朝練の時間は三十分遅らせろ!」
突然、カシウスが猛スピードで仕事を始めた。
私が指摘し、彼が決断し、サインする。
その連携(コンボ)が、奇妙なほどスムーズに繋がり始めた。
「……速い」
私は驚いた。
彼は事務ができないのではない。
「判断材料」が整っていれば、決断力はずば抜けているのだ。
私がデータを整理し、彼が決める。
これぞ理想的なトップと補佐の関係ではないか。
一時間後。
山のようにあった書類の山が、すべて片付いてしまった。
「お、終わった……」
カシウスがソファの背もたれに倒れ込む。
「半年分溜めてた決裁が、たった一時間で……」
「お疲れ様でした。驚異的な処理速度(スピード)です」
私は感嘆の声を上げた。
彼の膝の上から降り(いつの間にかずっと座っていた)、整えられた書類の束を満足げに撫でる。
「これなら、明日の朝一番で発送できます。ガレリアの経済が回りますよ」
「……お前のおかげだ」
カシウスが目を閉じたまま呟いた。
「お前の説明は分かりやすい。頭に入ってくる。……これなら、俺でも公爵らしい仕事ができるかもしれん」
その声には、少しだけ弱音が混じっていた。
『狂犬』と恐れられ、武力で国を守ってきた男。
だが、慣れない机仕事に、人知れず重圧を感じていたのかもしれない。
私は少しだけ表情を緩め、彼の隣に立った。
そして、自然と手が伸び――彼の乱れた髪を、そっと撫でていた。
「……悪くありませんでしたよ、ボス」
「……!」
カシウスが目を開け、私を見る。
私は慌てて手を引っ込めた。
「あ、いえ、これは……頭皮マッサージです。血行促進のための」
「……ふっ、くくくっ」
カシウスが喉を鳴らして笑った。
そして、不意に私の手を掴み、その指先に口づけを落とした。
「ありがとな。……最高のパートナーだ」
今度は、冗談めかした様子も、色仕掛けの雰囲気もない。
ただ純粋な、敬意と感謝のこもったキスだった。
私の顔が、カッと熱くなる。
これは計算外だ。
契約書にない「感謝のキス」に対する料金設定はしていない。
「……ちょ、超過勤務手当を請求します!」
私は真っ赤になって叫び、書類の束を胸に抱えて逃げるように背を向けた。
「おやすみなさい!」
「おう、おやすみ。……明日も頼むぜ、相棒(パートナー)」
執務室を飛び出し、廊下を早足で歩く。
心臓がうるさい。
さっきのキスの感触が、指先に残って消えない。
「……調子が狂うわ」
私は熱い頬を片手で冷やしながら、誰もいない廊下で独り言ちた。
「あの男、意外と……学習能力が高いわね」
私の計算式に、新たな変数(バグ)が混入した夜だった。
それは「信頼」という名の、厄介で、けれど少しだけ甘いエラーコードだった。
静寂に包まれた廊下を、私は書類束と筆記用具を抱えて歩いていた。
目的地は、三階にある主人の執務室。
カシウス閣下からの呼び出しである。
「『指導はスパルタだ』と警告したはずですが……本当に覚悟はできているのかしら」
私は少しの不安と、それ以上の使命感を感じていた。
昼間の惨状を見る限り、彼のデスクワーク能力は未知数(おそらくマイナス)だ。
コン、コン。
重厚な扉をノックする。
「入れ。鍵は開いている」
中から、少し低めの、甘さを孕んだ声がした。
私は扉を開け、足を踏み入れた。
「失礼いたします。業務のお手伝いに参りまし――」
言葉が途切れた。
なぜなら、執務室の照明が極端に落とされ、部屋全体がムーディーな薄暗さに包まれていたからだ。
暖炉には火が灯り、パチパチと爆ぜる音が心地よく響いている。
そして、部屋の中央にある革張りのソファには、シャツのボタンを三つほど開けたカシウスが、ワイングラス片手に優雅に座っていた。
「待っていたぞ、メリアドール」
カシウスがグラスを揺らし、妖艶な笑みを向ける。
その姿は、絵画のように美しい。
……美しいが。
「……閣下。停電ですか?」
私は眉をひそめて尋ねた。
「あ?」
「照明(ルクス)が足りません。これでは書類の文字が読めず、視力低下のリスクがあります。眼精疲労は作業効率を三〇パーセント低下させますよ」
私は部屋の隅にある魔導ランプのスイッチを、バチンッ!と最大出力で入れた。
カッ!!
部屋中が真昼のように明るくなり、カシウスが「眩しっ!?」と目を覆う。
「おい! 雰囲気(ムード)ってものを考えろ!」
「雰囲気で仕事はできません。さあ、書類はどこですか?」
私はカシウスの抗議を無視し、彼のデスクへと向かった。
そこには、予想通り『未決裁』の山脈がそびえ立っていた。
「……なるほど。これは重症ですね」
私は山の一番上にある書類を手に取った。
『ドラゴン素材の卸売契約書』。
「閣下。この契約書、サインしていませんね?」
「ああ、文字が多すぎて読む気が失せた」
「……」
私はため息を堪え、赤ペンを取り出した。
「読み聞かせが必要ですか? それとも私が要約(サマリー)を作りましょうか?」
「お前が読んで聞かせろ。その良い声でな」
カシウスはソファから立ち上がり、私の背後に忍び寄った。
背中から包み込むような体勢で、私の手元の書類を覗き込んでくる。
近い。
体温が伝わる距離だ。
彼の吐息が耳にかかり、首筋がゾワリとする。
「……閣下。近すぎます。ペンが動かせません」
「いいじゃないか。俺とお前の仲だ」
「まだ『仮』です。離れてください」
「嫌だね」
カシウスは子供のように駄々をこね、私の腰に手を回して、自分の膝の上に強引に座らせた。
「ちょっ……!?」
「ここなら照明も明るいし、書類も見える。文句ないだろ?」
いわゆる『膝抱っこ』の体勢である。
彼の太ももの筋肉が硬く、背中には彼の広い胸板がある。
完全に逃げ場がない。
「……非効率です。私の重心が安定せず、筆記速度が低下します」
「俺が支えてやるから安心しろ。……ほら、いい匂いがするな」
カシウスが私の首筋に顔を埋め、深呼吸をする。
「シャンプー変えたか? 甘い匂いだ」
「公爵邸の備品です。貴方も同じ匂いがするはずですが」
「つれないなぁ。そこは『貴方のために変えました』とか嘘でも言えないのか?」
「虚偽報告は私のポリシーに反します」
私は動揺を必死に抑え、意識を目の前の書類だけに集中させた。
心拍数が上がっているのは、怒りのせいだ。そうに違いない。
「……では、業務を開始します。動かないでください」
私は彼の膝の上という不安定な地盤の上で、猛然とペンを走らせ始めた。
「まず第一項。卸値の設定が市場価格より二割安いです。相手方の商会に買い叩かれています」
「ふーん」
カシウスは私の髪を一房手に取り、指で弄んでいる。聞いていない。
「第二項。納期の遅延損害金に関する条項が抜けています。これでは素材が腐っても文句が言えません」
「へぇー」
今度は私の耳たぶを甘噛みしてきた。
「ッ……! 閣下! 真面目に聞いていますか!?」
私は振り返り、至近距離で彼を睨みつけた。
鼻先が触れそうな距離。
カシウスの赤い瞳が、熱っぽく私を捕らえる。
「聞いてるさ。お前の声は子守唄より心地いい」
「子守唄ではありません、業務改善命令です!」
「なぁ、メリアドール」
カシウスの手が、私の頬を包み込んだ。
親指が唇をなぞる。
「書類なんて後でいい。……今は、俺を見ろ」
甘い空気が流れる。
昼間の『狂犬』とは違う、大人の男の色香。
これに落ちない令嬢はいないだろう。
だが、私はメリアドール。
私の視線は、彼の手の甲にある『小さな傷』と、その奥に見えるデスク上の『インク壺』の配置に向けられていた。
「……閣下」
「なんだ? キスして欲しいか?」
「インク壺の蓋が開いています」
「あ?」
「貴方の袖が当たって、倒れる確率が九〇パーセントです。倒れた場合、重要書類が汚損し、復旧に三日のロスが発生します」
私は彼の腕を素早く掴み、インク壺から遠ざけた。
「……」
カシウスが固まった。
そして、ガックリと私の肩に額を押し付けた。
「……お前、本当にムードブレイカーだな」
「危機管理(リスクマネジメント)と言ってください」
「はぁ……。もういい、わかったよ」
カシウスは諦めたように顔を上げ、私の腰に回していた手を解いた。
かと思いきや、今度は私の持っていたペンを奪い取った。
「貸せ。俺がサインすりゃいいんだろ」
「えっ? ですが、条項の修正が……」
「お前がチェックしたんだろ? なら信用する」
カシウスは書類にサラサラとサインをし、次の書類を手に取った。
「次! どこがダメなんだ? 言え!」
「は、はい。こちらの予算案ですが、使途不明金が……」
「却下だ! 書き直させろ!」
「こちらの騎士団編成案は?」
「承認! ただし朝練の時間は三十分遅らせろ!」
突然、カシウスが猛スピードで仕事を始めた。
私が指摘し、彼が決断し、サインする。
その連携(コンボ)が、奇妙なほどスムーズに繋がり始めた。
「……速い」
私は驚いた。
彼は事務ができないのではない。
「判断材料」が整っていれば、決断力はずば抜けているのだ。
私がデータを整理し、彼が決める。
これぞ理想的なトップと補佐の関係ではないか。
一時間後。
山のようにあった書類の山が、すべて片付いてしまった。
「お、終わった……」
カシウスがソファの背もたれに倒れ込む。
「半年分溜めてた決裁が、たった一時間で……」
「お疲れ様でした。驚異的な処理速度(スピード)です」
私は感嘆の声を上げた。
彼の膝の上から降り(いつの間にかずっと座っていた)、整えられた書類の束を満足げに撫でる。
「これなら、明日の朝一番で発送できます。ガレリアの経済が回りますよ」
「……お前のおかげだ」
カシウスが目を閉じたまま呟いた。
「お前の説明は分かりやすい。頭に入ってくる。……これなら、俺でも公爵らしい仕事ができるかもしれん」
その声には、少しだけ弱音が混じっていた。
『狂犬』と恐れられ、武力で国を守ってきた男。
だが、慣れない机仕事に、人知れず重圧を感じていたのかもしれない。
私は少しだけ表情を緩め、彼の隣に立った。
そして、自然と手が伸び――彼の乱れた髪を、そっと撫でていた。
「……悪くありませんでしたよ、ボス」
「……!」
カシウスが目を開け、私を見る。
私は慌てて手を引っ込めた。
「あ、いえ、これは……頭皮マッサージです。血行促進のための」
「……ふっ、くくくっ」
カシウスが喉を鳴らして笑った。
そして、不意に私の手を掴み、その指先に口づけを落とした。
「ありがとな。……最高のパートナーだ」
今度は、冗談めかした様子も、色仕掛けの雰囲気もない。
ただ純粋な、敬意と感謝のこもったキスだった。
私の顔が、カッと熱くなる。
これは計算外だ。
契約書にない「感謝のキス」に対する料金設定はしていない。
「……ちょ、超過勤務手当を請求します!」
私は真っ赤になって叫び、書類の束を胸に抱えて逃げるように背を向けた。
「おやすみなさい!」
「おう、おやすみ。……明日も頼むぜ、相棒(パートナー)」
執務室を飛び出し、廊下を早足で歩く。
心臓がうるさい。
さっきのキスの感触が、指先に残って消えない。
「……調子が狂うわ」
私は熱い頬を片手で冷やしながら、誰もいない廊下で独り言ちた。
「あの男、意外と……学習能力が高いわね」
私の計算式に、新たな変数(バグ)が混入した夜だった。
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