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「……閣下。一つ質問よろしいですか」
ガレリア帝国の王宮へ向かう馬車の中。
私は、隣に座るカシウスの姿をジロジロと観察しながら口を開いた。
「なんだ? 俺の正装姿に見惚れたか?」
カシウスは、黒を基調とした軍服風の礼服に身を包み、胸元には数々の勲章を輝かせている。
悔しいが、非常によく似合っている。野性味と品格が絶妙なバランスで同居しており、素材(ルックス)の良さを再認識させられる。
「いえ。勲章の数が多すぎて、肩凝りのリスクが懸念されるだけです。総重量は?」
「知らん。……おい、そこは『素敵です』とか言うところだろ」
「事実確認が先です」
私は自身のドレスの裾を直した。
今夜は、カシウスの「婚約者」としてのお披露目パーティー。
私が身につけているのは、カシウスが用意した深紅のドレスだ。
デザインはシンプルだが、生地は最高級のシルク。背中が大胆に開いているのが少々恥ずかしいが、動きやすいので許容範囲だ。
「しかし、憂鬱ですね。夜会など、生産性のない会話と愛想笑いの博覧会です」
「そう言うな。お前を他の貴族共に自慢してやりたいんだ」
カシウスがニカッと笑う。
「俺が選んだ女が、どれほど面白いかを見せつけてやる」
「見せ物ではありません。あくまで『業務』としての同伴です」
私は釘を刺しつつ、計算機をクラッチバッグに忍ばせた。
武器(これ)があれば、どんな精神攻撃も数値化して無効化できる。
◇
会場となる大広間は、煌びやかな光に包まれていた。
シャンデリアの輝き、グラスが触れ合う音、生演奏の調べ。
だが、その空気は一瞬にして凍りついた。
「カシウス・ベルンシュタイン公爵閣下の御入場です!」
そのアナウンスと共に私たちが足を踏み入れると、会場中の視線が突き刺さったのだ。
「あれが『狂犬』公爵……」
「隣の女性は誰だ? 見たことのない顔だが……」
「噂の婚約者か? 隣国の『捨てられた令嬢』だとか……」
好奇、嫉妬、そして蔑み。
ネガティブな感情の波動(パラメーター)が、肌で感じ取れるほど充満している。
「……随分と熱烈な歓迎(アウェー)ですね」
私は小声で囁いた。
「気にするな。俺に喧嘩を売れる度胸のある奴はそういない」
カシウスは不敵に笑い、私の腰に手を回してエスコートする。
その堂々たる態度は、まさに捕食者のそれだ。周囲の貴族たちが道を開けていく。
だが。
どこの世界にも、状況判断のできない愚か者は存在するらしい。
「あら、カシウス様ではありませんか」
扇で口元を隠した、派手なドレスの令嬢たちが三人、私たちの前に立ち塞がった。
リーダー格と思われる、巻き髪の令嬢がカシウスに媚びた視線を送り、そして私をゴミを見るような目で見下ろした。
「そちらが噂の? ……まぁ、なんて地味な方でしょう」
先制攻撃だ。
私は脳内で即座に戦闘モード(バトル・フェーズ)に移行した。
「初めまして。私はメリアドール・オルコットです」
「存じておりますわ。隣国で王子殿下に捨てられた、可哀想な方ですわよね?」
令嬢たちがクスクスと笑う。
「わざわざこんな田舎まで流れてくるなんて、よほど行く当てがなかったのですわね」
「カシウス様もお人が悪い。いくら人材不足だからといって、中古品(・・・)を拾ってくるなんて」
会場がざわつく。
カシウスの眉がピクリと動き、殺気が漏れそうになった。
私は彼の手を軽く叩いて制止した。
(動かないで、ボス。これは私の業務です)
私は一歩前に進み出た。
そして、リーダー格の令嬢を頭の先からつま先まで、じっくりとスキャンした。
「……ふむ」
「な、何ですの?」
「いえ。貴女のドレス、素晴らしいですね。最新の流行を取り入れたレース使い、見事です」
「おほほ! わかる? これは帝都で一番の……」
「ですが、構造力学的に見て欠陥があります」
「は?」
令嬢の笑顔が止まった。
「コルセットの締め付け圧が適正値を二〇パーセント超過しています。その角度で締め上げると、横隔膜が圧迫され、肺活量が低下します。結果、脳への酸素供給量が減り、思考力が低下するリスクがあります」
私は真顔で続けた。
「先ほどの『中古品』という発言は、その酸欠による判断力の低下が原因ですね? ならば同情いたします。呼吸、苦しくありませんか?」
「なっ……!?」
令嬢が顔を真っ赤にして胸を押さえる。
図星だったらしい。
「な、何を失礼な! これは美しさのために……!」
「美しさ? 健康を害してまで得る美に、どれほどの資産価値があるのでしょう。減価償却(コスト)に見合いません」
「減価償却ぅ!?」
「それに、貴女の言う『中古品』という定義も誤りです」
私は人差し指を立てた。
「私は王子殿下との婚約期間中、王妃教育によって高度な教養と実務能力を身につけました。つまり、付加価値(バリュー)は初期状態より増大しています。市場原理で言えば、私は『中古』ではなく『ヴィンテージ』、あるいは『高機能リユース品』として高値で取引されるべき物件です」
「ぶっ……」
後ろでカシウスが吹き出す音が聞こえた。
「な、なんなのよこの女……! 意味がわからないわ!」
取り巻きの令嬢が叫ぶ。
「カシウス様! こんな理屈っぽい女、すぐに飽きますわよ! 私の方が、もっと貴方様を癒やして差し上げられますわ!」
彼女はカシウスにすり寄ろうとした。
だが、私はその間にスッと割って入った。
「癒やし(ヒーリング)能力の提供ですか? では、資格はお持ちで?」
「し、資格?」
「マッサージ師、心理カウンセラー、あるいは看護師の免許です。カシウス閣下は激務です。プロフェッショナルな癒やしを求めるなら、素人の貴女より、国家資格を持つ専門家を雇う方が費用対効果(コスパ)が高い」
「……」
「貴女の時給はいくらですか? 専門家以下のスキルで、公爵夫人の座という高額報酬を要求するのは、労働市場における不当な価格吊り上げ(ボッタクリ)ですよ」
しーん。
会場が静まり返る。
愛や恋の駆け引きの場に、「時給」と「資格」を持ち込む女。
令嬢たちは口をパクパクとさせ、反論の言葉を失っていた。
「……も、もういいですわ! 行きましょう!」
リーダー格の令嬢が涙目になって叫んだ。
「覚えてらっしゃい! この……計算機女!」
彼女たちは捨て台詞を残し、逃げるように去っていった。
私の勝ちだ。所要時間、三分。
「……ふぅ。非生産的な時間でした」
私は小さく息を吐き、カシウスを振り返った。
「処理完了です、閣下。他に追加オーダーは?」
カシウスは、お腹を抱えて震えていた。
「くっ……くくくっ……はーっはっはっは!!」
彼は周囲の目も憚らず、高らかに爆笑した。
「最高だ! お前、本当に最高だぞメリアドール! あいつらを『ボッタクリ』呼ばわりするとは!」
「事実です。スキルに見合わない報酬を要求するのは、経営を圧迫する悪です」
「違いない! ああ、腹が痛い……」
カシウスは涙を拭い、愛おしそうに私を見た。
そして、私の手を取り、その甲に口づけを落とした。
「よく言った。俺の『高機能リユース品』は、世界一の掘り出し物だ」
「……褒め言葉として受け取っておきます」
「ああ。誰にも渡さん。お前の価値(バリュー)が分かるのは、俺だけだ」
その言葉と熱い視線に、私の心拍数がまたしても跳ね上がる。
周囲の貴族たちは、呆気にとられながらも、カシウスがこれほど楽しそうに笑う姿を初めて見たようで、「あのお二人は、意外とお似合いなのでは……?」と囁き合っている。
「さて、邪魔者も消えた。踊るか、メリアドール」
カシウスが手を差し出す。
「ダンス? 私のダンススキルは王宮流ですが、ガレリアのステップに対応できるか……」
「俺に合わせろ。リードしてやる」
強引に手を引かれ、私たちはフロアの中央へ出た。
音楽が始まる。
カシウスのリードは、力強く、けれど驚くほど繊細だった。
私の動きを完全に読み、サポートしてくれる。
まるで、執務室での書類仕事の時のように、私たちの相性は抜群だった。
「……悪くないステップだ」
「閣下こそ。意外と器用ですね」
クルクルと回る視界の中、カシウスの笑顔だけが鮮明に焼き付く。
「なぁ、メリアドール」
「はい?」
「契約更新の時は、このダンスも『基本給』に含めておけよ」
「検討します。……ですが、この心地よさなら、無料(サービス)でも構いませんよ」
私は小さく呟いた。
音楽にかき消されたその言葉を聞き逃さなかったカシウスが、ニヤリと満足げに笑ったのを、私は見逃さなかった。
こうして、私の隣国社交界デビューは、伝説的な勝利(と変な噂)と共に幕を開けたのである。
ガレリア帝国の王宮へ向かう馬車の中。
私は、隣に座るカシウスの姿をジロジロと観察しながら口を開いた。
「なんだ? 俺の正装姿に見惚れたか?」
カシウスは、黒を基調とした軍服風の礼服に身を包み、胸元には数々の勲章を輝かせている。
悔しいが、非常によく似合っている。野性味と品格が絶妙なバランスで同居しており、素材(ルックス)の良さを再認識させられる。
「いえ。勲章の数が多すぎて、肩凝りのリスクが懸念されるだけです。総重量は?」
「知らん。……おい、そこは『素敵です』とか言うところだろ」
「事実確認が先です」
私は自身のドレスの裾を直した。
今夜は、カシウスの「婚約者」としてのお披露目パーティー。
私が身につけているのは、カシウスが用意した深紅のドレスだ。
デザインはシンプルだが、生地は最高級のシルク。背中が大胆に開いているのが少々恥ずかしいが、動きやすいので許容範囲だ。
「しかし、憂鬱ですね。夜会など、生産性のない会話と愛想笑いの博覧会です」
「そう言うな。お前を他の貴族共に自慢してやりたいんだ」
カシウスがニカッと笑う。
「俺が選んだ女が、どれほど面白いかを見せつけてやる」
「見せ物ではありません。あくまで『業務』としての同伴です」
私は釘を刺しつつ、計算機をクラッチバッグに忍ばせた。
武器(これ)があれば、どんな精神攻撃も数値化して無効化できる。
◇
会場となる大広間は、煌びやかな光に包まれていた。
シャンデリアの輝き、グラスが触れ合う音、生演奏の調べ。
だが、その空気は一瞬にして凍りついた。
「カシウス・ベルンシュタイン公爵閣下の御入場です!」
そのアナウンスと共に私たちが足を踏み入れると、会場中の視線が突き刺さったのだ。
「あれが『狂犬』公爵……」
「隣の女性は誰だ? 見たことのない顔だが……」
「噂の婚約者か? 隣国の『捨てられた令嬢』だとか……」
好奇、嫉妬、そして蔑み。
ネガティブな感情の波動(パラメーター)が、肌で感じ取れるほど充満している。
「……随分と熱烈な歓迎(アウェー)ですね」
私は小声で囁いた。
「気にするな。俺に喧嘩を売れる度胸のある奴はそういない」
カシウスは不敵に笑い、私の腰に手を回してエスコートする。
その堂々たる態度は、まさに捕食者のそれだ。周囲の貴族たちが道を開けていく。
だが。
どこの世界にも、状況判断のできない愚か者は存在するらしい。
「あら、カシウス様ではありませんか」
扇で口元を隠した、派手なドレスの令嬢たちが三人、私たちの前に立ち塞がった。
リーダー格と思われる、巻き髪の令嬢がカシウスに媚びた視線を送り、そして私をゴミを見るような目で見下ろした。
「そちらが噂の? ……まぁ、なんて地味な方でしょう」
先制攻撃だ。
私は脳内で即座に戦闘モード(バトル・フェーズ)に移行した。
「初めまして。私はメリアドール・オルコットです」
「存じておりますわ。隣国で王子殿下に捨てられた、可哀想な方ですわよね?」
令嬢たちがクスクスと笑う。
「わざわざこんな田舎まで流れてくるなんて、よほど行く当てがなかったのですわね」
「カシウス様もお人が悪い。いくら人材不足だからといって、中古品(・・・)を拾ってくるなんて」
会場がざわつく。
カシウスの眉がピクリと動き、殺気が漏れそうになった。
私は彼の手を軽く叩いて制止した。
(動かないで、ボス。これは私の業務です)
私は一歩前に進み出た。
そして、リーダー格の令嬢を頭の先からつま先まで、じっくりとスキャンした。
「……ふむ」
「な、何ですの?」
「いえ。貴女のドレス、素晴らしいですね。最新の流行を取り入れたレース使い、見事です」
「おほほ! わかる? これは帝都で一番の……」
「ですが、構造力学的に見て欠陥があります」
「は?」
令嬢の笑顔が止まった。
「コルセットの締め付け圧が適正値を二〇パーセント超過しています。その角度で締め上げると、横隔膜が圧迫され、肺活量が低下します。結果、脳への酸素供給量が減り、思考力が低下するリスクがあります」
私は真顔で続けた。
「先ほどの『中古品』という発言は、その酸欠による判断力の低下が原因ですね? ならば同情いたします。呼吸、苦しくありませんか?」
「なっ……!?」
令嬢が顔を真っ赤にして胸を押さえる。
図星だったらしい。
「な、何を失礼な! これは美しさのために……!」
「美しさ? 健康を害してまで得る美に、どれほどの資産価値があるのでしょう。減価償却(コスト)に見合いません」
「減価償却ぅ!?」
「それに、貴女の言う『中古品』という定義も誤りです」
私は人差し指を立てた。
「私は王子殿下との婚約期間中、王妃教育によって高度な教養と実務能力を身につけました。つまり、付加価値(バリュー)は初期状態より増大しています。市場原理で言えば、私は『中古』ではなく『ヴィンテージ』、あるいは『高機能リユース品』として高値で取引されるべき物件です」
「ぶっ……」
後ろでカシウスが吹き出す音が聞こえた。
「な、なんなのよこの女……! 意味がわからないわ!」
取り巻きの令嬢が叫ぶ。
「カシウス様! こんな理屈っぽい女、すぐに飽きますわよ! 私の方が、もっと貴方様を癒やして差し上げられますわ!」
彼女はカシウスにすり寄ろうとした。
だが、私はその間にスッと割って入った。
「癒やし(ヒーリング)能力の提供ですか? では、資格はお持ちで?」
「し、資格?」
「マッサージ師、心理カウンセラー、あるいは看護師の免許です。カシウス閣下は激務です。プロフェッショナルな癒やしを求めるなら、素人の貴女より、国家資格を持つ専門家を雇う方が費用対効果(コスパ)が高い」
「……」
「貴女の時給はいくらですか? 専門家以下のスキルで、公爵夫人の座という高額報酬を要求するのは、労働市場における不当な価格吊り上げ(ボッタクリ)ですよ」
しーん。
会場が静まり返る。
愛や恋の駆け引きの場に、「時給」と「資格」を持ち込む女。
令嬢たちは口をパクパクとさせ、反論の言葉を失っていた。
「……も、もういいですわ! 行きましょう!」
リーダー格の令嬢が涙目になって叫んだ。
「覚えてらっしゃい! この……計算機女!」
彼女たちは捨て台詞を残し、逃げるように去っていった。
私の勝ちだ。所要時間、三分。
「……ふぅ。非生産的な時間でした」
私は小さく息を吐き、カシウスを振り返った。
「処理完了です、閣下。他に追加オーダーは?」
カシウスは、お腹を抱えて震えていた。
「くっ……くくくっ……はーっはっはっは!!」
彼は周囲の目も憚らず、高らかに爆笑した。
「最高だ! お前、本当に最高だぞメリアドール! あいつらを『ボッタクリ』呼ばわりするとは!」
「事実です。スキルに見合わない報酬を要求するのは、経営を圧迫する悪です」
「違いない! ああ、腹が痛い……」
カシウスは涙を拭い、愛おしそうに私を見た。
そして、私の手を取り、その甲に口づけを落とした。
「よく言った。俺の『高機能リユース品』は、世界一の掘り出し物だ」
「……褒め言葉として受け取っておきます」
「ああ。誰にも渡さん。お前の価値(バリュー)が分かるのは、俺だけだ」
その言葉と熱い視線に、私の心拍数がまたしても跳ね上がる。
周囲の貴族たちは、呆気にとられながらも、カシウスがこれほど楽しそうに笑う姿を初めて見たようで、「あのお二人は、意外とお似合いなのでは……?」と囁き合っている。
「さて、邪魔者も消えた。踊るか、メリアドール」
カシウスが手を差し出す。
「ダンス? 私のダンススキルは王宮流ですが、ガレリアのステップに対応できるか……」
「俺に合わせろ。リードしてやる」
強引に手を引かれ、私たちはフロアの中央へ出た。
音楽が始まる。
カシウスのリードは、力強く、けれど驚くほど繊細だった。
私の動きを完全に読み、サポートしてくれる。
まるで、執務室での書類仕事の時のように、私たちの相性は抜群だった。
「……悪くないステップだ」
「閣下こそ。意外と器用ですね」
クルクルと回る視界の中、カシウスの笑顔だけが鮮明に焼き付く。
「なぁ、メリアドール」
「はい?」
「契約更新の時は、このダンスも『基本給』に含めておけよ」
「検討します。……ですが、この心地よさなら、無料(サービス)でも構いませんよ」
私は小さく呟いた。
音楽にかき消されたその言葉を聞き逃さなかったカシウスが、ニヤリと満足げに笑ったのを、私は見逃さなかった。
こうして、私の隣国社交界デビューは、伝説的な勝利(と変な噂)と共に幕を開けたのである。
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