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「……」
今日のクロード公爵は、どこか様子がおかしかった。
いつものカウンター席。
いつもの『スペシャル・マッスル・ミルク』。
ここまでは普段通りなのだが、彼の視線が定まらないのだ。
彼はミルクをちびちびと飲みながら、チラリ、チラリと私の背後にあるキッチンの方を見ている。
その鋭い眼光は、まるで隠れた暗殺者を探しているかのようだ。
(まさか、王都からの刺客がキッチンに潜んでいる……?)
私は緊張を走らせ、背後の棚を確認した。
しかし、そこにいるのは皿洗いをしながら僧帽筋を鍛えている店員(マッチョ)だけだ。
「あの、クロード様? 何か気になるものでも?」
私が恐る恐る尋ねると、彼はビクリと肩を震わせ、バツが悪そうに視線を逸らした。
「……いや。なんでもない」
「そうですか? 先ほどから、私の後ろにある『冷蔵ケース』を熱心にご覧になっているようでしたけれど」
「……!」
図星だったらしい。
彼の眉がピクリと動き、耳がほんのりと赤くなった。
私はハッとして、冷蔵ケースの中身を確認した。
そこに入っているのは、今朝試作したばかりの新作スイーツだ。
(ああっ、なるほど! そういうこと!)
私は思わずニヤけてしまいそうになるのを、扇で必死に隠した。
冷蔵ケースの中には、色とりどりのフルーツを乗せた『高タンパク・豆乳プリン』が並んでいる。
彼は暗殺者を警戒していたのではない。
プリンをロックオンしていたのだ。
「クロード様。もしかして、甘いものが足りていませんの?」
「……否定はしない」
彼は観念したように息を吐いた。
「最近、執務が忙しくてな。糖分が枯渇しているようだ。……その、ガラスケースの中の物体が、気になって仕方がない」
「ふふっ、正直でよろしいですわ。これは新作の『マッスル・プリン・アラモード』です。ちょうど毒味……いえ、試食をお願いしようと思っていたところですの」
私はケースから一番大きなプリンを取り出し、彼の前に置いた。
プルンッ、と弾力のある音を立ててプリンが揺れる。
その瞬間、クロード様の瞳孔が猫のようにキュッと開いたのを私は見逃さなかった。
(かわいい……! 氷の処刑人が、プリン一つでこんな顔をするなんて!)
「……食べていいのか?」
「ええ、どうぞ。感想を聞かせてください」
彼はスプーンを手に取り、慎重にプリンを掬った。
そして、パクリ。
瞬間。
彼の周囲に、幻覚の花が咲いた気がした。
厳めしい眉間のシワが完全に消え去り、口元が幸せそうに緩む。
殺気立っていたオーラが霧散し、代わりにマイナスイオンが発生している。
「……美味い」
「でしょう? 砂糖の代わりに希少な『メープルシロップ』を使っていますから、コクがありつつも後味はスッキリしていますの」
「素晴らしい……。口の中で溶けるようだ」
彼は夢中になってスプーンを動かし始めた。
一口食べるごとに、頬が緩み、目がトロンとしていく。
私はカウンターに肘をつき、その光景をガン見した。
もちろん、ただ可愛いと思っているだけではない。
(見て! あの咀嚼筋(そしゃくきん)の滑らかな動き! 硬い肉を噛みちぎる時とは違う、繊細な筋肉の収縮だわ!)
さらに、スプーンを口に運ぶたびに動く、上腕二頭筋と腕橈骨筋(わんとうこつきん)の連動。
無骨な手が、小さなスプーンを器用に操るギャップ。
全てが私のフェチ心を刺激する。
(ああ、尊い……。筋肉とスイーツの融合、これぞ究極の癒やし!)
「……マーヤ?」
ふと、視線を感じたのかクロード様が顔を上げた。
口の端に、黄色いカスタードクリームがついている。
「そんなに見つめられると、食べづらいのだが」
「あら、ごめんなさい。あまりにも美味しそうに召し上がるので、つい」
私はナプキンを取り出し、自然な動作で身を乗り出した。
「動かないで。クリームがついていますわ」
「えっ……」
私が手を伸ばすと、彼は驚いて硬直した。
その隙に、私は彼の口元のクリームをナプキンで拭い取る。
至近距離。
彼の整った顔立ちと、驚きで見開かれたアイスブルーの瞳が目の前にある。
ドクンッ。
(やだ……肌、すごく綺麗)
近くで見ると、彼の肌はキメが細かく、髭の剃り跡すらセクシーだ。
そして何より、首筋から漂う微かな香り。
鉄と、石鹸と、甘いミルクの混ざった匂い。
「……す、すまない」
彼が顔を赤らめて呟く。
その声が少し掠れていて、私の心臓が不覚にも変なリズムを刻んでしまった。
(落ち着け私! 相手は筋肉よ! ただの極上の筋肉の塊だと思いなさい!)
私は慌てて体を離し、平静を装って微笑んだ。
「いえ、お気になさらず。……それより、お代はいりませんので、代わりにお願いがあります」
「願い?」
彼は瞬時に真面目な顔(クリームは取れている)に戻った。
「なんだ? 魔獣退治か? それとも店の護衛か?」
「いいえ。……ちょっと、腕を触らせていただきたくて」
「は?」
「プリンの代金として、上腕三頭筋の触診を許可していただきたいのです。今後のメニュー開発(という名の趣味)のために、理想的な筋肉の硬さを知っておく必要がありますので」
私が真顔で言うと、彼は呆気に取られた顔をした。
しかし、すぐにフッと小さく笑った。
「……変わった女だ。金貨や宝石ではなく、筋肉を要求するとは」
「私にとっては、あなたの筋肉こそがダイヤモンドですもの」
「よく言う」
彼は苦笑しつつも、右腕の袖をまくり上げてくれた。
現れたのは、丸太のような剛腕。
力を入れていない状態でも、岩のように硬いことが見て取れる。
「……好きにしろ」
「失礼します……!」
私は震える手で、その二の腕に触れた。
(硬っ!!)
石だ。いや、鋼鉄だ。
指が弾き返されるほどの弾力。
しかし、表面の皮膚は温かく、その下を流れる血潮を感じる。
「んっ……」
私が指先で筋肉の繊維に沿ってなぞると、彼が小さく声を漏らした。
「く、くすぐったいのだが」
「我慢してください。データ採取中です」
私は夢中で揉みしだいた。
三頭筋の馬蹄形が美しい。
肘周りの腱も強靭だ。
これほどの素材、一生かけても味わい尽くせないかもしれない。
「……マーヤ。そろそろ勘弁してくれ」
数分後。
さすがに恥ずかしくなったのか、クロード様が腕を引っこめた。
その顔は耳まで真っ赤だ。
「これ以上触られると、その……落ち着かない」
「あら、残念。でも、素晴らしい筋肉でしたわ。ごちそうさまでした」
私は満面の笑みで礼を言った。
プリンを食べたのは彼だが、ごちそうになったのは私の方だ。
「……また、新しい菓子ができたら教えてくれ」
彼はそそくさと袖を下ろし、逃げるように席を立った。
しかし、その表情は満更でもなさそうだ。
「ええ、もちろん。次は『プロテイン・ティラミス』をご用意しておきますわ」
「……楽しみにしている」
彼は小さく手を振り、店を出て行った。
その後ろ姿を見送りながら、私は確信した。
(落ちたわね)
胃袋と筋肉。
この二つを掴めば、氷の処刑人も形無しだ。
「お嬢……あんた、今のやり取り完全にバカップルだったぞ」
後ろで見ていたガンツが呆れ顔で突っ込んできたが、私は聞こえないフリをした。
だって、こんなに楽しい「餌付け」をやめるわけにはいかないもの。
二人の距離は、甘いお菓子と共に確実に縮まっていた。
だが、その甘い時間を引き裂くように、嫉妬に狂った「筋肉たち」が暴走する事件が起きようとしていた。
今日のクロード公爵は、どこか様子がおかしかった。
いつものカウンター席。
いつもの『スペシャル・マッスル・ミルク』。
ここまでは普段通りなのだが、彼の視線が定まらないのだ。
彼はミルクをちびちびと飲みながら、チラリ、チラリと私の背後にあるキッチンの方を見ている。
その鋭い眼光は、まるで隠れた暗殺者を探しているかのようだ。
(まさか、王都からの刺客がキッチンに潜んでいる……?)
私は緊張を走らせ、背後の棚を確認した。
しかし、そこにいるのは皿洗いをしながら僧帽筋を鍛えている店員(マッチョ)だけだ。
「あの、クロード様? 何か気になるものでも?」
私が恐る恐る尋ねると、彼はビクリと肩を震わせ、バツが悪そうに視線を逸らした。
「……いや。なんでもない」
「そうですか? 先ほどから、私の後ろにある『冷蔵ケース』を熱心にご覧になっているようでしたけれど」
「……!」
図星だったらしい。
彼の眉がピクリと動き、耳がほんのりと赤くなった。
私はハッとして、冷蔵ケースの中身を確認した。
そこに入っているのは、今朝試作したばかりの新作スイーツだ。
(ああっ、なるほど! そういうこと!)
私は思わずニヤけてしまいそうになるのを、扇で必死に隠した。
冷蔵ケースの中には、色とりどりのフルーツを乗せた『高タンパク・豆乳プリン』が並んでいる。
彼は暗殺者を警戒していたのではない。
プリンをロックオンしていたのだ。
「クロード様。もしかして、甘いものが足りていませんの?」
「……否定はしない」
彼は観念したように息を吐いた。
「最近、執務が忙しくてな。糖分が枯渇しているようだ。……その、ガラスケースの中の物体が、気になって仕方がない」
「ふふっ、正直でよろしいですわ。これは新作の『マッスル・プリン・アラモード』です。ちょうど毒味……いえ、試食をお願いしようと思っていたところですの」
私はケースから一番大きなプリンを取り出し、彼の前に置いた。
プルンッ、と弾力のある音を立ててプリンが揺れる。
その瞬間、クロード様の瞳孔が猫のようにキュッと開いたのを私は見逃さなかった。
(かわいい……! 氷の処刑人が、プリン一つでこんな顔をするなんて!)
「……食べていいのか?」
「ええ、どうぞ。感想を聞かせてください」
彼はスプーンを手に取り、慎重にプリンを掬った。
そして、パクリ。
瞬間。
彼の周囲に、幻覚の花が咲いた気がした。
厳めしい眉間のシワが完全に消え去り、口元が幸せそうに緩む。
殺気立っていたオーラが霧散し、代わりにマイナスイオンが発生している。
「……美味い」
「でしょう? 砂糖の代わりに希少な『メープルシロップ』を使っていますから、コクがありつつも後味はスッキリしていますの」
「素晴らしい……。口の中で溶けるようだ」
彼は夢中になってスプーンを動かし始めた。
一口食べるごとに、頬が緩み、目がトロンとしていく。
私はカウンターに肘をつき、その光景をガン見した。
もちろん、ただ可愛いと思っているだけではない。
(見て! あの咀嚼筋(そしゃくきん)の滑らかな動き! 硬い肉を噛みちぎる時とは違う、繊細な筋肉の収縮だわ!)
さらに、スプーンを口に運ぶたびに動く、上腕二頭筋と腕橈骨筋(わんとうこつきん)の連動。
無骨な手が、小さなスプーンを器用に操るギャップ。
全てが私のフェチ心を刺激する。
(ああ、尊い……。筋肉とスイーツの融合、これぞ究極の癒やし!)
「……マーヤ?」
ふと、視線を感じたのかクロード様が顔を上げた。
口の端に、黄色いカスタードクリームがついている。
「そんなに見つめられると、食べづらいのだが」
「あら、ごめんなさい。あまりにも美味しそうに召し上がるので、つい」
私はナプキンを取り出し、自然な動作で身を乗り出した。
「動かないで。クリームがついていますわ」
「えっ……」
私が手を伸ばすと、彼は驚いて硬直した。
その隙に、私は彼の口元のクリームをナプキンで拭い取る。
至近距離。
彼の整った顔立ちと、驚きで見開かれたアイスブルーの瞳が目の前にある。
ドクンッ。
(やだ……肌、すごく綺麗)
近くで見ると、彼の肌はキメが細かく、髭の剃り跡すらセクシーだ。
そして何より、首筋から漂う微かな香り。
鉄と、石鹸と、甘いミルクの混ざった匂い。
「……す、すまない」
彼が顔を赤らめて呟く。
その声が少し掠れていて、私の心臓が不覚にも変なリズムを刻んでしまった。
(落ち着け私! 相手は筋肉よ! ただの極上の筋肉の塊だと思いなさい!)
私は慌てて体を離し、平静を装って微笑んだ。
「いえ、お気になさらず。……それより、お代はいりませんので、代わりにお願いがあります」
「願い?」
彼は瞬時に真面目な顔(クリームは取れている)に戻った。
「なんだ? 魔獣退治か? それとも店の護衛か?」
「いいえ。……ちょっと、腕を触らせていただきたくて」
「は?」
「プリンの代金として、上腕三頭筋の触診を許可していただきたいのです。今後のメニュー開発(という名の趣味)のために、理想的な筋肉の硬さを知っておく必要がありますので」
私が真顔で言うと、彼は呆気に取られた顔をした。
しかし、すぐにフッと小さく笑った。
「……変わった女だ。金貨や宝石ではなく、筋肉を要求するとは」
「私にとっては、あなたの筋肉こそがダイヤモンドですもの」
「よく言う」
彼は苦笑しつつも、右腕の袖をまくり上げてくれた。
現れたのは、丸太のような剛腕。
力を入れていない状態でも、岩のように硬いことが見て取れる。
「……好きにしろ」
「失礼します……!」
私は震える手で、その二の腕に触れた。
(硬っ!!)
石だ。いや、鋼鉄だ。
指が弾き返されるほどの弾力。
しかし、表面の皮膚は温かく、その下を流れる血潮を感じる。
「んっ……」
私が指先で筋肉の繊維に沿ってなぞると、彼が小さく声を漏らした。
「く、くすぐったいのだが」
「我慢してください。データ採取中です」
私は夢中で揉みしだいた。
三頭筋の馬蹄形が美しい。
肘周りの腱も強靭だ。
これほどの素材、一生かけても味わい尽くせないかもしれない。
「……マーヤ。そろそろ勘弁してくれ」
数分後。
さすがに恥ずかしくなったのか、クロード様が腕を引っこめた。
その顔は耳まで真っ赤だ。
「これ以上触られると、その……落ち着かない」
「あら、残念。でも、素晴らしい筋肉でしたわ。ごちそうさまでした」
私は満面の笑みで礼を言った。
プリンを食べたのは彼だが、ごちそうになったのは私の方だ。
「……また、新しい菓子ができたら教えてくれ」
彼はそそくさと袖を下ろし、逃げるように席を立った。
しかし、その表情は満更でもなさそうだ。
「ええ、もちろん。次は『プロテイン・ティラミス』をご用意しておきますわ」
「……楽しみにしている」
彼は小さく手を振り、店を出て行った。
その後ろ姿を見送りながら、私は確信した。
(落ちたわね)
胃袋と筋肉。
この二つを掴めば、氷の処刑人も形無しだ。
「お嬢……あんた、今のやり取り完全にバカップルだったぞ」
後ろで見ていたガンツが呆れ顔で突っ込んできたが、私は聞こえないフリをした。
だって、こんなに楽しい「餌付け」をやめるわけにはいかないもの。
二人の距離は、甘いお菓子と共に確実に縮まっていた。
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