子ども泥棒 ヘッポコ・エイト2世

第2話 ヘッポコ・エイト２世 VS ヘッポコ・エイト１世

いざ挑戦

次の日から１世の屋敷の玄関は盗めるものなら盗んでみろと開いたままになっていた。玄関ドアを通して屋敷の奥の奥にある特大金庫が見えるが、そこに辿り着くまでにはもちろん試練があった。

最初の部屋は「無重力の間」！床壁天井、部屋中どこでも髪の毛１本でも重さが加わると、そこめがけて重力つまりは重さが加わる。そこにいたものは床なら床に、壁なら壁に押さえつけられ動けなくなる。

２つ目の部屋は「無音の間」！部屋のなかで音がすると針が落ちるようなわずかな音でさえ、そこめがけてベタベタのガムが大量に飛んでくる。ガムに捕まると貼り付けになって動けなくなる。

それらを突破していよいよ最後は金庫室。ここには１世がすべてをかけて生み出した最強にして最高の大金庫「グレート・サン（偉大な息子）」と対をなす「グレート・ダディ（偉大な父）」が置かれていた。この２つの金庫は大きさもさることながら、難攻不落と言われダイヤよりも固い「ポコステン超合金」で作られているうえに、１世の技術のスイを集めたカギがつけられている。まず開けることは不可能だった。
しかも１世のイタズラ心というか性格というか、万が一、億が一に金庫を破れたとしても金庫の扉が開くと、その瞬間に金庫室が催眠ガスで満たされる仕掛けまで用意されている。

最初の１日目は我こそはと腕に自信のある泥棒たちが次々に挑戦した。しかし、たいがいは最初の「無重力の間」で壁や床に押さえつけられて終わった。金庫までロープを張って綱渡りで突破する者、バルーンを使って足をつかずに突破した者もいたが次の「無音の間」を音をたてずに通ることはかなわず結局、全員リタイアとなった。