19 / 22
第2.5話 金庫職人と国王
月と牢屋
しおりを挟む
王と王女は牢屋に閉じ込められたまま夜を迎えた。小さな窓から格子越しにさす月明かりだけが辺りを照らしていた。
「王様ともあろうお方が、なんでまたこんなところにいらっしゃるんで?こりゃぁ、何かの冗談ですかい?」暗闇の先、向かいの牢屋から男の声が聞こえた。
「おぉ、泥棒か。まだこんなところにおったのか?」ヘッポコ7世は声の主がわかったらしく返事をした。
声の主は、昨夜王国に忍び込んだ泥棒だった。泥棒の夢は世界最高にして、最強の金庫をつくること。金庫職人として産まれ、世界中の金庫を破り研究し、自分の夢の金庫にはポコステン超合金が不可欠と、その製法を求め昨日の晩に城に忍び込んだのだった。
運悪くワルザラース大臣の親衛隊に捕らえられた泥棒は王の前に連行された。
「ヘッポコステン王よ。城に忍び込んだ不届き者をワルザラースめが捕まえてまいりました」
そういうとワルザラース大臣は深々とヘッポコ7世にお辞儀をした。
ワルザラースが親衛隊に目配せすると、親衛隊長が剣を抜き泥棒の首をはねようと構えた。
「まぁ待て!」ヘッポコ7世は慌てて言った。
「ワルザラース大臣、待つのじゃ!今は待望の王子が産まれたばかり、王国のめでたいときにいかに泥棒とて殺しては不吉というもの。」
言われたワルザラース大臣は内心おもしろくない
「いかに我が王の言葉でも罪には罰でこたえねば王国の秩序が守れませぬ。どうか即刻、打首を!王の忠実にして第1の下僕のお願いにございます。」そういうとまたお辞儀をした。
「うむワルザラース大臣の話しももっともじゃ。だが今日は日が悪い!打首は後日とし、ひとまず牢屋に入れておくように」
そう言って王は寝所に戻っていったのだった。しかたなくワルザラース大臣は王の言葉に従った。
ヘッポコ7世は向かいの牢屋に向かって続けた
「御主なら、こんな牢屋から逃げることなど簡単だろうに。なぜさっさと逃げなかったんじゃ?」
泥棒は答えた
「昨日の今日で逃げ出したら、王様に迷惑がかかるかと思いましてな。命を助けていただいたうえに迷惑まではかけられない、泥棒なりの仁義ですわ。そんなわけで数日のんびりしてから帰ろうと思いましてな」
「王様ともあろうお方が、なんでまたこんなところにいらっしゃるんで?こりゃぁ、何かの冗談ですかい?」暗闇の先、向かいの牢屋から男の声が聞こえた。
「おぉ、泥棒か。まだこんなところにおったのか?」ヘッポコ7世は声の主がわかったらしく返事をした。
声の主は、昨夜王国に忍び込んだ泥棒だった。泥棒の夢は世界最高にして、最強の金庫をつくること。金庫職人として産まれ、世界中の金庫を破り研究し、自分の夢の金庫にはポコステン超合金が不可欠と、その製法を求め昨日の晩に城に忍び込んだのだった。
運悪くワルザラース大臣の親衛隊に捕らえられた泥棒は王の前に連行された。
「ヘッポコステン王よ。城に忍び込んだ不届き者をワルザラースめが捕まえてまいりました」
そういうとワルザラース大臣は深々とヘッポコ7世にお辞儀をした。
ワルザラースが親衛隊に目配せすると、親衛隊長が剣を抜き泥棒の首をはねようと構えた。
「まぁ待て!」ヘッポコ7世は慌てて言った。
「ワルザラース大臣、待つのじゃ!今は待望の王子が産まれたばかり、王国のめでたいときにいかに泥棒とて殺しては不吉というもの。」
言われたワルザラース大臣は内心おもしろくない
「いかに我が王の言葉でも罪には罰でこたえねば王国の秩序が守れませぬ。どうか即刻、打首を!王の忠実にして第1の下僕のお願いにございます。」そういうとまたお辞儀をした。
「うむワルザラース大臣の話しももっともじゃ。だが今日は日が悪い!打首は後日とし、ひとまず牢屋に入れておくように」
そう言って王は寝所に戻っていったのだった。しかたなくワルザラース大臣は王の言葉に従った。
ヘッポコ7世は向かいの牢屋に向かって続けた
「御主なら、こんな牢屋から逃げることなど簡単だろうに。なぜさっさと逃げなかったんじゃ?」
泥棒は答えた
「昨日の今日で逃げ出したら、王様に迷惑がかかるかと思いましてな。命を助けていただいたうえに迷惑まではかけられない、泥棒なりの仁義ですわ。そんなわけで数日のんびりしてから帰ろうと思いましてな」
0
あなたにおすすめの小説
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)
tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!!
作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など
・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。
小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね!
・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。
頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください!
特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します!
トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気!
人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる