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第一章 英雄の帰還
9 甘いです
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「今回。面接と言ったが、質問はたった一つ。なぜメディクスになりたいか、だ。番号順に話せ。時間は無制限だ。では、98番」
そうメガネの男が言うとすぐに金髪の少年が立ち上がった。
「98番。カルマ・ハンソン。17歳です」
「カルマ。なぜメディクスになりたい?」
「はい。僕は4年前、母を【オッド襲撃事件】で亡くしました。毎日毎日泣いていたのを昨日のことのように思い出します。こんな悲劇を二度と繰り返してはいけません。僕は命を懸けてヴェロウイルスと戦い、少しでもこの世界を平和にしてみせます。以上です」
「ふむ……中々良い理由だ。次」
「はい。99番、バス・クライトン。43歳です」
今度はガタイのいい男が立ち上がった。
「バス。なぜメディクスになりたい?」
「はい。私も……4年前のあの事件で娘のメイジーを失いました。理由なんて……無いようなものです。元々父子家庭なので…娘のいない生活など意味がありません。私はなぜ食べるのか、歩くのか、息をするのか、なんのために生きているのか……もう……どうでもいい。せめて…せめてこの私の命を……あの憎きウイルスを駆除するのに使わせてください。以上です」
「なるほど……素晴らしい覚悟だ。では次」
遂に順番が回ってきた。しかし大丈夫。言いたいことは決まっている。
「100番。アラン・ロバーツ。16歳です」
「アラン。なぜメディクスになりたい?」
「俺の望みだからです。以上です」
「………?」
もう着席は済ませた。
「そうか……以上か。君はよほどウチの試験を舐めてるらしい……ならばこちらも、以上だ」
「ユン・ウォーレン。君はなぜメディクスになりたい?」
こちらは中年の女性が面接官を務めている。
「は、はい!ぼ、僕はアランの隣にいたいからです!」
「アラン……?誰だいそれは?」
「は、はい!アラン・ロバーツです!き、今日も一緒に試験を受けにきました!」
「はぁ?それとメディクスにいったいなんの関係があるんだい?」
「は、はい!アランは必ずメディクスになります!だ、だからアランの隣に居るためにはメディクスになる必要があるので……」
「なんだいその理由!?ふざけてるのかい!?いいかい?今日受けたアンタ以外の99人全員、みんな自分の命を懸けるような強い意志でここに来てるんだよ!!あんたみたいな人の意見でコロコロ変わるような奴がいていい場所じゃないんだよ!!」
激昂した面接官が怒鳴り声を上げる。
「人の意見じゃないです。アランの意見です」
「はぁ!?もういい!お前みたいな意思の弱い奴は不合ーー」
「訂正してください」
「な、なんだい突然!」
「訂正してください。僕の意思は弱くなんかありません。僕の意思は……命を懸けるなんてそんな小さなものじゃありません」
「はぁ??命より大きなものなんて懸けれないわよ」
「違います。僕は<死んでもアランの助けになりたい!>じゃない」
「僕の人生全ての時間を懸けてアラン助けになりたい」
「な……」
「面接官さん。アナタは命を懸けても救ったり守りたい人がいるかもしれません。ですが……甘いです」
「僕はアランに人生を懸けます」
「そ、そんなイカれた考え……」
「そうですよね。イカれてますよね。自分より優先したい人がいるなんて……みんなは僕に情け無いと言うかもしれません。でも……いいんです。幼い頃から僕の人生の目標は決まっています」
情け無い顔して、君の隣にいたい
「で、でも……もしアランって子が落ちてたらどうするのよ?」
「え?あ、だ、大丈夫だと思いますよ?アランも僕と同じように、ま、真っ直ぐに答えてると思うので……」
ユンの声は、またつっかえ始めた。
そうメガネの男が言うとすぐに金髪の少年が立ち上がった。
「98番。カルマ・ハンソン。17歳です」
「カルマ。なぜメディクスになりたい?」
「はい。僕は4年前、母を【オッド襲撃事件】で亡くしました。毎日毎日泣いていたのを昨日のことのように思い出します。こんな悲劇を二度と繰り返してはいけません。僕は命を懸けてヴェロウイルスと戦い、少しでもこの世界を平和にしてみせます。以上です」
「ふむ……中々良い理由だ。次」
「はい。99番、バス・クライトン。43歳です」
今度はガタイのいい男が立ち上がった。
「バス。なぜメディクスになりたい?」
「はい。私も……4年前のあの事件で娘のメイジーを失いました。理由なんて……無いようなものです。元々父子家庭なので…娘のいない生活など意味がありません。私はなぜ食べるのか、歩くのか、息をするのか、なんのために生きているのか……もう……どうでもいい。せめて…せめてこの私の命を……あの憎きウイルスを駆除するのに使わせてください。以上です」
「なるほど……素晴らしい覚悟だ。では次」
遂に順番が回ってきた。しかし大丈夫。言いたいことは決まっている。
「100番。アラン・ロバーツ。16歳です」
「アラン。なぜメディクスになりたい?」
「俺の望みだからです。以上です」
「………?」
もう着席は済ませた。
「そうか……以上か。君はよほどウチの試験を舐めてるらしい……ならばこちらも、以上だ」
「ユン・ウォーレン。君はなぜメディクスになりたい?」
こちらは中年の女性が面接官を務めている。
「は、はい!ぼ、僕はアランの隣にいたいからです!」
「アラン……?誰だいそれは?」
「は、はい!アラン・ロバーツです!き、今日も一緒に試験を受けにきました!」
「はぁ?それとメディクスにいったいなんの関係があるんだい?」
「は、はい!アランは必ずメディクスになります!だ、だからアランの隣に居るためにはメディクスになる必要があるので……」
「なんだいその理由!?ふざけてるのかい!?いいかい?今日受けたアンタ以外の99人全員、みんな自分の命を懸けるような強い意志でここに来てるんだよ!!あんたみたいな人の意見でコロコロ変わるような奴がいていい場所じゃないんだよ!!」
激昂した面接官が怒鳴り声を上げる。
「人の意見じゃないです。アランの意見です」
「はぁ!?もういい!お前みたいな意思の弱い奴は不合ーー」
「訂正してください」
「な、なんだい突然!」
「訂正してください。僕の意思は弱くなんかありません。僕の意思は……命を懸けるなんてそんな小さなものじゃありません」
「はぁ??命より大きなものなんて懸けれないわよ」
「違います。僕は<死んでもアランの助けになりたい!>じゃない」
「僕の人生全ての時間を懸けてアラン助けになりたい」
「な……」
「面接官さん。アナタは命を懸けても救ったり守りたい人がいるかもしれません。ですが……甘いです」
「僕はアランに人生を懸けます」
「そ、そんなイカれた考え……」
「そうですよね。イカれてますよね。自分より優先したい人がいるなんて……みんなは僕に情け無いと言うかもしれません。でも……いいんです。幼い頃から僕の人生の目標は決まっています」
情け無い顔して、君の隣にいたい
「で、でも……もしアランって子が落ちてたらどうするのよ?」
「え?あ、だ、大丈夫だと思いますよ?アランも僕と同じように、ま、真っ直ぐに答えてると思うので……」
ユンの声は、またつっかえ始めた。
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