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第三夜
071.聖女と七人の夫たち(二)
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リヤーフとウィルフレド以外は「嘆願書を送る」と約束してくれた夫たち。そのウィルフレドは、何を考えているのだろう。
「ウィルは、どう思う?」
紫の扉の向こうからの反応を待っていると、「ふふっ」と小さな笑い声が聞こえた。
「皆さんはお優しいんですね。小さな国のたった一人の身を案じるなんて、本当にお優しいんですねぇ」
……これ、煽ってんのかな? ウィルフレド、ちょっと、それはまずいんだけど。
「ボクは正直、どちらでもいいです。同郷の宮文官が黒翼地帯に追放されようと、去勢されようと、幽閉されようと、ボクには関係のないことなので」
「え……」
「ただ、イズミ様が夫以外の男と交わった際に、イズミ様の裁量次第で男の罪の量刑が変わることには納得できません。イズミ様が夫以外の男と情を通ずるようなことがあるのなら、その罪は等しくあるべきです」
しんと静まり返った部屋の中、ウィルフレドの冷たい声が大きく響く。
わたしは困惑するしかない。まさかウィルフレドが自国民を「どうなろうと関係ない」と切り捨てるなんて思わなかった。ラルスがどうなっても構わない、と言うだなんて。
「ボクたちに認められた権利は、聖女と情を交わし、聖樹に命の実を宿らせること。そして、聖女に子を生ませること。その権利のうちの一つを見知らぬ男に奪われるかもしれないのですから、イズミ様の願望を叶えるには慎重になったほうがいいと考えます」
助けを求めるようにアールシュを見上げると、彼は困ったように「正論ね」と頷く。そうか、そういうことか。七人の夫以外の男を許す、ということは、そういうことなんだ。
「つまり、イズミさんの願いを聞き届け、宮文官の減刑を求めるということは、今後またイズミさんが夫以外の男と交わることを許すということだと」
「俺は絶対に認めん」
「あたしはそれでも賛成よ」
あぁぁ……つまり、わたしが、夫以外の男の人とは絶対にセックスしないと宣言してしまえばいいのよね? 絶対に。もう二度と。……二度と。……ええと、本当に大丈夫かな?
すっごいイケメンの宮文官が現れても、どんな状況になったとしても、今度こそは食べちゃいけないってことよね? すっごいイケメンに迫られたとしても、すっごいモノが目の前にあったとしても……絶対に、絶対に、つまみ食いをしてはいけないと。わたしの忍耐力の問題だと。
「どうしよう、耐えられるかな……」
どうしよう、絶対に耐えられると言い切れない自分が悔しい。食べたら絶対美味しいとわかっているのだから、手を出さずにいられる自信がないんだもの。
けれど、ふと考える。扉の向こうにいる夫たちのことを。
「……待って。オーウェンのモノを超えられる男なんてそうそういないでしょ。セルゲイやウィルを超える美男子がいるとも思えないし、回数と忍耐力でヒューゴとベアさんを超えられる男なんていない。アールシュの包容力とリヤーフの愛の言葉を超える男なんて、絶対にいない……!」
今さら気づく。夫以上に美味しい男の人が、いるわけがない。今の段階で、夫たちは最高なんだもの。
「わかった! わたし、今後一切、夫以外の男の人とセックスしない!」
断言する。断言できる。どんなに美味しそうに見えても、きっとそれは夫たちを超えるものではない。七人の夫たちを超える男なんて、絶対にいない。
「だから、今回だけ、特例で……お願いします!」
特例を許さないウィルフレドのような考え方があってもいい。夫たち以外の男に触れさせるなと言うリヤーフの気持ちもわかる。
だから、あとは、夫たちの考え方と行動に委ねる。わたしはそれに従うだけだ。誰を恨むわけでも、憎むわけでもない。そんなの、わたしが強制することじゃない。
「イズミちゃんの気持ちはわかったわ。あたしたちを高く評価してくれていることもね。でも、はっきり言って宮文官の辞職は免れないわよ」
「わかってる。ラルスがもうここには戻ってこないことも、もう二度と会えないってことも、わかってる。でも、せめて生きていてほしいの。影の土地に追放するのだけは、やめさせてほしいの」
ラルスは有能なんだから、生きていればきっと何でもできるはずだ。聖職者にはなれなくても、秘書とか体力仕事とか、ほら、割と筋肉ついていたし、きっと何でもできると思う。生きていけると思う。
「……わかりました、イズミさん。もし嘆願書を手渡すとしたら、明日の朝、副主教や大主教が本部入りする前のほうがいいでしょう。それまでに準備しておきます」
「ありがとう、ヒューゴ」
本当に真面目で有能な夫だなぁ。女性に対しては極度のあがり症だと思うけど、その勤勉さにレナータが惚れるのもわかる。
「自分も、なるべく綺麗な字で書かなければならないな。明日の朝一番に書くとしよう」
「オーウェンも、ありがとう!」
「俺は書かんぞ!」
「いいよ。リヤーフ、来てくれてありがとう」
夜遅いのに、来てくれただけでありがたい。本当に、わたしはいい人たちと結婚したんだなぁ。
「あぁ、あのさ、ベアナード。聞こえてる?」
「……何だ?」
突然、セルゲイがベアナードに話しかける。何の話だろうと思っていたら。
「きみ、茶の国の姫君の像を創ったことがあるでしょう? あれと同じように、イズの裸像を創ることはできる? 材料費は青の国が持つし、気長に待つから、創ってもらいたいんだよねー」
「……イズミの、裸像?」
「そう。すっごい色っぽいやつ。創ってくれたら、イズが使わされた催淫剤と同じ、安全なものを手配してあげる。もちろん、男も使えるものをね」
「……わかった」
そこ! 勝手に取引しないで! 催淫剤は遅漏に効くものなの? だとするとめっちゃありがたいけど! ありがたいけどさぁ! 時と場所を考えてほしいな!
「イズミ様、一つお願いが」
「どうしたの、ウィル」
「査問会に出席する大主教様が、もしボクに会いたいと仰ったら」
あぁ、うん、会わせないでってことね?
「会わせていただけませんか」
「えっ」
「査問会で何人を裁くのかわかりませんが、何日かはこちらに滞在するはずです。その際、ボクがイズミ様の部屋を訪れる日に、今のように扉越しで構いませんので、会話をさせていただけませんか」
ウィルフレドからのお願いは予想外のものだった。自分を虐待した大主教に会いたいだなんて……そうか、決着をつけるのね。よし、殴るなら協力するわよ。スサンナに鍵を借りておこうかな。
「わかった。ウィルがそれでいいのなら」
「ありがとうございます」
ウィルフレドは自分のやりたいことを見つけたのだろうか。年上の夫たちにちゃんと自分の意見を言える頭のいい子なんだから、きっと色々と我慢してきたんだろうな。かわいそうに。
「ドゥルーヴ、そこにいるでしょう?」
アールシュの声に応じて、橙の扉の向こうから「はい」と低い声がした。アールシュの従者だろう。
「聞いていた通り、嘆願書を書くわ。準備しておいて」
「かしこまりました」
えっ、それだけで通じるの? もっと何か指示しなくていいの? きっと優秀な人なんだろうな。
「さ、イズミちゃん、帰りましょうか」
夫たちが去ったことを音で確認して、アールシュは微笑んだ。
「アールシュ、ありがとう。あなたがいなかったら、わたし、夫たちの力を借りることなんて思いつかなかったよ」
「ふふ。あなたが妻だからこそ、思いついたのよ」
アールシュはわたしをひょいと抱き上げると、居室のほうへ向かう。
「あたしもだけど、きっと、他の夫もイズミちゃんに救われている部分は多いはずなの。あなたが妻で良かったと思っているはずなの。だから、あなたを失いたくないし、あなたが望むことをできる限り叶えてあげたいと思うはずなのよ」
そっか。そうなんだ。わたし、そこまで皆に想われていたのか。ちゃんと返していかなくちゃ。受け取った想いに、応えなくちゃ。
「アールシュ、わたしもあなたが夫で本当に良かった。結婚してくれてありがとう」
「……こちらこそ。あたしを受け入れてくれて、ありがとう、イズミちゃん」
額に優しいキス。笑い合って、唇に触れ合う。
「アールシュ、好きだよ」
「あたしだって、大好きよ」
朝になったら、嘆願書を書かなくちゃ。夫たちが頑張ってくれるんだから、わたしだって負けていられない。ラルスを救うために、わたしができることを、やるんだ。
「ウィルは、どう思う?」
紫の扉の向こうからの反応を待っていると、「ふふっ」と小さな笑い声が聞こえた。
「皆さんはお優しいんですね。小さな国のたった一人の身を案じるなんて、本当にお優しいんですねぇ」
……これ、煽ってんのかな? ウィルフレド、ちょっと、それはまずいんだけど。
「ボクは正直、どちらでもいいです。同郷の宮文官が黒翼地帯に追放されようと、去勢されようと、幽閉されようと、ボクには関係のないことなので」
「え……」
「ただ、イズミ様が夫以外の男と交わった際に、イズミ様の裁量次第で男の罪の量刑が変わることには納得できません。イズミ様が夫以外の男と情を通ずるようなことがあるのなら、その罪は等しくあるべきです」
しんと静まり返った部屋の中、ウィルフレドの冷たい声が大きく響く。
わたしは困惑するしかない。まさかウィルフレドが自国民を「どうなろうと関係ない」と切り捨てるなんて思わなかった。ラルスがどうなっても構わない、と言うだなんて。
「ボクたちに認められた権利は、聖女と情を交わし、聖樹に命の実を宿らせること。そして、聖女に子を生ませること。その権利のうちの一つを見知らぬ男に奪われるかもしれないのですから、イズミ様の願望を叶えるには慎重になったほうがいいと考えます」
助けを求めるようにアールシュを見上げると、彼は困ったように「正論ね」と頷く。そうか、そういうことか。七人の夫以外の男を許す、ということは、そういうことなんだ。
「つまり、イズミさんの願いを聞き届け、宮文官の減刑を求めるということは、今後またイズミさんが夫以外の男と交わることを許すということだと」
「俺は絶対に認めん」
「あたしはそれでも賛成よ」
あぁぁ……つまり、わたしが、夫以外の男の人とは絶対にセックスしないと宣言してしまえばいいのよね? 絶対に。もう二度と。……二度と。……ええと、本当に大丈夫かな?
すっごいイケメンの宮文官が現れても、どんな状況になったとしても、今度こそは食べちゃいけないってことよね? すっごいイケメンに迫られたとしても、すっごいモノが目の前にあったとしても……絶対に、絶対に、つまみ食いをしてはいけないと。わたしの忍耐力の問題だと。
「どうしよう、耐えられるかな……」
どうしよう、絶対に耐えられると言い切れない自分が悔しい。食べたら絶対美味しいとわかっているのだから、手を出さずにいられる自信がないんだもの。
けれど、ふと考える。扉の向こうにいる夫たちのことを。
「……待って。オーウェンのモノを超えられる男なんてそうそういないでしょ。セルゲイやウィルを超える美男子がいるとも思えないし、回数と忍耐力でヒューゴとベアさんを超えられる男なんていない。アールシュの包容力とリヤーフの愛の言葉を超える男なんて、絶対にいない……!」
今さら気づく。夫以上に美味しい男の人が、いるわけがない。今の段階で、夫たちは最高なんだもの。
「わかった! わたし、今後一切、夫以外の男の人とセックスしない!」
断言する。断言できる。どんなに美味しそうに見えても、きっとそれは夫たちを超えるものではない。七人の夫たちを超える男なんて、絶対にいない。
「だから、今回だけ、特例で……お願いします!」
特例を許さないウィルフレドのような考え方があってもいい。夫たち以外の男に触れさせるなと言うリヤーフの気持ちもわかる。
だから、あとは、夫たちの考え方と行動に委ねる。わたしはそれに従うだけだ。誰を恨むわけでも、憎むわけでもない。そんなの、わたしが強制することじゃない。
「イズミちゃんの気持ちはわかったわ。あたしたちを高く評価してくれていることもね。でも、はっきり言って宮文官の辞職は免れないわよ」
「わかってる。ラルスがもうここには戻ってこないことも、もう二度と会えないってことも、わかってる。でも、せめて生きていてほしいの。影の土地に追放するのだけは、やめさせてほしいの」
ラルスは有能なんだから、生きていればきっと何でもできるはずだ。聖職者にはなれなくても、秘書とか体力仕事とか、ほら、割と筋肉ついていたし、きっと何でもできると思う。生きていけると思う。
「……わかりました、イズミさん。もし嘆願書を手渡すとしたら、明日の朝、副主教や大主教が本部入りする前のほうがいいでしょう。それまでに準備しておきます」
「ありがとう、ヒューゴ」
本当に真面目で有能な夫だなぁ。女性に対しては極度のあがり症だと思うけど、その勤勉さにレナータが惚れるのもわかる。
「自分も、なるべく綺麗な字で書かなければならないな。明日の朝一番に書くとしよう」
「オーウェンも、ありがとう!」
「俺は書かんぞ!」
「いいよ。リヤーフ、来てくれてありがとう」
夜遅いのに、来てくれただけでありがたい。本当に、わたしはいい人たちと結婚したんだなぁ。
「あぁ、あのさ、ベアナード。聞こえてる?」
「……何だ?」
突然、セルゲイがベアナードに話しかける。何の話だろうと思っていたら。
「きみ、茶の国の姫君の像を創ったことがあるでしょう? あれと同じように、イズの裸像を創ることはできる? 材料費は青の国が持つし、気長に待つから、創ってもらいたいんだよねー」
「……イズミの、裸像?」
「そう。すっごい色っぽいやつ。創ってくれたら、イズが使わされた催淫剤と同じ、安全なものを手配してあげる。もちろん、男も使えるものをね」
「……わかった」
そこ! 勝手に取引しないで! 催淫剤は遅漏に効くものなの? だとするとめっちゃありがたいけど! ありがたいけどさぁ! 時と場所を考えてほしいな!
「イズミ様、一つお願いが」
「どうしたの、ウィル」
「査問会に出席する大主教様が、もしボクに会いたいと仰ったら」
あぁ、うん、会わせないでってことね?
「会わせていただけませんか」
「えっ」
「査問会で何人を裁くのかわかりませんが、何日かはこちらに滞在するはずです。その際、ボクがイズミ様の部屋を訪れる日に、今のように扉越しで構いませんので、会話をさせていただけませんか」
ウィルフレドからのお願いは予想外のものだった。自分を虐待した大主教に会いたいだなんて……そうか、決着をつけるのね。よし、殴るなら協力するわよ。スサンナに鍵を借りておこうかな。
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「ありがとうございます」
ウィルフレドは自分のやりたいことを見つけたのだろうか。年上の夫たちにちゃんと自分の意見を言える頭のいい子なんだから、きっと色々と我慢してきたんだろうな。かわいそうに。
「ドゥルーヴ、そこにいるでしょう?」
アールシュの声に応じて、橙の扉の向こうから「はい」と低い声がした。アールシュの従者だろう。
「聞いていた通り、嘆願書を書くわ。準備しておいて」
「かしこまりました」
えっ、それだけで通じるの? もっと何か指示しなくていいの? きっと優秀な人なんだろうな。
「さ、イズミちゃん、帰りましょうか」
夫たちが去ったことを音で確認して、アールシュは微笑んだ。
「アールシュ、ありがとう。あなたがいなかったら、わたし、夫たちの力を借りることなんて思いつかなかったよ」
「ふふ。あなたが妻だからこそ、思いついたのよ」
アールシュはわたしをひょいと抱き上げると、居室のほうへ向かう。
「あたしもだけど、きっと、他の夫もイズミちゃんに救われている部分は多いはずなの。あなたが妻で良かったと思っているはずなの。だから、あなたを失いたくないし、あなたが望むことをできる限り叶えてあげたいと思うはずなのよ」
そっか。そうなんだ。わたし、そこまで皆に想われていたのか。ちゃんと返していかなくちゃ。受け取った想いに、応えなくちゃ。
「アールシュ、わたしもあなたが夫で本当に良かった。結婚してくれてありがとう」
「……こちらこそ。あたしを受け入れてくれて、ありがとう、イズミちゃん」
額に優しいキス。笑い合って、唇に触れ合う。
「アールシュ、好きだよ」
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