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第一章 どうして魔族なんかに……
第九話 貴女の笑顔のために(ライト視点)
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オリアナ様は、片翼関連で何か、心に傷を負ったらしい。
それは、真剣に頼み込んで、どうにか話してくれたデリク様からの情報だった。
とはいえ、実際にそれがどんなものなのか分からない。
物語の中では、片翼を目の前で失った魔族や、片翼が異種族で、拒絶された魔族、片翼を見つけられないまま泣き暮らす魔族などが描かれることもあるし、それは別に、フィクションというわけでもない。
でも、僕という片翼が居るということは、もしかしたら、僕の前の片翼が死んだ場面を見たのかもしれない。
片翼の魂は、世界を巡り続ける。つまり、僕は前世で、あろうことかオリアナ様の目の前で死んでしまった可能性がある、というわけだ。
他には、脅されてるとか、そういったものもあり得るけど……そんな様子はなさそうだしなぁ。
ただ、そうだとすれば、僕ができることは唯一つ。僕は、絶対にオリアナ様の前から消えたりしないと、誠実にアピールすることだろう。
「いや、その前に、オリアナ様とお付き合いする方が先かも?」
「そうね、そうしてあげなさい。あの子のことをよく知って、その心を救ってあげて」
魔族同士で片翼同士となれば、すぐに結婚式の話になる。しかし、オリアナ様はまず、お付き合いから始めるべきだろう。そうすれば、もしかしたら、オリアナ様が抱える痛みを理解できる日がくるかもしれない。
そう、思って、オリアナ様に突撃したわけだが……徹底的に拒絶された。
「……いや、片翼を得るために苦悩する魔族は多いっ。僕はまだ、希望があるっ!」
職場が同じで、顔を合わせる機会もある。恐ろしく冷たい態度をとられたとしても、その裏にはオリアナ様の悲しみや苦しみ、痛みが存在しているのだと思うと、こんなところで落ち込んでなどいられない。
「でも、作戦はちゃんと練らないと……。オリアナ様は、何が好きなんだろう?」
贈り物でも何でも良い。とにかく、オリアナ様が笑顔になってくれるものであれば、どんなものでも良いのだから。
諦める、なんて考えは欠片もない。オリアナ様と共にあるためならば、何だってできる。
「まずは、王道で攻めてみようか」
人間同士であれば、贈り物をしたり、デートをしたり、愛を囁いたり……そんな些細なことから関係を深めるらしいので、それを少しずつ試すことにする。
「贈り物……まずは、花、いや、アクセサリーとかでも……うーん、でも、好みもあるし……」
本人に直接聞いたとして、今はまだ、答えてくれないだろう。
しばらく本人に突撃してみるか、ダメ元で贈り物を贈るか、悩みどころだ。
「……情報収集しつつ、まずは無難な贈り物にすべき、かなぁ?」
そうと決まれば、花屋と宝飾店へ行かなければ。
魔族の国であれば、この二つのお店は、かなり遅い時間まで開いている。
見つけた片翼に、すぐに花を贈りたい、とか、プロポーズをしたい、などの要望に応えるべく、そこそこ長い時間で営業しているのだ。
明日もまた、オリアナ様のところに行こう。
オリアナ様の笑顔のために、僕は、今できることをしようと、必死に動き回った。
それは、真剣に頼み込んで、どうにか話してくれたデリク様からの情報だった。
とはいえ、実際にそれがどんなものなのか分からない。
物語の中では、片翼を目の前で失った魔族や、片翼が異種族で、拒絶された魔族、片翼を見つけられないまま泣き暮らす魔族などが描かれることもあるし、それは別に、フィクションというわけでもない。
でも、僕という片翼が居るということは、もしかしたら、僕の前の片翼が死んだ場面を見たのかもしれない。
片翼の魂は、世界を巡り続ける。つまり、僕は前世で、あろうことかオリアナ様の目の前で死んでしまった可能性がある、というわけだ。
他には、脅されてるとか、そういったものもあり得るけど……そんな様子はなさそうだしなぁ。
ただ、そうだとすれば、僕ができることは唯一つ。僕は、絶対にオリアナ様の前から消えたりしないと、誠実にアピールすることだろう。
「いや、その前に、オリアナ様とお付き合いする方が先かも?」
「そうね、そうしてあげなさい。あの子のことをよく知って、その心を救ってあげて」
魔族同士で片翼同士となれば、すぐに結婚式の話になる。しかし、オリアナ様はまず、お付き合いから始めるべきだろう。そうすれば、もしかしたら、オリアナ様が抱える痛みを理解できる日がくるかもしれない。
そう、思って、オリアナ様に突撃したわけだが……徹底的に拒絶された。
「……いや、片翼を得るために苦悩する魔族は多いっ。僕はまだ、希望があるっ!」
職場が同じで、顔を合わせる機会もある。恐ろしく冷たい態度をとられたとしても、その裏にはオリアナ様の悲しみや苦しみ、痛みが存在しているのだと思うと、こんなところで落ち込んでなどいられない。
「でも、作戦はちゃんと練らないと……。オリアナ様は、何が好きなんだろう?」
贈り物でも何でも良い。とにかく、オリアナ様が笑顔になってくれるものであれば、どんなものでも良いのだから。
諦める、なんて考えは欠片もない。オリアナ様と共にあるためならば、何だってできる。
「まずは、王道で攻めてみようか」
人間同士であれば、贈り物をしたり、デートをしたり、愛を囁いたり……そんな些細なことから関係を深めるらしいので、それを少しずつ試すことにする。
「贈り物……まずは、花、いや、アクセサリーとかでも……うーん、でも、好みもあるし……」
本人に直接聞いたとして、今はまだ、答えてくれないだろう。
しばらく本人に突撃してみるか、ダメ元で贈り物を贈るか、悩みどころだ。
「……情報収集しつつ、まずは無難な贈り物にすべき、かなぁ?」
そうと決まれば、花屋と宝飾店へ行かなければ。
魔族の国であれば、この二つのお店は、かなり遅い時間まで開いている。
見つけた片翼に、すぐに花を贈りたい、とか、プロポーズをしたい、などの要望に応えるべく、そこそこ長い時間で営業しているのだ。
明日もまた、オリアナ様のところに行こう。
オリアナ様の笑顔のために、僕は、今できることをしようと、必死に動き回った。
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