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わたくし、異世界で婚約破棄されました!?の番外編
ひな祭り ルティアス編(リリス視点)
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今日はひな祭りだということで、魔国のひな祭りの風習に驚きながらも、ルティアスお手製の雛人形をまじまじと眺める。
「リリス? そんなに雛人形が気に入ったの?」
「いえ、本当に、そっくりだと思っただけですわ」
雛人形は、可愛らしくデフォルメされてはいるものの、わたくしとルティアスにそっくりな姿で完成している。それが珍しくて、つい、しっかりと観察してしまっていたのだ。
「そっか、良かった。危うく、人形に嫉妬するところだったよ」
「っ、そ、そうですの」
ふいに向けられた蕩けるような笑みに、わたくしは視線を逸らす。
(っ、不意打ちですわっ)
わたくし自身、ルティアスのことは大好きだから、こんな表情を見せられると堪らなくなる。
「今日はちらし寿司とか、雛あられとか、色々と作ってるんだ。だから、一緒に食べようね?」
なぜか、『一緒に』を強調するルティアスを不審に思いながらも、ルティアスの料理が美味しいことを誰よりも知っているわたくしは、迷うことなくうなずく。
「えぇ、もちろんですわ」
そして、わたくしは、そう言ったことをすぐに後悔することとなる。
「はい、あーん。……ほら、リリス、口を開けて?」
「う、うぅ……」
何やら、いつになく強引なルティアスによって、わたくしは膝抱っこされた状態で食事をさせられていた。しかも、スプーンを持つのと反対のルティアスの手は、色々と、色々と、怪しい場所をうろついている。
「ル、ルティ? なぜ、今日はこんな……」
「うん? だって、今日は片翼を思いっきり甘やかす日だからね? あぁ、それとも、もう食事は止めて、ベッドでイチャイチャの方が良いかな?」
(それは絶対に、イチャイチャだけで終わりませんよねっ!?)
そんな予感に駆られて、わたくしはとにかくルティアスの持つスプーンに口をつける。
(い、今は、食事ですわっ)
下手なことを言えば、きっと、一日中ベッドの上、なんてことになりかねない。
「はぁ、リリスが可愛いっ。我慢するの、辛い」
ルティアスがボソボソとそんなことを呟いているのは、今は無視だ。
しかし、食事の時間が延々と続くわけもなく……わたくしは、結局ベッドへと招待されてしまい、丸っといただかれることになる。
「可愛いっ、可愛いよ。リリス」
「ひあぁあっ!」
嬉しいような恥ずかしいようなひな祭り。もしかしたら、近々雛人形が増える事態になるかもしれないと思いながら、わたくしは、その日を過ごすのだった。
「リリス? そんなに雛人形が気に入ったの?」
「いえ、本当に、そっくりだと思っただけですわ」
雛人形は、可愛らしくデフォルメされてはいるものの、わたくしとルティアスにそっくりな姿で完成している。それが珍しくて、つい、しっかりと観察してしまっていたのだ。
「そっか、良かった。危うく、人形に嫉妬するところだったよ」
「っ、そ、そうですの」
ふいに向けられた蕩けるような笑みに、わたくしは視線を逸らす。
(っ、不意打ちですわっ)
わたくし自身、ルティアスのことは大好きだから、こんな表情を見せられると堪らなくなる。
「今日はちらし寿司とか、雛あられとか、色々と作ってるんだ。だから、一緒に食べようね?」
なぜか、『一緒に』を強調するルティアスを不審に思いながらも、ルティアスの料理が美味しいことを誰よりも知っているわたくしは、迷うことなくうなずく。
「えぇ、もちろんですわ」
そして、わたくしは、そう言ったことをすぐに後悔することとなる。
「はい、あーん。……ほら、リリス、口を開けて?」
「う、うぅ……」
何やら、いつになく強引なルティアスによって、わたくしは膝抱っこされた状態で食事をさせられていた。しかも、スプーンを持つのと反対のルティアスの手は、色々と、色々と、怪しい場所をうろついている。
「ル、ルティ? なぜ、今日はこんな……」
「うん? だって、今日は片翼を思いっきり甘やかす日だからね? あぁ、それとも、もう食事は止めて、ベッドでイチャイチャの方が良いかな?」
(それは絶対に、イチャイチャだけで終わりませんよねっ!?)
そんな予感に駆られて、わたくしはとにかくルティアスの持つスプーンに口をつける。
(い、今は、食事ですわっ)
下手なことを言えば、きっと、一日中ベッドの上、なんてことになりかねない。
「はぁ、リリスが可愛いっ。我慢するの、辛い」
ルティアスがボソボソとそんなことを呟いているのは、今は無視だ。
しかし、食事の時間が延々と続くわけもなく……わたくしは、結局ベッドへと招待されてしまい、丸っといただかれることになる。
「可愛いっ、可愛いよ。リリス」
「ひあぁあっ!」
嬉しいような恥ずかしいようなひな祭り。もしかしたら、近々雛人形が増える事態になるかもしれないと思いながら、わたくしは、その日を過ごすのだった。
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