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第三章 悪魔
第五十三話 居なくなる(アルム視点)
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今日は、『絶対者』が来てくれる日だ。シェイラの様子がおかしいということで、手を尽くしてはみたものの、シェイラにかけられたであろう魔法は解けなかった。
そもそも竜人は、力こそ強いものの、魔法に関しては人間よりも魔力量がかなり多いくらいで、使用に関しては不器用な種族だ。ただ破壊するだけなら得意でも、転移や解呪などの魔法は、あまり得意な者は居ない。もちろん、それでも人間よりは卓越している方ではあるが、不得意だという認識から、それらの技術があまり発展していないのも確かだった。
「『絶対者』様とお付きの者が参りました」
「通せっ」
今、シェイラは部屋に押し込めてある。あまりに様子がおかしいシェイラを、人前に出すわけにはいかない。と、いうより、術者の意図が分からない以上、不用意に多くの者が訪れる場に連れてくるのは危険だった。
執務室でそのまま待っていれば、扉がそっと開けられる。
「今回は、何用だ?」
ルティアスとともに現れた『絶対者』は、どこか苛立っている様子のルティアスを気にしながら尋ねてくる。
「呼び立ててすまない。今回は、シェイラのことで頼みがある」
そう言えば、ルティアスの怒りが幾分か和らぐ気配がする。
「シェイラの……?」
「あぁ、ここは、防音結界を張ってあるから、普通に話してくれて構わない。それで、シェイラのことなんだが……」
そうして、ここ最近のシェイラの様子と、分析した結果、何らかの魔法がかけられているらしいということを話す。
「ボクがついていながら、申し訳ない」
「……いえ、話は分かりましたわ。とりあえず、シェイラに会わせてくださいまし」
じっと話を聞いていた『絶対者』の言葉に、ボクはすぐにシェイラの部屋へ向かおうと、立ち上がる。
と、そこで……。
「大変ですっ、陛下!」
執務室に飛び込んで来たのは、シェイラ付きの侍女、ベラだ。
真っ青になって髪を振り乱したような彼女の姿に、ボクはとても、嫌な予感がした。
「何があった?」
「シェイラ様の姿が、どこにも見えませんっ!」
「っ!?」
その言葉で、シェイラの魔力を探知しようとするものの、どうも転移したらしく、その痕跡を辿ることができない。そして、『絶対者』の魔法具を頼ろうにも、今のおかしな状態のシェイラが、危機感を抱いてくれるかどうかは不明だ。
「シェイラの部屋へ向かうぞっ」
一瞬で緊張に包まれた場で、ボク達はひとまず、手がかりを求め、シェイラの部屋へ行くことにするのだった。
そもそも竜人は、力こそ強いものの、魔法に関しては人間よりも魔力量がかなり多いくらいで、使用に関しては不器用な種族だ。ただ破壊するだけなら得意でも、転移や解呪などの魔法は、あまり得意な者は居ない。もちろん、それでも人間よりは卓越している方ではあるが、不得意だという認識から、それらの技術があまり発展していないのも確かだった。
「『絶対者』様とお付きの者が参りました」
「通せっ」
今、シェイラは部屋に押し込めてある。あまりに様子がおかしいシェイラを、人前に出すわけにはいかない。と、いうより、術者の意図が分からない以上、不用意に多くの者が訪れる場に連れてくるのは危険だった。
執務室でそのまま待っていれば、扉がそっと開けられる。
「今回は、何用だ?」
ルティアスとともに現れた『絶対者』は、どこか苛立っている様子のルティアスを気にしながら尋ねてくる。
「呼び立ててすまない。今回は、シェイラのことで頼みがある」
そう言えば、ルティアスの怒りが幾分か和らぐ気配がする。
「シェイラの……?」
「あぁ、ここは、防音結界を張ってあるから、普通に話してくれて構わない。それで、シェイラのことなんだが……」
そうして、ここ最近のシェイラの様子と、分析した結果、何らかの魔法がかけられているらしいということを話す。
「ボクがついていながら、申し訳ない」
「……いえ、話は分かりましたわ。とりあえず、シェイラに会わせてくださいまし」
じっと話を聞いていた『絶対者』の言葉に、ボクはすぐにシェイラの部屋へ向かおうと、立ち上がる。
と、そこで……。
「大変ですっ、陛下!」
執務室に飛び込んで来たのは、シェイラ付きの侍女、ベラだ。
真っ青になって髪を振り乱したような彼女の姿に、ボクはとても、嫌な予感がした。
「何があった?」
「シェイラ様の姿が、どこにも見えませんっ!」
「っ!?」
その言葉で、シェイラの魔力を探知しようとするものの、どうも転移したらしく、その痕跡を辿ることができない。そして、『絶対者』の魔法具を頼ろうにも、今のおかしな状態のシェイラが、危機感を抱いてくれるかどうかは不明だ。
「シェイラの部屋へ向かうぞっ」
一瞬で緊張に包まれた場で、ボク達はひとまず、手がかりを求め、シェイラの部屋へ行くことにするのだった。
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