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第一章
第十一話 夢と食卓
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何だか、嫌な夢を見た気がした。
本当は、お父様は私を受け入れてくれたのに、拒絶される夢。その場で、置き去りにされて、一歩も動けなくて、そのまま死んでしまう夢。
その夢が、本当ではないことを確認したくて、私はベッドから飛び起きた瞬間、目に入ったジーナに抱きつく。
「おはようございます。お嬢様」
「お、はよー、ございます」
「大丈夫です。もう、何も怖いものはありませんからね」
抱き締め返してくれるその温もりは、きっと本物だ。まだ、夢の中でそれを思い出せるほど、この温もりに慣れてはいない……と思うから。
「おとー、さま、は……?」
「今日は、屋敷にいらっしゃるはずですよ。まずは、着替えてから、会いに行きましょうね」
言われて、私は自分がまだパジャマ姿であることに気づく。
「は、い」
着替えれば、すぐにでもお父様に会って、あれは夢だったのだと確信を持ちたかった。私は、まだここに居て良いのだと、ちゃんと確認したかった。
ジーナに手伝ってもらいながら着替えた私は、走り出したい気持ちを我慢して、それでも歩行速度を速くしながらお父様が居るはずの食堂へと向かう。
「っ……」
「お嬢様? 入らないのですか?」
ただ、いざ、目の前の扉を開こうとすると、どうしても尻込みする自分が居た。
夢じゃなかったら、どう、しよう……。
全部ではなくとも、一部分でも夢と同じであったら、私は立ち直れないかもしれない。そう思うと、目の前の扉がいつもより巨大で、重そうに見えてくる。
「リコっ、どうした? まだ、体調が悪いのか!?」
と、扉の前で立ち尽くしていると、その扉が簡単に開け放たれて、お父様が駆け寄ってくる。
「リコ? 話は聞いたわ。まだ体調が悪いのであれば、無理はしないで、休んでいなさい。あぁ、でも、ちゃんと食べられるのであれば、食べた方が良いわねっ。どうかしら? 何か食べられそうなものはある?」
お父様が私と目線を合わせるようにしゃがんだところに、お母様もその後ろからやってきて、そんな温かい言葉をくれる。
「子ヤギの薄切りローストと、香草を和えたサラダに、ミルク粥も用意しているわ。あと、リコが好きなグイの実も」
食卓に並ぶメニューをお母様が口ずさむ。それは全て、私が好きな食べ物であり、お母様が私のことを良く考えてくれているのだと理解できた。
貴族とはいえ、私達の家では、お母様が家事をすることだってある。特に、料理が好きなお母様は、私の好物だって良く知っていた。
「たべ、ます」
「良かった! でも、無理はしないのよ?」
「体調は、大丈夫か? 食べ終わったら、抱えて運ぼうか?」
「だい、じょーぶ。ただ、こわいゆめ、みて、おとーさまに、あいたかった」
「っ、リコ!」
「きゅうっ」
ギュウッと抱き締められた私は、それを望んではいたものの、力が強過ぎて変な声を出してしまう。
「旦那様! 力加減を考えてください!!」
「っ、すまない! 嬉しくてついっ」
夢は夢、お父様にも、お母様にも、ジーナにも、私は拒絶されていない。まだ、ここに居ても良い。
それを理解できた私は、お父様達と食卓を囲んで、楽しい時間を過ごした。
本当は、お父様は私を受け入れてくれたのに、拒絶される夢。その場で、置き去りにされて、一歩も動けなくて、そのまま死んでしまう夢。
その夢が、本当ではないことを確認したくて、私はベッドから飛び起きた瞬間、目に入ったジーナに抱きつく。
「おはようございます。お嬢様」
「お、はよー、ございます」
「大丈夫です。もう、何も怖いものはありませんからね」
抱き締め返してくれるその温もりは、きっと本物だ。まだ、夢の中でそれを思い出せるほど、この温もりに慣れてはいない……と思うから。
「おとー、さま、は……?」
「今日は、屋敷にいらっしゃるはずですよ。まずは、着替えてから、会いに行きましょうね」
言われて、私は自分がまだパジャマ姿であることに気づく。
「は、い」
着替えれば、すぐにでもお父様に会って、あれは夢だったのだと確信を持ちたかった。私は、まだここに居て良いのだと、ちゃんと確認したかった。
ジーナに手伝ってもらいながら着替えた私は、走り出したい気持ちを我慢して、それでも歩行速度を速くしながらお父様が居るはずの食堂へと向かう。
「っ……」
「お嬢様? 入らないのですか?」
ただ、いざ、目の前の扉を開こうとすると、どうしても尻込みする自分が居た。
夢じゃなかったら、どう、しよう……。
全部ではなくとも、一部分でも夢と同じであったら、私は立ち直れないかもしれない。そう思うと、目の前の扉がいつもより巨大で、重そうに見えてくる。
「リコっ、どうした? まだ、体調が悪いのか!?」
と、扉の前で立ち尽くしていると、その扉が簡単に開け放たれて、お父様が駆け寄ってくる。
「リコ? 話は聞いたわ。まだ体調が悪いのであれば、無理はしないで、休んでいなさい。あぁ、でも、ちゃんと食べられるのであれば、食べた方が良いわねっ。どうかしら? 何か食べられそうなものはある?」
お父様が私と目線を合わせるようにしゃがんだところに、お母様もその後ろからやってきて、そんな温かい言葉をくれる。
「子ヤギの薄切りローストと、香草を和えたサラダに、ミルク粥も用意しているわ。あと、リコが好きなグイの実も」
食卓に並ぶメニューをお母様が口ずさむ。それは全て、私が好きな食べ物であり、お母様が私のことを良く考えてくれているのだと理解できた。
貴族とはいえ、私達の家では、お母様が家事をすることだってある。特に、料理が好きなお母様は、私の好物だって良く知っていた。
「たべ、ます」
「良かった! でも、無理はしないのよ?」
「体調は、大丈夫か? 食べ終わったら、抱えて運ぼうか?」
「だい、じょーぶ。ただ、こわいゆめ、みて、おとーさまに、あいたかった」
「っ、リコ!」
「きゅうっ」
ギュウッと抱き締められた私は、それを望んではいたものの、力が強過ぎて変な声を出してしまう。
「旦那様! 力加減を考えてください!!」
「っ、すまない! 嬉しくてついっ」
夢は夢、お父様にも、お母様にも、ジーナにも、私は拒絶されていない。まだ、ここに居ても良い。
それを理解できた私は、お父様達と食卓を囲んで、楽しい時間を過ごした。
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