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第二章
第三十一話 排除(セイン視点)
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「っ……」
酷く苦しそうに顔を歪めて俯いたリコが、視界に入り、いよいよ俺の我慢は限界を迎える。
「分からない人だな。俺は、お前が邪魔だと言っているんだ。とっとと失せろっ」
敵意、どころではなく、殺意をのせて男を睨めば、途端に、男はビクリと肩を鳴らして青ざめる。
「なっ、なぁっ……」
「もう一度、言おう。失せろ。そして、二度と、俺達の前に現れるな」
魔族の中でも近衛騎士という立場にある俺は、当然強者の部類に入る。そして、獣人は本能が発達しており、強者の殺気を感じ取れない者はまず存在しない。
また一段、殺気を強めた俺の言葉に、男は、文字通り尻尾を巻いて逃げ出す。
これで、本当に二度とリコの前に現れないでくれると良いのですが……。
『婚約者』だと言っていたあの男が、何の目的でリコに絡んだのかは分からない。もう少し、冷静でいられたのであれば、その辺りを聞き出して、徹底的に潰すこともできたのだろうが、片翼が傷つく姿を見て、冷静でいられる魔族など居ない。
意識的に深呼吸をして、心を落ち着けた俺は、改めて辺りを見渡して、自分の余裕のなさを実感することとなる。
「どうも、お騒がせして申し訳ありませんでした。お詫びとして、本日のお代は、私がもちましょう」
店内は、当然獣人の割合が多い。そして、先程の殺気によって震えたり、隠れたりしている獣人の姿もチラホラと見受けられる。
気絶させるほどの圧ではなかったことだけは幸いでした、か……。
きっと、本気で殺気を垂れ流せば、この店のほとんどの獣人達は気絶してしまっただろう。
「……セイン、さん……」
「っ、リコさん、すみません。恐ろしい思いをさせてしまって」
周囲への対応を終えて、改めてリコへ向き直ろうとすると、そのリコに袖をクンッと引かれる。不安げな表情のリコを前に、俺は、咄嗟に謝罪していた。
「セインさんの、せいじゃ、ない、です。……私の、せいで……巻き込んで、ごめんなさい……」
必死に言葉を紡ぐリコは、どんどんその表情を悲しげなものに変えていて、焦りにも似た感情が沸き上がる。
「リコさんのせいでもありませんっ! その、あの男が全て悪いのであって、リコさんは被害者ですからね? ですから、謝る必要なんてありませんよ」
愛しい片翼にこんな表情をさせるなど、魔族として……いや、男として言語道断だとばかりに、俺も必死に言葉を連ねる。
「でも……」
完全に横になってしまった耳を見て、リコの悲しそうな表情を見て、その姿を明るいものに変えられない自分が腹立たしい。
「お待たせいたしました。当店自慢のフルーツパフェでございます!」
と、そこに、頼んでいないものが人間のウェイトレスによって運ばれてきた。
「店長から、迷惑な人を追い払ってくれたお礼です! ありがとうございました!」
俺の思考を読んだかのように説明をした店員は、俺とリコの二人に頭を下げる。
いや、よくよく見れば、他の店員も同じように頭を下げていた。
「……こちらこそ、ありがとうございます。ほら、リコさん。美味しそうなパフェですよ」
これは何かある、とは思うものの、俺の優先順位は常にリコだ。だから、俺は躊躇いもなく、スプーンで一匙掬ったパフェをリコの口へと持っていった。
酷く苦しそうに顔を歪めて俯いたリコが、視界に入り、いよいよ俺の我慢は限界を迎える。
「分からない人だな。俺は、お前が邪魔だと言っているんだ。とっとと失せろっ」
敵意、どころではなく、殺意をのせて男を睨めば、途端に、男はビクリと肩を鳴らして青ざめる。
「なっ、なぁっ……」
「もう一度、言おう。失せろ。そして、二度と、俺達の前に現れるな」
魔族の中でも近衛騎士という立場にある俺は、当然強者の部類に入る。そして、獣人は本能が発達しており、強者の殺気を感じ取れない者はまず存在しない。
また一段、殺気を強めた俺の言葉に、男は、文字通り尻尾を巻いて逃げ出す。
これで、本当に二度とリコの前に現れないでくれると良いのですが……。
『婚約者』だと言っていたあの男が、何の目的でリコに絡んだのかは分からない。もう少し、冷静でいられたのであれば、その辺りを聞き出して、徹底的に潰すこともできたのだろうが、片翼が傷つく姿を見て、冷静でいられる魔族など居ない。
意識的に深呼吸をして、心を落ち着けた俺は、改めて辺りを見渡して、自分の余裕のなさを実感することとなる。
「どうも、お騒がせして申し訳ありませんでした。お詫びとして、本日のお代は、私がもちましょう」
店内は、当然獣人の割合が多い。そして、先程の殺気によって震えたり、隠れたりしている獣人の姿もチラホラと見受けられる。
気絶させるほどの圧ではなかったことだけは幸いでした、か……。
きっと、本気で殺気を垂れ流せば、この店のほとんどの獣人達は気絶してしまっただろう。
「……セイン、さん……」
「っ、リコさん、すみません。恐ろしい思いをさせてしまって」
周囲への対応を終えて、改めてリコへ向き直ろうとすると、そのリコに袖をクンッと引かれる。不安げな表情のリコを前に、俺は、咄嗟に謝罪していた。
「セインさんの、せいじゃ、ない、です。……私の、せいで……巻き込んで、ごめんなさい……」
必死に言葉を紡ぐリコは、どんどんその表情を悲しげなものに変えていて、焦りにも似た感情が沸き上がる。
「リコさんのせいでもありませんっ! その、あの男が全て悪いのであって、リコさんは被害者ですからね? ですから、謝る必要なんてありませんよ」
愛しい片翼にこんな表情をさせるなど、魔族として……いや、男として言語道断だとばかりに、俺も必死に言葉を連ねる。
「でも……」
完全に横になってしまった耳を見て、リコの悲しそうな表情を見て、その姿を明るいものに変えられない自分が腹立たしい。
「お待たせいたしました。当店自慢のフルーツパフェでございます!」
と、そこに、頼んでいないものが人間のウェイトレスによって運ばれてきた。
「店長から、迷惑な人を追い払ってくれたお礼です! ありがとうございました!」
俺の思考を読んだかのように説明をした店員は、俺とリコの二人に頭を下げる。
いや、よくよく見れば、他の店員も同じように頭を下げていた。
「……こちらこそ、ありがとうございます。ほら、リコさん。美味しそうなパフェですよ」
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