私、異世界で獣人になりました!

星宮歌

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第二章

第四十五話 残酷な言葉

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 隠せる、と、その瞬間はまだ思っていた。親兄弟を騙せるだけの力くらいはあるだろう、と。彼らに嘘を吐くのは難しいことだと、その瞬間には気づけていなかったのだ。


「リコ、一つ、運命の番に関して知らせていなかったことがある。本来は、運命の番に関して知った時に説明すべき内容だ」


 徐ろに話し始めたお父様。私が知る運命の番というのは、獣人にとって惹き寄せられてやまない大切な半身、くらいの認識だ。
 そもそも、貴族階級にある者は、運命の番に関して教えられずに育つことが多い。
 私の場合は、ゼラフが親に教えられていたために、私にも教えざるを得なかったという背景があり、レノに関しても、ことあるごとに『運命、運命』とうるさいゼラフのせいで知ることになった。
 ただ、そういう知り方をしたからこそ、詳しく知っているのかと問われると疑問が残る。平民であれば常識として知っているらしい運命の番に関する情報を、私は調べようとしたことがなかった。


 きっと、無意識に、耳を塞いでいた……。


 ゼラフという悪例しか見たことのなかった私は、ゼラフのようにはなりたくないという一心で、きっと、その情報を得ようと動かなかったのだ。そして……。


「運命の番を見つけた獣人は、運命の番以外との婚姻が不可能になる」


 あまりにも残酷なその言葉に、私は息を詰める。


「なぜなら、獣人は運命の番を見つけてしまうと、運命の番以外に欲情できなくなるし、子を産むことができなくなってしまうからだ」


 心情的なものであるならともかく、そんな肉体的な部分まで、運命の番に縛られるのだということを突きつけられ、頭の中が真っ白になる。


「ゆえに、運命の番に出会ってしまった貴族階級の者は、相手次第で身分を捨てることも、国から去ることも許されている」


 きっと、お父様は運命の番に出会ったのであればその人についていけるのだと、親切心で教えてくれている。しかし、今の私にとって、それは絶望でしかない。


 片翼でもない私が、セインさんについていくことは……。


 どう考えても、それはセインさんへ迷惑をかける行為であり、セインに片翼が見つかってしまえば、悲惨な未来しか見えない。なまじ、セインさんの側へ行けるという希望を教えられたからこそ、諦めなんてつかないだろう。


「リコ、相手がどんな者でも構わない。お前が、その人を諦める必要はないんだ」


 優しく、優しく告げられた残酷な言葉。
 悲惨な結末しか待ち受けていないのだと、それを告げる勇気などなかったが、それでも、バルトリア家の一員として、震える唇で声を出した。
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