悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌

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第一章 幼少期編

第四十七話 お父様と仲良く

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 メリーに相談をして、美味しいおやつのカボチャプリンをお父様と一緒に食べたら良いとアドバイスを受け、私は奮起する。


「みゅっ、いってくりゅにょっ! (みゅっ、行ってくるのっ!)」


 先触れはすでに出した。とはいっても、今まで、私が会いたいと言ってお父様に会えなかったことはないので、先触れの意味があるのかどうか疑問なところではある。何せ、メリー曰く、私が来ると聞いた途端、お父様は仕事を放り出すそうなのだから……。


(まぁ、お城で仕事をしている間に会いに行くのを控えれば良いよね?)


 家での仕事は、多少融通は効く。ただ、お城では論外だ。と、いうわけで、お城にお父様が居る時は緊急でもない限り訪ねないようにしようと決意する。

 そして、到着した決戦の地……ではなく、ウキウキワクワクと娘の到着を待つお父様が居る執務室。
 小さな手を持ち上げて、軽くコンと一度音を立てた瞬間、後二つノックを続ける予定を無視して、『入れ』との声が届く。尋常ならざるフライングに、私は苦笑しながらもメリーに扉を開けてもらう。緊張は、なかった。


「ユミリア」

「みゅ、お、おとー、しゃまっ(みゅ、お、お父、様っ)」


 ちょっとばかし、『お父様』と呼ぶのが照れ臭かったが、扉の近くで待機していたお父様をそう呼んでみれば、お父様は目をキラッキラと輝かせる。


「ユミリアが、『お父様』と……私のことを、『お父様』と……くっ、可愛いっ」


 そして、それを聞いたお父様は、私の目の前で悶える。


(……あれ? つい最近、似たような反応を見た気が……)


 そう思って、後ろに待機する彼女を見れば、彼女もまた、頬を赤く染めて悶えている。


(……メリーと同類?)


 もしかしたら、類は友を呼ぶというやつなのではなかろうかと首をかしげたところで、お父様は私をそっと抱き上げて、新たに執務室に設置した私専用の椅子へと下ろしてくれる。


「すぐに、おやつをお持ちいたします」

「頼む」


 メリーが出ていき、おやつを待つだけの時間。いつもなら、ここで気まずくなってソワソワしてしまう私だったが、メリーの同類だということを認識した私には気まずさの欠片もない。ニコニコと私の顔を眺めるお父様を、逆に見つめることだってできるのだ。


「失礼します。おやつをお持ちしました……が、何をやっているのですか?」

「ん? ユミリアを眺めていた」

「みゅっ、おとーしゃまをながめてちゃにょ(みゅっ、お父様を眺めてたの)」


 会話もなく、ただただお互い眺めていた私達。その返答にメリーが『この似た者親子め』と言っていたが、何が似ていたのだろうか?

 おやつのカボチャプリンをお父様と一緒に堪能しながら、私は少しずつ最近のことを話し始める。すると、お父様はニコニコしながら私の話に関心を示して聞いてくれる。


(そっか、これが、父と子の関わり方、なんだ)


 話す内容は、本当に他愛のないことばかり。メリーが可愛い服を選んでくれただとか、セイが最近ツンよりデレが多くなってきただとか、鋼がモフモフで癒されるとか、ローランの影が薄いだとかだ。
 相づちを打ちながら、時折質問を交えて話すその時間は、思いの外、穏やかで、こんな素敵な時間を、私は緊張して無駄にしてきたのかと少し残念な気持ちにもなる。


「ユミリア。私達は、まだまだ関係を作り始めたばかりだ。焦らなくて良い。ゆっくり、親子になっていこう」

「っ、みゅっ!」


 美味しいカボチャプリンがなくなってしまったのを、お父様と一緒に哀愁を漂わせてカップを覗いたり、お父様の友人の話を聞いたりと、楽しい時間を過ごした私は、部屋に戻ると真っ先にメリーやセイ達にお礼を告げて、ご機嫌になるのだった。
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