我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百四十一話 緩和方法

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 教皇が眠る一室。そこへ、我輩とバルディスは聖騎士、ハッシュに案内された。我輩、一度は来たことがある場所ではあったが、それを口にすることなく、とにかく寝台の上に横たわっている教皇の元へと駆け寄る。


「どうだ? タロ?」

「にゃあ。にゃっ(今から見てみるのだ。『探索』開始っ)」


『ジアス・ディバン。

男。

五十八歳。

セイクリア教国教皇。

『宵闇の一日』にディルク・ディバンによって呪いをかけられた。症状は食欲減退、全身の疼痛、吐き気。寿命は残り五年。また、キリギリ毒は解毒が行われたため、現在はこの呪いだけである。

解呪の方法は、呪いを術者に返すか、術者の殺害、術者に自主的に解かせる以外にない』


「にゃあ……(やはり、都合の良い解呪方法はないのだ……)」

「……なら、症状の緩和なんかはできないか? セイクリアの教皇といえば、大きな支援魔法の使い手で、その魔法によって幾度も困難な戦場を乗り越えたと言われている。せめて、その支援魔法が使えるまでの状態にできれば、ミルテナ帝国に打撃を与えられるかもしれない」


 そうバルディスが提案すると、ハッシュがコクコクと首を縦に振っていた。バルディスの情報に間違いはないらしい。


「にゃ。にゃ(調べてみるのだ。『探索』)」


『呪いの症状緩和方法その一。呪いをかけた術者の血とシアンの実を混ぜて潰し、無属性魔法『定着』をかけたものを飲ませることで呪いの症状が緩和する。ただし、とてもそれは不味く、稀に心臓を止めてしまう者も居るため、取扱い注意』


 とりあえず、その方法をバルディスに話すと、すぐに却下と言われる。確かに、術者の血なんて手に入れられないし、そもそも心臓を止めてしまったら意味がない。我輩、この方法は諦めて次の方法を読み上げる。


『呪いの症状緩和方法その二。呪いを受けた人物の血縁者に、呪いの症状を移すことによって、一時的に緩和させることができる。方法は、契約の魔法陣を用いる。

 呪いを受けた人物と血縁者が互いの血液を契約の魔法陣に垂らし、何らかの媒体を代償に呪いの移し替えを宣言することによって緩和できる。

 ただし、効力を発揮する呪いの移し替えのために用いた媒体の力によって左右される。また、呪いが移し替えられている状態ではどのような方法を用いても解呪できない』


「それは、保留だな。他にはないか?」


 そう言われ、我輩、最後の方法を読み上げる。できればこれは、読みたくなかったと思いながら……。


『呪いの症状緩和方法その三。動物を犠牲に呪いを緩和させることができる。生け贄となる動物(できれば猫が好ましい)を百匹用意し、専用の魔法陣を用いて呪いの緩和を行う。

ただし、その動物(主に猫)の中に魔力を持つ個体が居た場合、呪いの症状を悪化させる場合もある』


「よし、分かった。二番目のやつにしよう」


 ちょっと涙目になりながら読み上げると、バルディスはすぐさま三番目の案を却下してくれた。もし、バルディスが猫を使うなどと言い出せば全力で止めるところだったのだが、即座に判断してくれたことで我輩、何もせずにすんだのだ。


「あの、結局どのような方法になったのですか?」


 そうして、オズオズと話しかけてきたハッシュに、バルディスは今までの話の流れも踏まえて説明を行ったのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


呪いを単純に解呪できる方法がないっ。

しかも、緩和させる方法は結構えげつないです。


「にゃあっ(同胞を生け贄にだなんて、酷すぎるのだっ)」


なぜ、猫が推奨されたかといえば、猫には九つの魂があるという設定だからなんですけどね?

そして、魔力を持つ猫は、生け贄にされたら強い怨念を抱いて呪いをかけるという設定です。

まぁ、滅多にそんな猫は居ないんですけど……。


「にゃー。にゃーっ(酷いのだ。酷いのだっ)」


それでは、また!
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