我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百四十五話 救出(三)

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「ぐ、ぐあぁぁぁあっ!」


 いきなり叫び出したマギウスに、我輩だけではなくバルディスもディアムもラーミアへと注目する。


「あら? 私は何もしていませんわよ?」


 視線に気づいたラーミアは心外だとでも言わんばかりだったが、ラーミアの言葉が本当なら、マギウスに何が起こっているのか分からない。


「タロ、調べてくれ」

「にゃっ(分かったのだ)」


 未だに悲鳴を上げて苦しむマギウスを前に、我輩、ひとまず『探索能力』を使用する。


『マギウス・オルビリオ。

男。

三百一歳。

前四天王。

現在、■■■■■■■■による『洗脳』で任務失敗の苦しみを味わっている。『洗脳』を解かなければ五分後に死ぬ』


 また、黒塗りに潰されたそれを見つけた我輩だったが、書かれている内容に我輩、少し慌てる。


「にゃっ! (大変なのだっ!)」

「どうだったんだ?」


 慌てる我輩に、バルディスは問いかけてくるものの、今は答える時間も惜しい。


「にゃっ(もう一度、『探索』なのだ)」


 今度は、『洗脳』を解く方法を願って『探索能力』を使用する。すると……。


『『洗脳』を解くには、神の加護を受けた者が首元の『洗脳印』に五千万の魔力を注ぎ込まなければならない』

「にゃ? にゃあ? (神の加護? 我輩ではダメなのか?)」

『現在、加護を受け、五千万の魔力を注げる者は、タロのみ。『サポートシステム』の使用が推奨される』

「にゃっ。にゃあっ(『サポートシステム』っ。頼むのだっ)」

《『サポートシステム』起動します。これより、■■■■■■■■の『洗脳』を解除します。対象の『洗脳印』に手を当ててください》


 いつもと違う指示が飛んできて、我輩、とにかく言われた通りにすべく、暴れるマギウスに駆け寄る。


「にゃにゃあっ(バルディス、マギウスを押さえつけて首元が見えるようにしておいてほしいのだっ)」

「良く分からないが、分かった。任せろ」


 バルディスに助けを求めれば、バルディスはすぐに『炎縛』でマギウスを簀巻きにする。そして、よくよく観察してみると、確かにマギウスの首元には蛇が三匹絡まったような印があった。


「にゃっ(手を当てたのだっ)」

《これより、人体に影響を及ぼさないように『洗脳』の解除を行います》


 と、その言葉の直後だった。体の中から、何かが大量に引っ張り出させる感覚を味わったのは。


「ぐっ」

「っ」

「こ、れはっ」


 処置はおよそ一分間続き、それが終わると、マギウスは大人しくなり、我輩は酷い脱力感にぐったりとしてしまうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


今回はタロ視点でした。

ラーミアが冤罪をかけられるところは、『当然そうなるよなぁ』と思いながら書き書き……。

タロはきっとこれまでで一番魔力を使って頑張りました。

でも、体重はきっと減りませんけどね。

それでは、また!
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