我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百五十七話 合流

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 ラーミア達からの『念話』に大いに首をかしげる結果となった俺は、マギウスがどんな姿にされたのかをしばらく考え、止める。
 ディルクを担いで教皇庁に戻った俺は、歓待された。ただし、戦争のためにほとんどの聖騎士が出払っていたため、そこに居たのは教皇庁の守りを固める聖騎士くらいだったが、それでも応接室に通されて紅茶と菓子を出されるくらいの待遇は受けている。


「……暇だな」


 つい先程、戦争勝利の報せが入ってきたばかりで、教皇庁全体が歓喜に湧いていた。そして、ラーミア達からの報告を受けたのは少し前、何やら、マギウスの姿がとんでもないものになっているらしかったが、問題はないだろう。どんな姿であろうとも、魔王としてポーカーフェイスを貫ける自信はある。


「ん? ……もしかして、戻ってきたのか?」


 香り高い紅茶を堪能しながら、しばらく暇をもて余していると、外が随分と騒がしいことに気づく。これは、教皇達、もしくは、ラーミア達が戻ってきたに違いない。


《バル、今戻りましたわ》

《そうか、なら、俺のところに通してもらえ。マギウスも居るんだろう?》

《えぇ、ですが、そのマギウスが問題でして……》

《? 何があった?》


 ラーミアが言い淀む様子に、俺はマギウスに何かあったのだろうかと思考を巡らす。しかし……。


《いえ、マギウスの姿を見た聖騎士達が一斉に逃げ出してしまいまして》

《……何をどうしたらそうなるんだ?》

《きっと、貞操の危機、感じた》


 ディアムが横から割り込んでくるものの、意味が分からない。そんなにマギウスの姿は不味いのだろうか。


《……俺が、そっちに行く》

《お願いしますわ。勝手に入るわけにもいかないので》


 そうして立ち上がると、給仕をしていた聖騎士の一人が声をかけてくる。


「どうかなさいましたか?」

「あぁ、仲間が戻ってきたらしいのですが、何やら足止めを食らっている様子でして、迎えに行こうかと」

「ならば、お供いたします」


 そのくらいは問題ないと思って、俺は案内に従って教皇庁の入り口まで向かう。しかし……。


「? どうしました?」


 玄関口の扉を開けたその聖騎士が、そのまま固まったのを見て、俺はついつい問いかける。


「マギウスの姿を見て固まっているのでしょうね」


 聖騎士の方からは答えはなく、扉の向こうからラーミアの声が答える。


「? 失礼。先に行きますね」


 何を固まる必要があるのだろうと疑問に思いながら、それでも、少しばかり、『危険物』だとか、『目に猛毒』だとか、『生物兵器』とまで言われたマギウスの姿に嫌な予感がする。そして……。


「……………………な、なるほど」


 爆笑しなかった俺を、誰か褒めてほしい。何せ、細腕の青年、といった出で立ちだったはずのマギウスが、筋肉ムキムキで、バッチリメイク、フリッフリのドレス(?)を着ているのだ。真実を知っている俺からすれば、爆笑ものでしかない。
 そして、ディアムが言っていた、『貞操の危機』という言葉にも納得だ。今のマギウスは、何やら並々ならぬ気迫を持っている。それはきっと、自分の姿にショックを受け、自分を保とうとしてのことなのだろうが、周りから見れば、今にも襲いかかってきそうな勢いに見える。あんなのに襲われると考えたら、気が気じゃないだろう。

 俺は、爆笑を堪えて、マギウスの全体像を確認すると、大きくうなずく。


「タロも、良い仕事をしたな」

「どこがだっ!?」


 マギウスからはすかさず突っ込みが入ったが、気にしない。この姿ならば、マギウスが『操術』を使ってセイクリア教国を混乱に陥れた者だとは気づかれないだろう。

 これで、後は教皇達と話を終えて、タロの欠片回収をすませればこの国からは出ていける。ようやく、先に進めるのだ。


「まぁ、とりあえずさっきまで俺が居た応接室に戻ろう。そこで、のんびりしておこう」


 そう言いつつ、背後の聖騎士にアイコンタクトで確認を取れば、ぎこちなくうなずいてくれる。どうやら、大丈夫らしい。


「タロ、寝てる。できれば、タオル、ほしい」

「そうか、タロにも無理をさせたみたいだな。聖騎士殿、タオルもお願いできますか?」

「は、はいっ、ただいま持って参りますっ!」


 大慌てで去っていく聖騎士を横目に、俺達は応接室へと向かうのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


どうにか爆笑を堪えたバルディス。

腹筋へのダメージ、1000!

腹筋レベルが上がった!

とかいうナレーションを流したかったかも(笑)

それでは、また!
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