我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第三章 セイクリア教国の歪み

第二百五十六話 衝撃と微睡み

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 あの後、我輩、マギウスに真剣な目で『幻術』を変えるよう頼まれた。どこか泣きが入った声で、必死に必死に頼まれた。しかし……。


「にゃあ(バルディスに確認しないとダメなのだ)」


 『洗脳』されていたとはいえ、先程まで敵対していた者の言葉をすんなり受け入れるわけにはいかない。一応、バルディスに確認を取ってみると、『見たいような、見たくないような……とりあえず、二人の意見を聞く』と返ってきた。そして、その二人、ラーミアとディアムにバルディスが意見を聞くと、『ぜひ、見ておくべきです』とか、『反応、楽しみ』という応えが返ってきて、そのままということになった。
 それを伝えた時、マギウスは魚屋の大将の顔で悟ったような表情をしていたものの、その理由までは推し測れない。我輩、やはり人の感覚には疎いのだ。


「では、一度バルと合流しましょう」

「マギウス、縄、解く。暴れる、禁止」

「……あぁ……」


 そうしてマギウスは『炎縛』を解かれ……その全身の姿を見て、ラーミアとディアムは思わずといった具合に目を背ける。


「…………こ、この、服は……」


 二人の様子に思うところがあったらしいマギウスは、自身の体を見下ろして絶句する。『炎縛』の間から覗いていた服は、確かにフリフリだったが、それまで全体像は分からなかった。しかし、今は違う。今は、ゴシックロリータの服装のマギウスがはっきりと見える。


 うむ、完璧に魚屋の大将なのだっ。


 自分で施した『幻術』の出来に、我輩、大満足だ。しかし、マギウスはといえば、死んだ魚の瞳でぼんやりとしてしまっている。ここばかりは、生き生きとしていた本物の魚屋の大将とは違っていた。


「さ、さぁ、行きますわよ?」

「タロ、俺、連れていく」

「……ハ、イ」


 ディアムに抱き上げられ、視界が上昇した我輩は、一度大きくあくびをする。


 今日はたくさん働いて疲れたのだ。きっと、体重も少しは減っているのだ。


 駆け出したラーミア達に連れられて、心地良い振動を堪能する我輩の視界は、どんどんぼやけていく。


 疲れたのだ。眠いのだ。


 そうして、バルディスと合流する頃には、我輩、グッスリ眠っていたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


お、思った感じに進まなかった……。

今日は、バルディス達と合流させてあげようと思ってたのに……。

じ、次回はきっと、合流しますっ。

頑張って合流させますので、もうしばらくお待ちください。

それでは、また!
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