我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百七十三話 竜の森(九)

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「大変なのだっ。バルディス! ラーミアとはぐれたのだっ!」


 作戦決行のため、我輩とマギウスは全力でバルディス達を捜して、見つけた途端に駆け寄ってそう告げる。


「何っ!?」

「ラーミア、どこか、落ちた?」


 さすがにラーミアが一人取り残されたと分かれば、バルディスもディアムも平常心ではいられないはずだということで、騙すことは心苦しいものの、そう伝えてみる。


「よし、分かった。タロはできる限り『探知サーチ』を使ってラーミアの居場所の特定に努めてくれ。ディアムは周囲の警戒を、マギウスはあまり前に出るなよ。それじゃあ、行くぞ!」

「うむっ」

「御意」

「り、了解っ!」


 焦っている様子のバルディスやディアムには悪いが、ラーミアの安全確保は一応できている。それなりに強力な恐竜をマギウスの『操術』で操り、ラーミアへと攻撃しようとするものの排除を頼んでおいたのだ。だから、心配はいらない。
 作戦の内容としては、ラーミアが一人取り残されたことを告げることで、ディアム(バルディスはついでだが)を心配させてみせるというものだ。そうして、我輩達がラーミアを見つけた瞬間、『操術』で操った恐竜がラーミアに襲いかかるという設定もある。そこで、我輩でもマギウスでもなく、ディアムがラーミアのために駆けつければ完璧なのだ。
 作戦を聞いたラーミアは、上手くいくかどうか心配なのか、浮かない顔ではあったものの、必ずその顔を笑顔に変えてみせるのだ。紳士として、レディの手助けはとても重要なことなのだ。

 そうして探索を開始した我輩達は、バルディスに言われた通り、『探知サーチ』を使いながら慎重に捜していく。話に信憑性を持たせるために、我輩、ちゃんとラーミアを『探知サーチ』の届かない位置へと誘導しておいたため、今は本当に居場所が分からない。


「タロ、どう?」

「むぅ、まだ見つからないのだ」


 定期的に我輩へラーミアの居場所が分からないか確認してくるディアムは、作戦通り、ちゃんとラーミアの心配をしてくれているようだった。


「ディアム、警戒を怠るなよ?」

「分かってる」


 焦りながらも、きっちりディアムへと釘を刺したバルディスは、自身も周りを警戒しながら進んでいく。ついでにマギウスは、極力空気になろうと鋭意努力中らしい。


「むっ、見つけたのだ!」


 しばらく進んでいくと、ようやくラーミアの反応があり、我輩、全員にその方向を示すのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


さてさて、タロの中途半端な作戦は上手くいくのでしょうか?

次回、その結果が分かるようにしたいと思います。

それでは、また!
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