我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百八十五話 カレッタ小王国の勇者

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 あれから数日かけてカレッタ小王国の王都へと入ると、そこは、勇者の話題で持ちきりだった。


「と、いうわけで、少し勇者の動向を探る必要があると思われる」


 勇者が現れ、魔王を倒してくれるといった内容の噂が囁かれる中、当の魔王たるバルディスは、さすがに危機感を覚えて宿屋に防音結界を張って作戦会議を行う。ちなみに我輩は、連日ささみをもらって大満足なのだ。


「そうですね。確かに、調査は必要でしょう。今回もまた、二手に別れますか?」

「あぁ、そうだな。勇者を調べる者と、水が枯渇した原因を調べる者とに別れた方が効率的だろう」

「水、竜の森、原因あり。それなりの戦力、必要」

「ぼ、僕は、勇者の方に回してもらいたい」


 『竜の森』という単語が出た瞬間、マギウスは頬を引きつらせて勇者に関する調査へと手を挙げる。


「にゃにゃあっ(なら、我輩も勇者の調査が良いのだっ)」


 我輩としては、自分以外の勇者が気になる。当然、勇者の調査に向かいたいと声を上げた。


「ふむ、そうなると、俺もタロ通訳のために一緒に向かうべきか、それとも、竜の森の方へ向かうべきか……」

「報告の時だけ『人化』してもらえたら、僕でも話せるはずだけど」

「……バルは、タロと一緒の方が良いかもしれませんね。常に面倒事を引き連れてくるタロですから、しっかり監視するという意味で」


 マギウスはバルディスに竜の森へと向かっても良いという内容を提示してくれたものの、なぜか我輩の監視が必要だとラーミアが力説し、ディアムも大きくうなずく。


「確かに……」


 ついでに、バルディスにもじっと見つめられた末に、納得されてしまい、我輩、とっても不満だ。


「にゃっ(我輩、しっかりしているのだっ)」

「そう思ってるのは、タロだけだからな」


 我輩だって、ちゃんと調査はできると訴えてみたものの、バルディスはそれを即座に否定してくる。


 ううむ、解せないのだ。


「では、私とディアムが竜の森の調査、バルとタロ、マギウスが勇者の調査でよろしいですか?」

「あぁ」


 納得はできなかったものの、とりあえず決まってしまったものは仕方がない。


「まず、勇者に関しては、二日前に召喚され、魔王を討伐すべく、現在は王宮で訓練中らしいという情報でしたね」

「あぁ、そして、水に関しては、竜の森で魔王が水を塞き止めたとの噂だ」


 事前情報をそれぞれに確認し、うなずき合うバルディス達を見ながら、我輩、まだ見ぬ勇者へと思いを馳せる。


 もし、我輩と同じ国から来ているのであれば、仲良くしたいものなのだ。


 どこから召喚されたか分からない勇者。ただ、なぜか強く惹かれるその存在に、我輩、早く会ってみたいと思うのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


タロは飼主と会えるのでしょうか?

とりあえず、調査することが決まって、ラーミア達は引き返さないとならなくなりましたが、これから頑張ってくれることでしょう。

それでは、また!
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