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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百八十六話 トラップ

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 ラーミアとディアムの二人とは別れて、我輩達はまず、情報収集のためにそれぞれで行動を開始したのだが……。


「にゃあ(ここは、難しいのだ)」


 この国には、獣人が多い。そのため、動物達には情報をできる限り渡さない方策が取られているらしく、同胞からの情報集めはあまり上手くいっていなかった。


「にゃっ。にゃ……にゃあんっ(だいたい、何なのだっ。マタタビで意識を引き付けようなど……卑怯にゃにょにゃあっ)」


 要所に入り込まないようにするためか、マタタビが設置してあるその場所で、我輩、グデンと寝そべる。


「にゃあん(にゃふふふふ)」


 とーっても、気持ち良いのだ。何だか、何もかもが楽しいのだー。


「にゃあん、にゃあん(にゃふふ、にゃふふふ)」


 そうして、ハッと気がついた時、我輩は、紳士にあるまじきだらしなさで地面をゴロゴロとしていた。


 しまったのだっ。トラップに引っかかってしまったのだっ。


 そうして、太陽の位置を見てみると、もう昼間は過ぎている。


「にゃあっ(集まる時間を過ぎているのだっ)」


 お昼になったら、一度集まろうと約束していたにもかかわらず、我輩、マタタビに現を抜かしてしまったのだ。我輩、急いで走り出し、宿屋へと向かう。


「遅かったな、タロ」


 そうして、たどり着いた我輩を待っていたのは、仁王立ちしたバルディスと、なぜか意気消沈したマギウスだった。


「に、にゃあ(お、遅れてすまないのだ)」

「あぁ、それは大丈夫だ。それより、早く入れ」


 約束を破ってしまったという罪悪感に駆られていると、バルディスは我輩のために扉を大きく開けてくれる。


「にゃあ(ありがとうなのだ)」


 そうして入ってみると、すでに防音結界が張られていることに気づく。


「それで、遅れた理由は何だ? 他の猫から全く情報を引き出せなかったからか? それとも、各所に設置してあるマタタビにやられたか?」

「……にゃ(……どっちもなのだ)」


 なぜか、我輩のことが把握されているらしく、我輩、叱られることを覚悟して耳を垂れる。すると……。


「そうか……その程度ですんで良かった」


 なぜか、我輩、バルディスに頭を撫でられる。その様子に、わけが分からず混乱する我輩だったが、バルディスが心底安心しているらしいことだけは分かったので、されるがままになる。


「とりあえず、俺から情報を伝えよう」


 そうして、話し出したバルディス。その内容は、我輩の想像を絶するものだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


とりあえず、今日はここまで。

バルディスの調査内容は、明日の更新になります。

それでは、また!
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