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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第二百八十七話 ホームシック
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「とりあえず、この国の状態から言うと、動物にとってはかなり不味い」
「にゃっ!? (そうなのかっ!?)」
そうして、話始めるバルディスに、我輩じっと耳をすます。
「まず、要所にはマタタビが設置してあって、マタタビが効かないタイプの猫でなければ入ることはできない」
「にゃ(うむ、経験ずみなのだ)」
「でもって、入れたとしても、動物用の罠が多数仕掛けられていて、中には死に至るようなものまである」
「にゃっ!? (にゃんとっ!?)」
「必然的に、動物達が知る情報は、この国に暮らす民達とほとんど変わらない。いや、むしろ、行動が制限されている分、知っている情報は少ないらしい」
「……にゃあ(……つまり、今回の我輩は役立たず)」
バルディスに詳しくこの国の状況を聞けば聞くほど、我輩に活躍の場はないのだと教えられた。
「にゃ……(無念、なのだ……)」
情報収集ができなければ、我輩、ほとんど活躍ができないも同然だった。耳を垂らしてうなだれていると、バルディスはため息を吐きながらわしゃわしゃと我輩の頭を撫でる。
「落ち込む必要はない。タロには今まで、何度も助けられてきたんだから、今回くらい何もできなくとも構わないさ」
「にゃあ……(バルディス……)」
「それよりも、無事で良かった。この国の動物対策を聞いた時は、心配したんだからな」
どうやら、我輩、バルディスに思いっきり慰めてもらっているらしい。その様子が、何となく飼い主を思い起こさせて、我輩、胸がキュッとなる。
今頃、また、ホームシックなのだ。
今はとにかく飼い主が恋しい。勇者とやらが、どこかの異世界から来たのだとすると、もしかしたら、我輩の故郷から来ているのかもしれないと考えたのが不味かったのだろう。飼い主のことを思い出さないようにしていたのに、今は優しさが胸にしみる。
「にゃ(もっと撫でるのだ)」
「何だ? 今日は甘えただな」
「にゃー(そういう日もあるのだ)」
バルディスには、すぐさま我輩の様子がおかしいことを気づかれたものの、その後は何も言わずに撫で撫でしてくれる。ゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄れば、抱っこまでしてくれる。
「勇者に関する情報は、大して得られなかった。マギウスは、あの容姿のせいでことごとく避けられ続け、今は落ち込んでいる」
「にゃ(なるほど)」
「明日の調査は、俺一人で行こうと思う。タロは、マギウスと一緒に、町を散策してみてくれ。欠片の持ち主を見つけたら、連絡してほしい」
「にゃ(分かったのだ)」
甘えさせてもらっている合間に入ってくる情報を、我輩、頭の中でまとめると、うつらうつらとし出す。マタタビではしゃいだせいか、今はとても眠い。
「もう寝ろ。頑張るのは、明日からで良い」
そんな優しい言葉に、また、飼い主を思い出しながら、我輩、眠りに就く。その日の夢の中では、飼い主と目一杯遊べたような気がした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
タロ、ホームシック再び、です。
最初の頃より、今回の方が重症かも?
早く飼い主と会わせてあげたいところですが、もうしばらくお待ちくださいね。
それでは、また!
「にゃっ!? (そうなのかっ!?)」
そうして、話始めるバルディスに、我輩じっと耳をすます。
「まず、要所にはマタタビが設置してあって、マタタビが効かないタイプの猫でなければ入ることはできない」
「にゃ(うむ、経験ずみなのだ)」
「でもって、入れたとしても、動物用の罠が多数仕掛けられていて、中には死に至るようなものまである」
「にゃっ!? (にゃんとっ!?)」
「必然的に、動物達が知る情報は、この国に暮らす民達とほとんど変わらない。いや、むしろ、行動が制限されている分、知っている情報は少ないらしい」
「……にゃあ(……つまり、今回の我輩は役立たず)」
バルディスに詳しくこの国の状況を聞けば聞くほど、我輩に活躍の場はないのだと教えられた。
「にゃ……(無念、なのだ……)」
情報収集ができなければ、我輩、ほとんど活躍ができないも同然だった。耳を垂らしてうなだれていると、バルディスはため息を吐きながらわしゃわしゃと我輩の頭を撫でる。
「落ち込む必要はない。タロには今まで、何度も助けられてきたんだから、今回くらい何もできなくとも構わないさ」
「にゃあ……(バルディス……)」
「それよりも、無事で良かった。この国の動物対策を聞いた時は、心配したんだからな」
どうやら、我輩、バルディスに思いっきり慰めてもらっているらしい。その様子が、何となく飼い主を思い起こさせて、我輩、胸がキュッとなる。
今頃、また、ホームシックなのだ。
今はとにかく飼い主が恋しい。勇者とやらが、どこかの異世界から来たのだとすると、もしかしたら、我輩の故郷から来ているのかもしれないと考えたのが不味かったのだろう。飼い主のことを思い出さないようにしていたのに、今は優しさが胸にしみる。
「にゃ(もっと撫でるのだ)」
「何だ? 今日は甘えただな」
「にゃー(そういう日もあるのだ)」
バルディスには、すぐさま我輩の様子がおかしいことを気づかれたものの、その後は何も言わずに撫で撫でしてくれる。ゴロゴロと喉を鳴らしてすり寄れば、抱っこまでしてくれる。
「勇者に関する情報は、大して得られなかった。マギウスは、あの容姿のせいでことごとく避けられ続け、今は落ち込んでいる」
「にゃ(なるほど)」
「明日の調査は、俺一人で行こうと思う。タロは、マギウスと一緒に、町を散策してみてくれ。欠片の持ち主を見つけたら、連絡してほしい」
「にゃ(分かったのだ)」
甘えさせてもらっている合間に入ってくる情報を、我輩、頭の中でまとめると、うつらうつらとし出す。マタタビではしゃいだせいか、今はとても眠い。
「もう寝ろ。頑張るのは、明日からで良い」
そんな優しい言葉に、また、飼い主を思い出しながら、我輩、眠りに就く。その日の夢の中では、飼い主と目一杯遊べたような気がした。
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タロ、ホームシック再び、です。
最初の頃より、今回の方が重症かも?
早く飼い主と会わせてあげたいところですが、もうしばらくお待ちくださいね。
それでは、また!
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