我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)

星宮歌

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第四章 騒乱のカレッタ小王国

第二百九十一話 大穴

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 ラーミアとディアムという二人の男女と別れて、私は先を急いだ。どうにもこの黒いもやは有毒なものらしい。恐らく私は、適応力によってこの環境に適応してしまっているのだろうと分かってはいるものの、長居したい場所ではない。
 どんどん視界が悪くなる中を進んでいくと、ふと、そこに動物の気配が全くないことに気づく。


「瘴気とやらは、とことん有毒らしい」


 恐竜でさえも近づかない瘴気がいったいどんな性質のものなのかは気になるものの、それに関しては後々調べれば良いだろう。今は、水が来なくなった原因だ。


「むっ、あれは……」


 瘴気がさらに濃くなったように感じたその直後、それは現れた。


「大穴、だな」


 そこにあったのは、流れ落ちる水を呑み込む大穴だった。そして、どうやら瘴気の発生源でもあるらしい。大穴の中は、真っ暗で何も見えなかった。


「これは、この能力の出番か。『探索』」


 授かった能力の一つ、『探索能力』を発動させると、その大穴の情報が頭の中に流れてくる。


『邪神の眼

邪神が世界を観察するための眼の一つ。

邪神教徒達が生け贄を捧げて『宵闇の一日』に開いた。

これを閉じるためには、神の加護を得た者が二人以上必要。

もしくは、限界まで邪神の眼を繁殖させ、また別の場所に開くことによって、ランダムで今までの邪神の眼の一つが移動する』


「……うむ、いきなり邪神関係に当たるとは思わなかったのだ。普通、レベルアップの時期があるものではないだろうか?」


 あまりに強烈な情報を目にして、頭が痛くなってくる気がしたものの、とりあえずこれを何とかする必要がある。


「神の加護とは、何なのだ?」

《『サポートシステム』、勝手に起動しまーす。神の加護とはぁ、神から能力をもらった強者のことを言いまーす。現在は、飼主犬斗と、その飼い猫、タロが加護者でーす》

「むっ、なるほど、これが『サポートシステム』。そして、タロをこの危険な場所に連れて来なければならない、だと?」

《はーい。その通りでーす》


 そんな解答に、私はじっと沈黙する。


《嫌ですかー?》

「ふ……ふは、ふははははっ、『嫌』? そのようなこと、あるはずもない。タロとともに危険な場所へ出向くことなど、今までにもざらにあったのでな。血が騒いでならん」

《わー、神様に言われてましたけどー、本当にぶっ飛んだ人でしたー。先行き不安でーす》

「何、退屈はさせんさ」

《……まぁ、どうにかサポートはしますねー》

「うむ、よろしく頼むのだ」


 そうして、『サポートシステム』と交友を図りながら、私は報告内容をまとめるのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


うーん、やっぱり、タロの飼い主はタロの飼い主だった?

タロと飼主は、混ぜたら危険、になりそうですね。

それでは、また!
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