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第四章 騒乱のカレッタ小王国
第二百九十話 瘴気
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川の場所は、私もディアムも覚えていた。そのため、そこそこスムーズにその場所に辿り着き、次は水が途絶えている原因まで遡ることとなった。
「ふむ、かろうじて川があった場所だとは分かるが、随分と長く枯渇していたようだな」
「そうですね。何せ、『宵闇の一日』以降枯渇しているのですから、もう何ヵ月も経っているはずです」
「むぅ、そもそも、『宵闇の一日』とはいったいなんなのだ? 魔王が即位して、その日一日が闇に包まれるとしか知らないのだが……」
「さぁ、詳しいことは私も知りませんわ」
これは嘘だ。本当は、知っている。魔王が即位するその時、初代魔王から受け継がれてきた結界晶石に新たな魔王は魔力を注ぐ。その結界晶石は、ファルシス魔国を覆う結界を形成しているものであり、そのエネルギー源は世界中の太陽光らしい。だから、魔王が即位した日には、一日だけ、世界が闇に包まれるのだ。
まぁ、結界が弱まれば、その維持のために魔王が交代していなくとも魔力を注ぐことはあったと聞きますが……。
そうやって、『宵闇の一日』の仕組みを思い出していると、ふいに、進行方向から嫌な気配が漂ってくる。
「ディアム」
「……おそらく、瘴気」
それは、先代魔王が浄化した、人体に害のある気体。ファルシス魔国で頻繁に発生していたそれは、現在、どこにも見当たらないはずだった。
「瘴気? それはいったいどんなものなのだ?」
小声で確認し合ったはずが、ケントには聞き取れていたらしく、純粋な疑問として尋ねてくる。しかし、この話は少し不味い。
瘴気は、ファルシス魔国でしか発見されていなかったもの。さて、どう誤魔化したものか……。
そうして考えていると、瘴気はどんどん濃くなり、黒くもやのようなものまで見えはじめ、進むことが困難になる。
「どうしたのだ? 顔色が悪いようだが?」
そう心配するケントに、瘴気の影響は見受けられない。そこで初めて、私はこのケントが人間なのかどうか疑わしく思えてきた。
「何ともないのですか?」
そう尋ねるものの、様子を見ていれば分かる。ケントは、瘴気の影響を受けていない。
「この黒いもやが原因か? うむ、なるほど、私にはあの能力があるから影響を受けないのだな」
何やら一人で納得しているケントだが、そろそろ進めなくなりそうだ。
「うむ、では、ここからの調査は私に任せるのた。それでは、行ってくる!」
「えっ? ちょっ、ケント!?」
「一人、危険っ」
二人してケントを制止したものの、ケントは素早く森の奥深くへと走っていくのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回、飼主視点です。
それでは、また!
「ふむ、かろうじて川があった場所だとは分かるが、随分と長く枯渇していたようだな」
「そうですね。何せ、『宵闇の一日』以降枯渇しているのですから、もう何ヵ月も経っているはずです」
「むぅ、そもそも、『宵闇の一日』とはいったいなんなのだ? 魔王が即位して、その日一日が闇に包まれるとしか知らないのだが……」
「さぁ、詳しいことは私も知りませんわ」
これは嘘だ。本当は、知っている。魔王が即位するその時、初代魔王から受け継がれてきた結界晶石に新たな魔王は魔力を注ぐ。その結界晶石は、ファルシス魔国を覆う結界を形成しているものであり、そのエネルギー源は世界中の太陽光らしい。だから、魔王が即位した日には、一日だけ、世界が闇に包まれるのだ。
まぁ、結界が弱まれば、その維持のために魔王が交代していなくとも魔力を注ぐことはあったと聞きますが……。
そうやって、『宵闇の一日』の仕組みを思い出していると、ふいに、進行方向から嫌な気配が漂ってくる。
「ディアム」
「……おそらく、瘴気」
それは、先代魔王が浄化した、人体に害のある気体。ファルシス魔国で頻繁に発生していたそれは、現在、どこにも見当たらないはずだった。
「瘴気? それはいったいどんなものなのだ?」
小声で確認し合ったはずが、ケントには聞き取れていたらしく、純粋な疑問として尋ねてくる。しかし、この話は少し不味い。
瘴気は、ファルシス魔国でしか発見されていなかったもの。さて、どう誤魔化したものか……。
そうして考えていると、瘴気はどんどん濃くなり、黒くもやのようなものまで見えはじめ、進むことが困難になる。
「どうしたのだ? 顔色が悪いようだが?」
そう心配するケントに、瘴気の影響は見受けられない。そこで初めて、私はこのケントが人間なのかどうか疑わしく思えてきた。
「何ともないのですか?」
そう尋ねるものの、様子を見ていれば分かる。ケントは、瘴気の影響を受けていない。
「この黒いもやが原因か? うむ、なるほど、私にはあの能力があるから影響を受けないのだな」
何やら一人で納得しているケントだが、そろそろ進めなくなりそうだ。
「うむ、では、ここからの調査は私に任せるのた。それでは、行ってくる!」
「えっ? ちょっ、ケント!?」
「一人、危険っ」
二人してケントを制止したものの、ケントは素早く森の奥深くへと走っていくのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回、飼主視点です。
それでは、また!
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